あらすじ
第1巻
女子高生の桜木繭は、ヒジを痛めた事から野球部を離れてから5か月、ギャルとしての暮らしを続けていたが、退屈な毎日をむなしく感じて野球部へと戻る。主将で繭と長らくバッテリーを組んでいた主将で捕手の高畑愛里は、繭の復帰を心待ちにしていたが、チームの4番バッターである木村架純は、繭が何の相談もなしに部を去った事をいまだ根に持っており、自分との勝負に勝たなければ復帰は認めないと告げる。架純も内心ではなかよしの繭の復帰を歓迎していたものの、繭が不在のあいだも厳しい練習を続けてきた自負があり、天才肌の繭に謙虚な気持ちで出直してもらいたいという狙いを持っていた。繭にとっては5か月ぶりのマウンドだが、ギャルのあいだも毎朝の走り込みは欠かしておらず、二人の真剣勝負は、あっさり繭が3球で架純を打ち取る。人気者の繭は、いるだけで部全体のムードを高めるカリスマ性を持ち、チームの結束は高まるのだった。繭の復帰した私立関東女学院高等部の硬式野球部は、板橋花園女子との練習試合を迎える。
第2巻
私立関東女学院高等部(関女)と板橋花園女子との練習試合は、復帰した桜木繭が完封し、7対0で関女の圧勝に終わった。そして秋季大会の抽選会が行われる。チームは、昨年3回戦であたって敗れた強豪校の青山ICH(インターコンチネンタルハイスクール)の打倒に燃える。1回戦の相手はお嬢様学校の白菊女学園。相手投手の超スローボールに苦しむも、6回に繭がそのスローボールを打ち返して先制点を上げ、5対0で勝利。2回戦進出を決めるのだった。
第3巻
桜木繭にあこがれて私立関東女学院高等部(関女)の硬式野球部に入部した山田麻里子は、共学の高校へ進学した彼氏との破局を迎えて落ち込んでいた。そんな麻里子を繭はカラオケに連れ出して励ます。関女の2回戦の対戦相手は、麻里子の彼氏が進学した武蔵野総合高校だった。監督の吉田佳子は、繭を温存し、控えの投手である関谷ひろみを先発として登板させる。失恋から立ち直れない麻里子は、観客席に元カレの姿を見つけてしまい、ショックと貧血で倒れてしまう。さらにメンタルの弱いひろみは打ち込まれ、1回で3失点。3回で4点目を取られ、ついに繭と交代。ここから関女の反撃が始まる。
第4巻
私立関東女学院高等部(関女)と武蔵野総合高校の秋季大会2回戦は、3回裏で関女が4対4の同点に追いつくと、4回で木村架純のグランドスラム飛び出し、4対10の逆転勝利を収めた。一方、青山ICH(インターコンチネンタルハイスクール)は、おととしの準優勝校である日女三高にコールド勝ちし、その圧倒的な強さを見せつけていた。そんな中、佐藤真夏からバッティングの相談を受けた桜木繭は、真夏をバッティングセンターへと連れ出す。
第5巻
バッティングセンターで桜木繭のバッティングを見た佐藤真夏は、その後の繭からのアドバイスも受け、苦手を克服するヒントをつかむ。その後、コンビニで傘を盗まれ、雨の中を濡れて帰宅した繭は風邪をひき、高熱のまま3回戦の試合を迎える。対戦相手は杉並育英女子学園。負けず嫌いの繭は、高熱でフラフラになりながらも誰にもマウンドは譲らないと投げ続けるが、制球もままならない。チームメイトは体調の悪い繭をサポートし、相手投手のツーシームに苦しむものの、3回に2点を先取する。しかし、繭の体力も限界を迎えつつあった。主将で捕手の高畑愛里は、繭にチェンジアップを要求。そんな遅い球じゃ打たれると拒否する繭を、愛里が平手打ちして説得し、繭にチェンジアップを投げさせる。
第6巻
高熱をおして投球を続けるものの、体力の限界が近い桜木繭は、得意のスライダーを封印し、高畑愛里の指示に従ってストレートとチェンジアップのコンビネーションに切り替え、4回表は3者連続三振に打ち取る。ベンチに戻った繭も、さすがに限界を迎え、心の中ではもう無理だと感じていた。愛里から、あと1イニング投げられるか正直に答えろと聞かれた繭は、投げるに決まってると返答。それを聞いた愛里は、繭はもう限界だから投手を交代してほしい、と監督の吉田佳子に要請するのだった。長年バッテリーを組み、繭の性格をよく理解している愛里は、繭がもう限界である事を見抜いていた。打者として打席に立った繭は、ヒットで1塁へ走るものの、そこで倒れ、救急車で病院へ搬送される。試合は、5回6回を渡辺あやながつなぎ、7回を関谷ひろみが締めて、3対1で私立関東女学院高等部(関女)の勝利に終わった。点滴を受けて帰宅し、爆睡した繭は、翌日には完全に復帰する。そして、ついに強豪校の青山ICH(インターコンチネンタルハイスクール)との準々決勝を迎える。しかし、優勝を見据える青山ICHは、エースであるマリコ・メッセンジャーを休ませ、2番手のピッチャーを先発に投入。繭のピッチングと2回で先制点を取った関女の奮闘は、ついにマリコ・メッセンジャーを引っ張り出すのだった。
