歌劇の国のアリス

歌劇の国のアリス

樋口橘の『学園アリス』の続編。前作の舞台、国立アリス学園の関連施設である国立アリス歌劇団付属音楽学校で、超能力、アリスを有する生徒らに揉まれながら奮闘する、アリスを持たない一般人の安藤星の活躍と成長を描く日常系漫画。

正式名称
歌劇の国のアリス
ふりがな
かげきのくにのありす
作者
ジャンル
ファンタジー
 
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あらすじ

第1巻

超能力、アリスを有する兄の安藤翼と再会するために国立アリス歌劇団付属音楽学校に入学した安藤星は、将来のトップスターとして期待される四之宮遠麻の生活指導を受ける事になる。遠麻が女装した少年である事に気づいた星は、同時に遠麻が複雑な事情から命を狙われ、国立アリス歌劇団付属音楽学校に身を隠すために在籍している事を知る。校内のトップシークレットを知った星は退学の危機に立たされるが、校長の鳴海の温情措置で、1か月のあいだ何の問題も起こさなければ退学せずに済む事になった。そんな中、星は遠麻を襲う刺客を得意の剣道で撃退しながら、遠麻との友情を育んでいく。一方、強力なアリスを有する遠麻は自身の能力を嫌っており、いつか能力なしで娘役トップスターとして舞台に立つ事を夢見ていた。そんな不屈の精神を持つ遠麻を見ているうちに、星は自身もいつか男役トップスターとして、遠麻と共に舞台に立ちたいと思うようになっていく。そんな中、星は翼との感動の再会を果たすが、翼は「死の王子」の悪評で知られる遠麻を危険視していた。

第2巻

国立アリス歌劇団付属音楽学校の生徒一同は、修学旅行と称して、隣接する国立アリス学園アリス祭に視察に行く事になった。安藤星は、国立アリス学園高等部に在籍する兄の安藤翼に会える事を喜ぶが、男役志望者はアリス祭の最中、ずっと男装している事が義務づけられると知り、困惑する。さらには、アリス祭で観客が多い事を利用して、男装している生徒達は、男装総選挙による人気投票に参加しなければならない事になってしまう。男らしさとは何なのかと悩む星は、男性ながら完璧な少女を演じる四之宮遠麻に刺激を受け、立ち居振る舞いから男らしさを身につけようと奮闘。努力の結果、星は初日の男装総選挙で5位に滑り込み、翌日の最終審査への進出が決定するが、そこで最終審査ではキスシーンの実技審査がある事を知る。星はキスも恋愛も未経験であったため困惑するが、それを見た見た遠麻が、キスの芝居に付き合ってくれる事となる。こうして遠麻と二人きりになった星は、自分が彼と本当にキスをしたいと考えている事に気づく。思いを打ち明けた結果、遠麻も同じ気持ちだと知った星は感激し、二人は唇を重ね合わせる。

第3巻

男装総選挙の最終審査に臨む安藤星に対し、四之宮遠麻はお守りとして肌身離さず持っていたアリスストーンのネックレスを託した。だが、実はそのネックレスは遠麻の祖国における王位継承の証だった。その後、アリスストーンのネックレスを狙う刺客に襲われた遠麻は、ネックレスの庇護を受ける事ができずに捕らわれてしまう。遠麻がアリスストーンのネックレスを所持していない事に気づいた刺客は、現在の所有者である星を襲撃し、男装総選挙の最終審査会場は騒然とする。遠麻を退け、王位に就く事を狙う兄王子にそそのかされた狼男のアリスを持つアルマを、苦慮の末に遠麻と和解させた星は、遠麻を思って胸の熱くなるようなキスシーンを演じ、見事に男装総選挙で優勝を果たす。一難去り、兄王子の命令に背いた事で祖国に戻れなくなったアルマを受け入れた星と遠麻は、国立アリス歌劇団付属音楽学校で、将来アリス大劇場に立つ日を夢見て、仲睦まじく勉学に励む日々を送る。

登場人物・キャラクター

安藤 星 (あんどう ひかり)

