タカコさん

タカコさん

人よりちょっとだけ「幸せ」な事がよく聞こえる松前タカコは、今日も声にならない声に気づき、一人黙って誰かを気遣う。そんな優しすぎるタカコの、ささやかな日常を描く物語。「WEBコミックぜにょん」2014年12月から掲載の作品。

正式名称
タカコさん
ふりがな
たかこさん
作者
ジャンル
日常
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あらすじ

第1巻

人よりちょっとだけ耳の聞こえがいい松前タカコ。しかし特技というほどのものでもなく、履歴書に書けるほどのものでもない。至って普通の日常生活を送るタカコだが、今日は友人達との女子会に参加し、キャッキャと盛り上がる友人の横でいっしょに食事の時間を過ごしていた。そこへ少し遅れてやって来た親友の湯川ヒロは、一人静かなタカコの様子を見て、たまには苦手なものを遮断してもいいのではないかと助言する。(第1話)

ある日、勤務先のレストランの奥さんから、スタッフのシフト作成を頼まれたタカコは、自分がほかの人の予定を決めるという事の重圧に頭を痛めていた。仕事を自宅に持ち帰ったタカコのもとを訪れたのは、お泊りの約束をしていたヒロだった。ヒロは、シフト作成に頭を抱えるタカコに、パズルみたいに考えたらうまくいくとアドバイスする。(第2話)

出社する予定なのに、うっかり寝坊してしまった日曜日の朝。ヒロは手が離せない時に限って宅配便の対応に追われ、大変な朝のひと時を過ごした。後日、タカコの自宅を訪れて思いの丈を語りだすヒロは、仕事ばかりの毎日と、嫌な上司への弱音を吐き始め、ピザとビールを手にクダをまく。(第3話)

タカコの勤務先である「たまえレストラン」では、忙しい時間を迎え、スタッフすべてが対応に追われていた。そんな中、スタッフを束ねる珠栄は、キツい口調ではあるものの、テキパキと指示を出しながら誰よりも素早く仕事をこなしていた。そんな珠栄の手際よい仕事が、さまざまな音を生み出し、タカコが心地よく仕事する事ができる空間を生み出す。(第4話)

ヒロは、タカコと食事を済ませたあと、ミントタブレットを食べようとして、うっかり切らしている事に気づいた。何かとうっかりする事が多いヒロに対して、タカコは細かいところできっちりしており、大抵のものにストックを用意してあり、予備がないと気になる性格である事を明かす。(第5話)

ぽかぽかといい天気の休日、タカコはここぞとばかりにお洗濯に精を出していた。庭に布団を干していた時、お隣から聞こえてきたのは、まだ小さな赤ちゃんの泣き声といら立つお母さんの叫び声だった。いつも笑顔のお隣さんの発した声から、疲れを感じ取ったタカコは、お隣として何かできる事はないかと考える。(第6話)

雨の日の朝、テレビでニュースを見ていたタカコは、職場に向かうため、いつも通り電車に乗った。通勤通学の人々で満員のうえ、湿気の影響で不快指数の上がった電車は、出発してすぐにホームにいた人との接触により緊急停止。安全確認が取れるまでのあいだ、缶詰め状態になる事を余儀なくされた。もともと不快だった電車の中は、一気に不穏な空気が渦巻く。しかし、車掌の心遣いによるアナウンスのおかげで、社内の空気は一変する。(第7話)

ヒロとランチタイムを過ごしていたタカコは、昼の雑多な音の中から、聞きなれない音がする事に気づいた。それは、少年がごはんにお味噌汁をかける音だった。お行儀が悪い事を母親らしき人から叱られる少年を見て、タカコは外ではやりずらい食事マナーについて考えを巡らせる。(第8話)

タカコの勤務先である「たまえレストラン」では、閉店後、終業までいるスタッフみんなでまかないを食べるのが通例となっている。この日のメニューであるお蕎麦を食べながら談笑していると、スタッフの一人であるあいが、男性との付き合いについて話し出す。あいの、いっしょにいると何か違うかもと感じる瞬間があるという言葉に、タカコは自分の日常と照らし合わせて共感を示す。(第9話)