登場人物・キャラクター
桜木 繭 (さくらぎ まゆ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。投手で、右投左打。スーパーエースとして大活躍したが、ヒジを痛めて野球を離れ、5か月ほど渋谷界隈でギャルとして遊んでいた。そのくだらない毎日にむなしさを感じ、再び野球部へ復帰する。モデルのようなスタイル、瞳が大きく外国人のような顔立ちで、男女問わず見惚れてしまうほどの容姿を持つ。 姉にあこがれて幼い頃から野球を続け、身体能力はバツグン。ギャルをしていた時も毎朝のランニングや体幹トレーニングはかかさず、腹筋は見事に割れている。中学時代は陸上部に所属し、中距離の選手だった。自他共に認める野球の天才で、伸びのあるストレートとキレキレのスライダーが武器。バッティングにおいては、ボールを飛ばすセンス抜群の左の長距離砲。 配球を読む事はまったくせず、ただ無心に打てるところに来たボールに反応するという、超天然バッター。目標は日本一エロちゃらいエースになる事。自信家だが仲間を思いやる気持ちは強く、部員からも好かれている。一人称は「まゆ」。
木村 架純 (きむら かすみ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。遊撃手で、右投右打。見た目も言動も男のようで気が強く、一人称も「オレ」。関東女学院の4番バッターで、公式戦の通算打率は3割8分を超える関東地区屈指のスラッガー。桜木繭、高畑愛里とはなかよしだが、繭が自分に何の相談もなしに野球部を辞めた事にショックを受けており、自分との勝負に勝たなければ繭の野球部復帰は認めないと伝えた。 繭の事を「腹筋バカ」と呼ぶなど口は悪いが、内心では繭の才能を認め、仲間としても信頼している。
高畑 愛里 (たかはた あいり)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。野球部主将を務めている。捕手で、右投左打。俊足で選球眼がよく、配球の読みが冴えるクレバーさが売り。出塁率はチームNo.1。練習においても試合においても、的確な指示を出し、部員達からの信頼も厚いチームの要。自称、人一倍努力する天才で、部活と成績学年トップを両立させている。 桜木繭、木村架純とは少年野球チームからの古い付き合いで、繭とは長年バッテリーを組んでおり、繭の性格をよく理解している。
金田 あかり (かねだ あかり)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。3塁手で、右投右打。積極的なバッティングが売りの切り込み隊長。部員からは「キンタロー」のニックネームで呼ばれ、後輩の1年生部員からも「キンタロー先輩」と呼ばれる。チーム一の元気娘。
山田 麻里子 (やまだ まりこ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する1年生の女子。2塁手で、右投右打。試合で見た桜木繭にあこがれて、関東女学院に入学した。繭の才能、見た目、人柄すべてに心酔しており、内心では「神」と呼んでいる。「麻里子」という名前が、強豪校のエースであるマリコ・メッセンジャーを連想させるため、木村架純から「よっつん」というニックネームを付けられた。 由来は顔がひらべったくてアゴがとがり、ホームベースの形に似ている事から「本塁(よっつ)」で「よっつん」となった。
関谷 ひろみ (せきや ひろみ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。控えの投手で、右投右打。メンタルが弱いところがあり、桜木繭が投手としてチームに復帰してくれた事で少しのびのびとプレイできるようになった。秋季大会2回戦の対武蔵野総合高校戦では先発ピッチャーとして3回まで登板した。タイミングを外すカーブが持ち味。
坂口 めぐ (さかぐち めぐ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に在籍する2年生の女子。右翼手で、右投右打。強肩がウリの外野手。ポーカーフェイスで、何を考えているのかわからないところが特徴。オデコの真ん中にホクロがあるというだけで、桜木繭によって「ホトケ」というニックネームを付けられた。
