理想と裏切りが交錯するシリアスラブストーリー
本作は、結婚7年目を迎えても子供に恵まれず、理想とはかけ離れた結婚生活に苦悩するまきを主人公に、女性の抗えない本能から始まる恋愛をテーマにしており、浮気や不倫といった婚外恋愛にも深く切り込んでいる。セックスレスや夫からのモラハラに悩むまきは、同僚の旭に惹かれ、抑えきれない感情と葛藤の中で不倫に走ってしまう。男女間に横たわる重苦しい問題を生々しく描写し、既婚女性が直面するリアルな問題を浮き彫りにしながら、シリアスなラブストーリーが展開される。
惹かれ合う心と、すれ違う夫婦
まきは仕事において非常に優秀で、同僚たちからの信頼も厚い。しかし、本音を主張するのが苦手で、夫の恭一にも自分の気持ちをうまく伝えられずに悩んでいた。ある日、上司からの失礼な言葉に対して愛想笑いしかできなかったまきは、ブラジル育ちの同僚、旭から「なぜ嫌だと言えなかったのか」と指摘される。旭は時には冷たく突き放す一方で、まきの体調が悪い時には優しく気遣ってくれるなど、つかみどころのない性格で、まきは次第に彼に惹かれていく。そんな中、久しぶりに恭一の実家を訪れた際、以前から強く望んでいた子供についての気持ちを彼に打ち明けることにした。しかし、子供を望まない恭一とのセックスレスは続き、彼のまきに対する態度も次第に軽んじるようなものになっていく。
まきの決断と予想外の妊娠
まきは、恭一との関係が冷え込む中、ある飲み会の夜に旭からキスされ、戸惑いながらも彼に対する恋心を自覚する。既婚者としての立場に揺れ動きながらも、まきはますます旭に惹かれていく。一方、帰宅が遅くなることが増えた恭一は、かつての恋人である寄島みゆみと再会し、不倫関係に陥ってしまう。みゆみはまきのあこがれの先輩であり、時には悩みを相談する相手でもあった。そんな中、恭一の父親が病死する。悲しみに暮れる恭一が、自分ではなくみゆみに抱きすがる姿を見たまきは、恭一への不満が募り、離婚届を突きつけるが拒絶されてしまう。理想の夫婦像が崩れ、周囲との関係が複雑化する中で、まきの恋の行方や、あるきっかけで妊娠した彼女の壮絶な運命と選択が見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
苫田 まき (とまだ まき)
恭一の妻で、旭と同じ会社に勤務する女性。初登場時の年齢は31歳。職場でもプライベートでも本音を言えない控えめな性格の持ち主。大学時代から7年以上連れ添っている夫の恭一とは、子供を望む気持ちとは裏腹に、彼の非協力的な態度が原因でセックスレス状態が続いている。複雑な家庭環境で育ったため、両親を反面教師とし、幸せな家庭を築き、子育てをしたいと強く願っていた。また、生理の症状が重く、薬が欠かせない体質である。これらの悩みを抱えながら、同僚の旭に惹かれ、不倫関係に発展していく。
山手 旭 (やまて あさひ)
まきの同僚で、アラフォーの男性。ブラジルで育った日系ブラジル人。物事をはっきりと言う性格で、人との距離感が近いため、当初は正反対な性格のまきから苦手意識を抱かれていた。アンニュイでミステリアスな雰囲気を漂わせており、意味深な言葉や優しい態度でまきを翻弄している。実はバツイチで、ブラジルでマリリアという少女と結婚し、娘も授かったが、その関係は破綻している。来日当初は漢字の間違いが多く、まきから指導を受けていたが、その頃から彼女の作り笑いに違和感を覚えていた。
苫田 恭一 (とまだ きょういち)
まきの夫。高校の英語教師を務めている。初登場時の年齢は33歳で、眼鏡をかけている。多忙な日々を送っているため、家では寝て過ごすことが多く、妻のまきとはセックスレスの状態が続いている。生徒とのかかわりの中で子供を持つことに希望を見出せず、家事にもあまり協力的ではない。まきに対しては時に高圧的な態度を見せることがある。大学時代には、主席の才媛、みゆみに惹かれ、交際していた。子供を望むまきへの愛情が薄れていく中で、みゆみと再会し、不倫関係に発展していく。
書誌情報
子宮恋愛 4巻 ぶんか社〈ぶんか社コミックス〉
第1巻
(2025-04-16発行、978-4821110377)
第2巻
(2025-04-16発行、978-4821110384)
第3巻
(2025-05-16発行、978-4821110445)
第4巻
(2025-06-17発行、978-4821110452)







