エキゾチックアニマル専門の動物病院が舞台
「エキゾチックアニマル(エキゾ)」とは、犬猫以外の動物全般を指す獣医用語。ペットとして一般的な犬猫ではなくエキゾを専門としている月光動物病院を舞台に、犬アレルギーの新人獣医、神無がさまざまなエキゾと触れ合いながら、獣医として成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。エピソードごとに、甲羅が真っ二つに割れた亀、脱水症状のタランチュラ、火傷した蛇などのエキゾが登場する。
主人公は動物好きの新人獣医
主人公の神無は動物好きの新人獣医ながら、初めて勤務した動物病院で犬アレルギーを発症し、クビになってしまう。それでも獣医の道をあきらめきれない神無は、最後の望みをかけて月光動物病院の面接を受けるが、その病院はエキゾチックアニマル専門の病院だった。院長を務めるのは、幅広い知識と経験を持つ若き女性獣医の月光で、飼い主をはじめ獣医たちからも信頼される優秀な獣医だが、謎多き人物でもある。エキゾに関する知識に乏しい神無は、さまざまなエキゾのあらゆる症状にも冷静に対応する月光から専門知識を学びながら、エキゾを診察・治療する難しさと楽しさを知ることとなる。
多様化する動物医療の現実
ようやくエキゾや月光動物病院の業務にも慣れてきた神無だったが、診察や治療をスムーズにするために動物を固定する「保定」という困難に直面する。ヘビの保定に慣れた頃、目を患ったワニの往診に行くことになり、神無は月光と共に失敗すればケガだけでは済まない危険な保定に挑むことになる。本作はエキゾの飼育や治療に関する解説シーンも多く、実際にエキゾを飼育している人はもちろん、エキゾに詳しくない読者も楽しめる内容となっている。また、神無や月光たちの日常診療を通して、時代の変化と共に多様化するペット事情やエキゾにまつわる問題、動物医療が抱えるシビアな現実を学ぶことができる。
登場人物・キャラクター
神無 (かんな)
新人獣医師の青年。獣医を目指して奨学金で大学を卒業したのち、動物病院に勤務していた。しかし、犬アレルギーを発症したせいでクビになり、エキゾチックアニマル専門の月光動物病院に勤務することになる。当初はエキゾに関する知識は皆無だったが、月光たちと共にさまざまな動物と触れ合ううちに、エキゾ専門の医師としてやりがいを感じるようになる。以前の動物病院で雑用ばかりを任されていたため、掃除や整理整頓のほか、消耗品の節約にも長(た)けている。
月光 (げっこう)
獣医師の女性。エキゾチックアニマル専門の月光動物病院の院長を務めている。切りそろえた金髪をセミロングヘアにしている。つねに冷静沈着でミステリアスな雰囲気を醸し出しているが、さまざまな動物の生態に造詣が深く、豊富な知識と経験の持ち主。実は神無と同様に、犬猫アレルギーを発症したため、エキゾ専門の獣医に転向した経緯がある。バイク旅が趣味で、往診も車ではなくバイクを使用している。素早く治療を行うために日々筋トレを欠かさない。
書誌情報
珍獣のお医者さん 3巻 KADOKAWA〈ハルタコミックス〉
第1巻
(2023-08-12発行、 978-4047376472)
第2巻
(2024-04-15発行、 978-4047379565)
第3巻
(2024-11-15発行、 978-4047380899)