概要・あらすじ
不幸体質の少女稲生武夫は、自分に降りかかる災難から周りの人々を守るため、一人さびしく暮らしていた。アパート百鬼荘に引っ越した彼女は、そこで座敷童子の山本六郎左衛門と出会う。幸運を呼び込む力を持つ六郎左衛門と妖怪たちのおかげで、次第に笑顔を取り戻していくタケヲだが、ある日自分の不幸の原因は、疫病神・神野悪六朗にあると知る。
神野はタケヲに憑りついた絶望を食らい成長する妖怪・空亡を使い、地上を魔界とすることを目論んでいたのだった。六郎左衛門と神野の間には深い因縁があり、タケヲはその争いに巻き込まれていく。
登場人物・キャラクター
稲生 武夫 (いのう たけを)
極端な不幸体質で、普通に生活にしているだけで様々な事故にあってしまうため、周りから人を遠ざけ日々を過ごしていた。広島出身だが、不幸から家族を守るため東京の高校へと進学、妖怪屋敷百鬼荘へ引っ越し、座敷童子山本六郎左衛門と出会った。のちに不幸の原因は疫病神神野悪六朗に受けた祟りと判明する。 妖怪の好物であり、人間の負の感情の集積である「陰の気」が大量に憑りついているため、感情が乏しくなってしまっている。陰の気はタケヲが驚くと飛び出すが、彼女は幸福を感じると驚いてしまうため、六郎左衛門や百鬼荘の妖怪たちは彼女を幸せにしようと決心。タケヲはやがて笑顔を取り戻し、表情豊かになっていく。 何事にも物怖じしない性格で、初対面の人や妖怪をあだ名で呼ぶことが多い。
山本 六郎左衛門 (さんもと ろくろうざえもん)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。幸運をもたらす座敷童子で妖怪屋敷百鬼荘の頭領。何か行動を起こすごとに幸運を呼び込むほどの強運の持ち主。童顔の美男子という妖怪らしからぬルックスで頼りない性格だが、百鬼荘の妖怪たちからは慕われている。百鬼荘に越してきたタケヲの陰の気を得るため、彼女を幸福にしようと決意。 タケヲの不幸体質を自らの強運で中和している。父である山本五郎左衛門は、疫病神神野悪六朗の父・神野悪五朗と妖怪の王を決めるために戦をしており、その時五郎左衛門に味方したのがタケヲの先祖稲生平太郎だった。以後、山本一族は神野の報復からタケヲの家を護っている。
坂田 鉄 (さかた てつ)
先祖代々からの妖怪退治人ばらし屋の一員。タケヲが住む町に集まる「嫌な気」を調べるため、彼女と同じ高校に転入。「嫌な気」の原因と思われるタケヲを調べるため、アパート百鬼荘へと引っ越してくる。霊力が異常に低いため、相手の霊的な部分を揺さぶる妖術が効かない特異体質。 金太郎こと坂田金時の子孫であるためか、人間でありながら妖怪に匹敵するほどの怪力。ぶっきらぼうだが、性根は優しく動物に好かれる体質である。母親に切ってもらったおかっぱ頭を馬鹿にされると激昂する。
瀧夜叉姫 (たきやしゃひめ)
山田姫と名乗りタケヲと同じクラスに転入してきたが、正体は反魂法で蘇った、平将門の娘にして稀代の召喚術師瀧夜叉姫。はじめは神野悪六朗の命を受けてタケヲを不幸にすべく暗躍していたが、彼女のまっすぐな性格にほだされ、共に百鬼荘で暮らすことになる。妖怪蜘蛛丸と夜叉丸を使役していたほか、がしゃどくろなど強大な妖怪を召喚することができる。
神野 悪六朗 (じんのあくむろう)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。父神野悪五朗が妖怪山本五郎左衛門と侍稲生平太郎に倒された際に発した呪いの言葉から生まれた。負のオーラをまき散らし、周囲を不幸をもたらす疫病神。人間はおろか妖怪までもを憎む、強烈な「怨み」の持ち主。貧乏神・窮鬼と死神・阿闍羅加木蓮を連れ、稲生平太郎の子孫タケヲに憑りついた妖怪空亡を使い地上を魔界とすることを目論んでいる。
天日空狐 (てんにちくうこ)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。三千年生きた狐が変化した空狐で、通力自在の化け狐。山本六郎左衛門に仕えている。普段は若い男の姿に化けている。
陰神形部 (おんしんぎょうぶ)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。四国にはびこる八百八の狸の首領の化け狸。別名は八百八狸。山本六郎左衛門に仕えている。普段は若い女性の姿に化けているが、実は雄で胸には金玉を詰めている。
にゃんポコ
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。山本六郎左衛門に仕える豆狸。お調子者で、問題をたびたび起こしている。フォン・オルロックが連れてきた吸血蝙蝠(バンパイアバット)のミナに一目惚れした。
風花 (かざはな)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。山本六郎左衛門に仕える雪女。六郎左衛門に思いを寄せている。
蜘蛛丸 (くもまる)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。瀧夜叉姫に召喚され使役されている。人間の姿をとっているが、正体は妖怪・土蜘蛛。人間の言葉を話すのが苦手。
夜叉丸 (やしゃまる)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。瀧夜叉姫に召喚され使役されている。人間の姿をとっているが、正体は最強の鬼である大妖怪・酒呑童子。瀧夜叉姫の支配を自力で解き、タケヲを殺そうとした。
フォン・オルロック
『タケヲちゃん物怪録』に登場する吸血鬼(ノスフェラトゥ)。「闇の花嫁」を探して、人狼、メデューサ、フランケンシュタインの怪物、魔女などの西洋妖怪の花嫁たちを連れて百鬼荘の隣に引っ越してきた。女性を敬う紳士然とした態度の持ち主で、すべての者を魅了する瞳を持つ魅了者(カリスマ)。 魅了の力が通用しないタケヲを闇の花嫁と見初め求婚、情熱的なアプローチを繰り返す。
稲生 平太郎 (いのう へいたろう)
タケヲの先祖である若侍。肝試しに、祟りがあると言われる「たたり石」に札をつけたところ、妖怪山本五郎左衛門たちに目をつけられた。妖怪たちは平太郎を驚かそうと試みるも、まったく動じない彼に感服し、平太郎に仕えることになった。五郎左衛門と悪五朗の戦の際は、五郎左衛門に味方し、悪五朗を討ち取った。 しかし、悪五朗が今際の際に吐いた呪いを受け、稲生家は祟られてしまう。
空亡 (くうぼう)
『タケヲちゃん物怪録』に登場する妖怪。心の虚無を好み、絶望を食らい育つ。完全に成長すれば、人類を滅ぼすほどの力を持つ最悪の妖怪。神野悪六朗はタケヲに憑りついた空亡を使い、地上を魔界と化すことを目論んでいる。
場所
百鬼荘 (ひゃっきそう)
閑静な住宅街に佇む木造建築・築100年で、トイレ・風呂共同の六畳一間のアパート。山本六郎左衛門率いる妖怪たちが暮らす妖怪屋敷となっている。普通の人間は驚いてすぐ出て行ってしまうが、タケヲは平然と住み着いた。