あらすじ
第1巻
金田七のクラスメイト・島日輪子が何者かに殺害されて亡くなった。七はその第一発見者となるものの、彼はいつの間にか記憶を喪失していた。七にとって死亡した日輪子は大切な存在だったはずだが、記憶を失ったため日輪子の事を一向に思い出せない。ただ、七のそばには、自分だけにしか見えない存在であるメモリーがいた。メモリーは自身の事を「七が創り出した記憶と七自身の記憶の調停者」であり、七が自分の記憶を取り戻すためには、記憶をなくしたきっかけとなる日輪子の事を知る必要があると語る。それを受け、七は日輪子の幼なじみである山形月読と共に、日輪子の死の原因を突き止めようと調査を開始する。すると日輪子の死因が、体に不可解な大きな穴が開いた事によるものであると発覚する。さらに「アカインコ」という組織に属するエルメスから「カナリアの月」という本を探すよう助言を受けた七は、その本を見つけるために図書館へ向かう。七と月読はそこで「アカインコ」所属の禰時と彌兒と出会うが、二人はバグという力を用い、七たちに襲いかかるのであった。
第2巻
金田七が、禰時や彌兒と交戦している時、その劣勢時に助けてくれたのがメモリーだった。メモリーは七の身体を使用して禰時と彌兒を撃破する。その後、この窮地を脱した七と山形月読はエルメスが探せと言っていた「カナリアの月」の出版元である教会へと足を運ぶ。そこには本を執筆した神父・赤犬がいたが、何故か七の事を知っている様子であった。そして、その場には「アカインコ」の教祖であるストラフも現れる。ストラフは七の事を「永遠の少年」と呼び七を連れだそうとしていたが、七にはその理由がわからなかった。しかし、そのやり取りの中で七は日輪子の死の真相を思い出す事になる。その結果、日輪子は自分とのあいだに授かった胎児のバグが暴走したためにより死亡した事や、自分がその辛い記憶をメモリーに預けて封印していた事などを思い出す。そして、最も重要な事であるストラフのいう「永遠の少年」が、不老不死を指す言葉である事を思い出す。
第3巻
1938年10月、舞台は満州。金田七はこの時代でも今でも変わらぬ外見で生きていた。その傍らにメモリーを従え、ありとあらゆる危険も乗り越えてきた。そんな七に運命の出会いが訪れた。それが、この時代で馬賊「恐怖の風」のリーダーを務めていたストラフとの出会いだった。ストラフは人を惹きつける魅力があり「オレはオレの国を作る」と七に話し、七は「恐怖の風」の一員となる。「恐怖の風」ではエルメス、赤犬など現代でもおなじみの顔ぶれが一丸となりその野望を達成するためにそれぞれ尽力していた。そして、そのためには「ロマノフの秘宝」が必要であった。しかし、この「ロマノフの秘宝」を巡る一連の出来事にはありとあらゆる人間の欲望が深くかかわっていた事が明かされていくのであった。
第4巻
金田七はストラフの命令で、赤犬とエルメスと共に満州の中央北部に位置する主要都市ハルビンへとやって来ていた。そこで、伯爵とその娘のオリガと出会う。伯爵は「ロマノフの秘宝」を求め永遠の命を研究しており、オリガはその人体実験により不老を得ていた。そして、その副産物としてバグも使用できるという稀有な人間であった。しかし、伯爵の家に「恐怖の風」を追っていた日本軍が到着し包囲する。日本軍の目的は「ロマノフの秘宝」を知る存在を一人残らず消すという事だった。伯爵とオリガは戦う事を決意し、七もそれに加勢するが、結局伯爵は殺されてしまう。そこで、七は自分自身が争いのタネとなっていた「ロマノフの秘宝」そのものである事や、完全な不老不死ために自分の血液が必要である事を思い出し現在へと戻る。現代のストラフから改めて、共に来いと誘われるが七は以前のストラフとの違いにがっかりしその申し出を断る。そして、ストラフと戦うために何が必要かを考え、山形月読と禰時と共に戦う仲間を探す事にするのであった。
第5巻
