概要・あらすじ
鹿を敬う決まりのある鹿の子村で奇怪な事件が発生し、その事件を解決するために東京から探偵の隠神鼓八千が呼ばれた。そこで隠神は、村でも汚れ仕事しかしない厄介者の少年、日下夏羽と出会う。隠神は事件の詳細を知る夏羽の協力を得て、2人で村の奇怪な事件の原因となる怪物の正体を突き止めていく。その最中で夏羽は、自分も同じ怪物だと知って衝撃を受けることになる。
もともとすべてを把握していた隠神は、自分が化狸であること、そして夏羽がは屍鬼と人との間に生まれた半妖であることを伝えるのだった。結局、鹿の子村の事件の犯人は夏羽とは別の怪物であったが、すでに村には夏羽の行き場はなく、隠神は彼に新しい人生を歩ませるべく、東京へ連れて行くことを決意。
やがて夏羽は自らの意思で両親に会いたいと思うようになり、隠神のもとで両親を探しながら、怪物を原因とする奇妙な事件の解決の手助けをする。
テレビアニメ
登場人物・キャラクター
日下 夏羽 (くさか かばね)
13歳の少年。誕生日は不明。実は屍鬼と人間との間に生まれた半妖の子である。生まれて間もない頃に、母親の妹である鹿の子荘の女将さんに預けられ、人間として育った。女将さんの息子である日下弥太郎を中心とした周囲の人からは「泥田坊」と呼ばれていた。人としての生活が許されず、日常的に酷い扱いを受けていた。そのため、無表情で自分の感情に疎く、誰かに頼ることも知らず、自分を傷つけることに躊躇(ためら)いもない、心がないような少年に育った。 しかし隠神鼓八千に救われ、両親と会いたいという意思を持ち始めてから、徐々に人の感情や普通の日常生活を学んでいる。「隠神怪物相談事務所」に住み込み、家事全般を請け負っているが、料理だけはまだまだ練習中。
隠神 鼓八千 (いぬがみ こはち)
「隠神怪物相談事務所」の所長を務める男性。誕生日は9月1日で、年齢は36歳。正体は怪物であり、化狸でもある。片目をもさもさした髪の毛で隠しており、狸の姿にもなれる。さまざまな事情を抱えた日下夏羽や蓼丸織、岩木山雪里白那之五十六子晶を保護しながら、飯生妖子から仕事の依頼を請け負っている。3人の子供に対しては放任主義を装っている。 しかし、狸の姿になって後を追ってみたり、必ずお守りを持たせるなど、抜け目なく対策しており、実際は面倒見が良い父親的存在となっている。家事はまったくといっていいほどできず、食事もラーメンにもやしやコーンなどを乗せただけのものしか作れない。
蓼丸 織 (たでまる しき)
14歳の少年。誕生日は11月10日。人間の父親と蜘蛛の母親を持つ半妖の子。日下夏羽と同様に両親の行方は不明だが、本人は亡くなったものだと思っている。目つきが悪く言葉遣いも悪いが、実は面倒見が良い兄貴肌。当初は同じ境遇の夏羽に突っかかっていたが、夏羽が世間のことを何も知らないとわかってからは、何かと面倒を見ている。 自分の大好きなピザを夏羽が知らないと聞くと、即座に食べさせるなど、言動とは真逆の心優しい性格。気に食わないと言いつつも、夏羽や岩木山雪里白那之五十六子晶を仲間として認めており、夏羽の常識外れの行動に圧倒されながらも、心から心配している。
岩木山雪里白那之五十六子 晶 (いわきやまゆきさとしろなのごじゅうろくし あきら)
15歳の少年。誕生日は2月24日。100年に一度しか生まれないという雪男子の怪物。双子の兄を探しながら、いつか兄に頼ってもらえるほどに強くなろうと、隠神鼓八千のもとで暮らしている。髪の毛が長く、格好も女性的で、初対面の日下夏羽にもきれいな女性だと思われていたほど。さらに可愛い物が好きで甘党、綺麗好きで1日に3回程度シャワーを浴びる他、怖い物や気持ち悪い物が苦手で、とても臆病な性格と、何かと女性的な面が目立つ。 しかし、岩木山雪里白那之五十六子晶自身は女扱いされることを嫌っている。夏羽や蓼丸織のように戦い慣れておらず、力も思うように使えないが、上手く集中できると強力な力を発揮し、その威力は周囲一帯を氷漬けにするほど。 何かと人と一緒にいたがり、夏羽や織に仲間外れにされることを嫌う。
飯生 妖子 (いなり ようこ)
