CITY

CITY

テレビアニメ化もされた『日常』で知られるあらゐけいいちの週刊連載作品。不思議な街CITYには、南雲美鳥をはじめ一風変わった人ばかりが住んでいる。彼女らの日常の姿を描いた、ちょっとシュールなギャグストーリー。講談社「モーニング」2016年44号から2021年10号まで連載。

正式名称
CITY
ふりがな
してぃ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊13巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

ギャンブルが大好きな女子大生・南雲美鳥は家賃を2か月分ため込み、大家である御婆から激しい取り立てに遭っていた。いつも通り、同じアパートに住む新倉に金の無心をしようとする南雲だったが、その気配を察した新倉には逃げられてしまう。御婆から逃れようとする中、南雲は偶然通りかかった洋食屋「マカベ」の前に飾られていた埴輪を見つけ、勝手に質屋へと持ち込む。すると質屋は、その埴輪にとんでもない高値をつけ、ぜひ譲ってほしいと頭を下げるのだった。怖くなった南雲は埴輪を元の場所に戻しに行くが、そこで真壁立涌から声を掛けられ、驚きのあまり埴輪を落として壊してしまう。埴輪に値打ちがあるとは知らない立涌は、必死に頭を下げる南雲を新しいアルバイトと勘違いし、一方的に彼女の採用が決まる。実は「マカベ」の店長である真壁鶴菱の義母は御婆であり、なおかつ御婆からため込んだ家賃の代わりに部屋の荷物を差し押さえられたため、南雲は逃げる事ができなくなってしまう。こうして「マカベ」でのアルバイトを続けていくうちに、仕事に慣れた南雲は店の残り物をもらい、それを新倉に御馳走する事で、これまで彼女に借りた金を踏み倒そうと計画するのだった。

第2巻

新倉の部屋に泊まった際、彼女の財布から金を抜き取ってこっそり部屋から出て行こうとした南雲美鳥は、ドアの外で同じアパートに住む鬼カマボコにぶつかりそうになり、宙返りしてそれを回避する。同じアパートに住む泉わこは、その瞬間をとっさに写真におさめる。わこは南雲の身体能力に興味を持ち、彼女の素性を聞くために新倉に接触する。後日、わこと新倉、南雲の三人は同じモンブラン大学の学生である事が判明する。過去に写真コンテストで大賞を取ったことがあるわこの名前を知っていた新倉は、彼女から写真の技術を教わろうとする。一方のわこは面白い被写体として南雲にモデルになってほしいと頼み込み、南雲はわこにその見返りとして獲得した賞金をねだる。こうして三人のあいだに、不思議な利害関係が生まれるのだった。

第3巻

ある日、新倉の部屋で宝の地図が見つかる。南雲美鳥泉わこ、そして新倉の三人は、その地図をもとに競って宝さがしを開始する。しかし地図の指し示すポイントにはなにもなく、宝の地図は実は御婆が書いた偽物だった事を知る。いつか御婆に一泡吹かせてやりたいと団結した三人のあいだには、不思議な絆が芽生えていた。破天荒な南雲、まじめな新倉、不思議キャラのわこと、三人三様でありながら彼女たちの仲は深まっていく。一方その頃、鬼カマボコは、と新しく始まる連載漫画の打ち合わせをしていた。自分とぶつかりそうになった時に南雲が見せた身体能力に惚れ込んだ鬼カマボコは、新作の中に、南雲をモデルにしたキャラクターを登場させたいと提案する。

登場人物・キャラクター

南雲 美鳥 (なぐも みどり)

モンブラン大学に通う2年生の女子。スポーツ万能で、高校の時にあらゆる部活の道場破りをした事で、高校ではちょっとした有名人だった。自由奔放な性格のギャンブラー気質で、何かと賭け事にお金をつぎ込んでおり、いつも金欠状態。そのため後輩の新倉にしょっちゅうお金をたかっているが、借りたら必ず返す律儀なところがある。モクメセイ荘に住んでおり、天敵の御婆からはいつも逃げ回っている。 家賃を稼ぐためにマカベでアルバイトを始める。

新倉 (にいくら)

モンブラン大学に通う1年生の女子で、年齢は18歳。南雲美鳥の後輩で、なにかと南雲にいいように使われている。カメラマンになるのが夢で、日常の面白い風景を見つけては写真におさめている。高校生の頃に南雲に出会い、彼女の雄姿を写真に撮った事で、自らの写真の才能に気づき、なおかつそれがきっかけで友達をつくる事ができた。 南雲と同じくモクメセイ荘に住んでいる。

泉 わこ (いずみ わこ)

