概要・あらすじ
OLの仕事に疲れ切った盛岡森子は、心機一転とばかりにニート生活に突入。元々ネットゲームが好きだった森子は、ニート生活を送るにあたって新しいゲームを始めることにした。林という名前のキャラクターを作り、早速プレイを開始した森子だったが、ゲーム内ですぐに迷子になってしまう。そんななか助けてくれたのが、先輩ゲーマーのリリィだった。
リリィから誘われてギルドに入った林は、仲間たちとの楽しい日々を過ごすこととなる。
登場人物・キャラクター
盛岡 森子 (もりおか もりこ)
林のプレイヤーの女性。OLを辞めてニートになり、新しいゲームをスタートさせた。OL時代はそれなりに髪や顔を整えてはいたが、ニートになってからはまったく身だしなみを気にしなくなった。ネットゲームに常駐するために、コンビニのパンや片手で食べられるものを常備している。
林 (はやし)
盛岡森子の操作する、ネットゲームでのキャラクター。見た目は男性で、ジョブは騎士。カンベから「人畜無害」と称されるほど人当たりが良く、誰に対しても警戒されずに親しくなれる。ギルド「@家パーティー」では新参者だが、リリィやカンベの支援もあって、ギルドメンバーと仲良くやっている。ずっと一緒にプレイしてきたリリィからの誘いにより、相方になる。
リリィ
プレイし始めの林を助けたキャラクター。女性で、ジョブは上級職のコンダクター。ギルド「@家パーティー」のなかでは古参メンバーの一人。穏やかな性格で、人当たりがいい。一時は人と関わりたくないと思うほどに人付き合いを煩わしく感じていたが、林と出会ってからは、少しずつ変化していく。プレイヤーは男性でいわゆる「ネカマ」であり、林が相方になる時にはカンベに「ネカマだけどいいのか」と聞かれていた。 課金の亡者で、「お金なんて課金のためにあるの」というのが信条。
カンベ
ギルド「@家パーティー」のギルドマスターを務める男性キャラクター。ジョブは上級職のアサシン。「@家パーティー」のギルドメンバーには前衛職が足りないため、いつも二刀流のロマンを捨てて防備を固め、壁役に徹している。心は広いがせっかちで、チャットでワイワイ盛り上がるあまり、ゲームの進行が遅れがち。
ライラック
ギルド「@家パーティー」のムードメーカー的存在の女性キャラクター。ジョブは下級職の呪術師。猫耳布教に忙しく、自身も猫耳を付けている。「@家パーティー」に入ったばかりの林にも猫耳を付けていた。魔法職だけを転職し続けている純正の魔法使い。カンベのことが好きだが、リリィの相方だと思っており、言い出せずにいる。
ぽこたろう
ギルド「@家パーティー」の副ギルドマスターを務める男性キャラクター。ジョブは上級職のシャーマン。肉団子系男子を推していて、本人もぽっこりしたお腹がトレードマーク。Nicoにはそれがカッコいいと見られている。カンベの親友でもあり、お互いにリアルのことをよく知っている。
ヒメラルダ
ギルド「@家パーティー」に所属する男性キャラクター。ジョブは上級職の道化師。口調はオネエだが、男性なのか女性なのか明かしていない。皆のお兄さんを目指していて、リリィに「お兄さん」と呼ばせている。ぽこたろうと仲がいい。
Nico
ギルド「@家パーティー」のメンバーだが、あまりログインしない。女性キャラクターで、生産系ジョブに就いている。「俺は貢ぎたい奴にしか貢がねぇ!」が信条で、ぽこたろうがゲーム始めたばかりの頃には、よく彼に貢いでいた。今は恩返しとして、ぽこたろうからスペルスクロールをもらっている。
池田 (いけだ)
盛岡森子が松風物産で働いていた時の先輩女性で、森子に対してキツく当たっていた。目力の強い美人。先輩として森子を指導することはなく、そのくせ森子一人に仕事を押しつけていた。
吉田 しおり (よしだ しおり)
盛岡森子が松風物産で働いていた時の後輩女性で、森子のことを頼りにしていた。森子もそれに応えて彼女を池田から守ろうとしており、それが結果的に池田に目をつけられる原因ともなった。現在も、森子の作ったマニュアルを頼りに仕事をしている。
桜井 優太 (さくらい ゆうた)
盛岡森子が町でぶつかった男性。眼鏡をかけた、薄い色の茶髪に青い目のイケメン。ぶつかった際に森子に怪我を負わせ、病院まで付き添った。寝坊して名刺入れを忘れていたため、代わりにメモ帳に名前と連絡先を書いて森子に渡した。
小岩井 (こいわい)
桜井優太の先輩で、かつて松風物産の研究所で働いていたこともある男性。ちょっとチャラいところがあり、松風物産にいた時代に、一度電話しただけの盛岡森子に「もりもりちゃん」というあだ名を付けたことがある。
藤本 (ふじもと)
盛岡森子がよく通っているコンビニのアルバイトの青年。森子とは顔なじみで、歩いて帰る森子のために袋を二重にしてあげたり、課金用のチケットを買うために来た森子のことを心配したりと、何かと気にかけている。
集団・組織
@家パーティー
名前のとおりアットホームな雰囲気でゲームを楽しむことを目的としたギルド。加入メンバーは成人に限定されている。ギルドのルールは「ログインしたら必ず挨拶すること」「仲間が困っていたらできる限り助けること、ただし頼る場合は困らせ過ぎないように」「ギルド内恋愛禁止」の3つである。
