概要・あらすじ
ある日、16歳の女子高生松本雛菊が打ったホームランボールが、校舎の裏山の神社を半壊してしまい、中にあったご神体が雛菊の体の中に入ってしまう。そのために、雛菊はシシとコマという人間に変身できる狛犬たちに守られながら、神様代理を務めることに。松本家で3人で暮らしはじめると、男子高生に化けた伝説の妖狐九尾の狐の九尾先輩も入り浸るようになる。
九尾先輩を追いかける女の子がおしかけてきたり、雛菊のことが好きな一哲が家出をしてきたりと大賑わい。そんな中、みんなで過ごしていく内に、雛菊はシシに惹かれていくが、シシにはなにやら事情があるらしい。雛菊はシシと一緒にいられる方法を模索する。
登場人物・キャラクター
松本 雛菊 (まつもと ひなぎく)
A型。誕生日は9月15日で乙女座。身長156cm。美里山高校に通う、どこにでもいる普通の16歳の高校一年生。野球で打ったホームランボールが、校舎裏の神社を半壊してしまい、社の中のご神体の鏡を体の中に取り込んでしまう。神社を壊した責任をとり、お社が直るまで神様の代わりをすることになり、雛菊を守るために、狛犬シシとコマが松本家で一緒に暮らすことに。 高校生に化けたシシとコマは学校では遠い親戚ということにしている。父親は生前に、母親は10年前にそれぞれ病死。祖父に預けられるも、高校入学とともにひとりで生活を始める。自分のバイト代で細々と生活している貧乏女子高生。ご神体を体に取り込んでからは、今まで見えなかった悪い厄や、もののけの類が見えるようになる。 シシの事を好きになり告白するが、シシと両想いになるとシシが消えてしまうことが判明し、シシを消さずに助ける方法を模索する。6年後、美里山高校の教師になる。
シシ
ご神体を守っている狛犬のひとり。狛犬のため生年月日は不明で、身長は176cm。17歳~19歳くらいの外見をしていて、イケメン。金髪で人の姿をしていることが多く、着物に刀を携えている。ぶっきらぼうだが、甘いものが好きで特におはぎが好物。攻撃が得意で神様に害をなすものを刀でバッサリと斬っていくが、守備は苦手。 雛菊を守るために、コマと共に松本家で一緒に暮らす。人間の女と仲良くやっていくつもりはなかったが、雛菊をひなと呼ぶようになり、後に好きになる。美里の神様の半身である悪神を体内に宿し、それを封じるために先代シシの提案で狛犬の魂も体内に宿す。その際、決してこの先人間を愛することが無いことを誓い、人間を捨てて、狛犬になった。 雛菊の祖父にはコマの親戚で、フランス人とのハーフ、日本語が苦手なシシポワーヌ=美里と説明している。200年前は「美里山の鬼」と呼ばれ、里の人々に恐れられていた。
コマ
美里の神様を守る者として、神様によって作られた白い狛犬。よって、何においても神様が最優先。狛犬なので、生年月日は不明。人間に変身できるが、狛犬の姿をしていることが多い。人間の姿の時は身長180cm、銀髪のロングヘアーで、派手目な服を着ているイケメン。風呂好き。お気楽な性分で陽気。 結界や防御に長けており、攻撃は苦手。雛菊を守るため、シシと共に松本家で一緒に暮らす。ご飯は雛菊の手の平から出る「神様のチカラ」で、コレを食べるとケガもすぐ治る。雛菊の祖父には、美里神社で神職をしつつ、大学で日本寺社の研究をしている狛沢犬四郎という人で、24歳の大学院生ということになっている。 あまり睡眠は必要ないので寝るのはめずらしい。
九尾 (きゅうび)
伝説の妖狐九尾の狐だが、高校2年の男子高生に化けて女の子を口説きまくり、モテライフを楽しんでいる軟派キャラ。狙った女は必ずおとすが、雛菊の中に神が入っているとは思わず、彼女を襲おうとして失敗。身長は183cmの色男。メールは面倒なタイプ。雛菊に九尾先輩と呼ばせている。 とてもチカラの強い妖怪で人の頭の中を覗くことができる。美里地区が荒れているという噂を聞き、女あさりがてら遊びにきたが、雛菊にご執心で、松本家に入り浸るようになる。大妖怪オーラを発しているため、ゾウのような大きい動物でも九尾を怖がる。シシが先代シシとの約束をやぶる日を待っており、シシの体内に入っている美里の神様の半身をいつか喰らおうと思っている。 6年後、男と女の関係を持たず長く付き合いを続けている鈴田淑江に生きていて欲しいと思い、自分のシッポで作った薬(妖怪の世界では万能薬)を鈴田淑江に渡す。
鈴田 淑江 (すずた よしえ)
超お金持ち校桃桜高校に通う高校1年生で、お金持ちのお嬢様。海の近くに別荘もある。血液型はB型で、一人っ子。3月6日生まれの魚座。九尾のことが好きな病弱な美少女で、九尾を九尾様と呼ぶ。九尾の足取りを興信所や探偵を使って追ったが、掴むことができず、唯一得られた松本家という情報により雛菊のところにおしかけ、九尾に会えるまで待つ。 九尾のファンでストーカー気質なので、部屋には九尾の隠し撮りした写真がいっぱい置いてある。強い生命力を持つ九尾に対して、憧れと少し嫉妬の感情があり、いざ、九尾を前にすると、自分に自信がなくて隠れてしまう。体が弱いことが引け目になっているせいか、友達はほとんどいない。 雛菊にダブルデートを企画してもらい、美里動物園に行き、雛菊に「神さまのチカラ」をわけてもらい、九尾に告白する。6年後、美里神社の改築費を負担する。かなり体が弱っていたが、九尾から九尾のしっぽで作った薬(妖怪の世界では万能薬)をもらう。