昔から口数が多い方ではなかったタカコは、高校時代、クラスメイトから、いつもしゃべらずただ笑っていると言われた言葉が、今でも心に刺さったままになっていた。当時はその言葉に傷つき、自分を責め、へこんだが、周りが見えるようになった今は、「自分はこのままでいいんだ」という考えを持つようになり、解決したつもりでいた。しかし、事あるごとに心を刺してくるこの言葉と同じ言葉を、再び職場のスタッフから投げ掛けられる事になるが、そこには大きな違いがあった。(第10話)

ある日、タカコは外出先で聞き覚えのある声を聞く。それは、「ゼノンビール」の営業を務める大森の声。大森は、タカコの勤め先である「たまえレストラン」の営業担当だった。彼が営業先の店舗を回っては怒られ、頭を下げている姿を見る。翌朝、たまえレストランに顔を出した大森の声は、昨日よりも弾んでいるように聞こえた。それはお店のスタッフのあいがいるからだった。(第11話)

秋晴れの休日、タカコはヒロの愛車でドライブにやって来た。立ち寄るスポットや、食べたい物に関してはしっかりリサーチし、準備万端だったはずが、予定通りにいかず、楽しみにしていたカフェに行けなくなってしまった。へこむタカコだったが、思いがけず探し当てる事になったブドウ園で、見つける喜びを味わう事になる。(第12話)

午後の出勤前のひととき、ちょっとだけ早起きをして、やるべき事は早めに済ませたタカコは、時間を作り、いつもよりゆっくりのんびりのカフェタイムを過ごす。貴重な時間はいっさい無駄にできないというせかせかした空気感の世の中で、タカコは「のんびり過ごす」という事について考えを巡らせる。(第13話)

第2巻

仕事の休憩時間。ミユ達スタッフは話題の映画「マッドウォーズ」の話で盛り上がっていた。松前タカコがちょうど先日観て来た事を明かすと、映画の感想を求められたため、タカコは映画館での様子を話し始める。しかしタカコの話は、映画館という一種独特の空気を全身で楽しんできた事に終始する。(第14話)

久しぶりの平日休み。タカコは湯川ヒロからの誘いを受け、ヒロの自宅に泊まりに行く事になった。マンションの6階にあるヒロの部屋からの眺望がよく、街を見下ろす特別なパーティータイムのためにと、タカコはちょっと手土産を奮発して用意した。瓶詰にワインと、両腕にかかる重みをそのあとの期待に変えて歩いていたタカコだったが、そんな彼女のもとにヒロから届いたメールには、エレベーターが故障中のため、階段であがってほしいとの内容が記されていた。(第15話)

自宅のノートパソコンにエラーが出てしまい、カスタマーセンターに電話する事になったタカコ。以前にも同じ理由で電話をした事があり、その際の緊張感と、終えた後の疲労感を思い出し、気が重くなっていた。しかし、意を決して電話機を取ったタカコの対応をしてくれたのは、おっとりとしていて安心感を与えるテンポで話をする人だった。そして、自分が情報を必要としているだけでなく、不安感を持っていた事に気づく。(第16話)

春だというのに寒さがぶり返した日、タカコはお風呂でゆっくり温まってからよく干した布団に滑り込んだ。今春最高の睡眠へと向かう予定が、どこからともなく聞こえ始めた水が滴る音に邪魔されてしまう。(第17話)

「たまえレストラン」に出勤したての朝。タカコは、更衣室に入って来たスタッフのミユが何やらこそこそと様子がおかしい事に気づく。瞬時に察した珠栄は、ミユに声を掛け、爪を短く切り、ネイルを落とすようにと爪切りを手渡した。その後こってり怒られたミユは意気消沈しながらも、仕事終わりの更衣室で、つめの手入れに余念がない。同時に念入りにメイクをしているあいの様子を見ながら、タカコは「きれいになる」事について考える。(第18話)

