ダンジョンズ&ドラゴンズ

ダンジョンズ&ドラゴンズ

ごく普通の娘だったアリスが、ドラゴン研究家の男性、ソーサリー・スペルとの出会いをきっかけとして、巨大なドラゴンとの遭遇から謎の異世界への訪問まで、ありとあらゆるファンタジックな出来事に遭遇する姿を描いていく、ほのぼのした雰囲気のギャグファンタジー作品。「mini Excellent」に、1986年から1990年まで不定期に連載された。

正式名称
ダンジョンズ&ドラゴンズ
ふりがな
だんじょんずあんどどらごんず
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

ある日、街角で謎の荷物を運んでいた不思議な青年を手助けしたアリスに、差出人が不明の白い小包が届けられる。突如として燃え出した小包に水を掛け、ほうほうのていで鎮火させたアリスは、中に何が入っているかを調べたものの、箱の中身は空であった。不審に思いつつも自室へと引き返したアリスの前に、先ほど街角で出会った青年が突如として現われ、昼間のお礼としてアリスに小包を送った事を語る。火を消すために小包に水を掛けた事を青年に伝えると、彼はひどく落胆しながら、アリスの自宅にある地下室へと姿を消してしまう。彼のあとを追い、地下室へと入ったアリスは、そこがどういうわけか巨大な竜の住処になっているのを目撃。アリスは、自分が平凡な日常から非常識なファンタジー世界に誘われた事を知るのだった。(Level1「ダンジョンズ&ドラゴンズ」)

洋服タンスの中から現れた例の青年に導かれ、彼の部屋を訪問したアリスは、そこで青年がソーサリー・スペルという名のドラゴン研究家であり、彼が幻の紫ドラゴンを追っている事を知る。その時、スペルからもらったドラゴンの銀竜が、アリスの部屋に落ちてきた紫ドラゴンの卵を持って来る。卵を失った紫ドラゴンの怒りを恐れたスペルは、空とぶじゅうたんに乗り、アリスを引き連れて紫ドラゴンの住処へと向かう。そこで紫ドラゴンのつがいを発見したアリスとスペルは、いきり立つ紫ドラゴンに卵を返そうとする。(Level2「紫ドラゴンの卵」) 

アリスは、家族といっしょにピクニックに出掛けた。しかし、目的地の海岸で遊んでいた銀竜が忽然と姿を消してしまった。銀竜を探すため、スペルを呼び出したアリスは、彼から、今日が「砂の魔女」が現れる「サンドウィッチの日」という特別な日である事を知らされる。強大な魔女の力に導かれ、砂だらけの異世界へと迷い込んでしまったアリスとスペルは、そこで砂の魔女、サンドウィッチと出会う。(Level3「サンドウィッチ」) 

平穏な時間が流れていたある日、アリスの部屋で突如として大爆発が発生。そして、爆発と共に地下深くに出現した「溶岩竜」によって、銀竜が連れ去られる事件が起こった。銀竜を取り戻すため、溶岩竜が探している宝物のフライパンを届ける事になったアリスは、スペルの助力を得て、地下迷宮をさまようのだった。(Level4「メイズ」) 

冬を迎え、アリスの住む町は吹雪に見舞われていた。そんな折、福引で常夏の島「ラックアイランド」のペア招待チケットを当てたスペルは、さっそくアリスを誘って楽しい旅行へと出発。浜辺で謎の洞窟を見つけた二人は、勢いで内部を探索するが、そこでは運だめしのルーレットやくじ引きが行われており、文字通りの「ラックアイランド」である事が判明する。(Level5「ラックアイランド」) 

スペルが落とした小さなカギを自宅で発見したアリスは、なぜか太陽が存在しない、真っ暗な異世界へと送られてしまう。そこで頭部から光を発する原住民に出会い、その助けを借りたアリスは、周囲の探索を開始する。(Level6「夜の島」)