14歳の少女。幼い頃、アリスを有する兄の安藤翼と離れ離れになって以来、翼と再会する事を夢見て生きて来た。6月22日生まれで、血液型はO型。両親は小学生の時に事故死しており、天涯孤独の身になって以降はサトの家に引き取られた。173センチの高身長で、剣道部主将を務めた経験がある。まじめな性格で、紳士的な口調および振る舞いをするため、女子に非常にモテる。 その一方で思い立ったら一直線に突き進むところがあり、翼に会える可能性があるというだけで、国立アリス歌劇団付属音楽学校を受験した。猛特訓の末に奇跡的に合格したが、入学後に同校が女子校であり、翼に会う事ができないのを知る。日舞やピアノ、声楽はもちろん、一夜漬け状態で学んだバレエの授業においても当然のように成績不良で、落ちこぼれ状態になってしまっている。 四之宮遠麻が男性である事を偶然知り、同時に遠麻の不遇な運命をも知るが、物怖じせずに遠麻を刺客から守ろうと奮闘する。剣道を続けて来た効果で、観客の呼吸をつかむ事に長けており、見ていて気持ちのいい芝居をする。

サト

14歳の少女。安藤星とは従姉妹にして親友。アリスは有していないが、星に付き添い、国立アリス歌劇団付属音楽学校に進学した。それ以来、国立アリス歌劇団付属音楽学校が女子校である事すら知らずに入学した、世間知らずな星を支えようと奮闘している。未来のトップスターと期待されている四之宮遠麻と、姉妹制度にのっとって親密な関係になった事で、女子達にイビられるようになった星を助けるために、剣道を通じて身につけた星の礼儀正しさや爽やかさを、周囲に躍起になってアピールしている。 小柄で女の子らしい見た目と、幼い頃から取り組んで来たバレエのおかげで周囲からの人気は高く、アリスを持たないながらも学校で浮く事なく生活している。

四之宮 遠麻 (しのみや えま)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の姉科に在籍している少年。某国の王子。2月25日生まれで、血液型はB型、身長は165センチ。首席の成績で、気品と美しさを兼ね備えており、校内の少女達のあこがれの存在。所有するアリスは、男女問わず声で虜にする天性のフェロモン体質。これは拡散方法がいくらでもある事から、悪用しようとする悪漢に狙われているため、性別を偽って国立アリス歌劇団付属音楽学校に在籍している。 この事は校長の鳴海と理事長の志貴、女装して警護にあたっているボディガードしか知らない。男性である事を偶然安藤星に知られて以来、秘密を暴露されないよう監視する意味合いからも、星と姉妹の契りを交わし、姉妹制度のもと、星の姉となってつねに傍にいるようになった。 星の凛々しさに好感を持っており、いずれ男役としてトップスターになるだろうと期待を寄せている。将来は強力なアリスに頼らず、四之宮遠麻自身の力で娘役トップスターになりたいと思っている。周囲の人間に災いを肩代わりさせるアリスストーンのネックレスを所有している事から、「死の王子」と呼ばれる。 ちなみに外国籍のため本名は「トーマ」で、「遠麻」は日本語の当て字である。

鳴海 (なるみ)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の校長を務めている男性。昨年までは国立アリス学園初等部で教鞭を執っていた。所有しているアリスは、男女問わず虜にしてしまう天性のフェロモン体質。声や雰囲気など、鳴海自身が意識的にフェロモンをばらまく事ができるため非常に強力な能力であり、無効化のアリスを使用しない限り、防ぐ事は不可能である。 自身の美麗さを十分把握しており、華美なコスプレや甘い台詞が大好きである。安藤星が元教え子の安藤翼の妹である事は承知しており、星を翼同様、非常にかわいがり、温かい目で見守っている。アリスを有するゆえに不遇に見舞われる生徒達の最大の理解者で、国立アリス学園を追われた四之宮遠麻が男性である事を知りながら、身を守るため国立アリス歌劇団付属音楽学校に在籍する事を許可した。 ナルシストである事と名字をかけて「ナル」とあだ名されている。

安藤 翼 (あんどう つばさ)

