ディアバディ ~きずな動物病院~

ディアバディ ~きずな動物病院~

ふつうの女子中学生の卯野苺が、獣医師の三条狼牙との出会いをきっかけに、動物たちとその飼い主の気持ちにより添い合いながら、自らも獣医師を目指して奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。「ちゃお」2021年8月号から2022年4月号にかけて掲載の作品。

正式名称
ディアバディ ~きずな動物病院~
ふりがな
でぃあばでぃ きずなどうぶつびょういん
作者
ジャンル
動物病院
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ちゃおコミックス(小学館)
巻数
既刊2巻
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あらすじ

女子中学生の卯野苺は、愛猫のプリンを姉のように慕っていた。そんなプリンが水ばかり飲んで食事を摂(と)らなくなり、嘔吐(おうと)したことから苺はプリンを動物病院に連れて行くことにする。プリンが高齢であることから、病院が充分な検査をしてくれないことに不満を抱いた苺は、過去に親切に接してくれたきずな動物病院を訪れる。しかしそこで出会ったのは、記憶にある優しい初老の獣医師ではなく、キツい物言いをする三条狼牙だった。ほかの動物病院と違ってプリンの体をしっかりと検査してくれたものの、プリンの死期が近いことを告げられた苺はショックを受け、反発する。プリンがいつか死んでしまうという現実から目を逸(そ)らそうとする苺だったが、翌日、プリンが自宅からいなくなってしまう。(エピソード「お姉ちゃん猫・プリン」)

苺がきずな動物病院の手伝いをするようになり、もう半月が経過していた。いつものように狼牙とぽちと共に散歩をしていた苺は、地域猫が世話をされている場所で野良猫のと出会う。人懐っこい花に魅せられた苺は、母親に花を自宅で飼えないかと打診するも、プリンが亡くなった時の苺の憔悴(しょうすい)した姿を見ていた母親からは呆気(あっけ)なく却下されてしまう。そんな中、妊娠していた花が倒れ、腹部にいる子猫の心拍が弱まっていることが発覚する。花と子猫を助けるため、苺は里親が見つかるまでは自宅で保護したいと母親に申し出る。母親は渋々了承するが、その日から苺が夜を徹して子猫たちのミルクや排泄の世話をする姿を目にし、苺の成長を感じるのだった。(エピソード「新しい家族」)

登場人物・キャラクター

卯野 苺 (うの いちご)

とある中学に通う2年生の女子。年齢は14歳。5月15日生まれのO型で、身長は155センチ。肩下まであるピンク色の髪の一部を、2箇所でお団子ヘアにしている。中学1年生の時に、愛猫のプリンの体調が優れないことから、きずな動物病院を受診して三条狼牙と知り合う。プリンの死期がせまっていることを告げられた際、現実逃避したい思いから狼牙に反発するものの、狼牙の真摯に診療する姿に心打たれ、プリンの死に向き合うようになる。プリンの死後、獣医師になる夢を抱くようになり、きずな動物病院の雑用を手伝っているが、ドジでよく物を落としたりしている。好きなものは占いで、嫌いなものは虫と数学。

三条 狼牙 (さんじょう ろうが)

きずな動物病院で獣医師を務める男性。年齢は25歳。11月11日生まれのAB型で、身長は177センチ。横髪だけ長い黒髪短髪にしている。動物に対しては非常に優しく接するが、感情表現が乏しく、コミュニケーション能力は欠けている。物事をはっきりと口にするため、元々働いていた看護師たちは反発してやめてしまい、一人で雑用までこなしている。故人で、きずな動物病院の獣医師だった父親からは優しくされた記憶がなかったが、卯野苺が発見した父親の日記を見てその心情に触れ、父親を許している。ドジな苺に振り回されながらも、そのバイタリティには刺激を受けている様子が見られる。また、苺には話していないがアメリカで獣医師になる夢を持っている。

プリン

卯野苺が飼っていた雑種のメス猫。年齢は17歳。苺の姉のような存在で、彼女がいじめられた際には駆けつけて相手を威嚇したり、ケガをしたり泣いたりした時には、必ずそばで慰めてくれていた。老衰で死期がせまっており、食欲や筋力が衰えている。