「命を賭けて共に戦う友達」を探すという次なる目標を持った金田七は、君子蘭学園に編入して来た赤色蓮を仲間にする。蓮は自称「アカインコ」所属の実力者で、七たちを強くするためにエルメスに任された人物だった。蓮は七たちの能力を強化するために外に連れ出し、修行をさせるがその最中に「アカインコ」幹部のピーターが接触してきて戦闘になってしまう。ピーターは今までのバグ使いの中でも規格外の力のバグを持ち、七の仲間の禰時だけでなく実力者の蓮までをも簡単に倒してしまう。ピーターはもともと、ノモンハンで七とも顔見知りであり七の記憶の手かがりを持つ者だった。しかし、不老不死であるはずの七の殺し方まで知っているという今までで最も厄介な敵でもあった。ピーターの攻略法がなく、諦めかけた七だったがそんな時にとうとう蓮から「神の声」を与えられていた影響で、山形月読のバグが覚醒するのであった。
登場人物・キャラクター
金田 七 (かねだ なな)
私立高校・君子蘭学園に通う男子。島日輪子の恋人だったが、日輪子が殺害された際に記憶が失われてしまっている。自分だけにしか見えないメモリーという存在がつねにそばにおり、そのメモリーとは会話が可能で、彼の協力によりさまざまなスキルを瞬時に身につける事ができる。また、メモリーからは「セブン」と呼ばれている。 自分の記憶を知る事に対して自分が自分でなくなる事への恐怖心を抱いているが、山形月読が命をかけて自分に協力してくれた姿を見てからは自分の記憶と向き合う決意を固めている。以後、月読と共に記憶を探すために行動している。なお、田中一郎から「月3万で全部やれ」と言われており、毎月3万円を小遣いとして渡されている。「永遠の命」を持つ存在であり、ずっと昔から年をとっていない。 しかし、その正体はメモリーによって作り出されたバグであり、「オリジナル」とは異なる存在である。
金田 洋七 (かねだ ようしち)
金田七の父親とされている人物。大量殺人の罪で刑務所に収監されているとされているが、実際は「PNX」の監視のもとで監禁されている。顔はバグ使用による副作用で、右半分が黒く変化している。過去に「アカインコ」でバグの研究をしていた事があり、子供にバグの能力を付与させた存在「フォロワー」の作成に成功している。 自身もバグの使用者で、相手の味覚と嗅覚をあやつる事ができる。実は過去に生まれていた七の息子であり、七の恋人である島日輪子を殺す事で、自分が受けた孤独や絶望を七にも味わわせたいと考えている。
メモリー
金田七が記憶をなくした際に、七にしか見えないものとして現れた謎の存在。身体の作り自体は人間のようだが、頭部は三日月のような形になっている。七の事は「セブン」と呼んでいる。ありとあらゆる膨大な情報を集めて七に伝え、彼にそのスキルを身につけさせるという能力を持つ。当初は自分の事を「幻覚」や「七自身が創り出した記憶と七の調停者」と説明していた。 つねに七のそばに存在しているが、彼とのあいだには「トイレでは姿を現さない」など、いくつかのルールがある。実は、七の「オリジナル」となる存在である。五感と第六感である「時間」を自身に埋め込むバグを用い、自分の身体をあやつる事のできる存在をこれまで六人作り上げている。
島 日輪子 (しま ひわこ)
私立高校・君子蘭学園に通う女子で、金田七の恋人。明るい性格で、友達も多い人気者である。髪型はロングヘアで、前髪はおろしており、眉毛よりも下の位置で揃えている。また、口元にはほくろがある。通称「ヒワ」。七と共に金田洋七を探しに「PNX」の本部に行った日に、体に巨大な穴を開けられて殺害された。決まった小遣いは基本的にないが、必要に応じて親からもらっている。
山形 月読 (やまがた つくよ)
私立高校・君子蘭学園に通う女子。暗い性格で友達が少なく、クラスメイトの女子からも陰口を叩かれている。左目近くにアザがあり、前髪を伸ばして隠している。通称「チューコ」。島日輪子の親友であり、日輪子の死の真相を知りたいと思っている。そのため、金田七には協力的で、日輪子の死の真相の究明をするべく七と行動を共にしている。 好きな場所は図書館。小遣いは一日3000円。実は密かに七に憧れていた。
田中 一郎 (たなか いちろう)
金田七の保護者であり、ボディーガードをしている男性。普段着はスーツで、髪はオールバックにしておりスクエア型のメガネをかけている。「PNX」に所属しており、七には再三自分が敵ではない事を主張している。
城 秀之 (じょう ひでゆき)
