ダンシング・ゼネレーション

ダンシング・ゼネレーション

1980年代初頭に発表された、ジャズダンスに打ち込む若者たちの試練と努力のサクセスストーリー。「マーガレットコミックス」として発売された単行本は計4冊で、情熱だけを武器にダンス好きの若者たちが切磋琢磨していく青春ストーリーである前半と、主人公・萩原愛子と数人だけがより高みを目指してニューヨークに渡り、厳しいプロの世界にさらされる後半とで構成されている。「別冊マーガレット」 で1981年4月号から1982年7月号まで連載された。続編に、主人公たちのその後の活躍を描いた『N・Yバード』がある。

正式名称
ダンシング・ゼネレーション
ふりがな
だんしんぐ ぜねれーしょん
作者
ジャンル
青春
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概要・あらすじ

女子高生・萩原愛子は親友の小沢まゆみに頼まれて、ダンスのオーディション会場へ付き添って行く。世界的ダンサーである神崎崇史は、愛子が踊れることを見抜き、無理矢理踊らせる。オーディションでは全員が不合格だったが、神崎は最終選考に残ったメンバーで、新しいダンスチームエキサイティングを結成する。7人のメンバーは、若さと情熱をダンスにぶつけ、厳しいアルバイト生活を続けながらも、励ましあい、高めあっていく。

そして、ダンスの本場であるニューヨークで学ぶ夢を共有していくようになる。神崎の推薦で、7人はN・Y・D・Cのサマースクールに参加できたが、そこにあるのは実力主義の厳しい現実だった。若者たちは夢破れ、それぞれの道を進むことになる。

しかし愛子と羽佐間慎は、ふたたびニューヨークへ飛び、プロのダンサーとして舞台に立つことを目指し、悩み傷つきながらも、ひたすら前へ進んでいく。

登場人物・キャラクター

萩原 愛子 (はぎわら あいこ)

ダンスが大好きな16歳の女子高生。クラシックバレエ歴10年だが、父親の転勤にともない、1年のブランクがあった。親友の小沢まゆみに付き添っていったオーディションで神崎崇史と出会い、エキサイティングのメンバーに選ばれる。真面目で努力家だが、傷つきやすく、くよくよと悩むことが多い。N・Y・D・Cの奨学生に選ばれ、高校をやめてニューヨークに渡ってからは、強くなろうともがく。 「神崎崇史の秘蔵っ子」と呼ばれ、妬みからいやがらせを受けることも多いが、それすら糧にして成功への階段を駆け上がっていく。

羽佐間 慎 (はざま しん)

ディスコ・ダンスのチームを作って踊っていた男子大学生。18歳。スタジオ代を作るために、ディスコでDJをしていた。神崎崇史の目にとまり、エキサイティングのメンバーに選ばれる。メンバー全員でN・Y・D・Cのサマースクールに参加したが、才能を認められたのは萩原愛子と慎の2人だけだった。ニューヨークに居を移してからは、神崎崇史から離れようと、別のチームに入団する。 明るいムードメーカーで、いつしか愛子と愛し合うようになる。

神崎 崇史 (かんざき たかし)

萩原愛子の恩師。ジャズダンス界のスーパースターで、世界的なダンサー。振り付けもする。ニューヨークの名門ダンス団N・Y・D・Cの中心メンバー。日本のダンスシーンの層の薄さに不満を持ち、「ダンスだけで客を呼べるチームを日本にも作りたい」と、私設のダンスチーム・エキサイティングを立ち上げる。自分にも他人にも厳しい性格な上、口下手で言葉が足りないため、冷酷な人間だと思われやすい。 空気を切り裂くような鋭いダンスを踊る。エリノア・マクガイヤーが恋人で、日本で結婚する。

ミシェール・ラーセン (みしぇーるらーせん)

N・Y・D・Cの男性トップダンサーのひとり。カナダ出身。15歳からニューヨークに渡り、神崎崇史と出会うまではモダンバレエのダンサーとして活躍した。 萩原愛子を最初から見守り、「傷つく前に神崎崇史と離れるべきだ」と何度も忠告する。その後は、愛子のよき理解者として、保護者のように優しく支え続ける。 絹のような長髪と女性的な美貌の所有者。

エリノア・マクガイヤー (えりのあまくがいやー)

ニューヨーク・バレエ団のプリマ。神崎崇史の恋人で、N・Y・D・Cに客演していたが、練習中に足の腱を切ってしまい、倒れる。復帰後は、萩原愛子とともに舞台に立つ。神崎崇史と日本で結婚する。

