ダイヤモンドの功罪

ダイヤモンドの功罪

平井大橋の代表作にしてデビュー作。現代の東京を舞台に、あらゆるスポーツで突出した才能を持つ次郎が、その才能ゆえに周囲との関係に悩みながらも野球と向き合う物語。小学5年生にして身長166センチという恵まれた体格と類まれな運動神経を持つ次郎は、何をしても一人だけ突出してしまうことから孤立していたが、弱小少年野球チーム「足立バンビーズ」へ入団し、チームメイトとの交流を通して野球の楽しさを知る。だが、監督が無断でU12日本代表選考会に応募したことで、次郎を取り巻く状況は一変してしまう。本作は、「才能の呪い」をテーマにした野球漫画。勝利至上主義ではなく、才能がもたらす光と影を少年野球という舞台で描いている。主人公の内面描写に重点を置き、才能を持つ者の心理的葛藤を詳細に描写しながら、実在する制度であるU-12日本代表選考会を物語に組み込むことで、少年野球界の現実的な世界観を構築している。集英社「週刊ヤングジャンプ」で2023年11号から連載。2023年に「次にくるマンガ大賞2023」コミックス部門第7位、「このマンガがすごい!2024」オトコ編第1位、2024年に「マンガ大賞2024」第5位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」第4位を獲得。

正式名称
ダイヤモンドの功罪
ふりがな
だいやもんどのこうざい
作者
ジャンル
野球
 
青春
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊9巻
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作品の概要

基本情報

平井大橋の代表作にしてデビュー作。

要旨と舞台設定

現代の東京を舞台に、あらゆるスポーツで突出した才能を持つ綾瀬川次郎が、その才能ゆえに周囲との関係に悩みながらも野球と向き合う姿を描いた物語。次郎は、小学5年生にして身長166センチという恵まれた体格と類まれな運動神経を持ち、何をしても一人だけ突出してしまうため孤立していた。しかし、弱小少年野球チーム「足立バンビーズ」への入団をきっかけに、野球の楽しさを知る。

ストーリー展開

次郎は、バンビーズのチームメイトとの交流を通して充実した日々を送っていたが、監督が無断でU-12日本代表選考会に応募したことで、次郎を取り巻く状況は一変してしまう。物語では、その才能がもたらす人間関係の亀裂と、野球への純粋な情熱との対比が描かれる。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、「才能の呪い」をテーマにした野球漫画。勝利至上主義ではなく、才能がもたらす光と影を少年野球の舞台で描き、スポーツにおける天才の孤独を表現している。

作品固有の表現技法と特徴

作中では、主人公の内面描写に重点を置き、才能を持つ者の心理的葛藤が詳細に描かれる。身長166センチという小学生としては異例の体格設定により、身体的優位性と精神年齢とのギャップが表現され、周囲との軋轢(あつれき)が可視化されている。

世界観の構築と設定

世界設定として、少年野球界の現実的な制度が構築され、U-12日本代表選考会という実在する制度が物語に組み込まれている。大人の期待と子供の純粋さの衝突、指導者の思惑と選手の気持ちの乖離(かいり)といった要素が、本作の世界観を構成している。

連載状況

集英社「週刊ヤングジャンプ」2023年11号から連載。

受賞歴

2023年「次にくるマンガ大賞2023」コミックス部門第7位。

2023年「このマンガがすごい!2024」オトコ編第1位。

2024年「マンガ大賞2024」第5位。

2024年「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」第4位。

天才ゆえの苦悩

綾瀬川次郎は抜群の運動神経の持ち主で、水泳やテニス、体操と何をやっても短期間でトップに立つほどの才能にあふれている。それは同時に、努力を重ねてきた子供たちに挫折を味わわせることにもなっているが、これは綾瀬川自身にとって本意ではなく、これが彼のスポーツに打ち込む熱意を奪っている結果ともなっている。本作は、天才であるがゆえに苦悩する綾瀬川が、自分も仲間も楽しめるスポーツを求めて模索する様子が描かれており、誰よりも優れた資質を持つことが、必ずしも恵まれているわけではないことがたびたび主張されている。

期待をかける大人とコンプレックスに悩む子供たち

綾瀬川次郎の持つ天性の資質は、周囲の大人たちを虜(とりこ)にし、子供たちには強烈なコンプレックスを植え付けてしまう。綾瀬川は、よくも悪くも特別視される境遇に心底嫌気が差しており、自らの才能を世に知らしめるより、周囲と溶け込むことを望み、時には手を抜いてでもチームメイトに花を持たせようとしている。だが、彼の行動の大半が裏目に出てしまい、なかよくなったチームメイトたちも、そのほとんどが綾瀬川のもとを離れていく。

苦労の末に見つけた「野球」という居場所

スポーツを純粋に楽しめないことに悩んでいた綾瀬川次郎は、弱小野球チーム「足立バンビーズ」に入団したことで、仲間と共にプレーする楽しさを知る。しかし、監督からその才能を活かさないのはもったいないと、やがて日本代表チームのセレクションを勧められる。そしてチームの選抜テストや練習を経て、綾瀬川は野球の面白さを知り、他者の反感を買ってでも自らのレベルアップを目指しハングリー精神に目覚めていく。一方で、友人たちとなかよく野球をすることにも未練を残しており、ジレンマに苦しんでいる。

登場人物・キャラクター

綾瀬川 次郎 (あやせがわ じろう)

小学5年生の男子。あらゆるスポーツに関して、天才的な資質を秘めている。明るくまじめな性格ながら、周囲の様子を過度に気にしてしまう繊細な心の持ち主。家族がスポーツ全般に疎いことから、当初は自分の才能を自覚していなかったが、テニスや体操、水泳を通して、自分の才能が特別であることに気づく。友達と共にスポーツを楽しむことを望んでいるものの、その並外れた才能から大人たちには過剰な期待を寄せられ、チームメイトからはコンプレックスを抱かれ、厳しい目を向けられている。そんな境遇に心底うんざりしていたが、弱小野球チーム「足立バンビーズ」に入団し、監督やチームメイトから素直に頼られたことに喜びを感じ、やがて野球そのものに魅了されていく。しかし、綾瀬川次郎の才能を世の中に知ってほしいと考える監督から、U-12日本代表への参加を持ち掛けられ、再び自らの才能を巡るトラブルと向き合うことになる。

雛 大吾 (ひな だいご)

小学5年生の男子。関西の野球チーム「寝屋川ファイターズ」のキャッチャーとして活躍しており、チームメイトの巴円とバッテリーを組んでいる。努力家で上昇志向が強く、円と共にさらなる飛躍を遂げたいと考えている。U-12日本代表の入団テストで出会った綾瀬川次郎とバッテリーを組むことになり、即席ながらみごとなコンビネーションを見せた。これがきっかけとなり、綾瀬川と共に周囲から注目を浴びるようになるが、円がエースナンバーを奪われることを危惧し、綾瀬川の才能を理解しつつもつい反発している。

書誌情報

ダイヤモンドの功罪 9巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2023-06-19発行、978-4088927671)

第2巻

(2023-07-19発行、978-4088927688)

第3巻

(2023-10-19発行、978-4088928647)

第4巻

(2023-12-19発行、978-4088930718)

第5巻

(2024-03-18発行、978-4088932057)

第6巻

(2024-06-19発行、978-4088932668)

第7巻

(2024-09-19発行、978-4088933832)

第8巻

(2025-04-17発行、978-4088935096)

第9巻

(2025-07-17発行、978-4088935867)

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