 アリスのママは、教会のバザーに出す縫物を作っていた。それを見ていたスペルは、自分もバザーへの出品を決意。アリスと検討した末、何の変哲もない子ブタの貯金箱を出品するが、実は中から何度でも1シリング硬貨が出て来る、魔法のかかった貯金箱であった事が判明。世間に魔法がバレる事をよしとしないアリスは、売れてしまった貯金箱を探し、回収しようとする。(Level7「宝さがし」)  

第2巻

ある冷える夜に、ソーサリー・スペルに誘われたアリスは、彼の自室までココアを飲みに行った。喋るペンギンに間貸しされたうえ、プラネタリウム兼喫茶店に改装されたスペルの部屋で、ココアを飲んでいたアリスだったが、自分達のいるところが、急速に成長し続ける巨大な樹木の葉っぱの上であると知って驚愕する。(Level8「流星雨」)

ある日、アリスは財布が入っている自室の机の引き出しが、開かなくなった事に気づいた。家族の協力を得て、強引に引き出しを開けたものの、アリスはどうも腑に落ちない。その夜、自室で就寝していたアリスは、机の中から出てきた奇妙な人形のような物体が、空中を自在に浮遊しているのを目撃してしまう。(Level9「黒い人」) 

街の花屋を見ていたアリスは、そこに現れたスペルに花をプレゼントしてもらえる事になった。期待に胸を膨らませるアリスだったが、自室に届いたのは鉢植えに咲く、何の変哲もない地味で小さい一輪の花。内心ガッカリしたものの、喜ぶスペルの姿を見て何も言えなくなってしまったアリス。スペルとプールに遊びに行った帰り、自室に戻ったアリスは、小さな花が増え、淡い光を放ちながら宙を舞っているのを目撃する。(Level10「まぼろしの花」) 

ある晩、自室で就寝していたアリスは、夢うつつの状態でスペルが自分を呼ぶ声を聞く。目を覚まし、ベッドから出たアリスは、スペルの家に通じている洋服ダンスの前が、アリスと銀竜が通れない、目に見えない壁で阻まれている事実を知る。しかし困惑するアリスをよそに、アリスのママは平然と見えない壁を抜け、洋服ダンスを開けるのだった。(Level11「見えない壁」)

種の衰退により、銀竜は世界で最後の1匹となっていた。銀竜の友達となるドラゴンを見つけたかったアリスは、スペルにドラゴン探しをお願いするが、特にあてのないスペルが向かったのは街の動物園。望み薄な展開に落胆するアリスだったが、そこで二人は連れて行った銀竜をまじまじと見つめる謎の男性に出会う。(Level12「おともだち」) 

バザーに出品するため、古い帽子を洋服ダンスから物色していたアリスは、見覚えのない古ぼけた麦わら帽子に目を止める。それをかぶった瞬間、アリスの体は果てしない宇宙空間へと飛ばされてしまうが、すんでのところでスペルに助けられる。命の危険すらあった状況に、思わず怒鳴ってしまったスペルの物言いに対し、理不尽さを感じたアリスは激怒。スペルに対して洋服ダンスの入り口を封じるように言い渡す。(Level13「ハット」)

洋服ダンスから出てきた開かない謎の箱に悪戦苦闘していたアリスは、スペルの誘いに応じ、空とぶじゅうたんで空中散歩に出かける。留守番をしていた銀竜は、寝ているあいだに、偶然にも開かない箱の封印を解いてしまう。言い知れぬ違和感を感じた銀竜は辺りを探索するが、謎の力により、時の流れが止まってしまった事を銀竜は理解する。(Level14「魔法の箱」) 

ある日、自宅に送られて来た通販カタログを見ていたアリスは、「生のドラゴンプレゼント」というワードに目を奪われる。大いに興味が沸いたアリスは、さっそく商品を注文。就寝後に配達された商品に付いて来た生のドラゴンとは、「生のドラゴンステーキ」の事だった。不審に思ったスペルとアリスは、空飛ぶじゅうたんで配達人のあとをつけ、その先で見つけた「ドラゴンの店」に入り込む。(Level15「ドラゴン通信販売」) 