警視庁新宿警察署勤務の警視。その立場に似つかわしくない、煌びやかな風貌の女性。その正体は、幻術で人の心を奪い、何も感じず考えない忠実な部下として操っている化狐。新宿警察はすでに彼女の城と化している。隠神鼓八千とは仕事において協力関係にあるが、傲慢で私欲に忠実なため、日下夏羽の持つ貴重な命結石を欲しがり、紺を使って奪おうとしている。
紺 (こん)
飯生妖子の部下で、狐の少女。飯生を母親のように慕い、彼女に褒められるために日下夏羽の命を狙っている。「飯生に怒られる」と付け加えれば、何でも言うことを聞いてしまうなど、少々頭の弱いところがある。良く言えばとても素直で純粋、さらに頑張り屋な「いい子」である。紺自身も「いい子」でいようと心がけており、飯生の欲しがるものはすべて手に入れようと、毎日頑張っている。
ミハイ
吸血鬼の男性。「隠神怪物相談事務所」の情報機器操作のすべてを担当している。隠神鼓八千とは古い知り合い。機械に弱い隠神からの依頼を受けて、事務所のサイトを作成したり、情報が漏れないように工作したりと、「隠神怪物相談事務所」にとって非常に重要な人物。しかし現在は、オンラインゲームにハマり過ぎて、いわゆる「ネトゲ廃人」と化しており、部屋からまったく出ずに生活している。 性格は自分勝手で、自分が正しいと疑わず、何をするにも上から目線。それで、素直で従順に言うことを聞く日下夏羽を非常に気に入っている。さらに人として色々と欠落しているところはあるが、超人的な身体能力や知能を持つうえに不老で半不死と、怪物の中でも特に強力な種族である。
日下 弥太郎 (くさか やたろう)
女将さんの息子。東京に憧れており、現在住んでいる田舎を離れて、将来は東京で生活したいと夢見ている少年。日下夏羽を「泥田坊」と呼び、毛嫌いしていじめていた。村を訪ねて来た隠神鼓八千に媚びを売るが、自分よりも夏羽が選ばれたので憎悪する。自信過剰であるが、夏羽を毛嫌いしているのは、育てなくてはいけない立場の母親である女将さんの身を案じているからでもある。
女将さん
鹿の子荘の女将。日下夏羽の叔母で育ての親。夏羽には学校にも行かせずに畑仕事をさせるなど、あまり人らしい生活はさせていなかった。夏羽の母親である姉から突然預けられ、また夏羽が屍鬼と人間の半妖であると知っているため、自分も息子の日下弥太郎も、いつ襲われるかという不安と戦っていた。村で事件が発生した際、夏羽が犯人だと決めつけ、殺してほしいと隠神鼓八千に依頼した。
その他キーワード
命結石 (めいけっせき)
身につけていると、怪物特有の人間を襲う衝動を抑えることができる不思議な石。特殊な状況でないと生み出すことができない、非常に貴重なもの。日下夏羽が赤ん坊の時から持っており、両親の手がかりとして大事にしている。また、飯生妖子が我が手に収めんと狙っている。
怪物 (けもの)
「古来からこの世に潜み、人に見つからぬよう人と関わりあって生きる者」といわれる存在。近年、人と必要以上に関わろうとする怪物が増え、半妖の子供が生まれるケースが多数報告されている。狸や狐、蜘蛛、雪男子、吸血鬼、そして屍鬼といったさまざまな怪物が、人間社会に紛れて生活をしている。
書誌情報
怪物事変 22巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2017-03-03発行、 978-4088810966)
第2巻
(2017-07-04発行、 978-4088811284)
第3巻
(2017-11-02発行、 978-4088811697)
第4巻
(2018-03-02発行、 978-4088813684)
第5巻
(2018-07-04発行、 978-4088814254)
第10巻
(2020-03-04発行、 978-4088822365)
第17巻
(2022-09-02発行、 978-4088832067)
第18巻
(2023-02-03発行、 978-4088833149)
第19巻
(2023-07-04発行、 978-4088834979)
第20巻
(2023-12-04発行、 978-4088836959)
第21巻
(2024-05-02発行、 978-4088838908)
第22巻
(2024-11-01発行、 978-4088842158)