安藤星の兄。影をあやつるアリスを有しているため、星が小さい頃に国立アリス学園に強制入学させられた過去を持つ。星が小学生の時に両親を事故で亡くしており、星とは通常の家族以上の強い絆で結ばれている。国立アリス学園初等部と中等部を卒業し、高等部に進学した現在は、主に外部任務に励む日々を送っている。少しでも時間がある時には、「今井蛍探し」の任務のために時空を移動しているため、つねに多忙。 面倒見のいい性格で、後輩の佐倉蜜柑には非常に懐かれている。

ボディガード

四之宮遠麻のボディガードを務めている男性。本名不詳。遠麻を警護するために、女装して国立アリス歌劇団付属音楽学校に在籍している。遠麻の抱える事情をすべて把握しており、その身分の高さと突出したアリス能力ゆえに孤独に陥っている彼を不憫に思っている。遠麻が性別を偽っている事を知った安藤星が秘密を暴露しないかと過度に警戒し、遠麻と星を姉妹制度を使って姉妹関係にする裏工作をして、監視しやすい状況を作り出した。 遠麻を主人として非常に大切に思っており、遠麻が気に入っている星には特に厳しく接する。これは嫉妬半分ではあるが、幼い頃に親元を離れなければならないアリスの宿命を呪い、アリスを持たない一般人を気楽なものだと逆恨みしている事が一番の理由である。

日向 棗 (ひゅうが なつめ)

強力な炎のアリスを持つ男性。国立アリス学園高等部に在籍しており、主に外部任務に励む日々を送っている。妹の日向葵に甘く、葵の在籍している国立アリス歌劇団付属音楽学校にたびたび面会に行っている。ぶっきらぼうな物言いをし、斜に構えているところがあるが、非常に仲間思いで、仲間を守るためならば自分を犠牲にする事もまったく厭わない。 その能力の高さゆえに、幼少の頃から厄介事に何度も巻き込まれてきたため、見聞や視野も広く、大人びた観察眼を持つ。以前、国立アリス学園中等部に在籍していた頃の四之宮遠麻をボディガードしていた際、その能力のえげつなさを知った。以来、遠麻を危険視しており、友人の安藤翼の妹である安藤星を遠麻に近付けたくないと思っている。

佐倉 蜜柑 (さくら みかん)

国立アリス学園高等部に在籍している女性。明るく人懐っこい性格で、それがぶっきらぼうな性格の彼氏、日向棗をうまくフォローしている。関西出身で、関西弁を話す。安藤翼に非常に懐いており、彼の妹の安藤星にも友好的に接する。

日向 葵 (ひゅうが あおい)

国立アリス歌劇団付属音楽学校に在籍している少女。日向棗の妹で、以前は棗と同様に炎のアリスを有していた。現在はアリスを失っているが、アリスの血統レベルが高いという事で、国立アリス歌劇団付属音楽学校に入学を許可された。妹科首席の成績を誇る優等生で心根も優しく、劣等生である安藤星にも柔らかい態度で接している。

ベア

アリスで創られた、動くくまのぬいぐるみ。国立アリス歌劇団付属音楽学校の演出部に在籍している園生要が、国立アリス学園在学中に製作した初めての作品で、非常に凶暴な性格をしている。気に入らない相手には即座に殴りかかる癖があるが、心根は優しい。安藤翼の依頼を受けて安藤星にことさら激しく襲いかかったが、それは不遇な生い立ちから感情を抑える事に慣れてしまっていた星の感情を解放してやろうという優しさから来るものだった。 ふだんは佐倉蜜柑の祖父宅にいるが、メンテナンスをしてもらいに、時々国立アリス歌劇団付属音楽学校の要のもとを訪れる。生みの親である要の前では、いかなる時も従順に振る舞う。

園生 要 (そのお かなめ)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の演出部に在籍している男性。動くぬいぐるみ作りのアリスを持っており、国立アリス学園在学中に数々の動くぬいぐるみを作り出した。病弱で儚げな雰囲気を持つ、優しい性格の人物。ベアの生みの親であり、ベアに非常に慕われている。最初に作った作品という事もあり、少々性格に難ありで不細工に仕上がったため、引き取り手の見つからなかったベアの将来を案じていたが、佐倉蜜柑の祖父に引き取ってもらえた事で、心から安堵している。

