概要・あらすじ
ココロ・ドナーの養母であるマサコ・ドナーは、火星コロニーという特異な環境下で流産してしまい落ち込んでいた。そんなマサコの様子に意気消沈するココロの前に、1匹の子犬が現れる。その後、ココロは子犬を捜しに外へ出かけて行くが、急激に気温が下がり、生命維持が難しくなる日没後にも帰って来ない。心配した義父のアレス・ドナーが捜しに行くと、そこで発光し発熱しながらココロのことを守っていた子犬の姿を目撃するのだった。
登場人物・キャラクター
ココロ・ドナー (こころどなー)
小学5年生の女の子。月のテロ事件で被災孤児となったが、アレス・ドナーとマサコ・ドナーに養子として引き取られて火星コロニーに移住して来た。天真爛漫で純粋な少女だが、マサコやアレスのことをなかなか「パパ」「ママ」とは呼べずにいる。生物研究所のロマノフ・カーターに憧れている。
コロ
火星コロニーの環境改善のために地球から送られて来た子犬。元気いっぱいで閉じ込められることを嫌い、空港の積み荷から逃げ出した際にココロ・ドナーと出会う。特殊能力を持つ「ノッカーズ」でもあり、発光しながら発熱しココロを守ったことから、監視の意味も含めてドナー家で飼われることとなった。「ノッカーズ」としてのポテンシャルは高く、ココロを救出するためならば宇宙を駆け巡る。
アレス・ドナー (あれすどなー)
ココロ・ドナーの義父で、マサコ・ドナーの夫。火星コロニーを火星の理想郷とすべく陣頭指揮を執る最先端の開拓技術者で、火星評議会議員も務めている。プライベートでは前人未踏の三天体最高峰制覇を目指す宇宙登山家でもあり、火星コロニーでは英雄的存在として広くその名を知られている。知力、体力ともに優れたワイルドな風貌ながら、素っ裸でココロの前をうろつくなどデリカシーに欠ける面があり、ココロに無視され落ち込むこともある。
マサコ・ドナー (まさこどなー)
ココロ・ドナーの義母でアレス・ドナーの妻。アレスの子供を流産し元気をなくしていたが、火星の牧場で乗馬指導を頼まれ、コメットという馬に出会い気力を取り戻す。家族想いで優しい女性だが、コメットにまたがり牛泥棒を捕まえるという勇ましい一面もある。
アレクス
ドナー家の住居管理AI(人口知能)で、マサコ・ドナーの不在時にはココロ・ドナーの世話係として活躍する。月面コロニー用に開発されたAIのため人間以外のデータを持ち合わせておらず、理性のカケラもないコロのいたずらな行動に頭を悩ませている。生物研究所温室管理のAIであるハナコと恋に落ちる。
ロマノフ・カーター (ろまのふかーたー)
コロと同じ船で火星に到着した、火星コロニーの生物研究所に勤める新人研究員。長髪でメガネをかけた、動物にも優しいさわやかで知的な青年。アシュレイ・ロッシに「俺たち労役囚こそが開拓者だ」とすごまれ、意気消沈してしまう打たれ弱い一面がある。
トーマ・コリンズ (とーまこりんず)
小学5年生のやんちゃな少年で、ココロ・ドナーの同級生。元気過ぎていたずらが過ぎることがあり、コロを乱暴に扱ったせいで噛まれてしまい、これが予想外に重大な事件となってしまう。宇宙登山家であるアレス・ドナーに憧れている。
アシュレイ・ロッシ (あしゅれいろっし)
長身で長髪の黒いスーツ姿の男性。火星コロニーを開拓した労役囚であり、開拓者としての誇りを持っている。火星での過酷な労働で亡くなった仲間である、ダグ・ランドーの形見を届けに火星コロニーへとやって来た。ココロ・ドナーに道案内のお礼として一杯おごるなど、怪し気な見た目とは違ってその本質は紳士的。
サイモン
地球を懐かしむ者が集うバー「SALOON」の常連の老人。仲間想いで涙もろい性格。火星コロニーを開拓した元労役囚であり、ダグ・ランドーの友人。ダグの仲間であったアシュレイ・ロッシから、ダグの形見を受け取る。
