英雄たちが時代を超えて天下統一を目指す
本作の舞台となるのは、ヨーロッパに似た地形の異世界。天隠歴という年号が使用され、主人公の尾田信長(オッポ)がきた時は221年であった。2年前までは、王が統治する国が複数あったが、転移者(ストレンジャー)と呼ばれる歴史上の偉人や英雄が次々とやってきて、彼らにとって代わった。転移者の共通点は、異世界に来る時に「天下ヲトレ」という言葉を聞いていること、体のどこかに「丸い紋様」があること、異能力(スキル)を持っていることである。また、全員が天下を取れずにこの世を去った人物であり、織田信長やナポレオン・ボナパルト、アレクサンドロス3世など、古今東西の英雄、偉人が、時代を超えて天下統一の夢を目指すストーリーが、本作最大の魅力である。
歴史マニアの知識が唯一の武器
ある日の登校途中、オッポの妹、市子は、異世界の扉の中に吸い込まれ、オッポはそれを追って一緒に異世界にたどり着く。市子はならず者たちに連れ去られて行方不明となり、オッポは信長配下の近藤勇に助けられた。転移者には異能力があり、例えば近藤には、虎の姿のエネルギーで大勢の人間を一度に倒す必殺技「血飢虎徹(チニウエタコテツ)」が、武蔵坊弁慶には、巨大な壁を作って敵の行く手を遮る「絶界の仁王壁」がある。しかし、オッポは妹の巻き添えのような形で異世界に来たため、異能力を持っていない。その代わり彼は超歴史マニアであり、あらゆる英雄のプロフィール、戦略・戦術を知り尽くしている。信長はオッポの知識を認め、彼を軍師見習いとした。こうして信長軍に加わったオッポは、行方不明の妹を探して群雄割拠の異世界を生き抜いていく。
頭脳戦と一騎打ちの魅力が描かれる
オッポが転移した異世界は、織田信長、諸葛亮孔明、ハンニバル・バルカ、ナポレオンといった、約20人の英雄がひしめき合い、領土を奪い合う世界。本作で主に描かれるのは、軍略による頭脳戦であり、戦術を用いた数万人の軍隊がぶつかる戦争である。また、近隣国との同盟を画策するといったドラマも展開され、信長陣営だけではなく、さまざまな地方の英雄たちを描いた群像劇の要素が強い。一方で、宮本武蔵と近藤勇の一騎打ちといった、歴史上交わるはずのない、剣術バトルが繰り広げられる楽しさもある。
登場人物・キャラクター
尾田 信長 (おだ のぶなが)
高校3年生の男子。英雄に憧れを抱き、膨大な歴史書を所有する。ある日の登校途中、妹の市子と共に、得体の知れない扉のようなものに引き込まれ、古今東西の英雄たちが群雄割拠する戦国時代に転移してしまう。妹をさらわれ、自身も殺されそうになっていたところを、新選組・近藤勇に救われ、織田信長のもとに連れていかれる。あらゆる英雄たちの戦略・戦術を知っていることを買われ、織田信長の軍師見習いとなる。織田信長と同じ名前だったため、尾っぽの「尾田」だという理由で「オッポ」と呼ばれるようになる。
織田 信長 (おだ のぶなが)
古今東西の英雄たちが群雄割拠する戦国時代に転移した戦国武将。丸いサングラスと坊主頭、口ひげが特徴。右の首筋に、転移者(ストレンジャー)の印である丸い模様がある。新選組の近藤勇のほか、この世界の住人で元罪人の7将軍を従えて天下を狙う。身分にこだわらない実力主義者。尾田信長(オッポ)が持つ、あらゆる英雄たちの戦略・戦術の知識を見込み、オッポを軍師見習いに任命する。同名の実在人物をモチーフにしている。
尾田 市子 (おだ いちこ)
高校1年生の女子。尾田信長の妹。剣道部に所蔵し、中学時代は全国大会三連覇を果たした実力者。ある日の登校途中、巨大な門に吸い込まれ、古今東西の英雄たちが群雄割拠する戦国時代に転移。気を失っている間に、ならず者たちにさらわれて行方不明になる。手の甲に円形の紋様があり、回復系の異能力を持つ。
クレジット
- 原作
-
裕本 恭
書誌情報
テンゲン英雄大戦 7巻 コアミックス〈ゼノンコミックス〉
第1巻
(2022-06-20発行、 978-4867203958)
第2巻
(2022-09-20発行、 978-4867204184)
第3巻
(2023-03-20発行、 978-4867204832)
第4巻
(2023-07-20発行、 978-4867205266)
第5巻
(2024-03-19発行、 978-4867206294)
第6巻
(2024-07-20発行、 978-4867206676)
第7巻
(2024-11-20発行、 978-4867207031)