タカコはコンビニエンスストアに寄るたびに、頭を悩ませている事があった。それはレジ袋を断るタイミング。店員の、素早く流れるような絶え間ないセリフの合間を縫って、かつ店員が袋を取り出す前に、袋が必要ない事を伝える事の難しさを感じていたのである。(第19話)

珠栄が不在の今日、「たまえレストラン」では、大忙しのディナータイムを迎え、若手スタッフだけでてんてこ舞いとなっていた。いつもより不手際の多いフロアスタッフ達に、いら立っていたキッチンスタッフの落谷は、閉店時間を過ぎても居座り続ける客に対するフロアスタッフの対応にしびれを切らし、あいに対して思っていた事を静かに口にした。その瞬間、スタッフだけになった店内の空気が凍り付いてしまう。(第20話)

セミの声に風鈴の音や高校野球に氷の音と、最も騒がしい夏の音を、暑いからこそ心地いいと感じ、楽しんでいるタカコ。そんな彼女にも、夏の不快な音があった。それは聞くだけでかゆい蚊の羽音。眠りを邪魔する音の存在に気づいたタカコは、深夜音の根源と静かに戦い始める。(第21話)

夏休みも終わり、日常が戻った頃、健康のためにと水泳を続けていたタカコはプールにやって来ていた。プールでは、お年寄りがおしゃべりをしながら水中ウォーキングに精を出していたり、子供達がはしゃいだりとさまざまな音が響いている。タカコはそんないろいろな音を、水中で聞くのが好きだった。水中で曖昧に響く音は、タカコにとって心地よい心の健康法となっていたのだ。(第22話)

タカコは、ヒロと二人でホラー映画を見に来ていた。「怖い」事がちょっと快感に感じるところがあるのだ。台風が近づいているという荒れた天気の中を帰宅したタカコは、暴風雨によるさまざまな音のする中、いつもと違う夜を過ごす刺激を感じつつ、ちょっとワクワクしながら布団に入る。(第23話)

行きつけの美容院にやって来たタカコは、いつもの美容師と必要最低限の話をしたあと、髪を切り始めた。美容院の中で響くお店のBGMや店員の声、熟練したはさみのリズムを聞きながら、タカコはここに体を預けられる安心の時間を満喫する。(第24話)

仕事の事が頭から離れず眠れなくなってしまったタカコは、深夜2時の静けさに耐え切れず、ヒロに連絡をしようとスマートフォンを取りだした。しかし、どこかの部屋でテレビが付いた音がしたのを皮切りに、人の気配を感じる音がしだす。するとタカコはヒロへの連絡を思いとどまり、安心して眠りにつくのだった。(第25話)

寒さ厳しい冬の日の夜、タカコはマンション内のどこからか子供が走る足音を聞く。このマンションに走り回るほどの年齢の子供はいないはずと、一瞬心霊現象を疑うタカコだったが、隣室に住む家族の赤ちゃんが、いつの間にか走れるほどに成長していたのだという事に気づく。(第26話)

第3巻

松前タカコは、翌日から休暇を取って実家に帰る事になっていたあいに、実家でゆっくりしてきてほしいと声を掛けた。その言葉に、一瞬戸惑いの表情を見せたあいの反応に気づいたタカコは、別のスタッフから、あいの祖父が認知症を患い、実家が落ち着かない状態である事を聞く。タカコは自分が何の気なしに掛けた言葉が、無神経に相手を傷つけたのではないかと、自責の念に駆られてしまう。(第27話)

湯川ヒロと飲みに行く予定のタカコは、時間に余裕があったため、目的地まで一人でのんびり歩いて行く事にした。その道中、橋の上でため息をついている女子学生に出会う。彼女は悪い点を取ってしまったテストを手に、うなだれていたが、次の瞬間、その答案用紙が手から滑り落ち、川へと流されてしまう。(第28話)

朝、いつも通りに目を覚ましたタカコは、発熱している事に気づく。まずは職場に連絡を入れ、休む旨を伝えたあと、布団に入ったものの、自分が抜けたあとのレストランの事を考えたり、どうして熱が出たのかを考えるうちに、頭の中にいろいろな音が聞こえ出し、熱が上がっていくのを体感する。(第29話)