その他キーワード
スペルスクロール
杖がないと唱えられない魔法を紙に描いたもので、これがあればどんなジョブのキャラクターでも魔法を使えるようになる。生産系上級職についているNicoへの恩返しのために、ぽこたろうがせっせと作っている。
キャラメイク
ネットゲームでキャラクターを作成すること。ゲーム中のキャラクターは、プレイヤーの性別に関わらず男女を好きなように選べるため、「ネカマ(ネット内でのオカマ)」なども存在する。林やリリィは現実とは異なる性別のキャラクターなので、本来とは男女逆転の状態で相方関係となっている。
ギルド
何人かのキャラクターが集まって作ったパーティーのこと。何百人単位のメンバーを抱えるギルドから10人未満の小規模ギルドまで、その規模はさまざま。より密度の濃い人間関係を築けるので、ネットゲームの楽しみのひとつとも言える。ちなみに「@家パーティー」は成人限定ギルドのため、規模はそれほど大きくない。
ギルドマスター
ギルドに属するギルドメンバーを纏める役の人のこと。必要に応じて、ギルドの規律を作ることもする。ギルドマスターの他に副ギルドマスターも存在し、こちらはギルドマスターを補佐する役割を担う。
ギルドメンバー
ギルドに所属するメンバーのこと。基本的にギルドマスターによって規律が決められるため、それに即したメンバーが集まる。例えば「@家パーティー」では、成人限定などの制限がある。ギルドメンバーが多ければ多いほど、大規模ギルドとして認められる。
クエスト
キャラクターに定められた任務。初心者にはやらなければ先に進めない必須クエストが多いが、ゲームが進むにつれて、必須ではないクエストも増えてくる。林は、必須の初心者クエストをクリアした後、必須ではない釣りのクエストに興じていた。
ジョブ
ネットゲーム内の職業のことで、キャラクターは就いたジョブに応じてさまざまな能力を得ることができる。初心者には何もジョブはないが、クエストを進めていくうちにジョブを選択できるようになる。また、ジョブには下級職と上級職があり、上級職になるには、下級職からレベルアップして、条件を満たす必要がある。
騎士 (きし)
下級職のジョブのひとつ。前衛職であり、敵の攻撃を受けて後衛職のメンバーを守る、壁役が主な仕事となる。片手剣と盾を装備することができるため、壁役として活躍できる場面が多い。林がこのジョブに就いている。
コンダクター
上級職のジョブのひとつ。回復職の上級職で、杖とハープを持ち替えて使うことができる。後衛職であり、後方から味方の援護や回復をすることが主な仕事。リリィがこのジョブに就いている。
アサシン
上級職のジョブのひとつ。一定レベルに達し、とあるクエストをこなすことで就けるジョブで、二刀流で戦うことができる。前衛職だが防御力は低く、壁役には向かない。カンベがこのジョブに就いている。
呪術師 (じゅじゅつし)
下級職のジョブのひとつ。後衛職で火力重視な魔法系ジョブ。後衛職のため打たれ弱く、いかに前衛職に敵の注目を向けつつ魔法を撃てるかが腕の見せどころ。ライラックがこのジョブに就いている。
シャーマン
上級職のジョブのひとつ。魔法系の上級職で、後方から強い魔法を撃つことで、パーティーを支援する。後衛職のため打たれ弱く、いかに前衛職に敵の注目を向けつつ魔法を撃てるかが腕の見せどころ。ぽこたろうがこのジョブに就いている。
道化師 (どうけし)
上級職のジョブのひとつ。後方でのスキル支援と、魔法での支援ができる特殊なジョブ。スキルにはトリッキーなものがあり、道化師の特徴のひとつに挙げられる。ヒメラルダがこのジョブに就いている。
課金 (かきん)
ゲームにお金を支払い、何らかの特典を得ること。数百円単位から数万円単位までお金をかけることができる。ギルド「@家パーティー」で林がよく知る面々は、多かれ少なかれ課金しているが、その中でもリリィは重課金者として知られている。
強化 (きょうか)
装備を強くすること。ただし強化は失敗することもあり、その場合は装備を失う可能性もあるため、うかつに実行できない。リリィ曰く「強化はなくてもいいけど、課金と一緒であると便利」とのこと。
松風物産 (まつかぜぶっさん)
盛岡森子が所属していた会社のこと。森子はここの流通システム課に所属していた。また小岩井も今の会社に勤める前は、松風物産の研究所に勤めていた。森子はここにいる時に池田から非常に強いプレッシャーを受けたことで、会社を辞めるに至った。
相方 (あいかた)
ネットゲーム内でのパートナーのことをそう呼び、ネットゲームの世界において、その関係は本当の恋人のように重要視される。かつてリリィは相方がいるにも関わらずよく他のパーティーに呼ばれており、当時の相方に激しく嫉妬されていた。
物欲センサー (ぶつよくせんさー)
レアアイテムなど、欲しいアイテムに対しての欲求が強くなりすぎ、物欲にまみれることで発動するセンサー。これに察知されると、大抵願ったものは自分の手に入らないというジンクスであり迷信。