BIRTH -記憶鮮明3

BIRTH -記憶鮮明3

別の宇宙に存在する人間たちの末路を描いた短編SF。過酷な現実をつきつけられながらも、生きていこうとする人間の希望がテーマ。「記憶鮮明」シリーズの第3弾で、日渡早紀の代表作『ぼくの地球を守って』の世界観を継ぐ関連作品である。「花とゆめ」1999年9号に掲載された。

正式名称
BIRTH -記憶鮮明3
ふりがな
ばーす きおくせんめいさん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

ヴァスは子供の頃の記憶がないが、定職もあり住居もあり、友達にも囲まれて、何不自由なく毎日を過ごしていた。しかしあるときから、彼は同じ夢を繰り返し見るようになる。夢の中では、ヴァスは「サザム」と呼ばれ、ライカという女性と愛し合っていた。そして、周囲に交際を反対された2人は、雪深い村にぽつりと建つホテルで落ち合い、駆け落ちすることを約束するのだった。

そんな夢に導かれ、ヴァスは雪国のホテルを訪ねる。

登場人物・キャラクター

ヴァス

若い男性。「サザム」という名の人物のクローンだが、自分がクローンであることを知らない。ライカと愛し合っていたが、周囲から反対され、駆け落ちをするつもりだった、という記憶に呼び起こされ、雪国のホテルを訪ねる。警戒心が強く、感情を表に出さない。

ライカ

若い女性。「ライカ」という名の人物のクローンだが、自分自身の名前は持っていない。あらゆる「サザム」のクローンたちが、過去に自分のもとを訪ねてきた。彼らの正体や、これまでの経緯を、彼らに説明する役割を負わされている。絶望を通り越し、死んだように生きている。

支配人 (しはいにん)

初老の男性。雪深い村にぽつりと建っているホテルの支配人。「サザム」と「ライカ」の事情を知り抜いている。ホテルの管理のみならず、現実を悲観し自殺した「サザム」たちの遺体処理も行っている。淡々と仕事をするが、意外に情が深いところがある。

運び屋 (はこびや)

屈強な肉体をした青年。どんなに寒くても、いつもランニング姿で過ごしている。「運び屋」として、「サザム」のクローンたちを、雪国のホテルに連れてくるのが役目。まだ仕事を始めて日が浅い。単純で情が深く、涙もろいところがある。

場所

母星シア (ぼせいしあ)

「サザム」や「ライカ」たちクローンの基となった、オリジナルの人物たちが住んでいた星。80年前の星間戦争で、恐ろしい兵器によって壊滅状態となり、母星シアの近くのコロニーもすべて滅んだ。現在「サザム」や「ライカ」のクローンたちが住んでいる星は、元はクローン開発のための研究員集団が、実験のために派遣されていた場所。

その他キーワード

クローン

オリジナルのサンプル細胞から人工的に作りだされた人間。記憶まで蘇生するのは研究途中であり、現段階では不可能とされているが、オリジナルの人物に強烈に刻まれた記憶が、クローンの肉体に蘇ってしまうことがある。

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