誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~

誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~

木緒なち&KOMEGAMESの小説『誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~』のコミカライズ作品。秋葉原の街ごとファンタジーな異世界に飛ばされてしまった青年の久保俊徳が、異世界に華開いたアキバ文化の真っ只中で、苦闘しながらもゲーム開発を続ける姿を描いたギャルゲー制作黙示録。「コミックアライブ」2018年12月号から2020年1月号にかけて掲載された作品。

正式名称
誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~
ふりがな
だれがよんだの いせかいとげーむづくりとりくるーとしょうかん
原作者
木緒 なち&KOMEGAMES
作者
ジャンル
ゲーム
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全2巻完結
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

秋葉原の街が精霊と魔法の国「フェアリーフ」に転移する秋葉原異変が起きて数年が経過したある日。人間で唯一、秋葉原と共に転移した久保俊徳は、アキバ文化が華開いたフェアリーフでえいえんソフトという、ゲームブランドの代表となり、現地のスタッフやリクルート召喚した同じ人間の水瀬あかりたちとゲーム開発に勤しんでいた。しかし、予期せぬトラブルが続いて開発は難航し、延期に延期を重ねたことでえいえんソフトは現地のSNSで酷評を受けてしまう。社長のケント・キューブリックにこっぴどく叱責された俊徳は、不在のシナリオライターをリクルート召喚することを決意。その結果、見た目は金髪幼女だが、中身は中年男性のシナリオライターの飴玉ケイトを召喚することに成功。紆余曲折はあったが、なんとか締め切り内にシナリオを納品するのだった。しかし、ケイトが密かにシナリオに潜ませていたエロシーンが発覚し、キューブリックが激怒。シナリオの手直しを要求された俊徳は、頭を抱えながら、再び発売延期の告知文を書くのだった。

第2巻

精霊と魔法の国「フェアリーフ」は、強烈な暑さに見舞われていた。エアコンの壊れたえいえんソフト社内も、うだるような熱気によって社員の士気は下がる一方だった。そんな時、ライバル会社の鬼畜王ソフトに在籍するチェダーから、ヘルプ案件が持ち込まれる。私怨からその案件を拒否する水瀬あかりたちだったが、新品のエアコン設置を条件に出され、瞬時に屈服してしまう。先方から指名されたアイリス・オーカワを連れ、久保俊徳は鬼畜王ソフトを訪れるが、ヘルプの内容は通常業務ではなく、アイリスをギャルゲーのポーズモデルとして起用するものだった。恥ずかしがるアイリスをよそに、知人のシャルロット・チョウもモデルに加え、撮影は順調に進行する。案件をなんとかこなした俊徳は、請求金額を値切ろうとする鬼畜王ソフトの社長・ゴルゴンゾーラのプレッシャーにも打ち勝ち、社員のボーナスをゲットすることにも成功するのだった。

登場人物・キャラクター

久保 俊徳 (くぼ としのり)

人間の青年。美少女ゲームを開発するゲームブランドのえいえんソフトの代表を務める。数年前に秋葉原異変に巻き込まれ、唯一の人間として異世界、フェアリーフに転移した稀有な存在。フェアリーフの各種メディアに時の人として取りざたされたため、今でも知名度が高い。ディレクターとしては優秀だが、予期せぬトラブルに見舞われることが多く、開発しているゲームが発売延期を繰り返している。そのため、SNSではユーザーに責められ、社長のケント・キューブリックからは幾度となく呼び出され、叱責される日々を送っている苦労人。社員思いで、不手際があれば社員にも真摯に頭を下げる生真面目な性格をしている。そのため、水瀬あかりをはじめ、社員の面々には多少なめられてはいるが信頼もされており、ほどよい距離感を保つ良好な関係を築いている。ヴァンダレイ・モニカからは「シュン」、アイリス・オーカワからは「パトリック」、シャルロット・チョウからは「トクサン」、あかりからは機嫌に応じて「小久保」「中久保」「大久保」と、思い思いのあだ名で呼ばれている。リクルート召喚で、あかりをフェアリーフに呼び出した張本人で、のちに会社に不在のシナリオライターを補充するため、飴玉ケイトをリクルート召喚する。社長秘書のキャサリン・ゴッドウォーからは好意を寄せられているが、久保俊徳自身はまったく気づいていない。

