さむらいJAPAN

さむらいJAPAN

「もしも、武士が江戸時代そのままの姿で現代に存在していたら?」という設定をもとにした歴史IF風ナンセンスギャグ漫画。貧乏浪人の息子の破天荒な行動を通じ、現代の日本社会を痛烈に風刺した作品。戦後に大流行した娯楽時代劇や忍者漫画のパロディーが、お色気シーンを交えながら随所に散りばめられている。「ビッグコミックスピリッツ」1986年8月25日号から10月20号にかけて連載された。なお、コミックスには永井豪のデビュー作『目明しポリ吉』をはじめとする時代劇ギャグ作品が6編収録されている。

正式名称
さむらいJAPAN
ふりがな
さむらいじゃぱん
作者
ジャンル
歴史IFもの
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概要・あらすじ

江戸時代末期に徳川幕府が官軍に勝利し、明治維新が起きなかった日本では、1986年の現代においても武士階級はそのまま持続されていた。そんななか、貧乏浪人の長男である大学生の日本市乃助は、大学内で起こした「無礼討ち事件」がきっかけで徳川幕府重臣の怒りを買い、討伐隊を差し向けられてしまう。生命の危険にさらされながらも、市乃助はさむらいとしての威信と意地をかけて戦う決意をするのだった。

登場人物・キャラクター

日本 市乃助 (ひのもと いちのすけ)

大江戸大学の任官学部に通う男子大学生。武士階級の長男として生まれたが、父親が浪人のため極貧生活を強いられており、さむらい長屋で両親と三人暮らしをしている。普段は女の子に興味津々の明るい性格だが、剣術の達人で、刀を抜くと性格が凶暴になる。

冷田 奴之介 (ひえた やっこのすけ)

大江戸大学の任官学部に通う男子大学生。浪人の長男として生まれた。日本市乃助と同じさむらい長屋に住んでいる。市之助の親友で同級生でもあり、毎日2人で通学している。世事にうとい市之助のアドバイザー的存在。作者の永井豪をモデルに、デフォルメ化したキャラクター。

日本 悲惨エ門 (ひのもと ひさんえもん)

日本市乃助の父親。さむらい長屋で親子三人の極貧生活を強いられている貧乏浪人。お座敷での余興の見世物「切腹ショー」で生計を立てている。教育熱心で市之助の任官を願っている。武士の矜持を厳格に保って暮している昔気質の武士。

日本 美字女 (ひのもと みじめ)

日本市乃助の母親。極貧生活にありながらも、夫である日本悲惨エ門に献身的に尽し、長男の市乃助には優しく接する武士の妻の鑑ともいえる女性。親子そろった食卓では、母親想いの市之助の心遣いにほろりとすることもある涙もろい性格。

ミスさむらい長屋 (みすさむらいながや)

さむらい長屋の住人の中で、一番の美人とされている女性。実際は栄養不足のため発育不良状態で、顔の見かけはほんとんどガイコツに近い。また胸もほとんどふくらんでおらずガリガリの体型。夜中になると近くの神田川で行水をする習慣がある。

葵 光子 (あおい みつこ)

大江戸大学に通う女子大学生。日本市乃助をはじめ、全男子学生が憧れるほどの美女でスタイルも抜群。両親を早くに亡くしたため家督を相続している。水戸藩の藩主であり、お家繁栄のために結婚相手を探している。実在の人物、水戸光圀がモデルで、女性に置きかえたキャラクター。

格之進 (かくのしん)

殿である葵光子の家来で、彼女に忠誠を誓う水戸藩の武士。光子の外出時にはボディーガードとしてかたわらに付き、彼女のピンチを怪力で救う忠義者。TVドラマ『水戸黄門』に登場する「格さん」がモデル。

助三郎 (すけさぶろう)

殿である葵光子の家来で、彼女に忠誠を誓う水戸藩の武士。男の格好をしているが若い女性で、光子の入浴時にも付き添ってサポートをする忠義者。TVドラマ『水戸黄門』に登場する「助さん」がモデルで、女性に置きかえたキャラクター。

伊賀のヒ影丸 (いがのひかげまる)

忍術「木の葉がくれ」を得意技とする、水戸藩に仕える青年忍者。格之進の命令でさむらい長屋の住人たちを調査している。その際、浪人たちの悲惨な暮らしを見て涙を流した優しい性格。仲間に、お面の忍者「アホ影」と「バカ影」がいる。

高島 茂兵衛 (たかしま しげべえ)

さむらい長屋に住む浪人で、もとは埼玉の豪商の息子。32歳にして、早くも生え際がだいぶ後退している。どこか農民くささが抜けきらず、刀の代わりにクワとカマを持っている。「ダイナミックプロ」のスタッフがモデルのキャラクター。

雨風 忍ェ門 (あめかぜ しのぶえもん)

さむらい長屋に住む浪人。度の強い丸メガネをかけたロボットそっくりな顔をした32歳の男性。自分の家を持たず、長屋の軒下で暮らしている。2匹の猫を飼っており、自分は食事をとらずに猫の面倒を見るほどの猫好き。「ダイナミックプロ」のスタッフがモデルのキャラクター。

森 地位夫之介 (もり ちいふのすけ)

さむらい長屋に住む浪人。年齢は42歳の男性。読書が大の趣味で、家の中は隙間なく本で一杯になっている。そのため、家には人が住む空間がなく好きな本を読むこともできず、仕方なく外で暮らしているという変わり者。「ダイナミックプロ」のスタッフがモデルのキャラクター。

花持 奈良平 (はなもち ならへい)

大江戸大学に通う男子大学生。「花持財閥」の御曹司で、金髪にサングラスをかけて、派手な蝶ネクタイをしている。大金持ちを鼻にかけており、何でも自分の思い通りにしようとするキザでわがままな性格。葵光子をめぐって日本市乃助と恋敵同士となり、仲間に命じて市之助を襲わせる卑劣漢。

六法 全笑 (ろっぽう ぜんしょう)

法律研究家の中年男性。テレビのワイドショー番組で、コメンテーターとして事件報道の際に法律面での解説を担当している。ガマガエルのような顔をした大柄な容姿をしており、会話の途中に「ヌハハハハ」という笑い声を挟む口ぐせがある。

悪井 直助 (わるい なおすけ)

新江戸城にて徳川将軍家に仕える武士で役職は大老。現代社会における武士階級の維持・存続を第一義として考える幕府重鎮の老人。任官のあてのない浪人たちは、すべて町人になるべきという独断専制的思考を持つ。

場所

さむらい長屋 (さむらいながや)

江戸(東京)新宿区西早稲田2-14-3に位置するオンボロ長屋。木造平屋の集合住宅で、日本市之助一家をはじめとする、江戸の貧しく個性豊かな浪人たちが大勢居住している。武士専用の長屋で、入口には「町人入るべからず」という看板が立てられている。

新江戸城 (しんえどじょう)

第二次世界大戦で敗北した徳川幕府が戦後に大政奉還し、天皇に旧江戸城を明け渡したため、日比谷公園に新しく建てられた徳川将軍の居城。大老の悪井直助が城内を取り仕切っており、時には重臣たちを集めて権謀術策を討議する場でもある。

大江戸大学 (おおえどだいがく)

高田馬場の明治通り沿いにある、武士と町人がともに通学する名門のマンモス大学。武士の多くは将軍家や大名家への任官を目指して「任官学部」に在籍しているが、実際には就職のあてはほとんどないのが実情。一般教養過程の講義は学部混同で、大教室には「さむらい席」があり、武士はここで正座して受講する規則になっている。

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