概要・あらすじ
ある日、今世紀最後にして史上最大の流星雨がやって来ると報じられた地球。その日、ついていないことばかりが続いていた大空友樹が街を歩いていると、膨大な量の流星雨が街を襲う。友樹が衝撃から目を覚ますと、世界は一変。恐怖におののいた人は小さな怪物となり、街中の犬が凶暴化して襲ってくる。友樹が家に向うと、人間の姿になった飼い犬の陸王が現れる。
また隣の家に住んでいる星野のぞみの飼い猫のミケも、同じく人間の姿になっていた。流星雨は人や動物、物の願いを叶えることができ、陸王やミケは流星雨の力で人間になれたのだった。一方で、流星雨の力により、憎しみや怒りによる歪んだ願いを叶えてしまった人や動物も多くいた。そして友樹は、のぞみが何者かに連れ去られたことを知る。
友樹の父親の大空克樹の行方もわからなくなり、友樹、陸王、ミケの3人は、のぞみと克樹を探す旅に出る。その行く先々で、流星雨の力によって人や物などの歪んだ感情が具現化し、怪物となって起こす惨劇を目撃することとなる。
登場人物・キャラクター
大空 友樹 (おおぞら ともき)
何かとついていない少年。流星雨が降って来た当日も、クラスメイトに星野のぞみのことでからかわれ、ゲーム店に取り置きしていたソフトが売られてしまうなど、散々な目に遭っていた。その帰りに街を歩いていたところ、流星雨に見舞われ、目覚めた時には、がれきの中で倒れていた。家に帰ると、人間の姿になった陸王、ミケと遭遇する。 そしてミケから、星野のぞみが何者かに連れ去られたことを聞き、さらに父親の大空克樹もいないことに気づく。この世界で何が起こっているのかを知るため、またのぞみと克樹を探すために、陸王とミケの3人で、のぞみが連れ去られた方向へ捜索に向う。以前より、隕石から身を守るために父親から渡されたアームターミナルを左腕に装着しており、流星雨の後には、星のかけらが勝手に組み込まれ、武器として使用できるようになった。
陸王 (りくおう)
大空友樹の家で飼われていた犬。人間になって友樹と一緒に遊びたいと願っていた。流星雨の力によりその願いが叶えられ、人間の青年の姿となった。友樹のことを非常に慕っており、人間として友樹に会った時には喜びをあらわにした。犬の時はりりしい容姿だったが、人間になると無邪気に友樹にじゃれついたり遊んだりと、可愛く振る舞っている。 友樹に対する忠誠心も強く、友樹が危機に陥った時には自らの身を挺して守る。ミケのことは普段から快く思っておらず、人間になってからはしばしば口喧嘩をする。
ミケ
星野のぞみの家で飼われていた猫。流星雨の力で人間の女性の姿となった。のぞみが連れ去られたことを大空友樹に伝えたかっただけで、実際には人間になりたいと願ったわけではない。のぞみが連れ去られた件についても詳細はよく覚えておらず、手がかりを探すために、とりあえずのぞみが連れ去られた方向に向かって、3人で旅をすることとなった。 のぞみにしか懐いておらず、人に触られるのを非常に嫌う。しかし旅を続けるうちに、友樹たちにも心を許すようになる。
星野 のぞみ (ほしの のぞみ)
大空友樹の隣の家に住んでいた少女で、友樹のクラスメイト。友樹に想いを寄せており、普段からミケに友樹のことを話していた。流星雨の後、行方がわからなくなってしまう。ミケいわく、眠っているのぞみを何者かがボートのようなものに乗せ、連れて行ったとのこと。さらわれた方向が西の方角だったので、友樹と陸王、ミケはその方角に向かって旅を始めることにする。
大空 克樹 (おおぞら かつき)
大空友樹の父親。大学の講師を務めており、流星雨について研究を行っていた。今回の流星雨のことを、ノストラダムスの予言詩や聖書の最後の審判と重ねている。今回の流星雨で人類は滅亡すると予測し、友樹には隕石から身を守るためのアームターミナルを持たせている。流星雨の研究結果を各マスコミに持ち込むが、どこも門前払いで聞き入れてもらえなかった。 流星雨が起きた後に行方がわからなくなり、友樹たちは星野のぞみを探すとともに、大空克樹の行方を追う旅に出る。
謎の男 (なぞのおとこ)
大空友樹の動向を陰ながら監視している男性。友樹たちの旅先で遭遇した怪物たちの暴走も静観しており、流星雨と世界の変化についての鍵を握っている。友樹が左腕に装着しているアームターミナルについても、その性能を把握していた。しかし、友樹が戦う度に能力を増すアームターミナルの力には、驚きを隠せずにいた。メサイアに仕え、その命によって友樹たちを追っている。
メサイア
西の方角にいるとされ、流星雨の謎について解明したといわれる存在。世界を救う方法を知っているということで、多くの人がメサイアに会おうと、西の方角へ向かっていった。のちに、大空友樹が身に着けているアームターミナルがアクセスした、コンピュータネットワークの中心に存在していることが発覚。友樹のことを把握しており、自分のところに来いと挑発する。
タケウチ
大空友樹のクラスメイトの少年。小学生の時からいじめられっ子で、現在もクラスで友人を作らず孤立している。流星雨に力が欲しいと願ったため、大きな力と強靭な肉体、そして凶暴性を持って友樹たちの前に現れる。今まで自分をいじめてきた者たちに攻撃を加え、さらには友樹たちにも襲いかかった。しかし、友樹に「友達だ」と言われたことで思いとどまる。
クモ