水瀬 あかり (みなせ あかり)

人間の女性。えいえんソフトの社員で、イラストレーターとして原画を描いている。淡々と仕事をこなす黒髪の美人で、久保俊徳によってリクルート召喚で人間界からフェアリーフに呼び出された。その堅実な仕事ぶりから、俊徳にも信頼されている。もともとは人間界のイラストレーターで、顔出ししてのイラスト作業のライブ配信などを行なっていた。そのため、業界ではよく顔を知られており、同様にリクルート召喚された飴玉ケイトも、水瀬あかりのことを知っていたほど。絵は非常にうまいが、人物はバストアップしか描けないことがコンプレックスになっている。酒が異常なほど強く、「一杯飲んだだけで世界が揺らぐ」といわれる雫割りを3杯飲んでも顔色一つ変えない酒豪。機嫌によって俊徳のあだ名を変える癖があり、機嫌がいい時は「大久保」、悪い時は「小久保」、ふつうの時は「中久保」と、その時の感情であだ名をこまめに使い分けていた。俊徳と異なり、いつでも人間界へと帰ることができるにもかかわらず、ずっと俊徳のもとで働き続けている。

アイリス・オーカワ

ハーフエルフの女性。美しい金髪の持ち主。えいえんソフトの社員で、主にグラフィックの彩色を担当している。明るく能天気な性格をしている。同僚の水瀬あかりからは「アイ子」というあだ名で呼ばれている。もともとはプログラマー志望で、プログラマー養成学校を首席で卒業しているほどの努力家。しかし、詐欺に等しい授業を受けており、習得しているのはふつうのプログラム言語ではなく表計算ソフトのマクロ。そのため、各社の就職面接で笑われまくったのが、今もトラウマになっている。酒がとにかく大好きで、アルコエーテル入りのポーションを大量に飲み、会社のトイレで吐いたり、会社に泊まり込んで昼まで爆睡するといった醜態をさらすなど、非常にだらしない。そのため、同じエルフのキャサリン・ゴッドウォーと比較され、あかりからは「ダメエルフ」呼ばわりされることもある。人目を惹くスタイル抜群の美人だが、恥ずかしがり屋なところがあり、多くの人から注目されるのが苦手。エルフとして、耳をとがらせることに強いこだわりを持っており、エルフの耳養成ギプスなる、見た目が怪しげな商品を使用している。

ヴァンダレイ・モニカ

かわいらしい獣人の女性。頭部に獣の耳が生えている。えいえんソフトの社員で、広報を担当している。まじめかつ純粋な性格で、社内の癒し的な存在。声優を志望しているが、人前に出るのが非常に苦手。それを克服する訓練を名目とし、久保俊徳の命令を受けて、メイド服を着て仕事をしている。広報のほか、ユーザーからのクレーム報告や俊徳への電話の取次ぎなど、俊徳の秘書的な業務も行っている。俊徳のことは「シュン」と呼んでいる。俊徳のことを非常に尊敬しており、俊徳が冗談でえいえんソフトの代表を降りると言った時は、「シュンがいなくなったらわたし死にます」と涙ながらに訴えていた。

ラクア・ギガマイン

人間と魔族のハーフの少女。大きめの帽子をかぶっている。えいえんソフトの契約社員で、総務を担当している。王立アカデミーでレベルの高い教育を受けており、仕事熱心でまじめな性格をしている。久保俊徳はもとより、社外からも人間性を高く評価されている。語尾に「~っす」と付けるしゃべり方が特徴。本来は召喚士で、精霊を召喚したり、別世界から人間を召喚する役割を担っている。ただし、召喚士としての才能はあまりなく、ラクア・ギガマイン自身もそれを自覚している。水瀬あかりと飴玉ケイトをリクルート召喚していた。社員全員が4G屋に飲みに行ってしまった状況でも、ゲームの販売が遅れたことを問屋に謝罪に行くなど、仕事に対する姿勢は真摯そのもの。えいえんソフトの正社員になりたがっており、俊徳にもことあるごとに直訴しているが、えいえんソフトの厳しい台所事情のためになかなか実現していない。あかりからは「ラッ子]と呼ばれていた。