モンブラン大学に通う2年生の女子で、年齢は20歳。マイペースで天然気味な性格だが、自分では平凡な人生を歩んできたと思っている。落ち込んだ時はシイタケの裏のヒダヒダを触って心を癒し、動揺した時は墨汁の匂いを嗅いで心を落ちつかせている。写真を撮るのが趣味で、雑誌で大賞を取った事もあるが、金に執着がまったくないので賞金の10万円はすべて寄付した。 南雲と同じくモクメセイ荘に住んでいる。

真壁 立涌 (まかべ たてわく)

CITY南高校に通う男子で、サッカー部に所属している。真壁鶴菱の息子で、真壁まつりの兄。実家の洋食屋「マカベ」を手伝っていたが、南雲美鳥がアルバイトに来た事で、土日はサッカー部に集中する事ができるようになった。騙されやすいいじられキャラで、なにかとまつりと鶴菱の笑い者になってしまう。

真壁 まつり (まかべ まつり)

CITY南中学校に通う女子。真壁鶴菱の娘で、真壁立涌の妹。クラスメイトで帰宅部同士のえっちゃんと仲がよく、いつもいっしょに遊んでいる。鶴菱と共に、騙されやすい性格の立涌をからかって遊ぶのを楽しんでいる。

真壁 鶴菱 (まかべ つるびし)

洋食屋「マカベ」の店長で、真壁立涌と真壁まつりの父親。御婆にとっては義理の息子。基本的にはまじめでコツコツがんばる努力家だが、怒られるのが嫌で、悪い事をしても謝らずにごまかそうとする子供のようなところがある。まつりと共に、騙されやすい性格の立涌をからかって遊ぶのを楽しんでいる。

御婆 (おばば)

南雲美鳥、新倉らが住んでいるアパートの大家を務める老婆。真壁鶴菱にとっては義理の母親にあたる。見た目は小柄な老人だが、実は格闘家並みに高い身体能力を持つ。家賃を滞納する南雲の私物をすべて没収し、質に預けたりと、非情な性格の持ち主。

本官 (ほんかん)

CITYの交番に勤務する警察官。怪我をしたタナベの代わりにやってきたばかりの新人。まじめで喜怒哀楽を表す事がほとんどなく、いつも無表情な人物。責任感が強く、融通がきかない一方で、困った事態に陥ると、少しだけ現実逃避をして世の無常に浸る癖がある。

安達太良 (あだたら)

酒店を経営している大家族の一員である謎の老人。機械が好きで、家の中にいろいろなものを取り付けている。真壁家に対して恨みを持っており、洋食屋「マカベ」の店内に盗聴器とカメラを仕掛けている。マンホールの蓋を偽物にすり替えて落とし穴にしたり、「マカベ」の物である土偶を道端に捨てたりと、地味な嫌がらせをする。

えっちゃん

CITY南中学校に通う女子で、真壁まつりのクラスメイト。いつもまつりと共に、帰宅部としての部活動に取り組んでいる。お寺の繁みにこっそり隠れて、お参りに来た人の願いを叶える「神様ごっこ」が最近のお気に入りの遊び。また、テレビで相撲を見るのが大好き。

泉 りこ (いずみ りこ)

CITY南高校に通う2年生の女子で、泉わこの妹。つねに寝不足でぼーっとしており、授業中に寝てしまう事が多い。クラスメイトである安達太良良太によって何かと助けられているが、泉りこ本人は寝ているのでその事に気づいていない。

安達太良 良太 (あだたら りょうた)

CITY南高校に通う2年生の男子で、泉りこのクラスメイト。安達太良の息子。身体能力が高く、それを自分のためでなく友達のために全力で使っている。いつも不敵な笑みを浮かべ、ほとんど口を開く事はないが、常人離れしたスピードで何かと仲間を助けており、クラスメイトたちからの信頼も厚い。

笹子 (ささご)

CITY南高校のサッカー部に所属する男子。サッカーの技術は「ペレ」並みの才能を誇るが怪我をしやすいのが難点で、試合とは関係なくちょっとした事ですぐに負傷する。笹子本人は自分の能力を評価してもらうよりも、チームのみんなと共に試合に勝つ事に重点を置いている。

(とどろき)

週刊CITY編集部で働く男性で、漫画家・鬼カマボコの担当をしている。鬼カマボコの作品「落胆くん」の大ファンでもあり、担当作家をほめて伸ばすタイプ。自由な性格の人物が多い編集部の中で、唯一と言っていい良識家という事で、ツッコミ役を担う事が多い。ただ可愛い女性に弱く、少々感性がズレているところもある。