登場人物・キャラクター

アリス

日々レポートに追われる平凡な女学生。ドラゴン研究家の男性ソーサリー・スペルとの出会いをきっかけに、彼の奇妙な研究の影響を受けてしまい、異世界への訪問や魔法使いとの出会い、ドラゴンとの遭遇など、数多くの不可解な出来事に半ば強制的に巻き込まれるようになる。最初はそういった非日常的な状況に陥るたびに動揺を見せていたが、場数を踏むうちにそれらの非日常性にも徐々に慣れ、適応していく。 ほとんどアリスの自宅に住んでいるような状態になったスペルとは、少々呆れを見せつつも良き友人として付き合っている。危険な紫ドラゴンの夫婦のもとに単身で突っ込んで、卵を孵すなど見た目よりも肝の据わった性格。スペルから送られたペットの銀竜を可愛がっている。

ソーサリー・スペル (そーさりーすぺる)

ドラゴンの研究をしている、飄々とした温厚な性格の男性。街角でアリスに助けられ、そのお礼に銀竜を送ったことが縁となり、彼女と友人になった。自宅の地下迷路にコレクションとして多くのドラゴンを飼っており、さらにドラゴンをお菓子などに変化させる魔法的な技術も会得している。自宅のドアを別の家のドアやゴミ箱などと繋げて行き来することもでき、自宅とアリスの洋服ダンスを連絡して、たびたび彼女のもとを訪れていた。 ドラゴンの研究家としては有能だが、危険なアイテムをアリスの家に放置したりするなど、少々間の抜けたところがある。また、道路を横断するのが何より苦手で、他人の家には窓から訪問するという根っからの変人。

アリスのママ

アリスの母親で、家庭的な優しい女性。編み物を得意としており、教会のバザーではオリジナルのピローケースを出品し、毎年1位の売り上げを記録している。アリスが飼っている銀竜のことも変わった形をしたライターであると勘違いしているほど天然でおおらかな性格。

サンドウィッチ

45年に一度、世界のどこかに現われるという魔女。彼女が現われる夜は「砂の魔女(サンドウィッチ)の夜」と呼ばれており、半径数キロの地域がその対象となる。食べ物の「サンドウィッチ」と自分の名前が同じことを気にしており、さらに45年ぶりに姿を現したにも関わらず、誰も自分を知らないことに対しても大いに腹を立てていた。

銀竜 (ぎんりゅう)

ソーサリー・スペルがペットとしてアリスに送った小さなドラゴン。アリスが水をかけてしまったことで一度は消失したが、スペルの尽力により復活した。ところかまわず炎を吐き出すクセがあり、アリスの家族からは動くライターと勘違いされている。炎を吐く以外に、離れた物体を触れることなく動かせるという特技を持つ。仲間はおらず、この種の最後の生き残りとされている。

紫ドラゴン (むらさきどらごん)

ソーサリー・スペルいわく、巨大な幻のドラゴン。虹の向こう側に住んでおり、虹の橋の根っこまで行かないとその姿を拝むことはできない。非常に子煩悩な性格で、大事な卵を失った場合は我を忘れて大暴れする。

火竜 (さらまんだー)

銀竜をつけ狙う動物園の人と、アリスから誤解を受けていた男性が飼っていたドラゴン。男性が地下鉄のホームで偶然拾い、大事に育てていた。吐き出す炎をうまくコントロールできず、大声で笑わせるとあちこちを焦がしてしまう。ソーサリー・スペルをして「火竜はもう全滅したと思っていた……」と言わしめたほど貴重な種。

その他キーワード

空とぶじゅうたん (そらとぶじゅうたん)

ソーサリー・スペルが紫ドラゴンのもとに向かう際に使った、その名の通り飛翔する魔法のじゅうたん。アリスの常識からするとあまりにも突飛な存在であったため、乗り込む前に「こーゆー非科学的なものに乗りたくない」などとしばし葛藤していた。

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