概要・あらすじ
売れない俳優、清武迪の住むアパートの隣室に高校時代の同級生、日下苑が引っ越してきた。日下苑 とは高校以来であったが、近所付き合いをするようになる。そんな中、日下苑の部屋から清武迪にしか聴こえない歌が聞こえてくるようになり、迪にしか見えない日下苑にまとわりつく不思議な少女が見えるようになる。
不思議な少女の存在を迪が日下苑に伝えるが、奇妙なものが見える迪と、不思議な少女の存在を日下苑が拒絶してしまう。不思議な少女は彼女のもとを去ってしまうが、少女は高校時代の親友、高遠峻に姿を変えて迪の前に再び現れる。迪の部屋に居座る高遠峻。迪と高遠峻の不思議な共同生活が始まり、迪は俳優としての道を順調に歩み始め、高遠峻もまた、迪との生活の中で「やり直しの光」を見つけ過去の後悔をやり直して行く。
登場人物・キャラクター
清武 迪 (きよたけ すすむ)
27歳、男性、独身。近眼用の眼鏡をかけている。俳優として芸能事務所に所属しているが、それだけでは生活できず、ファミリーレストランのウェイターに勤しむ日々を送っている。地図や路線図をみるのが趣味。誰にでも優しくて、よく謝る。アパートの隣室に元同級生の日下苑が引っ越してきてから自分にしか見えない謎の少女が見えたり、自分にしか聴こえない歌が聴こえたりするようになり、平凡な日常が少しずつ動き出す。 芸能関係者から付き合いにくいと思われているが、水澤かなえや早戸翼と家飲みをするぐらいの交友関係は持っている。
謎の少女 (なぞのしょうじょ)
5歳ぐらいの少女。赤い靴を履いている。名前はない。昔の日下苑に顔が似ていて歌を歌う。自分のことを「与えられなかった命、届かなかった想い、伝えられなかった言葉」と言う。何者であるかは不明。清武迪の前に頻繁に現れ、他の人には見えない。砂川見留子の最後の言葉を話したり、高遠峻の言葉を伝えたりする。
日下 苑 (くさか その)
27歳女性。清武迪の高校時代の同級生。高校生の頃、高遠峻のことが好きで何度も告白して振られ続けていた。告白した回数は二桁を超える告白常習者。両親は離婚している。学生の頃に河原でよく歌を歌っていたため、ボーカル募集に応募し、CLUB ZEROに勤務する歌手になる。 偶然、清武迪の住んでいるアパートに引っ越してきて再会を果たす。 清武迪に不思議な少女の話をされた時に自分には見えないものが見える清武迪と不思議な少女の存在を拒絶したため、少女は日下苑の部屋から出て行ってしまう。それと同時に日下苑は痙攣性発声障害になり、清武迪に依存していくようになる。ランニング中に出会った中根と惹かれ合い、また歌えるようになる。
砂川 見留子 (すなかわ みるこ)
清武迪と同じ芸能事務所に女優として所属。清武迪とは7年来の付き合い。次のオーディションに落ちたら田舎の滋賀に帰ると日々ぼやいていた矢先、命を落としてしまう。死因は自殺。しかし本当は死ぬつもりはなく、「うっかりして死んでしまいびっくりした」と謎の少女を通して清武迪に伝えた。
高遠 峻 (たかとお しゅん)
清武迪の高校時代の同級生で親友。アイドルの早戸翼に顔が似ている。高校生の頃、自分に好意を持つ日下苑を振るために清武迪を巻き込み、小芝居をしたことがある。19歳の時、「真実の口」というメールを清武迪に送り返事を待つが、返事を受け取ることなくバイクの事故で死亡してしまう。 未練を残したまま謎の少女の体を借りて清武迪の前に現れる。清武迪と生活をともにして行くうちに「やり直しの光」を見つけて、自分の気持ちをやり直していく。
社長 (しゃちょう)
男性。清武迪の所属している芸能事務所の社長。所属タレントは少なく、清武迪に事務所は大丈夫なのかと心配されている。砂川見留子が亡くなった時、直接清武迪に電話で連絡をしてくれたまめな人物。清武迪の活躍を喜び、鮨や焼き肉を食べに連れて行ってくれたり、清武迪が轢き逃げされて入院した時、すぐに見舞いに駆けつけるなど面倒見の良い面を持つ。
水澤 かなえ (みずさわ かなえ)
21歳、女性、独身。職業は女優。芸能事務所アスターに所属。バラエティー番組、ドラマや舞台に引っ張りだこ。ズケズケと思ったことを口に出す。自称霊感がある「霊感少女」で清武迪の理解者であり、飲み友達でもある。清武迪に告白するが振られる。その後も友人としての関係は良好。
早戸 翼 (はやと つばさ)
男性。本名の早戸翼を気に入っておらず、芸名を付ければよかったと思っている。イケメンで売れっ子、人気俳優。清武迪の高校時代の同級生で親友の高遠峻に顔が似ている。 清武迪と水澤かなえは飲み友達。清武迪とはお互いの家を行き来するほどの仲。
佐久間 (さくま)
年齢不詳、男性。既婚。俳優。超イケメンだが身長が低い。清武迪と飲むのは老舗居酒屋ガブくん。実家は山梨のぶどう農家。妻が農家をやってもいいと言ったため、俳優を辞めて実家に戻ることにした。将来はワイナリーをやることを夢見ている。
吉田 由美 (よしだ ゆみ)
清武迪のマネージャーで、車での送迎を行っている。今まで事務所に送迎用の車はなかったが、清武迪用に社長が購入。普段は冷静だが、清武迪が轢き逃げに遭った時はものすごく心配して取り乱した。後に清武迪と結婚し、男の子を授かる。子どもの名前は真太郎。マネージャーとしてはしっかりしているが、料理は独創的でおかずのチョイスは微妙だと清武迪に思われている。
小田 タケル (おだ たける)
32歳。CLUB ZEROに勤務するギタリスト。SONOのギターを担当。バツイチでクォーター。清武迪が日下苑に不思議な少女の話をして怖がらせて以降、日下苑のアパートの部屋に入り浸るようになる。二人が付き合っているかどうかは不明。
伊東 (いとう)
芸能事務所アスターに所属している水澤かなえの専属マネージャー。天然パーマでちょっとぽっちゃりしている。しっかり者。打ち上げの後の水澤かなえの心配もする気遣いを見せる。
中根 (なかね)
ライブハウスのオーナーの甥っ子。妊娠中の妻、日下苑に料理を作ったり、妻の体調を気遣う優しい夫。子どもの名前を一緒に考えたりして、幸せのまっただ中。
場所
CLUB ZERO (くらぶ ぜろ)
日下苑が歌手SONOとして歌っているクラブ。小田タケルは同クラブにギタリストとして勤務している。清武迪がこのクラブを訪れたのは、SONOの歌を聞くための2度と、日下苑が声が出なくなり入院した際に病院を聞くため小田タケルをたずねた1度だけ。日下苑は退院後クラブから離れてしまう。