私立高校の君子蘭学園に通う男子で、金田七の友人。通称「ジョー」。スクエア型のメガネをかけており、髪の毛は7対3の割合で横に流している。親から小遣いをもらっておらず、自ら行うアルバイト代のみでやりくりしている。
黒川 英治 (くろかわ えいじ)
私立高校・君子蘭学園に通う男子で、金田七の友人。短髪でサイドを刈り上げている。父親が政治家のため、タブーとされている情報も父親のつてで仕入れており、世の中のさまざまな情報に精通している。親から小遣いはもらっていないが、限度額無制限のブラックカードを所有している。
赤色 蓮 (あかしき れん)
私立高校・君子蘭学園に途中から転入して来た男子。全体的に長い外ハネの髪型で左耳にピアスをしている。また、左目の下には泣きぼくろがある。「アカインコ」に所属しており、階級は禰時よりも上位レベル。エルメスに頼まれて金田七を鍛え上げるために七に接触してきた人物であり、その力量はバグなしで禰時と七を圧倒するほどに強い。
ストラフ
「アカインコ」の教祖を務める男性。短髪を逆立てており、顔の側面には丸い黒点が等間隔に現れている。「アカインコ」の組織内における実質的なトップで、メンバーからは「マスター」と呼ばれている。五感すべてをあやつるバグの使用者で、感覚だけで人を殺す事ができるが、体はバグの使用により黒体化している。若い頃は満州で馬賊「恐怖の風」の首領を務めていた。 その当時はロングヘアで、人を惹きつける魅力にあふれる人物だった。実は旧ロシア皇帝ロマノフ家の末裔で、現在も「ロマノフの秘宝」を求めており、不老不死となって世界の王になろうと画策している。
エルメス
「アカインコ」の幹部を務める男性。短髪で、黒服に身を包んでいる。黒のハットを着用し、両耳に合計10個のピアスを付けている。若い頃は満州で馬賊「恐怖の風」に所属していた。金田七の前に時々現れては助言をするが、エルメス自身は「PNX」も「アカインコ」も嫌いだと語り、中立の立場をとっている。
ピーター
「アカインコ」の幹部を務める男性。背は小さく、髪はオールバッグにしている。大きな黒目が特徴。もともとはノモンハンにて「フェニクス機関」が行っていた「ロマノフの秘宝」の実験により生まれた、バグの能力を付与された子供だった。その時に「ラビット」という妹もいたが、既に死亡している。その事から、自らが作り出すバグの力によって生み出された剣を持ったうさぎの人形の形をしたものを「ラビット」と呼び戦闘に用いている。 本人曰く「戦闘を楽しむタイプ」としてバグを存分に使用する。特に視覚のバグは周囲の風景すら変えてしまう強力なもの。
禰時 (でいじ)
「アカインコ」に所属する男性。彌兒の兄。髪は全体を合計12本のヘアピンを使って逆立てており、左側の一部だけを前へ垂らしている。五感のうち、視覚をあやつるバグの使用者。性格は好戦的でバグを使用する事をためらわない。反面、妹思いなところがあり窮地に陥った際には自分の命よりも彌兒の命を優先する行動を取る事もある。 同じ組織に所属するエルメスの事は嫌っている。バグの力自体は強力だが、それを制御できないために使い過ぎると相手を殺す前に自分の命が危ぶまれるのが欠点。
彌兒 (みに)
「アカインコ」に所属する女性。禰時の妹。ショートカットの髪型をしており、前髪を眉の上で垂直に切りそろえている。この切りそろえられた前髪は禰時が切っている。五感のうち、聴覚をあやつるバグの使用者。同じ組織に所属するエルメスの事は「考えが読めない」と思っている。禰時からは大切に思われているが、その感情を利用され途中から「アカインコ」に捕らわれている。 その後、人質とされていたが最終的にピーターにより殺された。
赤犬 (あかいぬ)
「麻布聖架教会」で神父をしている老人。全盲だが、一人で花壇に水やりをするなど感覚だけで最低限自分で動く事ができる。若い頃は満州で松岡洋右のもとスパイをしており、ハットをかぶりスーツに身を包んでいた。その時に金田七と出会っており、七のメモリーを使用した力を見てその価値を見出し自分のもとで働く事を提案したが、その時は七は「恐怖の風」の一員となった事で実質、断られている。 しかし、その後「恐怖の風」の面々を尾行していた際に捕えられ、自分は日本軍の事情を知りすぎているため戻っても殺されると考えて、「恐怖の風」の一員となる。