シャルロット・チョウ

胸の大きいドラゴンハーフの女性。頭部に角が生えている。居酒屋「4G屋」に勤めており、明るく社交的な看板娘。常連であるえいえんソフトの社員たちと仲がよく、水瀬あかりからは「シャル姉」と呼ばれ、慕われていた。世話好きで包容力があり、仕事が切羽詰まったえいえんソフトを頻繁に訪れ、店の美味しい料理を差し入れしている。職業柄交友関係が非常に広く、さまざまな種族に顔が効くため、入手しにくいアイテムも彼女のもとに集まって来る。見た目に反してかなりの怪力の持ち主。趣味はイベントでコスプレすること。

ケント・キューブリック

魔族の男性。美少女ゲームの流通を取り扱う「王立技術研究公社」の代表取締役社長を務める。頭部に角が生えており、人を刺すような鋭い目つきをしている。社内ゲームブランドのえいえんソフトが開発しているゲームが発売延期を繰り返していることから、ここ最近は著しく不機嫌な状態が続いている。かなりの説教魔で、たびたび久保俊徳を本社へと呼び出し、不手際への叱責を繰り返していた。俊徳への態度は非常に辛辣で厳しいが、それは彼のディレクション能力を信頼していることの裏返しで、人格を含めて俊徳のことを高く評価している。ライバルであるゴルゴンゾーラからは「骨煎餅」と呼ばれ、バカにされている。

飴玉 ケイト (きゃんでぃ けいと)

人間の幼女。金髪のツインテールの髪型をしている。推定年齢は10歳。久保俊徳の希望により、別世界からリクルート召喚された。体は幼女ながら精神は中年男性で、召喚に伴い容姿と性別がどちらも変化した。本来の年齢は35歳。別世界ではプロのシナリオライターをしており、エロスな表現を得意としている。シナリオライター不在のえいえんソフトをヘルプするように俊徳から懇願されるが、殺人的なスケジュールに難色を示し、当初は断っていた。しかし、俊徳と酒を酌み交わすことで意気投合し、ヘルプの依頼を受け入れる。その後は、プロとしての本領を発揮し、俊徳にアドバイスをしつつ納品を間に合わせる。俊徳の仕事に対する情熱に、クリエイターとしての創作意欲を搔き立てられ、再び現世へと帰還していった。

キャサリン・ゴッドウォー

美しいエルフの女性。王立技術研究公社の社員で、ケント・キューブリックの秘書を務めている。すました表情で忠実に職務をこなすクールビューティー。久保俊徳に好意を抱いており、彼に自分を「キャサリン」と呼ぶようにお願いしたり、食事に誘うといったアプローチを繰り返しているが、俊徳にはまったく気づかれていない。俊徳以外のえいえんソフトの社員は、キャサリン・ゴッドウォーの思いに気づいており、不憫な彼女の境遇に同情している。水瀬あかりからはだらしないアイリス・オーカワと比較して、「ガチエルフ」と呼ばれていた。

チェダー

頭部に角が生えた魔族の女性。ゴルゴンゾーラの娘。鬼畜王ソフトの社員で、主に営業を担当している。関西弁で鋭いツッコミを交えながらしゃべるのが特徴。久保俊徳の知人で、えいえんソフトにヘルプ案件を持ってきた。非常に交渉上手で、水瀬あかりらが案件の引き受けを渋った時は、えいえんソフトのオフィスに新品のエアコンを設置することを条件にして、瞬時に案件の受注を承諾させた。

ゴルゴンゾーラ

チェダーの父親。頭部に角が生えた魔族。鬼畜王ソフトの代表取締役を務める、ヤクザのような風貌をした巨体の男性。関西弁でしゃべるのが特徴。以前は現役の魔王だったため、言動に異様な迫力があり、ほとんどの相手はその姿を見ただけで圧倒されてしまう。久保俊徳とも面識があり、ライバル会社にもかかわらずえいえんソフトに仕事を振っていた。俊徳のディレクターとしての能力を高く買っている。

リコッタ

魔族の女性。ポニーテールの髪型をしている。鬼畜王ソフトの開発四部に所属しており、ペコリーノとはいつもいっしょに行動している。ファンタジーなギャルゲーを開発しているが、まだまだ経験不足でキャラデザインがうまく仕上がらないことに悩んでいる。そんな中、偶然別メーカーのイベント会場で見かけたアイリス・オーカワを気に入り、メインヒロインギャルゲーのポーズモデルとして起用した。久保俊徳からゲームの詳細について聞かれた時は、余計な口を出してアイリスのやる気を削がないようにと、怖い顔で俊徳に釘を刺していた。