タカコの毎朝の習慣は、朝7時のニュース番組のオープニング曲を聞く事。眠気を払う1日の始まりのBGMとして、大切な時間になっていた。しかしある朝、いつものBGMが新しい曲に代わってしまった事に気づいたタカコは、何となくソワソワと落ち着かず、調子が出ないまま1日を過ごす事になる。(第30話)

珠栄藤本の会話から、「効くと思えば効果が出る」という意味の「○○効果」という言葉が出かかっているのにどうしても出てこず、仕事中ずっと思い出せないモヤモヤを抱えてしまったタカコ。帰宅する頃にはすっかり忘れてしまっていたが、翌朝、思いがけずその言葉を思い出す。(第31話)

この日、「たまえレストラン」に挨拶に訪れたのは、ゼノンビールの新入社員、綾部ミドリだった。先輩の大森と共にやって来た綾部は、やる気満々、自分の仕事ぶりに自信を持つ、意識高い系女子。ちょっと頼りなさげな大森とは一見正反対な印象の綾部だったが、タカコはそんな二人に「似ている」と言葉を掛ける。その言葉に不満そうな表情を見せた綾部だったが、翌週、自信たっぷりだった彼女が大きな失敗をしてしまう。(第32話)

ガーデニングが好きなタカコは、部屋で観葉植物の手入れをしていた。自分が見ていないあいだにちょっとした変化を見せる植物に、喜びと愛おしさを感じ、新たに増えてしまった鉢植えをヒロにプレゼントする。(第33話)

通勤電車の車内放送で、「水難に注意」という占いを見たタカコは、たかが占いとは思いながらも、なんとなく気になる1日を過ごす。レストランという場所柄、水はありとあらゆるところに存在するため、何かと意識してしまう。無事昼の部を乗り越え、ひと段落したタカコの前にまかないとして出されたお昼ご飯は「落谷くんのおそうめん」だった。(第34話)

タカコは、駅ビルに出来たマッサージ店を訪れた。ヒロが言うには、感じはいいが落ち着かないらしい。駅ビルのにぎやかな喧騒を感じながら受けるマッサージは、優雅で静かな個室のマッサージとはまた違ったよさがあり、タカコはこの小さなオアシスを満喫する。(第35話)

新しくポータブルスピーカーを購入したタカコは、家事や食事や入浴時にもお気に入りの音楽といっしょの生活を送り始めた。音楽がある事で、メリハリのある生活になったタカコだったが、ある時カフェで、いつも入浴時に聞いている音楽が流れ始める。お茶を飲んでいるはずなのに、お風呂の香りが漂って来るような気がして一度音楽を止め、リセットしようとする。しかし一旦結びついた音楽と生活は、簡単に切れない存在になっている事に気づく。(第36話)

休憩時間中の「たまえレストラン」で、珠栄は息子の倫治にお説教中だった。倫治が塾をサボった事に怒り心頭になっていた珠栄は、声を荒げていた。しかしタカコから取り次がれた電話を取った瞬間、明るいトーンにコロッと変わり、電話を終えた瞬間、倫治に対して怒りのトーンに切り替えた珠栄の様子に、タカコはすっかり笑いのツボを刺激されてしまう。(第37話)

「たまえレストラン」スタッフの飲み会のあと、みんなでカラオケにやって来たタカコ。それぞれがキャラクターに合った歌を上手に歌う中で、タカコの耳のよさを知るみんなは、彼女の歌に期待を寄せていた。しかし、実はタカコはかなりの音痴。予想以上の音痴ぶりに室内が爆笑の渦に包まれる。(第38話)

大雪が降った日の朝、電車が止まってしまったため、出勤できずにいたタカコは、朝から思わぬ自由時間を手に入れた。庭に出て音が雪に吸収される独特の静けさを堪能し、たくさん積もった雪と戯れる。(第39話)

登場人物・キャラクター

松前 タカコ (まつまえ たかこ)

