あらすじ
第1巻
ダンソンはドーラで宿屋を経営しており、魔王を倒すために旅をしているエルフィン・ドル一行を客として迎えた。エルフィンはいっしょに旅をしているシルファの貞操を狙おうとしていたが、ダンソンに阻止されてしまう。(エピソード「英雄の子孫」)
鎧が脱げなくなってしまった男、ゴレンが、宿屋に現れた。ダンソン達はローションを使って彼の鎧を脱がす事に成功したが、モンスターが現れたせいで、ゴレンはまた鎧を着る羽目になってしまう。だが、これにより鎧の機動力の悪さに気づいたゴレンは、今度はほぼ全裸で過ごすようになってしまう。(エピソード「さまよう鎧」)
ダンソンの娘、クマが、嫁ぎ先から自身の娘であるコマと共に帰って来た。ダンソンは驚きつつも話を聞くと、夫のマルコが魔王を倒すために家出をしたため、離婚したのだと言い出す。(エピソード「ファンタジー脳」)
クマがある日、いきなり宿屋のとなりに居酒屋を建て始めた。そんな中、建築にあたっていた大工が魔物に連れ去られてしまう。大工はピンチを脱するため、魔物を説得しようと試みる。(エピソード「誘拐」)
クマの経営する酒場「街のクマさん」がオープンした。半裸のゴレンが初めての客として来店し、迷惑な客を追い払ってくれたのだが、その後店を訪れたジョセフィーヌと怪しい雰囲気になってしまう。(エピソード「酒場開店」)
ダンソンを逆恨みしたエルフィンが、父親のエムス・ドルを引き連れて復讐にやって来た。エルフィンは自身を恥じる事なく父親に告げ口するが、ダンソンがエムスに、彼を叩きのめした理由を説明すると、だんだん雲行きが変わり始める。(エピソード「英雄再臨」)
クマが宿屋の店番をしているところにさすらいの鬼人が現れた。彼はチャラチャラした若者が嫌いだと言うが、そこへ運悪く若いカップルが泊まりに来てしまう。さすらいの鬼人とカップルを引き合わせないよう、クマは奮闘する。(エピソード「最高と最悪」)
ダンソンと武具屋の主人はとても仲が悪い。ある日、宿屋に泊まったカップルが武具屋に行くと、人当たりのいい武具屋の主人の歓待を受ける事となった。しかし、カップルが買い物を済ませたあと、武具屋の主人は本性を表わし始める。(エピソード「宿屋と武具屋」)
ある日、リカルという男が宿屋の壁に、勝手に自分の指名手配書を貼り出した。事情を尋ねるダンソンに、リカルは自分がレベル99であり、多数のダンジョンをクリアしてきたと語る。ダンソンがさらに話を聞いていくと、次々に驚きのエピソードが語られる。(エピソード「レベル」)
コマは、母親のクマが最近疲れている事を心配していた。そんな中、街中で触手を暴れさせるモンスターが出現し、コマが捕らわれてしまう。そこへ、行方不明になっていたマルコが助けに現れる。(エピソード「おかえり」)
第2巻
マルコは家族のもとに戻って来たものの、仕事をする気もなく、日々をだらだらと過ごしていた。クマが怒った事で、ようやくマルコは武器屋に就職する事となったが、仕事中の事故により武具屋の主人を傷つけてしまう。(エピソード「面接」)
女性を見るとすぐに興奮してしまうゴレンだったが、ある日クマに、女性を見ても興奮しなくなってしまったと、相談を持ち掛ける。すると、偶然その場にいた祈禱師のラウラが治療すると言い出す。(エピソード「やわらかスピリッツ」)
「大剣使いのジル」の異名で広くその名を知られるジルと、そのお供、ヴォルクがダンソンの宿屋を訪れた。コマが二人の話を聞いていくうちに、ジルの強さに関する意外な事実が明らかになる。(エピソード「大剣使いのジル王子」)
ダンソンとジョセフィーヌは、夫婦そろって温泉旅行に出発した。目的地に到着し、二人が露天風呂に入ってリラックスしていると、そこに突然モンスターが姿を現す。(エピソード「温泉旅行」)
シルファ姫の下着を盗んだ事で指名手配されているレター・フィルが、ダンソンの宿屋にやって来た。コマは彼と会話をするうちに、その本性を知る事となる。(エピソード「大魔法使い」)
ダンソンはある日、呪いにかかって「おっぱい」としか発言できなくなってしまった。呪いを解くためにラウラを頼るダンソンだったが、その原因はなんと彼が宿屋に冷凍保存しているそれがしにあるという。(エピソード「呪い」)
ヴォルクは大ケガを負ったジルを連れ、ダンソンの宿屋を訪れた。宿屋でジルを休ませる事になったが、そこにさすらいの鬼人が現れ、ジルの命を狙い始める。さすらいの鬼人からジルを守るべく、ヴォルクが立ち上がる。(エピソード「殺し合い」)
ダンソンは、客人の男が部屋で自害しようとしていたのを目撃し、彼を止める。話を聞くと、彼は妻に逃げられた復讐のために死ぬのだという。すると、その話を偶然聞いていたレターが、とんでもない事を提案する。(エピソード「復讐」)
