千紘くんは、あたし中毒。

第1巻

ある日の夜、椥原未知は帰宅途中の公園内で口喧嘩をしている明夜野千紘と師匠に遭遇する。恐怖から見て見ぬふりをする未知だったが、千紘から突然服を脱いで採寸させてほしいと言われ、未知は全力で逃げ出す。次の日、奇妙な体験を思い返す未知の前に再び千紘が現れ、同じ高校に通う同級生だという事実が発覚する。再会した千紘は未知に対して一目ぼれをしたと言い放ち、自らのブランドのイメージモデルである「ミューズ」になってほしいと懇願する。千紘は恋愛感情ではなく、あくまでミューズとしての自分を認めてくれたのだと理解しようとする未知だったが、これまで言われたことのない甘い誉め言葉に胸を高鳴らせてしまう。そして未知は、千紘のデザインした服を実際に身につけ、千紘のミューズとして活動を開始する。千紘はまず学校内にファッションデザイン研究部を設立して未知を在籍させ、自分たちが通う高校主催の「創立五十周年制服デザインコンペ」にエントリーする。そして当日、未知は千紘がデザインをした制服を着用し、完璧にモデルとしての仕事をこなす。千紘はそんな未知を抱きしめ、キスをするのだった。

第2巻

椥原未知と明夜野千紘が通う高校では林間学校が催された。マコなど周囲の協力もあり、未知と千紘は初めて屋外でデートのような時間を過ごす。そしてその日の夜、未知と千紘は星空のもとで偶然にも二人きりになり、未知は千紘を異性として意識していることを自覚する。その後、二人は雑誌の新人ファッションデザイナー特集に掲載されたり、夏祭りや花火を楽しんだりとさらに行動を共にしていき、絆を深めていく。そんな中、師匠がしばらく海外出張に行くことになり、当分のあいだは千紘は師匠のアトリエで一人暮らしをすることが決まる。作業にのめり込むと不眠不休で没頭してしまう千紘を心配した未知は、師匠が帰宅するまで自分もいっしょに宿泊し、身の回りの世話をすると言い出す。こうして期間限定ではあるものの、未知と千紘の同居生活がスタートする。