当麻 一十三 (とうま ひとみ)

萩原愛子の仲間のひとり。ミュージカル劇団「バルーン」の中心メンバーだったが、造反して独立。エキサイティングに参加し、愛子と羽佐間慎とともにニューヨークに渡り、N・Y・D・Cのダンサーとなる。グリニッジビレッジのロフトを借りて、慎と同居をしている。

椎名 緋紗子 (しいな ひさこ)

エキサイティングの女性メンバー。容姿端麗なお嬢様で、クラシックバレエ暦10年だが、アキレス腱を切ってしまったため、トウシューズで長時間踊ることができなくなり、ジャズダンスに転向した。萩原愛子たちと一緒に一度はニューヨークへ渡ったが、スランプに悩み、帰国。クラシックバレエ時代のパートナーと結婚して、日本でバレエ教室を開く。

小沢 まゆみ (おざわ まゆみ)

萩原愛子のクラスメートで親友の女性。宝塚歌劇団に憧れてダンスをはじめ、アイドルのバックで踊る「ポップ・メイツ」のメインメンバーになる。その後、神崎崇史のダンスチームエキサイティングに選ばれる。メンバー全員でN・Y・D・Cのサマースクールに参加するが、そこで自分の才能の限界を自覚。ダンスをやめて大学に進学する。 大学生活のかたわら、サブマネージャーとして、エキサイティングを裏から支える。

片桐 勲 (かたぎり いさお)

エキサイティングの男性メンバー。羽佐間慎と一緒にディスコ・ダンスのチーム「シャークス」を作り、リーダーをつとめていた。ディスコのウェイターをしている。エキサイティングのメンバー全員でN・Y・D・Cのサマースクールに参加したが、ダンスに人生のすべてを捧げているダンサーたちを目のあたりにして、自分の甘さを痛感。 ダンサーになる夢をあきらめ、エキサイティングもやめる。

藤枝逸郎 (ふじえだ いつろう)

エキサイティングの男性メンバー。タップダンスの名手。実家は美容院。母ひとり子ひとりなので、海外奨学生の資格をとっても日本に残る。大きくなった新生エキサイティングでタップダンスを教えている。

米倉 (よねくら)

エキサイティングのメンバー。元体操選手の女性。実務能力に長けていて、チームの公演のポスター作りや宣伝、お金の管理などを一手に引き受ける。メンバー全員で参加したN・Y・D・Cのサマースクールから帰国して以後、ダンサーの道をあきらめ、エキサイティングを運営するマネージャーになる。

バーバラ・スペンサー (ばーばらすぺんさー)

N・Y・D・Cのダンサー。ブルックリン出身。萩原愛子と同時にN・Y・D・Cの団員試験に合格する。女性だが、身長は180センチある。愛子のよき友人として、慣れないニューヨークでの生活を支えてくれる。

マティ・シンクレア (まてぃしんくれあ)

N・Y・D・Cのダンサー。萩原愛子の後から団員として入る。金髪美人だが、東洋人の愛子を目の敵にしている。愛子が神崎崇史にひいきされていると思い、いやがらせをする。パリでの公演では、こっそり愛子の衣装を切るが、かえって愛子を奮起させてしまう結果となる。

ロベルト・バレル (ろべるとばれる)

ブロードウェイの名物ダンサー。下積み歴20年の男性。チケット制のダンス・スタジオなどで、若いダンサーたちの相談にのったり励ましたりして、慕われている。通称「ミスター」。自分のダンスを見失って悩んでいた萩原愛子と偶然、出会い、行くべき道を指し示す。その後、ミスター自身も大役をつかむ。

集団・組織

エキサイティング

世界的なダンサーである神崎崇史が、立ち上げたダンスチーム。日本のダンスシーンの層の薄さに不満を持った神埼が、「日本にも本物のダンスを」との思いで結成。N・Y・D・Cの日本公演キャストのオーディションで最終選考に残った7人が初期メンバーとなった。平均年齢19歳弱。第二期メンバーが入ったところで、企業主催のダンスフェスティバルに出場。 銀賞に輝き、スポンサーがついた。萩原愛子、羽佐間慎がニューヨークに渡ってからはさらに大きくなり、団員20人、研究生25人、その他に初心者クラスも抱えるチームに成長した。

N・Y・D・C (えぬわいでぃーしー)

アメリカ・ニューヨークにあるジャズダンス団。格の高さとレベルの高さ、規模の大きさで、世界でも有数のダンスカンパニー。

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