概要・あらすじ
1770年、ベルサイユ宮殿。後にルイ16世となるルイ=オーギュストとその妃となるマリー=アントワネットの結婚式が行われた。そのひと月後のアラスという田舎町。シャルロット=フランの目の前で、彼女の兄が殺された。犯人は血のような赤い瞳の男であった。その日以来、フランは兄の仇を討つために、赤い瞳の男を追いかけていた。それから4年後、赤い瞳の男がベルサイユ宮殿に入っていったという噂(うわさ)を聞いたフランは、短剣を忍ばせ宮殿に忍び込む。広間に迷い込んだフランは、何者かの足音を聞き、カーテンの裏に身を隠した。広間に姿を現したのは、国王ルイ16世であった。きれいな青い目と流れるような銀髪を持つルイの美しさは、別世界の人間のようであった。その姿を見たフランは、突然耐え難い情欲を催し、その場に倒れ込んでしまう。フランに気がついたルイも同様に激しい欲情にかられた。フランは知らなかったが、彼女はΩの性を持っていた。αの性を持つルイは、Ωのフランが出す匂いに反応したのだ。フランにキスをし、衣服を剝ぎ取り彼女の体を貪るルイ。窓からの月明かりに照らされたルイの瞳は、血のような赤に染まっていた。
登場人物・キャラクター
シャルロット=フラン
赤毛のロングヘアが特徴の若い女性。アラスという田舎町の出身。ある日、目の前で兄を殺され、その犯人である赤い瞳の男を追う。赤い瞳の男がベルサイユ宮殿にいるという噂を聞きつけ、宮殿に潜入。そこで赤い瞳の男、国王のルイ16世と出会う。Ωの性を持っており、αの性を持つルイを見た途端に発情。側近の出現により、ルイと交わることはなかったが、そのまま気絶してしまう。5日後目を覚まし、ルイに剣を向けるがかんたんにあしらわれてしまう。その後、王妃、マリー=アントワネットと知り合い、アントワネットが実はΩの男性であり、ルイに振り向いてもらえず悩んでいることに同情。アントワネットに協力して、ルイと結ばせようとする。
ルイ16世
フランス国王。銀髪のロングヘアが特徴の見目麗しい男性。普段は青い瞳をしているが、発情時は赤い瞳になる。αの性を持ち、精力絶倫。特にΩの性を持つ人間に出会うと制御不能になるため、発情抑制剤を使用し、性欲を抑えている。ある日、宮殿に忍び込んできたシャルロット=フランと出会い、Ωの性を持つ彼女に発情してしまう。親しい人間以外には素顔を見せず、普段は仮面を被(かぶ)っている。結婚して4年が経つにも関わらず、王妃のマリー=アントワネットを妊娠させられないことから、グズで醜いうえに、αかどうかも怪しいと噂されている。結婚直後、初めてアントワネットの手に触れたときから、未来が見えるようになり、後に「革命」が起きることを知る。「革命」を阻止しアントワネットの命を救うため、危険因子を見つけ出しては殺すという行為を繰りしていた。歴史上の実在人物、ルイ16世がモデル。
マリー=アントワネット
フランス国王、ルイ16世の王妃。実はΩの性を持つ男性。結婚以来、ルイはアントワネットの寝室に来ては手を握って立ち去っていく。そのため、彼に拒絶されていると思い込み、深く悩む。ベルサイユ宮殿に紛れ込んだシャルロット=フランと知り合い、彼女と共同でルイを自分に振り向かせる作戦を練る。
その他キーワード
α (あるふぁ)
男女とは別に三つある「性」の一つ。女性は妊娠が可能。眉目秀麗、頭脳明晰、精力絶倫が特徴。社会的地位が高く、リーダー的存在になることが多い。発情期は突発的で、Ωを孕(はら)ませる本能を持つ。Ωと接触すると自己制御が効かなくなるほどの情欲を催す。人口はβより少ないが、Ωよりは少し多い。
β (べーた)
男女とは別に三つある「性」の一つ。女性は妊娠が可能。ごく一般的な性別で、ほとんどの人がβの性を持つ。βの男女が結婚することが最も多く、その間に生まれる子供も、基本的にはβである。
Ω (おめが)
男女とは別に三つある「性」の一つ。男女ともに妊娠が可能。知能も体力も低い傾向にあるが、αを産む確率が高い。一定の周期で発情期が訪れ、その間は独特の匂い(フェロモン)を放つ。フェロモンはαに対して特に強く作用する。人口はαよりもさらに少ない。
書誌情報
殉国のアルファ~オメガ・ベルサイユ~ 3巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2021-09-24発行、 978-4098714087)
第2巻
(2022-02-10発行、 978-4098715206)
第3巻
(2022-07-26発行、 978-4098717194)