マルコは、就職した武具屋の主人を傷付けた罪から逃れるために逃避行を続けていたが、その途中、海で遭難してしまう。困り果てたマルコの前に現れたのは、人魚の男性だった。(エピソード「善意」)
ミスノ、カイル、ハルト、ドラムの四人が宿屋を訪れた。そんな中、ジョセフィーヌの言葉から、ミスノがパーティー内で二股をかけている事が判明。ドラム一人を差し置いて、三人の関係は泥沼化してしまう。(エピソード「ビッチョビチョ」)
登場人物・キャラクター
ダンソン
ドーラで宿屋を経営する中年の男性。作中においては貴重な常識人で、破天荒な周囲へのツッコミ役を担う事が多い。妻のジョセフィーヌや娘家族に振り回される事も多く、家族にも容赦のないツッコミを入れる。普通の客に対しては優しく接するが、常識の範囲外の行動をされると口調が荒くなる。
ジョセフィーヌ
ダンソンの妻。共に宿屋で働く中年の女性。太目な体型で、おばさん扱いをされているが、本人は好んでセクシーな衣装を着るため、周囲を困らせている。男癖が悪い一面があり、宿屋に訪れた旅人を誘惑する事がある。時折風俗店のような口調で接客して、ダンソンから怒られている。
クマ
ダンソンとジョセフィーヌの娘。黒い短髪の女性で、若く見えるが、年齢は30歳を超えている。両親とは別居し、夫のマルコと娘のコマと別の街に住んでいた。冒険に出ようとするマルコに強く反発し、現実的な生活を望んでいたが、彼が家出同然で冒険に行ってしまったため、離婚して、コマと共に実家であるドーラの宿屋に戻った。 その後は、宿屋のとなりに居酒屋「街のクマさん」を開店し、バーテンダーとして働くようになったが、時おり宿屋の手伝いもしている。マルコの事もあり、冒険をしている男性に対してはつい攻撃的になり、強くあたってしまう。のちにマルコと再会して仲直りするが、マルコに働く気がない事を見かね、離婚は継続中となっている。しかしマルコの事は嫌いではなく、スキンシップなどは行っている。
コマ
クマとマルコの幼い一人娘。水色の髪をショートカットにしている。いたずらが好きで、その標的は宿屋の利用客にも及ぶ。クマに似たキツい性格で、時おり辛辣な言葉を投げかける事もあり、幼いながらも達観している。メイルに会ってからは行動を共にする事が多くなり、友達として付き合っている。
マルコ
クマの夫で、コマの父親。長髪をオールバックにし、無精ひげを生やしている。結婚当初は安定した仕事をしていたが、ある日突然、給料をはたいて鎧一式を購入し、魔物を倒しに行くと言って家出してしまう。それがきっかけで、クマに離婚される事となった。のちに家族のもとへ帰還するが、働き口を見つけられず、またマルコ自身にも働く気があまりないため、離婚は継続中である。 一度武具屋での就職が決まったが、事故で店の主人を怪我させたうえ、店に置いてあった剣を盗んで逃走し、再度行方不明になってしまう。逃げている途中、魔王を倒す事で問題がすべて解決すると考え、現在は一人旅をしている。
ゴレン
ダンソンの経営する宿屋に現れた成人男性。体毛が濃く体格がいい。宿屋に訪れた当初は重い鎧を装備しており「重装備のゴレン」という異名を得ていたが、機動性の悪さに気づくと、すべて脱いで裸同然で生活するようになり、「軽装備のゴレン」と名を改めた。
エルフィン・ドル (えるふぃんどる)
魔物を退治するためにシルファとそれがしとともに旅をしている勇者の青年。100年前に魔王を倒した英雄の子孫で、武術の腕前も長けている。しかし自分が勇者だからという理由だけで旅をしており、正義感などは特に持っていない。そのため仲間であるシルファを狙っていたが、ダンソンによって阻止されたうえ、殴られてしまう。 その事を逆恨みして、父親のエムス・ドルへ言いつける、という子供っぽい一面もある。
シルファ
エルフィン・ドルとそれがしとともに旅をしている少女。長髪で、見た目は幼いが、スタイルはいい。一国の姫であり、世間を知らないため、エルフィンに襲われそうになっても気がつかなかった。
それがし
エルフィン・ドルとシルファとともに旅をしている青年。鎧を装備し、武人然とした態度の戦士。一人称が「某」である事から、周囲からは「それがし」と呼ばれているが、本名かどうかは不明。一度戦闘に敗れて死亡し、宿屋で保管されていたが、その後魔法で生き返った。戦闘力は高いものの、エルフィンがシルファと二人きりになれない事から彼に邪険にされている。
武具屋の主人 (ぶぐやのしゅじん)
宿屋の近くで武具屋を営む中年男性。客への人当たりはいいが、ダンソンに対しては悪態をつく。また、変態気質であり、若い女性の防具や服を着て愉悦に浸っている。