田中 総一郎 (たなか そういちろう)
赤犬の義兄。日本の天才科学者で、超能力を研究していたが日本軍に志願し満州にいる。超能力以外にもクローン研究などの先駆者であり、異端の科学者。「ロマノフの秘宝」の研究にもかかわっている。生粋の日本人気質で、国のためなら命を懸けることも辞さない。
リン
かつて、若い頃の赤犬の部下を務めていた男性。オールバックの髪型をしている。列車「あじあ」に同乗していた金田七とポーカーで賭け事に興じており、大敗した。気性が荒く、すぐに相手に喧嘩を売るような短気な性格をしている。
藤野 ルリ (ふじの るり)
「満州映画協会」の女優を務めている女性。金田七が乗っていた列車「あじあ」に同乗していた。「恐怖の風」に「あじあ」が襲撃された際にゲーナに「戦利品だ」と連れ去られそうになったところを、金田七に助けられている。しかし、その後に七からまったく相手にされない事を不服に思い「女として恥をかかされた」とし七の行方を追っている。
松岡 洋右 (まつおか ようすけ)
南満州鉄道株式会社の総帥を務めている男性。短髪に丸メガネをかけ、口髭を生やしている。金田七が乗っていた列車「あじあ」に同乗していた。「恐怖の風」に「あじあ」が襲撃された際にストラフから銃口をつきつけられても顔色ひとつ変えない胆力の持ち主。目的は「ロマノフの秘宝」の奪還および「ロマノフの秘宝」を知る者すべてを葬る事。 実在の人物、松岡洋右がモデル。
ゲーナ
馬賊「恐怖の風」に所属する男性。オールバックの髪型をしており、口付近に傷がある大男。粗暴な性格で、短気で喧嘩っ早い。しかし、ストラフの指示には素直に従っている。「恐怖の風」に属するメンバーの中では珍しく、シンプルに金と楽しさを追及している。金田七からは「オッサン」と呼ばれているが、実年齢は20歳で見た目より随分若い。
ユーリ
馬賊「恐怖の風」に所属する男性。ショートカットの髪型をしている。「恐怖の風」に入ったばかりの金田七に馬賊としての雑用を教えてくれた先輩。「地味な仕事をこなしてこそハデに稼げる」と考えている。
ヤコフ
馬賊「恐怖の風」に所属する男性。列車「あじあ」を襲撃するためにバグを使用し、車掌に線路上に壁の幻覚を見せた。しかし、自身はバグの使用による副作用で全身が黒く変色し死亡している。のちにストラフからはその功績をたたえられ、絶賛されている。
辻 政信 (つじ まさのぶ)
関東軍作戦参謀を務める男性。階級は大尉。スキンヘッドで丸メガネをかけている。日本軍に逆らう者は誰であれ容赦しない人物で、「恐怖の風」討伐のためだけに大隊を動かす事を提案した。実在の人物、辻政信がモデル。
宇野 丹座 (うの たんざ)
関東軍少尉を務める男性。坊主頭で顎鬚を生やしており、左目の上にある傷が特徴。「軍服は偉そうに見えるから嫌い」と語っており、普段は軍服を着用せずに外にでかける事もしばしば。残忍な性格で任務の遂行のためであれば、平気で日本軍の兵士を捨て駒にする。バグの存在を知った際には「上の脳無しにはもったいない」と思うなど、自分より上の立場の者であろうと見下した発言が目立つ。
星野 (ほしの)
関東軍少尉を務める男性。坊主頭で丸メガネをかけている。同じ階級ながら立場は宇野丹座より弱く、敬語を使っている。伯爵を包囲した際は、日本軍の兵士を捨て駒にする丹座のやり方に疑問を持っていた。
伯爵 (はくしゃく)
「ロマノフの秘宝」を求めている老人。口髭を蓄えており、右目には片眼鏡をつけている。先天性の病を患っていた自分の妻と娘のオリガのために研究者として「永遠の命」の研究を行っている。そのため、自分の娘を実験台にしており「不老」の付与には成功している。ストラフを不老不死の神帝として全世界を統一し巨大帝国を作りあげる事を理想としている。 最後はオリガをかばう形で日本軍の銃弾によって死亡したが、その遺志をその場にいた金田七に託している。
オリガ
