概要・あらすじ
主人公・如月澄は60歳の女性。家業を手伝うため高校を中退、以降結婚もせず、病気となった両親の介護をし、看取った。ひとりになった澄はひょんなことから屏風に閉じ込められた化け猫・黎の封印を解いてしまう。黎は不思議な力で「17歳に戻って青春を楽しみたい」という望みをかなえる。17歳の体となった澄は如月すみれとして高校に入学。
恋と青春を謳歌する。
登場人物・キャラクター
如月 澄 (きさらぎ すみ)
60歳の初老の女性。家と両親に尽くしてきたため、恋愛も結婚もせず、高校も中退。両親の死後、父の写真を探して納戸に入ったところ、黒猫が描かれている屏風を発見。化け猫・黎の封印を解いてしまう。夢の中で「17歳に戻って青春を楽しんでみたい」と願い、それを黎がかなえたため、17歳の体に。 以降、如月澄に家をまかされた遠戚・如月すみれとして行動。京都からの転校生として神奈川県立椿丘第一高等学校に編入する。クラスは2年B組。精神的には60歳のため、周囲の高校生からは浮きがち。内向的ではあるが、正しいと思ったことや人の役に立てること、楽しいことには積極的にかかわる。赤面症なため、恥ずかしくなると顔が真っ赤になる。
真白 勇征 (ましろ ゆうせい)
県立椿丘第一高等学校に通う男子高校生。如月すみれが高校2年の時のクラスメイト。テニス部に所属している。容姿、性格ともによく、親切で人当たりがいいため、校内のみならず、校外の女子からも人気が高い。父親は市会議員をつとめており、豪邸に住んでいるが、父とはあまりうまくいっていない様子。 背筋を伸ばし懸命に先生の話を聞くすみれに好感を持ち、付き合ってほしいと交際を申し込む。葬式後、母の遺骨を抱えてバスに乗っていた60歳の如月澄と出会い、揺れでよろけたところを助けたことがある。兄がひとりいる。
黎 (れい)
本性は黒い化け猫。屏風に描かれた黒猫として封印されていたところ、如月澄に封印を解かれ、あらわれる。すべての封印が解かれるためには、封印を解いた人間の願いを成就しなければならないため、澄に生気を与えて17歳に若返らせ、如月すみれとして生活できるよう取り計らった。 人間に化けることができるため、通常は黒髪で美形の若い男性の姿をしている。封印を解いた澄を主として仕えているため、言葉づかいは丁寧だが慇懃無礼で、食事の用意などの家事はすべて澄まかせになっている。人間を操る力を持っている。
山中 雪白 (やまなか ゆきしろ)
黎と同じ一族の化け猫。黎と一対の屏風として、白い猫の絵姿で封印されていた。屏風は真白勇征の家の蔵にしまわれていた。人間に化けることができるため、通常は泣きぼくろのある魅惑的な女性の姿をしている。わがままで奔放、食べるのが好きな大食漢。関西弁を使う。
じゅり
『スミカスミレ』に登場する猫。如月澄に飼われている。耳と足先にポイントがあり、毛色が違う。おとなしく、家からあまり出ない。屏風に封印されていた化け猫・黎によくなついており、一緒に眠っていることが多い。テントウ虫が好き。
由ノ郷 千明 (よしのごう ちあき)
県立椿丘第一高等学校に通う女子高校生。如月すみれが高校2年の時のクラスメイト。もともとは幸坂亜梨沙のグループにいたが、亜梨沙の嫌いな子としゃべらないでほしいという依頼を断ったことをきっかけに、グループから無視され、クラスメイトとは気まずくなり、不登校になっていた。転校してきた如月すみれが家を訪問したことをきっかけに、再度登校するようになり、すみれと親友になる。
幸坂 亜梨沙 (こうさか ありさ)
神奈川県立椿丘第一高校に通う女子高生。如月すみれが高校2年の時のクラスメイト。クラスで目立つグループのリーダー格で、容姿はかわいく、歌もうまいが、男女の前で性格が変わる。本人は直接いじめはしないものの、あてこすりをしたり、とりまきを使って糾弾する、気に入らない人物を無視したり、悪い印象を与えるよう操作するなど、性格が悪い。 真白勇征のことが好き。クラス対抗などの勝負には熱くなるタイプ。
小倉 (おぐら)
如月家の隣家に住む中年の女性。眼鏡をかけている。如月澄の飼い猫が糞をしたと苦情を言いに来たり、澄を見かけなくなったことを訝しみ、如月家をのぞきこんだりと、仲があまり良くなかったが、澄が封印を解いた化け猫・黎の術により、黎や如月すみれに対して友好的になり、度々如月家を訪れる。 夫と25歳になる息子がいる。韓流ドラマが好き。
吉田(客) (よしだ)
如月澄の親友。如月すみれがアルバイトをしているファミリーレストランに客として訪れる。澄と幼いころから仲が良かったが、澄が高校中退以降は疎遠になってしまい、ずっと気にしていたが、すみれに澄の面影を見つけ、話しかけてきた。今は息子と孫に恵まれている。
福屋 (ふくや)
神奈川県立椿丘第一高校に通う女子高生。眼鏡をかけている。如月すみれが高校2年の時のクラスメイトで、すみれが編入したさい、隣の席になった。亜梨沙には気をつけろと忠告をしてくれる。学園祭では和風カフェの裏方としてすみれと協力。3年になっても関係の続く友人となった。
佐藤 (さとう)
神奈川県立椿丘第一高校に通う男子高生。如月すみれが高校2年の時のクラスメイト。真白勇征の友人で、仲が良い。
吉田 (よしだ)
神奈川県立椿丘第一高校に勤務する男性教諭。如月すみれが高校2年の時の担任。不登校だった由ノ郷千明が登校してきたさいに褒めたり、すみれの進路指導のさい、映画や映像関係の大学に行きたいというすみれの希望に、詳しくないので調べておくというなど、生徒に対して理解のある態度を示す。
集団・組織
神奈川県立椿丘第一高等学校 (かながわけんりつつばきおかだいいちこうとうがっこう)
『スミカスミレ』に登場する高校。如月すみれや真白勇征などが通う。如月澄が高校生の時もこの学校に通っていたが、祖母が倒れ、家業を手伝ったり祖母の看護をするために中退した。
その他キーワード
生気 (せいき)
『スミカスミレ』に登場する特殊能力。如月澄が封印を解いた化け猫・黎が使用する。口移しで他者に渡すことができ、他者を若返らせる、病気を治すなどの効果を発揮する。澄は黎から口移しで生気を渡され、若返った。なお、効果を発揮する際、生気を受け取ったものは高熱が出るためか、体が熱く感じる。