琴平様 (ことひらさま)
美里の神様の直属の上司にあたる神様。身長185cmくらいあり、髪が長くて美しい男の神様。キレイなものが大好きでリゾートや宴会も好き。雛菊のことを「社を壊して神体をとりこんだ悪党」だと思っていた。雛菊が自分の体の中にいる美里の神様に会えるように力を貸す。
トンボ
琴平様の狛犬の一人で、身軽で怪力の幼女。ちょっと潔癖だが根はいい子で、コマにメロメロ。雛菊たちが仙泉郷に行く途中、「人間あがりの狛犬」と「人間の娘」に我慢ならず、シシを斬りつける。特に黒い狛犬であるシシを快く思っていない。
美里 (みさと)
美里神社のご神体で、元は優美な人の姿をしていたが、今は鏡になっている。美里神社が壊れて、自分から人間である雛菊の中に入る。人間好きな弱気な神様で、泣き虫。美里の神様が鏡となり、シシが狛犬になった原因は、神である美里の神様が人間の娘に恋焦がれてしまったため。 自分の願いや他者の願いを口にせず、社へ毎日世間話を楽しそうに語っていく娘に結婚が決まり、彼女に恋をしていた自分に気づく。神にあってはならない嫉妬や独占欲などの醜い感情が生まれてしまった。神という存在は純然であるが故に「悪」にも染まりやすく、例外なく美里の神様も憎悪の暴走を止められず、「悪神」へと姿を変え始めた。 このままでは美里山に厄災があふれてしまうため、完全な「悪神」になる前に、シシが美里の神様を真っ二つに斬る。美里の神様の半身は「鏡」へと変化し、残りの闇に染まった半身は、美里の神様を斬ったシシの体をのっとろうと体内に入ってしまう。シシの体に入った邪悪な霊を、「狛犬の魂」でおさえつければ封印になるため、先代シシはシシに狛犬になることを提案する。
雛菊の祖父 (ひなぎくのそふ)
還暦だが、身体年齢は40代を保っているムキムキマッチョな小説家。雛菊と狛犬(若い男の姿)2人との同居を知らなかったために説明を求めるが、コマによるでっち上げの人間界の設定を信じ込む。家の敷地の中にアパートがあり、そこに住んでいた未亡人の女の人と婚約をするが、その子供である一哲に、「こんな年寄りと母ちゃんを結婚させるかよ!」と言われて落ち込む。 一哲のことが大好き。
榊 一哲 (さかき いってつ)
雛菊の祖父のアパートの住人で、祖父の婚約者の息子。小学5年生の男の子で、雛菊との付き合いは5年になり、アパートに住みはじめてからずっと雛菊一筋で、雛菊命。また、アパートに来てからは雛菊の祖父をじいと呼び、昼も夜も働く母親の留守の間は、じいと遊んでいた。 父親はずっと前に死去。母親と雛菊の祖父との婚約に抗議するため、「オレはこのけっこんに反対する」という書き置きを残し、雛菊の家に家出をする。一哲が婚約を反対していた理由は、怒りでも不満でもなく、20も年上のじいと結婚したら、いつかまた母親が残されて泣くのが嫌だったから。本当はじいが大好きで、じいが父親になるのはうれしい。
墓守り (はかもり)
『セーラー服にお願い!』に登場するもののけ。雛菊の両親のお墓がある霊園の墓守りをしている、身長90cm、体重60kgの、しゃべる大ダヌキ。もともとここに住み着いていた古狸で、ついでの仕事が本職になり、お墓を厄から守っている。墓地の隣に火葬場があり、亡くなった人間を悼み悲しむ声は、時に厄災を呼ぶため、一帯の管理は結構大変。 最近は美里地区の治安も悪いため、神様の「気」を雛菊にわけてもらいに、雛菊の作った食べ物をもらいにきた。
場所
仙泉郷 (せんせんきょう)
『セーラー服にお願い!』に登場する場所。神々の療養地。ここのお湯は万能で、効能は肩こり、腰痛、慢性疲労、内臓疾患、外傷、水虫、ぢ、ブルーな気持ち、失恋など。白く光って真珠みたいなお湯で、花の香りがする。そして、混浴である。美里の神様の上司である琴平様に呼ばれ、神様代理として、雛菊シシコマの3人で行く。
美里神社 (みさとじんじゃ)
『セーラー服にお願い!』に登場する施設。美里山高校のうっそうとした裏山にあり、ご神体は鏡。雛菊のホームランボールで社が半壊してしまう。社の下には鎮めていた大きな念があり、その念を封印していた「鏡」が無くなったので、念は、人間の娘とご神体をまとめて消そうと雛菊を襲う。お正月は鰐口と鈴緒をつける。 お参り客は動物たちやもののけたちで、人間に来て欲しいがなかなかこない。半壊の応急処置で、板に格子の絵をかいたものを扉にしている。6年後、改築費を鈴田淑江が負担し、ピカピカになる。
その他キーワード
念 (ねん)
『セーラー服にお願い!』に登場する悪いもの。美里神社に封印されていたが、社が壊れたことにより、ご神体と、ご神体を取り込んだ雛菊も一緒に消してしまおうと襲ってくる。一度は雛菊によって封印されたが、雛菊の高校の文化祭でまた出てくる。何かに憑かないと動けず、レスリング部のコスプレ衣装に取り憑き、それを着た人たちが雛菊に襲いかかる。