ラウラ
祈禱師の成人女性。抜群のプロポーションを持ち、服装も露出度が高め。呪いなどを解く力があると公言しているが、その方法は胸の谷間に相手の顔を埋めるというもので、具体的な能力は不明である。
ジル
魔王を退治するためにヴォルクと旅をしている青年。ゴルド国の王子で、顔立ちもよい。大剣を持って魔物と戦うと伝えられているが、実は魔物を倒すのはすべてヴォルクの仕事で、ジル本人は特に何もしていない。ジル自身もその事には自覚があり、自分に強い力があるというような噓をつく事はなく、ヴォルクを大切な存在だと言っている。 また、穏やかな性格であり、宿屋に泊まった際に、コマからいたずらをされても怒る事はなかった。
ヴォルク
ジルと共に旅をしている中年の男性。ジルの側近としても働いており、つねに身辺を警戒している。ジルを持ち上げすぎる傾向があり、道中の魔物退治はすべてヴォルクが行っているが、それをジルの成果だと言いふらしている。
レター・フィル (れたーふぃる)
魔法の研究をしている青年。黒髪の短髪で、眼鏡をかけている。頭脳明晰で容姿もいいが、自他共に認める変態で、シルファのストーカーを堂々と公言している。シルファの下着を盗んだ事で指名手配になっており、宿屋に隠れている。錬金術でシルファのクローンであるメイルを作ったが、自分で描いた落書きのような似顔絵のまま出来上がってしまった。 変態である事に誇りを持っている。
メイル
レター・フィルが錬金術で作り出したシルファのクローン。人形のような大きさで、言葉を話す事ができるが、顔はレターの描いた落書きのままである。レターの事を「先生」と呼んで従っている。コマと仲がいい。
エムス・ドル (えむすどる)
エルフィン・ドルの父親。中年の男性で、険しい顔をしている。エルフィンと同じく英雄の血を引く者で、武術に長けている。エルフィンを殴ったダンソンに復讐をしに宿屋に向かったが、エルフィンがシルファを襲おうとした事が原因と知ると、復讐をやめてエルフィンの方を制裁した。厳格のようにも見えるが、エルフィンと同じく女性にはだらしなく、若い娘が好き。
大工 (だいく)
大工の棟梁を務める男性。クマの居酒屋を建てた。職人気質の頑固者で、モンスターに連れ去られた時も冷静に対処をしていた。
さすらいの鬼人 (さすらいのきじん)
宿屋に現れた男性。体格が大きく、顔には傷があり、野性的な見た目をしている。さすらいの鬼人は自分で付けた呼び名で、周知はされていない。チャラチャラした若者には厳しく、見つけ次第殺すと断言している。しかし自身が同性愛者であるため、好みの男性であれば助ける。
キッコロ
若い女性。男性にだらしなく、つねに別の男性と付き合っている。自分以外の女性もすべて尻軽だと考えている。男に媚を売る女が嫌いで、自分は媚を売るくらいなら体を売ると断言している。
リカル
自称レベル99の男性。黒髪の長髪で、恰幅のいい立ち姿をしている。見た目は強そうだが、実際は特に強くもなく、話す事すべてがでまかせである。宿屋の壁に自作の指名手配書を貼っていた。
人魚 (にんぎょ)
マルコが海で漂流している時に出会った男性の人魚。腰から下が魚になっている。マルコの着ていた鎧を売りはらったりして怒られていたが、大きな魚に襲われたところをマルコに助けてもらった事でなかよくなった。
ミスノ
ハルト、カイル、ドラムと旅をしている若い女性。ハルトとカイルに二股をかけていたが、あざとい性格で、事が判明しても開き直っていた。
ハルト
ミスノ、カイル、ドラムと旅をする青年。パーティーの中ではリーダーのような立ち位置である。ビジュアル系バンドのような出で立ちで、ジョセフィーヌからは「ボーカル」と呼ばれるが、特にバンドを組んでいるわけではない。ミスノとは真剣に付き合っていると思っていたが、二股をかけられていた事が判明し、パーティーを解散した。
カイル
ミスノ、ハルト、ドラムと旅をする青年。ビジュアル系バンドのような出で立ちで、ジョセフィーヌからは「ベース」と呼ばれるが、特にバンドを組んでいるわけではない。ミスノとは内緒の付き合いをしているつもりだったが、二股をかけられていた事が判明し、パーティーを解散した。
ドラム
ミスノ、カイル、ハルトと旅をする青年。太目の体型で、ジョセフィーヌからは「ドラム」と呼ばれるが、特にバンドを組んでいるわけではない。ほかのメンバーにも「ドラム」と呼ばれており、本名は不明。パーティーの中ではぞんざいに扱われている。
場所
ドーラ
世界最高峰のダンジョンを要する街。そのダンジョンを攻略するために世界各地から冒険者が訪れ、にぎわっている。ダンソンが営業する宿屋もこの街にあり、冒険者達を相手に繁盛している。