ペコリーノ

魔族の女性。ツインテールの髪型をしている。鬼畜王ソフトの開発四部に所属しており、リコッタとはいつもいっしょに行動している。ファンタジーなギャルゲーを開発しているが、まだまだ経験不足で、キャラデザインがうまく仕上がらないことに悩んでいる。そんな中、偶然別メーカーのイベント会場で見かけたアイリス・オーカワを気に入り、メインヒロインギャルゲーのポーズモデルとして起用した。

集団・組織

えいえんソフト

王立技術研究公社の社内ブランドで、美少女ゲームの開発室。代表は久保俊徳が務めている。純異世界産のゲームソフト開発を目指して立ち上げられ、ユーザーの期待を一身に背負っていたが、シナリオライターが逃げたり、マスターロムがドラゴンに焼かれるなど、予期せぬトラブルが続出し、未だゲームの完成には至っていない。また、慢性的な予算不足にも苦しんでいる。発売延期を繰り返したことで世間からの評判は地に落ちており、発売延期の告知が出るたびにSNSを中心に多くのユーザーから辛辣に叩かれている。

鬼畜王ソフト (きちくおうそふと)

フェアリーフの西域にあるゲーム会社。ゴルゴンゾーラが代表取締役を務めている。えいえんソフトのライバル会社であるが、規模ははるかに大きく、久保俊徳のもとにもヘルプ案件の仕事を振っていた。金払いもよく、リテイクの指示も的確で、さらに追加作業にもギャラがしっかり出るため、俊徳からは有難がられている。

王立技術研究公社 (おうりつぎじゅつけんきゅうこうしゃ)

フェアリーフの国王の命によって立ち上げられたゲーム会社。ケント・キューブリックが代表取締役を務めている。略称は「KGB」。美少女ゲームの流通と開発管理を業務としている。社内ブランドであるゲーム開発室のえいえんソフトに資金を提供しており、久保俊徳が絶対に逆らえない存在。

場所

フェアリーフ

異世界に存在する精霊と魔法の国。人間と異種族、そして魔物のあいだで条約が結ばれ百数十年にわたる平和な時代が続いている。魔法や魔力をエネルギー源として使用しているが、世界的な魔力不足に見舞われている。別世界から魔力を召喚する大規模魔法実験を行った結果、秋葉原を街ごとフェアリーフに転移させてしまう。文化や文明のレベルは21世紀の地球とほぼ同じ。

4G屋 (よんごーるどや)

フェアリーフの居酒屋。創業当初、すべてのつまみが4ゴールドで統一されていたことからこの名が付けられた。大衆居酒屋として日々賑わっており、えいえんソフトの社員一同が明日への活力を生み出す憩いの場所となっている。シャルロット・チョウが看板娘として働いている。

その他キーワード

秋葉原異変 (あきはばらいへん)

魔力不足に苦しむフェアリーフが行った大規模魔法実験の結果、秋葉原が街ごとフェアリーフに転移した出来事を指した言葉。フェアリーフ全域でアキバ文化が華開くきっかけとなった。人間では唯一久保俊徳だけが、秋葉原異変に巻き込まれており、俊徳は一躍時の人となった。

アルコエーテル

別世界のアルコールにあたる成分。強壮作用があり、摂取した人物の気分を高揚させる効果もある。アルコエーテルを含んだ飲料の摂取に年齢制限はないため、基本的に誰でも飲むことができる。

リクルート召喚 (りくるーとしょうかん)

別世界から仕事に必要な人材をピンポイントで召喚することを指した言葉。召喚には触媒として仕事に関係したなんらかの品が必要となる。水瀬あかりと飴玉ケイトはこの方法でフェアリーフに召喚された。秋葉原異変で召喚された久保俊徳と異なり、リクルート召喚された人間は召喚士の手でいつでも元の世界に帰還できる。

クレジット

原作

木緒 なち&KOMEGAMES

キャラクター原案

宇都宮 つみれ(まどそふと)

書誌情報

誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~ 全2巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2019-04-23発行、 978-4040656564)

第2巻

(2019-12-23発行、 978-4040642413)

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