佐藤 真夏 (さとう まなつ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。1塁手で、右投左打。練習熱心な事ではチームNo.1で、自宅の庭でも素振り練習をしている。バッティングに悩み、桜木繭に相談したところ、バッティングセンターでアドバイスをもらい、スランプを抜け出す。
望月 レイナ (もちづき れいな)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する1年生の女子。左翼手で、右投右打。コンパクトなバット操作で、反対方向に打球を飛ばす事を信条とする。
吉岡 あづさ (よしおか あづさ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する2年生の女子。中堅手で、右投右打。状況判断に優れた外野守備の要。
河本 ちはる (かわもと ちはる)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に所属する1年生の女子。控えの捕手で、右投右打。練習で桜木繭の投球を受ける事も多くあり、その凄さをまじまじと感じている。
G3 (じーすりー)
私立関東女学院高等部の硬式野球部に在籍する2年生の女子三人組。それぞれ、オタクのオタコ、ガリベンのガリコ、ふとめのポチャコというニックネームがあり、三人セットで「地味め三人組」を略して「G3」と呼ばれる。野球は下手だが、三人共に桜木繭の事が好きで、休み時間にまゆとキャッチボールをする事を楽しみにしている。
吉田 佳子 (よしだ よしこ)
私立関東女学院高等部の硬式野球部の顧問を務める女性。背が低く、温和な性格をしている。部員からは密かに「よっちゃんイカ」の愛称で慕われている。日頃の練習では細かな指示を選手達に与えるが、試合中は子供達の自主性を重んじて、基本的にサインを出す事はない。
山吹 舞 (やまぶき まい)
桜木繭の3つ年上の姉。本名は「桜木舞」。「山吹舞」の芸名でモデルとして活躍し、出演する化粧品のCMはテレビでもバンバン放映されている。学生時代は投手をしており、繭が野球を始めたのも舞の影響を受けての事。
まゆの母 (まゆのはは)
桜木繭と山吹舞の母親。舞がモデルとして活躍する事に喜びつつも、芸能活動で帰りが遅くなる事を心配したり、下着のモデルをする事に反対している。野球部へ復帰した繭へも食事やお弁当作りでサポートする優しい女性。
田辺 修一 (たなべ しゅういち)
「音羽プロ」という芸能プロダクションでマネージャーをしている若い男性。桜木繭に惚れこみ、絶対有名にしてみせるからと、モデルになるよう繭をしつこくくどき続けている。直射日光を浴びるし、ケガをする可能性もあるので、繭が野球をする事には反対している。しかし、自身も元高校球児であり、繭の投手としての才能と魅力を知って以来、毎回試合に足を運び、すっかり投手としての繭のファンになっている。
マリコ・メッセンジャー (まりこめっせんじゃー)
青山ICH(インターコンチネンタルハイスクール)の野球部に所属する女子。チームではエースで、背番号は1。「褐色の超特急(エクスプレス)」と呼ばれ、プロ注目の右の本格派。決めダマは187センチという高身長からのスプリットフィンガー。1年の秋の大会では、木村架純が3打席3三振に打ち取られている。
ヒラリー・カーク (ひらりーかーく)
青山ICH(インターコンチネンタルハイスクール)の野球部に所属する女子。「ブロンドのトマホーク」の異名を持ち、規格外のパワーを誇るスーパースラッガーで、チームの主砲を務める。1年の秋の大会では、桜木繭も、決めダマのスライダーをレフトスタンドにもっていかれた。身長183センチ。
書誌情報
セーラーエース 6巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2015-11-06発行、 978-4063827026)
第2巻
(2016-01-06発行、 978-4063827262)
第3巻
(2016-06-06発行、 978-4063827750)
第4巻
(2016-10-06発行、 978-4063828719)
第5巻
(2017-02-06発行、 978-4063829266)
第6巻
(2017-06-06発行、 978-4063829761)