サブスク彼女

東京の大学に通う女子大生トモは、彼女がいる男にばかり好かれていた。告白されて交際に発展したのに、男は彼女がいることを告白して謝る。そして彼女のこともトモのことも大事だという。それでもいつか自分が彼女になれるかもしれないと関係を続けるが、トモが本命に選ばれることはない。そんなことを繰り返すうちに、自分は所有されるCDやレコードではなく、好きなときに呼び出せる便利なサブスク音楽配信のようだと考えるようになる。そんな状況に虚しさを感じたトモは、月額課金制のサブスク彼女になることを決意し、SNSで自分と同じように「都合良く使われている女の子」を探し出す。こうしてトモは、決まった月額を払えば、好きな女の子を選んで恋愛することができ、解約すれば彼女との関係も即終了という「サブスク彼女」のサービスを始めた。

トモがサブスク彼女を始めた頃、高校の同級生・コースケがOB訪問で上京する。高校時代からトモを好きだったコースケは告白するが、トモは自分がサブスク彼女になったことを説明する。コースケは面食らいながらも、とりあえずトモだけを指名すればいいと考え、サブスク契約を交わす。そして、純情一途な童貞・コースケは、トモが自分のことを好きになるまでエッチはしないと決意。さらに、一刻も早くサブスク彼女のサービスをトモにやめさせようとする。一方、男に騙され続けてきたトモは、コースケの思いが「永遠に続く本当の好き」かどうかわからず、素直に受け止められないでいた。こうしてトモとコースケの、サブスクを利用したいびつな恋愛が始まった。

SNSでトモに誘われ、サブスク彼女になった女性は2人いる。1人目は、なーちゃんという、すぐに男性を好きになってしまう寂しがり屋。彼女はヨリという男にぞんざいに扱われ、都合よく抱かれる日々を送っていた。そんな彼女は、トモだけを好きだと言うコースケに会い、心底うらやましいと思う。そしてヨリと違い、優しく接してくれるコースケを好きになる。2人目はスミレという32歳の女性。恋愛経験が豊富なことから、コースケとヨリを子供扱いしており、サブスク彼女をそれなりに楽しんでいる。本作は三者三様の女たちの、交錯する恋愛模様を描いた人間ドラマである。