志貴 (しき)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の理事長職を務めている男性。アリスを有しており、国立アリス学園中等部校長の血縁者でもある。国立アリス歌劇団付属音楽学校の校長である鳴海の破天荒ぶりに手を焼きながらも、彼の生徒を思う気持ちを尊重し、一歩引いた視点から学校全体を見守っている。

乃木 流架 (のぎ るか)

国立アリス学園高等部に在籍している男性。日向棗の親友で、棗と佐倉蜜柑のよき理解者。動物をメロメロにしてしまうアリスを持っており、気づくと周囲を小動物に囲まれている事が多い。親戚関係にある四之宮遠麻とは仲がよく、彼が国立アリス学園を離れて国立アリス歌劇団付属音楽学校に籍を置くようになったあとも、電話でやり取りをしている。

アルマ

国立アリス学園の高等部に在籍している男性。10月19日生まれのO型で、身長は171センチ。四之宮遠麻より1歳年上の腹違いの兄で、狼男になれるアリスを有している。保有するアリスの影響で、嗅覚が異常に発達している。奇天烈なアリスを持って生まれたため、一族に疎まれて育った。そのため、優秀なアリスを持って生まれた弟の遠麻を逆恨みしている。 動物系アリスで、乃木流架の動物をメロメロにしてしまうアリスを前に屈せざるを得ないため、流架との接触を非常に恐れている。生来のお人よしで、アルマ自身のアリスをばかにしないで受け入れてくれた兄王子を世界で一番尊敬している。遠麻と近しい安藤星を初めは敵視していたが、自分と同じ兄思いの人間だと知ってからは、心を開き、国立アリス歌劇団付属音楽学校卒業後、アリス大劇場で男役として活躍したいと望む星に男らしさを教えるなど、協力的な姿勢を取るようになった。 ふだんは子犬の姿に変身して、星を見守っている。首輪の形をしたアリス制御装置を外せば、一瞬で巨大な狼の姿に変身する事ができる。

兄王子 (あにおうじ)

四之宮遠麻とアルマの兄。文武両道、眉目秀麗で外面は非常にいいが、内心は腹黒く、二人の弟を蹴落として王位に就こうと画策している。純粋で素直なアルマを利用し、王位継承の証であるアリスストーンのネックレスを所持する遠麻を狙って、暗殺を企てる。

今井 雫 (いまい しずく)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の妹科に在籍している少女。アリスを保有しておらず、国立アリス歌劇団付属音楽学校には一般受験で入学した。気が強く、辛辣な言葉をよく吐き、自身と同じ男役志望の安藤星には特に厳しく接する。四之宮遠麻にあこがれており、遠麻と姉妹制度により姉妹関係になっている星が気に入らず、スキあらば遠麻の妹の立場を奪おうと狙っている。 非常に美形で、容姿だけなら男役トップスターになれるほどの逸材だが、演技力にやや難がある。アリスを持たないために、アリス能力を宿したグッズを多数保有している。

柊 利央 (ひいらぎ りお)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の妹科に在籍している少女。178センチの高身長で、肩幅も胸囲も男性並みに広く、がっしりとした体つきをしている。ふだんから男性と間違われる容姿で、制服姿がむしろ女装しているようだと入学早々評判になった。制服のスカートがあまりに似合わない事を見かねた同級生達が、校長の鳴海に嘆願書を提出したため、特例としてズボン着用を認められている。 天性の見栄えする容姿に加え、読心のアリスにより観客のニーズをいち早く察知する事が可能で、校内でも高く評価されている。

五十嵐 星蘭 (いがらし せいら)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の妹科に在籍している少女。風をあやつるアリスを保有しており、空気や風を自在に動かせる。その能力は幅広く応用でき、竜巻やそよ風、かまいたちなどを自在に発生させるなど、攻撃に転じやすい。そのため危険な任務にもたびたび参加し、戦いなれている節がある。オタクの粋に達するほどのアリス歌劇団ファンであり、特に男役へのあこがれから、歴代の男役スター達の研究量は姉科の人間でも敵う者はいない。 男装総選挙では、ファン心理をついたパフォーマンスで手広く支持を集め、最終審査へと駒を進めた。分析力にも優れており、安藤星が男装総選挙で最終審査へ進めたのは、娘役トップスターとして期待される四之宮遠麻が、そばで上手に星を引き立てていたからだと的確に読んでいた。 星と遠麻の仲睦まじさから、二人が女性同士のカップルなのではないかと、からかい半分に疑っている。