ぽち

きずな動物病院で飼われているポメチワの子犬。兄弟たちと共にきずな動物病院の裏口に捨てられていた。白い毛並みで、拾われた当初は寄生虫感染症の一つであるコクシジウム症にかかっていた。周囲から「ぽーちゃん」とも呼ばれている。

大山 きぬ (おおやま きぬ)

一人暮らしをしている女性。年齢は80歳。肩下までの白髪をうなじでシニヨンにまとめている。2年前に亡くなった夫が、7年前に拾ってきた柴犬のロクを人生のパートナーとしてかわいがっている。しかし心臓を患って入院することが決まり、娘の秋子にロクを託した。

ロク

大山きぬの飼っている柴犬。毎日畑仕事に行くきぬを、欠かさず同じ時間に出迎えに行くほどに頭がいい。きぬの入院が決まり、きぬの娘の秋子に飼われることになったが、突然のきぬとの別れにショックを受けて食事を摂(と)らなくなってしまう。

美華 (みか)

卯野苺と同じ中学に通うクラスメイトの女子。年齢は14歳。ウェーブがかった金髪をポニーテールにしている。牧場の娘で、馬術のパートナーである馬のハヤテをかわいがっており、周囲にも馬であることは伏せたまま、彼氏として自慢している。ハヤテが安楽死させられると聞いた際に激怒し、「ハヤテが死んだら私も死ぬ」とまくし立てた。

ハヤテ

美華の牧場で飼われている馬。美華の馬術のパートナーで、美華が4歳の頃からいっしょに生活している。美華が転びそうな時はさりげなくサポートしたりと、美華のことを大切に思っている様子が見られる。しかし馬術の練習中、左前足を複雑骨折してしまったことで安楽死が検討されている。

五月 (さつき)

卯野苺と同じ中学に通うクラスメイトの男子。年齢は14歳。薄い色の茶髪をショートカットにしている。人とコミュニケーションを取ることが苦手で、小さな声でしか話すことができない。クラスで飼われているうさぎのイヴにシンパシーを感じ、真剣に世話をしており、生態についても熱心に勉強していた。

イヴ

卯野苺のクラスで飼われている、ネザーランドドワーフ種のうさぎ。学校付近に姿を現すが飼い主が見つからなかったため、学校で保護されることになった。学校に連れてこられた当初は怯(おび)えて震えていたが、五月に世話をされるうちに五月に懐くようになった。

(はな)

卯野苺が保護した雑種の猫。腹部に花のような模様がある。元野良猫ながら非常に人懐っこく、苺は亡くなった愛猫のプリンと姿をダブらしている。妊娠中に体調不調になった瞬間を苺と苺の母親に目撃され、きずな動物病院で帝王切開手術を行った。

七瀬 (ななせ)

三条狼牙の旧友の女性。女性にしては身長が高く、金髪を腰まで伸ばしている。モデル志望だったが、あがり症で撮影現場での失敗を繰り返し、現在はモデルになることをあきらめている。飼い犬のジュリの写真をSNSで投稿して、爆発的な人気を得た。生真面目で、ジュリにも完璧な仕事を求めてしまう。

ジュリ

七瀬の飼い犬のポメラニアン。SNS上で有名となり、「天使すぎるわんちゃん」というキャッチフレーズが付いている。雑誌モデルとしても活躍しており、ドッグフードのCM依頼を受けるが、撮影現場に入ると七瀬が緊張するために集中できないでいる。

場所

きずな動物病院 (きずなどうぶつびょういん)

三条狼牙が獣医師を務める動物病院。以前は狼牙の父親が経営していたが、過労が祟(たた)って急死したため、当時獣医師大学の学生だった狼牙が引き継いだ。狼牙の父親は動物に優しく丁寧に診察していたため当初は客も多かったが、毒舌な狼牙に愛想を尽かし、動物病院を変える客も多い。以前働いていた看護師たちも、狼牙の乱暴な物言いが原因で全員やめてしまったため、卯野苺が雑用係として押しかけるまで、狼牙が一人で切り盛りしていた。

書誌情報

ディアバディ~きずな動物病院~ 2巻 小学館〈ちゃおコミックス〉

第2巻

(2022-06-24発行、 978-4098716975)

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