スプライト

スプライト

ある特定の人たちだけに視える“時間”の「黒い水」。その「黒い水」が津波となって街を襲い、高層マンションの最上階に取り残された主人公たちが未来や過去にタイムスリップし、サバイバルしながら現代に戻ろうとするSFパニック。

正式名称
スプライト
ふりがな
すぷらいと
作者
ジャンル
パニック
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

女子高生のスー(時任好子)は、高層マンションの最上階で10年間引き籠りを続ける叔父、田中正午の世話をするために、同級生の蘭丸霧子平田美希と共に彼のところを訪れる。その時、突然街は大地震と共に「黒い水」の津波に襲われ、最上階を残して飲み込まれてしまう。その屋上には謎の子供たちがいて、彼らはその「黒い水」は“時間”であり、何十年、或いは何百年と逃げ回ってきたというのだった。

黒い水」が引いてマンションから出てみると、そこは2060年の世界だった。スーは混乱のなか、10年前に弟トキオが「黒い水」に飲まれて行方不明になっていたという記憶を取り戻す。

登場人物・キャラクター

時任 好子 (ときとう よしこ)

17歳の女子高生。引き籠りの叔父、田中正午が住むマンションを訪れた際、「黒い水」の津波に巻き込まれて最上階の住人と共に2060年へタイムスリップする。か弱さの中に強い意志を秘めていて、自分より他人を思う気持ちの強さで正午や対馬たちを引っ張る。対馬には、時々羽の生えた天使の姿に見えることがある。

蘭丸 霧子 (らんまる きりこ)

スー(時任好子)の同級生で親友。実業家の娘で、将来に期待をかけられる弟と対照的にはみだし者だった。直情的でキレやすい性格。スーと共に2060年にタイムスリップする。どんな状況にも前向きで、その行動力は力強い。未来で弟が加齢症を発症したことを知る。

平田 美希 (ひらた みき)

スー(時任好子)の同級生で親友。スーと共に2060年にタイムスリップする。少し太目で泣き虫。ドール人形を集めることが趣味。いつか現代に帰ることを切望しつづける。

田中 正午 (たなか しょうご)

スー(時任好子)の叔父。10年前に甥のトキオが謎の失踪を遂げた時に“時間”の「黒い水」が見えるようになり、その「黒い水」の届かない富士見台タワーマンションの最上階で引き籠りを続けるようになった。オンラインゲームだけが生き甲斐。威勢がいいのはゲームの中だけで、相当な意気地なしで情けない大人だが、それでも精一杯がんばっている。

トキオ

スー(時任好子)の弟。時空を超えていろんな時代、いろんなところに登場する謎の少年。戦国時代の少年時代の真田幸村に出会い、現代に連れて来たり、ロストチルドレンの孫兵衛を助けたりしている。カッパ顔の帽子がトレードマーク。行方不明のトキオの目的はスーを守ることのようである。

対馬 (つしま)

4205号室の住人。もとヤクザで、ドラッグに溺れているが、レギオンに襲われた時も中心的に活躍し、ロストチルドレンの節子も助け出してくれた頼りになる存在。武器庫の倉庫番としてこのマンションに住んでいたというが、実は“時間”のなかで何度も繰り返し生きており、その存在理由はスー(時任好子)を守るためであることを徐々に思い出していく。

西村 哲也 (にしむら てつや)

小学生の時に、スー(時任好子)と同じ時に同じクラスに転校した時からの友達。高校生になった時には引き籠りで、いつもスーが授業のノートをとって哲也のマンションに届けていた。行方不明になったスーに哲也はメールを送り続ける。そのメールは時々スーに届き、時には会話も出来たりと、現代との唯一の接点となる。

力/学 (りき/がく)

4204号室の極度に利己的で性格の悪い巨漢の双子の男性。わずかな食料を占有し、何度もスー(時任好子)たちを危険な目に遭わせるが、弟の学はじょじょに心の変化を見せていく。一方で兄の力は、戦国時代にタイムスリップした世界でスーたちを抹殺しようとする真田昌幸側につき、兄弟は決裂していく。

アルベルト

スー(時任好子)の伯父、田中正午の飼っているボストン・テリア。動物的超常能力が高いのか、タイムスリップした世界でかなり自由に行動し、スーの失くした携帯を見つけ出してきたり、現在に帰る手がかりを探り当てたりする。

ロストチルドレン

富士見台タワーマンションの屋上に住んでいた謎の子供たち。“時間”である「黒い水」から逃げてきたという。1945年の東京大空襲から逃げてきた節子。戦国時代からやってきた推定258歳の孫兵衛。1933年生まれの真吾など、“時間”に抗う必要性に遭い、「黒い水」が見えるようになった者たち。

レギオン

『スプライト』に登場する、2060年の世界で生息している巨大なカマドウマのような生物。人間を捕獲して巣に持ち帰る習性がある。ロストチルドレンの節子がさらわれるが、スー(時任好子)の勇気ある行動で対馬たちの力を借りて救い出す。再び「黒い津波」に襲われた時、1匹のレギオンも戦国時代にタイムスリップする。

場所

富士見台タワーマンション (ふじみだいたわーまんしょん)

高層42階建ての高級分譲マンション。「黒い水」の津波に飲まれて、最上階の42階だけが残り、スー(時任好子)とその友達と伯父の田中正午、そして42階の住人と屋上に隠れていた謎の子供たちは、2060年の未来にタイムスリップしてしまう。更に新たな「黒い津波」に襲われた時には、今度は戦国時代へと時空を超える。

その他キーワード

加齢症 (かれいしょう)

『スプライト』に登場する用語。近未来のロシアのヤロスラブリで発生したと言われる未知の感染症。発症すると急激に老化が加速して長生き出来ない奇病。スー(時任好子)たちがタイムスリップした2060年には、世界中に蔓延して、大規模な混乱と暴動の末に大人は滅び、加齢症の子供しかいなくなっている。

黒い水 (くろいみず)

『スプライト』に登場する用語。スー(時任好子)たちの街を津波のように覆いつくす謎の「黒い水」は、実は“時間”だという。本来生物は死なないものだが、そうなると地球は生物で溢れかえってしまうことになるので、地球は自ら回転し“時間”というシステムを生み出したのだという。一般の人間にはこの「黒い水」は見えず、“時間”に抗う理由が出来た者には見えるようになるという。

SHARE
EC
Amazon
logo