アルマの付き人 (あるまのつきびと)

国立アリス学園に入学したアルマに、付き添ってやって来た世話役の男性。狼男のアリスを持つ事で、幼少期から疎まれ続けて来たアルマに居場所を作ってあげたい一心で、兄王子がアルマに下した、四之宮遠麻暗殺の任務をアルマ以上に頑張ってこなそうとする。情にもろく、優しいアルマの性格を見抜いており、彼の代わりに自分が遠麻を殺害する事で、祖国でアルマが日陰者にならずに済むようにしてやろうと考えていた。 だが、アルマが遠麻を守りたいと考えるようになった事を知り、彼と共に兄王子を裏切る。瞬間移動できるアリスを持っており、自分だけでなく、手をつないだ者もいっしょに空間を自在に移動する事ができる。

場所

国立アリス歌劇団付属音楽学校 (こくりつありすかげきだんふぞくおんがくがっこう)

アリス歌劇団の舞台に立つ少女達の学び舎。国立アリス学園と区別して「音校」と呼ばれている。清く・正しく・麗しくが校訓であり、つねに品性ある言葉遣いを求められる。2年制の学校で、1年目が妹科、2年目が姉科と呼ばれている。国立アリス学園同様、アリスの有無や成績により、学園および寮での待遇が変わる事が最大の特色である。 アリスを持つ少女以外にも、三親等内の血族にアリスを有する者が存在していれば入学資格が与えられている。またアリスを有さなくても、容姿端麗でバレエに精通するなど、舞台人に適すると思われる15歳から18歳までの少女が受験可能である。毎年の受験倍率は100倍という、超難関校として有名。校則は非常に厳しく、アリス歌劇団都市エリア外への外出および外部との通信行為を含む接触は、すべて例外なく禁じられており、合格発表と同時に合格者は親への報告もできずに校内に閉じ込められる。 制服も厳格に定められていて、リボンとベルトの留め金具と袖ボタンには校章マークが入り、寒い時期はブーツ着用が許可されている。

国立アリス学園 (こくりつありすがくえん)

国の宝と呼ばれる不思議な能力、アリスを有する子供らが、強制的に入学させられる全寮制の学校。初等部から高等部までの一貫教育が施される学園で、外界との接触がいっさいできないよう厳重に警備されている。それは、特別な能力を持つ子供らを誘拐や密売から護るために徹底された体制である。しかし、能力を有するとわかった時点で親元から引き離される子供らにとっては監獄でしかなく、親との面会や手紙のやりとりすら制限される、非常に厳しい学び舎である。 国立アリス歌劇団付属音楽学校の関連施設であり、都市エリアを介して隣接している。

アリス歌劇団 (ありすかげきだん)

アリスを持つ者のみが入団を許される歌劇団体。基本的には国立アリス歌劇団付属音楽学校の卒業生達が入団する。団員達はみんな、アリス大劇場の舞台人として活躍していく事になる。舞台の隅々に、ありとあらゆる形でアリス歌劇団員達のアリスが華やかに発揮されているのが特色の、日本が誇る世界随一、最高レベルの歌劇団。一番人気の公演は、フェロモン系能力に特化した薔薇組の演目「ジュテーム・探さないで」である。

イベント・出来事

校内発表会 (こうないはっぴょうかい)

国立アリス歌劇団付属音楽学校で毎年5月頃に開催される行事の一つ。主に姉科を中心に、日頃のレッスン成果を発表する場として催される。姉科の生徒達は、踊りと歌唱と演劇とアリス演出の4班に分けられ、妹科の生徒達は姉科の生徒達の伴奏やコーラス、裏方などの手伝いに回るのが通例。発表会は、姉科の面々が国立アリス歌劇団付属音楽学校を卒業後、アリス大劇場に立つ前に、舞台に立つとはどういう事なのか、また舞台がどのように作られているのかを勉強する目的で開催される。