マギー・シルバ (まぎーしるば)
火星コロニーの生物研究所に勤める20代の女性研究員で、マサコ・ドナーの古い友人。巨乳の持ち主でメガネをかけている。恋に奥手な真面目な性格だが、同じ研究所のロマノフ・カーターを意識している。理不尽なことを嫌い、生物研究所内に伝染病が拡がっているとの風評被害を受けた際には、激しく怒りを爆発させる。
マリナ
小学5年生の女子力が高めな女の子で、ココロ・ドナーの同級生。トーマ・コリンズに恋しており、トーマが何かとココロに話かけるのでやきもちを焼くこともある。学校行事の火星ピクニックの際に宇宙服に穴が空いて危機に陥るが、ココロに助けられる。
蔵人 (くらんど)
地球の石ころに土地神の霊力が宿ったもので、マサコ・ドナーが地球を去る時に祖母が持たせてくれたお守りの中に入っていた。武装した僧兵のような服装で、小さな人間の姿をしている。「ノッカーズ」であるコロにのみその姿が見え、コロの能力を陰でナビゲートすることになる。
アベル・バスケス (あべるばすけす)
貨物船サラマンダー号の船長を務める男性で労役囚。学校行事の火星ハイキングで迷ったココロ・ドナーを助けたことから、市民救助の恩赦を受け、火星コロニー内の住人になる。ビブラ・トレモアと関わりのある謎の人物でもある。
ヤコブ・フィードラ (やこぶふぃーどら)
「ノッカーズ」研究の第一人者として知られる男性。自身も「ノッカーズ」であり、頭部に触手がある。彼の研究データは火星で最も高価な地球への輸出品となっている。「ノッカーズ」であるコロの能力を使わせたココロ・ドナーに研究対象として強い関心を抱いている。
ウサ探 (うさたん)
耳は綿、身体はビーズでできたぬいぐるみで、「名探偵」を自称している。コロにくわえられてドナー家にやって来た。無類の酒好きであり、脱獄囚の「ノッカーズ」に仲間と思われ、美味い酒を飲ませてやるからと会合に誘われてしまう。クールでどこまでもマイペースな性格。
ビブラ・トレモア (びぶらとれもあ)
月のテロ事件を起こした「ノッカーズ」の男性で、PITから脱走して来た。振動させることであらゆる物質を破壊する能力を持つ。ココロ・ドナーを人質に取り小型宇宙船で火星から脱出を図ろうとするが、ノッカーズの能力を開花させたコロに追いつかれる。
集団・組織
ノッカーズ
1999年9月26日に地球全土で突如同時発生した、普通の人類とは異なる容姿や能力を得た者。特殊能力を犯罪に利用することが多いため悪の集団のように見なされているが、「ノッカーズ」の能力を研究することで、人類はこれまでの常識を超えた技術を手に入れることができた。火星コロニーへの移住などはその最たるものである。火星にはまだ「ノッカーズ」が存在していないとされており、「ノッカーズ」であるコロの扱いにはアレス・ドナーをはじめとする専門家は慎重を期している。
場所
火星コロニー (かせいころにー)
人類が火星を開拓して創った植民コロニー。隕石が落ちてできた巨大な穴に蓋をしたような形になっている。火星コロニーの開拓は地球で犯罪を犯した「ノッカーズ」や人間ら、労役囚の働きによって行われ、完成して10年程度が経過している。コロニー中枢の中央塔には行政機関や大企業が集中しており、その周りを商業地域、住宅地域が取り囲むという構成。 未だ開発途中であり、コロニー内の大部分は岩がゴロゴロとした岩地になっている。
PIT (ぴっと)
火星開発区域で最も過酷な労働環境の現場で、地球で犯罪を犯した「ノッカーズ」が収容される場所でもある。大規模な落盤事故が起こった際、その混乱に乗じて2人の「ノッカーズ」が脱走し、火星コロニーに潜伏していることがアレス・ドナーの調査で判明した。なお、PITの管轄は地球であるため、火星政府はPITの実態を知らされていない。