三角関係と初恋をテーマにしたラブコメディ
本作は「相手を思うこと」をテーマに、恋心を自覚した少女の初恋と三角関係を描いている。主人公の芽以の身近には、10歳年上の市ヶ谷春と同級生の西春漣という二人の「ハル」がいる。彼らは芽以の幼なじみであり、つねに大切な存在だった。物語は、二人のハルに囲まれた幸せな日々を通じて、芽以が恋の喜びと難しさを知っていく様子が、少女漫画らしい繊細なタッチで展開される。また、芽以を取り巻く微笑ましい日常や高校生活も、温かく穏やかな雰囲気で楽しむことができる。
幼なじみからの脱却
芽以は、幼少期に父親を亡くして以来、近所に住む春を兄のように慕い、家族のような関係を築いてきた。春は仕事では優秀な営業マンだが、朝に弱く生活力があまりないため、芽以が毎朝彼を起こし、弁当を作るなど、互いに世話を焼き合う関係を続けている。そんな中、16歳になった芽以は、友人との会話を通じて恋愛に対する意識を持ち始めるが、鈍感なため、恋をした時の気持ちを想像することができない。一方、芽以が恋に興味を持っていることを知った春は、これまでとは違う態度や表情を彼女に見せるようになる。
芽生える恋心と三角関係
春にさまざまな変化が訪れる中、芽以は幼なじみで、イケメンの漣が女子生徒たちに隠し撮りされている現場を目撃する。見過ごすことができない芽以は、盗撮をやめるように訴え、漣もこの機会にしっかりと盗撮を断るようになる。その後、芽以は春とのあいだに小さなすれ違いが生じ、落ち込んでしまうが、漣はそんな彼女を放っておけず、遊びに誘う。芽以は漣の優しさに触れ、改めて彼に思いを寄せるようになる。これをきっかけに、芽以は家族や幼なじみとしてしか見ていなかった春や漣を異性として意識し、初めての恋心を抱くようになる。芽以を取り巻くじれったくも愛おしい三角関係の行方や、大切な二人のあいだで揺れ動く彼女の心理描写が見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
橘 芽以 (たちばな めい)
高校1年生の女子。年齢は16歳。明るい茶髪をボブヘアにしている。小学生の頃に父親を亡くし、現在は看護師の母親と生活を送っている。近所に住む幼なじみの春の食事や弁当の世話をしている。幼少期から天然で鈍感な性格だが、16歳になった今、「恋をすると、どんな気持ちになるんだろう」と疑問を抱き、恋愛に興味を持ち始めている。学校では、クラスメイトの親友、環といっしょに行動することが多く、彼女からは宇宙人並みの鈍感さを指摘されることもある。料理が得意で、家事全般にも秀でている。時おり、思いがけないスポーツの才能を発揮することがある。
市ヶ谷 春 (いちがや はる)
サラリーマンの青年。営業部のエースで、年齢は26歳。濃い茶髪のショートヘアで、整った顔立ちをしたイケメン。愛称は「ハル兄」。近所に住む幼なじみの芽以とは非常に親しい関係で、父親を亡くしたあとは特に彼女の面倒を見てきた。面倒見のいい性格だが、成長して就職した現在も朝が苦手で、生活力に欠けるため、食事などの世話は芽以に頼りがちである。高校時代には女子からの告白を断り、橘親子と過ごすことが多かったため、根も葉もない噂が立ち、同級生の月穂と付き合っているふりをしていたこともあった。朝は目覚まし時計を5個セットして起きている。
西春 漣 (にしはる れん)
芽以とは異なる高校に通う1年生の男子。芽以の幼なじみで、年齢は16歳。銀髪のショートヘアで、整った顔立ちをしたイケメン。ふだんは無表情で何を考えているのか分からないところがあるが、ウソをつくのが苦手な素直な性格の持ち主で、さりげない気遣いができる優しさも兼ね備えている。芽以とは別の高校に通っているが、通学時に電車で顔を合わせることが多い。整った容姿も相まって、周囲の学校では知らない女子はいないほど有名で、どこに行っても目立つ存在。