男装総選挙 (だんそうそうせんきょ)

国立アリス歌劇団付属音楽学校で毎年行われる学校行事の一つ。国立アリス歌劇団付属音楽学校の生徒達の修学旅行先は、毎年国立アリス学園と決まっているが、修学旅行の最中に男役志望者は男装で過ごし、男装した姿を国立アリス学園の生徒達に人気投票で順序付けさせ、トップを競う催しである。この男装総選挙の結果は後々まで成績として残るため、どの男役志望者も美麗な少女漫画の中に登場する男性像を必死に意識し、振る舞う事になる。

アリス祭 (ありすさい)

国立アリス学園で毎年行われる学校行事の一つ。生徒達のアリス能力をさまざまな形でお披露目するのが目的の文化祭。全生徒が持てるアリスを総動員するため、アリス見本市として非常に活気のあるイベントである。世界的なイベントで、世界中から選りすぐられたVIPやスポンサーを招待し、アリスによるパフォーマンスや研究・商品を観覧していくのが特色。 将来的な労働力としてスカウトされる事も多いため、生徒達は全員が自身の能力を最大限見せられるように奮闘する。なお、同時期には国立アリス歌劇団付属音楽学校の修学旅行も行われる。旅行先は毎年国立アリス学園で、これはアリスをいかに舞台に取り入れるかを学ぶための視察を兼ねているためである。

その他キーワード

姉妹制度 (しまいせいど)

国立アリス歌劇団付属音楽学校内の制度の一つ。制度の中身は、姉科と妹科に在籍する者同士で特に仲のいい二人組をパートナーとして組ませ、姉科の生徒が妹科の生徒の生活態度を監督指導していくというもの。姉妹の契りを交わして絆を結んだと報告した二人組を、学園が公認する事で成立する。

アリスストーンのネックレス

巨大アリスストーンのはめ込まれたネックレス。四之宮遠麻が生き別れた母親から譲られた。アリスストーンはネックレスの正当な持ち主を庇護する能力を秘めているが、その副作用として、遠麻に及ぶはずの災いは、代わりに周囲の者へと降りかかってしまう。ふだんは遠麻がお守りとして持ち歩いているが、いつか本当に好きな人ができたら、心と共にネックレスを渡せばアリスストーンの不思議な力が相手を守ってくれる、と母親に聞かされて来た。 そのため、遠麻が安藤星への恋愛感情を自覚したあと、男装総選挙の最終審査を無事に終えられるように願いを込めて、星に託した。プロポーズや形見以外では人に渡さないレベルのアリスストーンは、非常に貴重なもので、遠麻の国で王位継承の証とされている。 兄王子がアルマを使って、遠麻を暗殺して奪おうとしていたものでもあり、このアリスストーンのネックレスを所持している者が、遠麻の国で次代王位継承者となる。

アリス

国の宝とも評される不思議な能力の総称。能力は多岐にわたり、遺伝で授かる事が多いとされている。どのような能力であろうと、アリスを有するというだけでエリート扱いされ、好待遇を受けられる。一方で、アリス所有者は幼い頃から親元を離れ、全寮制の国立アリス学園に入学して能力を磨いていく重責を負わされる事になる。アリスの中には、使用頻度により寿命を縮めるものや、年齢を重ねるうちに消えてなくなってしまうものもある。

ジュテーム・探さないで (じゅてーむさがさないで)

アリス大劇場でアリス歌劇団の薔薇組が公演している、一番人気の演目。借金をしている女性と金貸しの男性のラブコメディ。基本的にコメディタッチで演じられるが、台詞だけを聞くと切なさにあふれれており、演者によって悲恋作品にもなりうるという事を四之宮遠麻が発見した。

レア王女 (れあおうじょ)

国立アリス歌劇団付属音楽学校の校内発表会で、姉科演劇班によって演じられた演目。某国に生まれた腹違いの三姉妹の三女、レアに次々と降りかかる災難を描いた悲劇作品である。四之宮遠麻が主役のレアを演じた。

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