概要・あらすじ
3歳で母親を亡くした小宮山千紘は、母親の親友でありゲイの小宮山拓と、そのパートナーの零司に育てられ、3人で仲良く暮らしていた。大学生になった千紘は、映画好きだったことから映画鑑賞サークル「シネマニア」に勧誘されるが、そこで中学時代に初めて付き合った津田真教と再会する。真教はかつて、千紘が自分の特殊な家庭事情を打ち明けた際に、強い拒絶を示す手紙を送ってきた相手でもある。
真教はその後、親の仕事の都合で転校してしまったが、千紘はこのことが原因でうまく恋愛ができずにいた。千紘は再会した真教から、今でも好きだと想いを告げられるものの、自分の尊敬する家族を否定する相手とは一緒にいられないと、心を悩ませることとなる。
登場人物・キャラクター
小宮山 千紘 (こみやま ちひろ)
18歳の女子大学生。3歳の頃に母親である中川遥を亡くし、母親の親友でルームメイトであった小宮山拓に育てられた。現在は拓のパートナーである零司も含めた3人で一緒に暮らしている。映画が好きなことから映画サークルに勧誘され、中学時代の元彼である津田真教と再会する。正義感が強くまっすぐな性格で、血の繋がりもないのに自分を育ててくれた拓と零司に心から感謝しており、信頼関係で結ばれている2人を尊敬している。
津田 真教 (つだ まさのり)
小宮山千紘と同じ大学に通う男子。映画好きという共通の趣味から話が合い、千紘が中学生の時に初めて交際した相手。当時、千紘からゲイである小宮山拓や零司と同居していることを打ち明けられ、受け入れられずに千紘のことを激しく拒絶する手紙を送った。そのまま親の仕事の都合で台湾に引っ越してしまったが、日本の大学で千紘と再会する。 なお、手紙の件は実は藤森薫の策略によるもので、真教自身は、現在も千紘に想いを寄せている。
小宮山 拓 (こみやま たく)
小宮山千紘の育ての親。零司のパートナーでもある男性。千紘の母親である中川遥の大学時代からの親友で、ルームシェアをしていた。整った顔立ちをしているが、いわゆるゲイなので、恋愛対象は女性ではなく男性。零司とは新宿2丁目で知り合い、12年前から一緒に暮らしている。出版社で働いている。
零司 (れいじ)
小宮山千紘と小宮山拓とともに暮らしている男性。パートナーである拓を真剣に愛している。千紘の育ての親の1人であり、千紘にとって大切な存在。穏やかな性格で、千紘の悩みを相談された際には、いつも笑顔で受け止めている。家電メーカーで働いており、拓とは新宿2丁目で知り合い、12年前から一緒に暮らすようになった。
中川 遥 (なかがわ はるか)
小宮山千紘の母親。既に故人。小宮山拓とは親友で、ルームシェアをしていた。アルバイト先で知り合った柳原康一と付き合ってていたが、妊娠をきっかけに、妻帯者である康一の家庭を壊したくないと身を引いた。やがてシングルマザーとして千紘を生み、拓に協力を仰ぎながら育てていたが、ガンに侵されて亡くなった。実は拓を愛していた。
藤森 薫 (ふじもり かおる)
津田真教の家の隣に住んでいる女性。真教とは幼なじみで、中学時代は小宮山千紘と同級生だった。当時は真教に想いを寄せており、千紘に取られた悔しさから、真教に噓の手紙を送った。千紘と真教に悲しい誤解をさせたまま別れさせた張本人。現在は女子大に通っており、テニスサークルに所属している。
柳原 康一 (やなぎはら こういち)
小宮山千紘の実の父親。仙台に住んでいる。上司の紹介で結婚したが、妻とうまくいかず、中川遥と出会って恋に落ちた。妻と離婚して遥と再婚しようと考えるほど真剣に付き合っていた。遥から一方的に別れを告げられ、彼女が妊娠していたことも知らずに別れた。のちに小宮山拓から、娘である千紘の存在を知らされることとなる。 現在では妻との仲も落ち着き、子供に恵まれて幸せに暮らしている。
及川 (おいかわ)
探偵をしている男性。小宮山拓に依頼されて、小宮山千紘の本当の父親である柳原康一のことを突き止めた。康一に連絡を取り、拓との会合を実現させる。好奇心が旺盛で、調査対象である千紘に興味を持ち、大学へ直接顔を見に行くような、いたずら好きなところがある。
集団・組織
シネマニア
小宮山千紘と津田真教が通う大学にある映画鑑賞サークル。メンバーは男女10人ほどが所属している。活動内容は、映画を見てお酒を飲みながら感想を語り合うという、ゆるいサークル。勧誘されて入会した千紘と真教が、偶然再会するきっかけとなった。