多くの人が美しいと見惚れる女性。街中の人々を飲み込み巨大化した怪物から、大空友樹の友人など残った人々を守り、安全な場所に避難させる。そのため人々には感謝されているが、裏では集めた人々を次々に殺し、コインロッカーの中に閉じ込めていた。その正体は、流星雨の時に美しくなりたいと願ったクモであり、怪物を操って人を食い、美しさを得ようと多くの人を犠牲にしている。
真生 (まお)
クモとの戦いで傷ついた大空友樹たちを助けた女性。友樹たちを自宅に連れて行き、傷の手当てをした。流星雨の時に父親が隕石で怪我をし、それを治したいという願いから、人々の傷を癒す力を身につけた。友樹たちの他にも、傷ついた人々を自宅で介抱して救っている。真生の自宅が人を食う怪物に襲われた時、傷ついた人たちを放っておけないと、逃げずに自宅に残る。
兄貴 (あにき)
バイク乗りグループの一員の男性。周囲から「兄貴」と呼ばれるリーダー格である。彼らの街にやって来た大空友樹たちを怪しい者と認識して、ボスのところへ連れて行こうとする。自動車やバイクなどを次々と取り込んで、人や物を踏み潰していく怪物を恐れながらも、仲間を助けるために単身で立ち向かおうとする。
ボス
常にヘルメットをかぶっている男性。兄貴をはじめとするバイク乗りグループのメンバーたちを助け、的確な指示を出して信頼を得ている。ヘルメットの下の素顔は、メンバーの誰も知らない。実はバイクそのものであり、流星雨の力により、バイクを作った者や乗っていた者の心が具現化された存在。同じバイクが好きな仲間たちを想い、自ら怪物に突っ込んでいく。
大王 (おおきみ)
街の人々を洗脳し、その頂点に立つ男性。流星雨の時に、世界の支配者になりたいと強く願ったため、それを叶える形となった。神社のある丘をまるごと改造して、大神殿を作らせようとしている。流星雨で降って来た巨大な隕石を街の人に探させており、成果がないと首を斬って殺す非情さを見せる。
タケルヒコ
大王のもとで尖兵として仕える男性。もともとは格闘王を目指していた屈強な男性であり、大王の命のもとに大空友樹を倒すため駆り出される。アームターミナルの力で応戦する友樹と互角に戦う。自分自身の夢を思い出せ、と友樹に諭され、かつて自分がリングの上で熱く戦っていたことを思い出す。
おじいさん
西の方角に向かう大空友樹たちの前に突然現れた男性の老人。時間や空間が歪んでいる場所に住んでいる。幻のように現れるコンビニで買い物をしたり、喫茶店で食べ物を分けてもらったりして生活している。流星雨の前もホームレスであったが、もともとは易者として著名人を占って稼いでいた。しかし、人の欲深さに嫌気が差して引退し、現在の気楽な生活に満足している。 友樹たちなら、自分が超えられなかった壁を越えられると語り、未来を託す。
ぼーや
神の塔のふもとの街に住んでいる少年。彼の父親は、自分たちの生活を守るために、メサイアを訪ねて時空の門をくぐろうとし、怪物へと変貌しかけている。それを救うために、流星雨で降って来た星のかけらを集め、願いをかけて父親の怪物化を辛うじてとどめている。大空友樹のアームターミナルに埋め込まれた星のかけらを見て、父親を救ってほしいと頼み込む。
場所
神の塔 (かみのとう)
メサイアが住んでいるとされる高い塔。普段は周囲を時空の壁で遮られている。神の塔にたどり着くためには、時空の門をくぐる必要がある。それを、大空友樹が破壊して以降、時空の壁が晴れてその全容が見えるようになった。ここでは謎の男が待機しており、星野のぞみや大空克樹がこの中にいると言う。
その他キーワード
流星雨 (りゅうせいう)
人類を滅亡させる力があると大空克樹に言わしめる、大規模な隕石群。ある日、膨大な量の流星雨が降って来たことで、世界は一変した。これにより降って来た流星は、人や動物、物の願いを聞き届ける。陸王やミケ、真生などのように前向きな願いもある一方、憎しみや怒りといったマイナスの願いも、歪んだ形で叶えられてしまう。 恐れを抱く人間は小さな怪物と化し、人間を攻撃したいと願った者たちは凶暴化する。そのために世界は荒廃してしまった。このように願いが具現化するのは、星の粒子を浴びるためであり、大きな星のかけらを持っていれば、その効果はより強大になって持続力も高くなる。電磁波の影響を受けるとも言われており、大空友樹は携帯端末であるアームターミナルの電磁波に守られる形で、流星雨による隕石を避けることができた。
アームターミナル
大空友樹がいつも左腕に付けている機械。父親の大空克樹から、隕石を避けるために渡されたものである。流星雨の時に星のかけらが装着され、それ以来怪物などと戦う時には強い光を放って伸びたり、刀や銃になったりなど形態を変化させる。戦いを繰り返すごとに能力が増し、強大な力を発揮するようになる。友樹を守りたいという克樹の想いに感応する形で、さまざまな場面で友樹を守っている。 本体は携帯端末であり、いわばコンパクトなPC。公衆電話に接続して、コンピュータネットワークにアクセスすることもできる。
時空の門 (じくうのもん)
神の塔に通じる門で、「審判の門」とも呼ばれている。正しい者のみが通ることができ、悪しき者なら怪物に変えてしまうとされている。ただし、神の塔の関係者が連れてきた者は、基本的に通ることができる。神の塔に住むメサイアに救いを求めてくぐった者は、多くが怪物にされてしまい、人間の記憶を失って荒野に追放されてしまう。ぼーやの父親も、この門をくぐって怪物化しかけることとなった。