伯爵の娘。前髪を両サイドに分けておでこを出しており、後ろ髪は腰まで伸びたロングのウェーブヘアにしている。もともと先天性の病を患っていたが伯爵の実験体にされており、年を取らない「不老」となっている。そのため、見た目は子供そのもの。また、その実験の副作用でバグも使用できるようになっている。実験体にされてはいるものの、それに対して恨みは抱いておらずむしろ伯爵の命令には従順。 伯爵の事は「お父様」と呼び慕っている。最後は「ロマノフの秘宝」に関する実験台とされ、無残な形で殺されてしまう。
高木 泰美 (たかぎ やすみ)
地下格闘技で5戦5KOの勝利をおさめている新人選手の男性。異名は「ワイズマン」。格闘技をやるにしてはだらしのないぽっちゃり体型で、左腕から上半身の左側には刺青が彫られている。抜群のパンチ力と相手からの攻撃を寸前でかわすフットワークで敵を圧倒する事ができる。その正体は「アカインコ」に所属するメンバー。金に対する執着が人一倍強く「金にならない事はやらない」をモットーにしている。 五感のうち、視覚をあやつるバグの使用者。使用方法としてはモーションの大きな攻撃をバグで見せたあとに、それを避けた相手を本当の攻撃で倒すというパターンを得意としている。
集団・組織
PNX (ぴーえぬえっくす)
超能力研究機関。本部は歌舞伎町の中華料理店「奉天門」にある。世の中の情報すらあやつれる強大な力を持った組織。金田七の監視・隠蔽をする事を主な任務としているが、実際は七を秘密裏に殺すために存在している。しかし、PNXには七を殺す手段がなく頭を抱えているのが現状となっている。
アカインコ
金田七を狙う組織。トップはストラフでエルメスもその一人に数えられている。歴史の表舞台に立たない組織で、一般的にその名を知る者は少ない。五感をあやつる能力「バグ」を持つ者が幹部となる組織だったが、途中からはバグを植え付けた子供「フォロワー」を完成させる事に成功。以降は、幹部以外もバグを使用できるという一層危険な組織となっている。 目的は七の血を利用する事。
恐怖の風 (きょうふのかぜ)
ストラフが首領を務める馬賊。その目的は「ロマノフの秘宝」の奪還およびストラフの希望する新しい国の創造。メンバーもその目的に賛同している者が多く、ストラフのためであれば命を賭けてそれぞれ任務の遂行を目指している。アジトは1917年のロシア革命後に満州に亡命して来た反革命派や貴族の作った白系露人の村で、村人は全員ストラフを支持している。
フェニクス機関 (ふぇにくすきかん)
ロマノフ家の紋章である双頭のワシをモチーフにした機関。もともとは「永遠の命」の研究に従事しており、その結果「ロマノフの秘宝」を生み出す事に成功した。時を経てフェニクス機関は解体されたが、それぞれのメンバーが散り散りとなり、のちに「PNX」と「アカインコ」という二つの機関のもととなった。
場所
君子蘭学園 (くんしらんがくえん)
金田七の通っている私立の高等学校。東京都にある。校則が非常にゆるく、生徒は自由に制服を着崩したり奇抜な髪型をしても一切問題ない。また、この学校に通う生徒は親が金持ちか、秀才の生徒が多い。校章は校名にも採用されている君子蘭を百合っぽくアレンジしたものになっている。
その他キーワード
神の声 (かみのこえ)
バグの適正値の低い者が力を使い過ぎた際に出る黒いアザおよび副作用を止める薬。この薬を飲めば、黒いアザによる死を防ぐ事が可能。しかし、この「神の声」一箱を作るだけで何千万円もの金が動くといわれており、作成のためのコストが莫大にかかる事がネックとなっている。また、資質を持つ者のバグを覚醒させるという作用もある。
バグ
人の五感に働きかける特殊能力の事。バグの使用者は第三者の視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を支配する事ができる。非常に強力な能力だが、適正値の低い者は力を使い過ぎると細胞に埋め込まれたバグが活性化し、黒いアザとなり人体に表れる。これは「黒体化」と呼ばれ、この状態のまま放っておくと死に至ってしまう。バグの実態は、「永遠の命」である「ロマノフの秘宝」の研究を行って生まれた副産物でもある。
ロマノフの秘宝 (ろまのふのひほう)
過去に一度だけ成功例がある研究により生まれた「永遠の命」の事。作中では金田七がその存在にあたる。しかし、ロマノフの秘宝は偶然によって生み出された産物であり、一度の成功から後は失敗が続いている。