バツイチの先輩、辺見との恋愛
静岡県浜松市出身の大石紺は、上京して女子大に入学。卒業後はそのまま東京でOLとして働く女性である。本作は、そんなごく普通の女子、紺の恋愛遍歴を描いた物語。まずはじめに描かれるのは、バツイチの会社の先輩、辺見庸介との恋愛である。二人の子供を連れて出ていった妻との離婚が正式に決まり、辺見と紺は結婚を前提に一緒に暮らすことになる。辺見に言われるがまま、会社を退職した紺だったが、その矢先に辺見はリストラに遭い、無職になってしまう。紺の両親にお金を借りて急場をしのいだ二人だったが、辺見にはさらに多くの借金があることが判明。最初は辺見を守ろうと頑張っていた紺だが、ヒモのような存在になった辺見が、お金にだらしなく思慮に欠ける人間だということに気づき、きっぱりと別れることにする。
バイセクシャルの賀次との恋愛
「もう二度と恋はしない」と決めていた紺だったが、友人を介して年下の男性・賀次と出会い、いつの間にか恋に落ちる。バイセクシャルの賀次はとても優しく、Hもうまい。いつも一緒にいたいと同居を望む紺だが、賀次はそれを拒む。自由気ままな性格の賀次は「いくら好きでもいつも毎日一緒だと飽きる」「時々会って、ご飯を食べたり話したりするだけで充分」だという。恋愛に関する温度差に落ち込む紺だったが、とりあえず彼の考えを受け入れ、幸せな日々を過ごしていた。しかしある出来事から、紺は賀次と会えなくなってしまう。
弟や友人の恋を描いた群像劇
本作は紺の恋愛を軸にしているが、彼女の弟でゲイの大石紫や、美容師のテツの恋愛も描いた群像劇でもある。紫は、ゲイが出会いを求めて集まる場所で、男性たちと出会って関係を結ぶが、幸せが掴めず傷ついていく。テツは、紺が再就職した生地屋の隣で働く美容師で、女に手が早くて気が多いチャラ男。紺に好意を寄せているが、紺からは恋愛対象としては見られておらず、良き友達という関係である。そんなテツは、紺の同僚の女性・片岡につい手を出してしまうが、彼女は思い込みが激しい性格で、思いつめた末にある事件を起こしてしまう。
登場人物・キャラクター
大石 紺 (おおいし こん)
静岡県浜松市出身の女性。初登場時は28歳。編み物と裁縫が趣味。女子大を卒業後、東京の会社に就職。バツイチの先輩、辺見庸介との同居を契機に会社を退職し、生地屋に再就職。その後辺見とは別れ、新たな恋を見つける。また、特技が認められ、手芸作家&テキスタイルデザイナー(服飾用途の布地や織物のデザイナー)になる。
辺見 庸介 (へんみ ようすけ)
大石紺の会社の先輩。初登場時は33歳。バツイチで二人の息子がいる。妻との離婚が正式に決まった後、結婚を前提に紺との同居を決めるが、直後にリストラされて職を失う。養育費や元妻が住む家の家賃を払うために借りた、巨額の借金がある。ヒモのような生活をしながら、紺の両親に平気で数百万円のお金を無心するダメ男。
書誌情報
スクナヒコナ 全4巻 祥伝社〈FEEL コミックス〉
第1巻
(2003-11-08発行、978-4396763152)
第2巻
(2004-11-08発行、978-4396763282)
第3巻
(2005-07-08発行、978-4396763626)
第4巻
(2006-07-07発行、978-4396763831)