あらま

週刊CITY編集部で働く若くて可愛い女性。占いを信じ、ラッキーアイテムのミニスカートをいつもはいている。無邪気で素直な性格でつねに笑顔という事もあり、職場の癒し系として轟や編集長から大切にされている。

編集長 (へんしゅうちょう)

週刊CITY編集部で働く初老の男性で、眼鏡をかけ、口ひげを生やし、いつも短パンとアロハシャツ姿でいる。雑誌に掲載されている占いの内容をダーツで決めたりと、自由奔放な性格をしている。

鬼カマボコ (おにかまぼこ)

漫画家をしている男性で、週刊CITY編集部の出版する雑誌に「落胆くん」という漫画を連載していた。涙もろく、担当者である轟に心のこもった賛辞を送られるたびに大量の涙を流す。「落胆くん」が打ち切りになったものの、すぐに次の連載が決まった。モクメセイ荘に住んでいる。

タナベ

本官の前任者として交番勤務をしていた金持ちのお嬢様。現在は足を骨折して療養中。退屈で仕方がなく、暇つぶしに思いつきでイベントを開催したが、告知が少なすぎて人が集まらずに中止になった。ほかにも、街で見かけたいい人を表彰したいと考え、その人物の張り紙を交番に貼ったりなど、行動がどこかズレている。

穂高 (ほたか)

タナベのもとで働いている初老の男性。眼鏡をかけており、表情を変える事はほとんどない。タナベに忠誠を誓っており、彼女のためならどんな事も辞さない。身体能力は高く、常人離れしているが、その能力を使う際には善悪などは考えず、命令に忠実に従おうとする。

場所

CITY (してぃ)

南雲美鳥らが住んでいる街。CITY南中学校、CITY南高校、モンブラン大学がある。平和な街なので、交番はあるもののめったに事件は起こらない。緑が豊かで、大きな川が流れている。

マカベ

真壁鶴菱が経営する洋食屋で、息子の真壁立涌が手伝っている。新しくアルバイトとして南雲美鳥を雇い入れた。洋食屋ではあるが、メニューにはかた焼きそばもあり、リクエストがあれば蕎麦を打つ事もある。ポイントカードを発行しており、スタンプを5個貯めた客にはオリジナルマスコット・マカベェの人形をプレゼントしている。 出前のサービスも行っている。

週刊CITY編集部 (しゅうかんしてぃへんしゅうぶ)

轟やあらま、編集長が勤務する職場で、雑誌編集をしている。編集長の服装がラフという事もあり、職場もアットホームな雰囲気が漂っている。出版雑誌には鬼カマボコによる「落胆くん」が連載されていたが、打ち切りとなった。ちなみに占いページの内容は、編集者たちによるルーレットとダーツで決められている。

モクメセイ荘 (もくめせいそう)

南雲美鳥や新倉、泉わこが住んでいる木造アパートで、御婆が大家を務めている。南雲が料金滞納によってライフラインを止められると、わこといっしょに新倉の部屋に泊まりにやって来る。鬼カマボコも同じアパートに住んでいる。

モンブラン大学 (もんぶらんだいがく)

南雲美鳥や新倉、泉わこが通っている大学。CITYキャンパスには緑が多く、キャンパス内には池や小島がある。学部には人文学部、工学部、モンブラン学部がある。ヒマで大らかな学生が多い。

CITY南中学校 (してぃみなみちゅうがっこう)

真壁まつり、えっちゃんが通っている中学校。道路を挟んで隣の敷地には、CITY南高校がある。女子の制服はセーラー服で、襟とスカートは紺色。

CITY南高校 (してぃみなみこうこう)

真壁立涌や泉りこ、安達太良良太が通っている高校。道路を挟んで隣の敷地には、CITY南中学校がある。女子の制服はセーラー服で、CITY南中学校の制服とあまり変わらないが、違いは襟に白線がある事とリボンの形のみ。

書誌情報

CITY 13巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2017-03-23発行、 978-4063887082)

第2巻

(2017-04-21発行、 978-4063887198)

第3巻

(2017-09-22発行、 978-4065102299)

第4巻

(2018-03-23発行、 978-4065111574)

第5巻

(2018-07-23発行、 978-4065120262)

第6巻

(2018-11-22発行、 978-4065136102)

第7巻

(2019-03-22発行、 978-4065149546)

第8巻

(2019-07-23発行、 978-4065162958)

第9巻

(2019-11-21発行、 978-4065177822)

第10巻

(2020-03-23発行、 978-4065189337)

第11巻

(2020-08-20発行、 978-4065203064)

第12巻

(2020-11-20発行、 978-4065203071)

第13巻

(2021-04-23発行、 978-4065221167)

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