26歳の社会人女性。人より耳がよく、客が呼ぶ声や、同じアパートに住む人の生活音など、些細な音が人より少しだけよく聞こえるという特徴がある。「たまえレストラン」でウエイトレスとして勤務している。口数が少なく、かなりおっとりしたおとなしいタイプ。耳がいいからといって、うるさいのが苦手なわけでもなく、遠くや近くに人々の生活音を聞く事で、誰かの息遣いを感じる事に幸せを感じている。 そのため、むしろ雑多な音が多く、一人ではない事を体感できる空間を好む。きっちりとしていて、持ち歩く消耗品は切らした事がない。家の中の物についても、大抵ストックしてあり、なくなる前に予備の用意がないと気になる性質。一つ開封した時点で余分に購入するほど神経を使っている。 そのため、自宅の収納場所にはいつも物がぎっちり詰まっている。オムライスが好きで、オムライスの事を考えると、かなりの確率でお腹が鳴ってしまう。趣味はちょっとしたガーデニング。耳はいいはずなのに音感はないに等しく、かなりの音痴。ただし、自分では音程を外しているのが分からず、音痴である事をあまり気にしていない。

湯川 ヒロ (ゆかわ ひろ)

快活な社会人女性。松前タカコの学生時代からの友人。仕事に追われ、忙しい日々を送っている。会社の上司に対してはかなり思うところがあり、ストレスを溜めこんでいる。タカコの家に泊まりに行ったり、タカコを自宅に泊めたりするほど仲がよく、休日にはいっしょに車で遠出する事も多くある。意外とうっかりもので、買い足さなくちゃと思っているうちになくなってしまったりする事が少なくない。

珠栄 (たまえ)

倫治の母親であり、「たまえレストラン」でスタッフを束ねる女将さん的存在。仕事熱心で、サバサバしていてはっきりした性格。言い方がちょっとキツめだが、飲食店を経営する側にあるからこその発言であり、理不尽な事は言わない。その旨をスタッフも理解しているため、スタッフにとっては怖い人でありながら慕われている。スタッフからは「奥さん」と呼ばれている。

大森 (おおもり)

「株式会社ゼノンビール」の営業担当の男性。担当先の店舗を回っては、目上の人から怒られる事が多く、毎日走り回って頭を下げている。「たまえレストラン」も彼の担当であり、ちょくちょく顔を出しに来るが、そこのスタッフであるあいに想いを寄せている。

あい

「たまえレストラン」のスタッフを務める女性。ふんわりした印象で、女子力が高い。祖父が認知症を患っており、実家はバタバタしている状態にある。基本的に家の事情を職場で口にする事はなく、人との距離を適度に保つように心がけている。

ミユ

「たまえレストラン」のスタッフを務める女性。サバサバした性格をしている。週末にライブの予定があったため、手の爪を伸ばし、ネイルを施したまま仕事をしようとして珠栄から叱られた。

落谷 (おちや)

「たまえレストラン」のキッチンを務める若手スタッフの男性。同じ店で働く女性スタッフの仕事ぶりに関して、思うところがあるが、基本的には口に出さずに心の中で消化しようとしている。しかし、何となく態度に出てしまう事もあり、聞きたくない言葉には一度では返事をしない。

藤本 (ふじもと)

「たまえレストラン」のスタッフを務める女性。既婚者で、周囲に柔らかい印象を与える人物。珠栄のよき理解者でもあり、若いスタッフのお姉さん的存在。

綾部 ミドリ (あやべ みどり)

「株式会社ゼノンビール」の営業担当として、春から新たに入社した女性。先輩である大森といっしょに得意先回りをして営業職の勉強中。何でも先回りして調べておくなど、仕事への意識が高く自信家だが、それゆえの失敗も少なくない。感情の振り幅が大きく、テンションがわかりやすく変化する。初めて「たまえレストラン」を訪れた際も、珠栄から「鼻持ちならない感じのコ」という印象を持たれた。

倫治 (ともはる)

珠栄の息子。自分から塾に行きたいと言い出した事で塾に通っているが、友達に誘われ、勝手にサボった事が珠栄に知られ、こってり怒られる事になる。口数少なく、ちょっぴり反抗期だが、珠栄の事は怖がっている。

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