概要・あらすじ
グラビアアイドルの椎名こころが大好きな浪人生山田太一は、ある日こころがビルから落下したところで衝突してしまう。太一の入院中、こころは魂だけになって彼の前にあらわれた。こころをなんとか生かしたいと考えた太一は、死神に「助かるなら何だってする」と言って交渉。取引に応じた死神は、太一の魂とこころの魂をつなぐことで存在を維持させた。この状態だと半年間だけ生き延びられるが、その後二人共死ぬ、ただし地上に残ってしまっている未練の強い魂の思いを遂げ続ければこころの魂が強くなり、助かるチャンスがある、と死神は言う。2人は手当たり次第、あらゆる霊たちを成仏させる手助けをはじめる。
何体かの霊の思いを遂げさせた後、こころの体は病院で意識不明なままなのに、なぜか彼女の魂が実体化してしまった。死が間近なのを悟ったこころは、自分が思い残さずきれいに成仏することで太一を救おうと、もう一度アイドルの道を目指すことになる。
登場人物・キャラクター
山田 太一 (やまだ たいち)
グラビアアイドルの椎名こころを心の底から愛する浪人生の男性。仕送りを受けて一人暮らししている。人見知りで話すのが苦手だったが、こころのために奔走するうちに成長していった。こころが事故でビルから落下し、衝突。魂だけになってしまった彼女を救うためになんでもすると誓ったことで、死神がこころに太一からエネルギーを流して、半年間は一緒に生きられるようにした。 こころをもっと長く世界に残し続けるには、この世にしがみついている魂達の思いを遂げる手助けをする必要があると死神に聞き、霊たちの願いを手伝い成仏させる活動をはじめた。こころと一緒にいるうちに、恋心を抱かれるようになっている。また、白土美香からは好意を抱かれていたが、本人は気付いておらず、彼女に巻き込まれて「神田ゼミヒーロー部」の一員として町のパトロールをした。 山田ちづるという妹がおり、夏休みの間は彼女に生活を監視されたことがある。その際、実体化したこころと太一が惹かれあっていることをちづるには見破られている。
椎名 こころ (しいな こころ)
ショートカットで巨乳のグラビアアイドル。山田太一が熱心なファンで、生前の彼女のことを追いかけ続けていた。雑誌のアイドルオーディション企画でグランプリを獲得してデビューしたものの、鳴かず飛ばずでファンは少なかった。DVD発売記念握手会の日に誤ってビルから落下し、体を病院に残したまま魂が抜けだしてしまう。死神に頼み込んだ太一の魂を分けてもらうことで、半年だけ魂として残れるようになった。 自分と太一の存在を世界に残し続けるために、この世にしがみついている魂達の思いをとげる手助けをする決意をする。まれに一人で出かけて、デパートの屋上で霊たちのためだけのライブを行い、満足させて大量成仏させている。太一の妹山田ちづるが来てからは体が実体化してしまって、周囲には大家の娘と偽って太一らと同居、ちづると非常に親しくなり、一緒にアイドル養成のダンスレッスンに通うようになる。 その時芸能プロダクションの岩清水にスカウトされ、こころではない別人「高寺さやか」としてアイドルデビューを目指した。霊体のため太一と小日向海以外の人間には見えないが、物理的接触はできる。
死神 (しにがみ)
事故死した椎名こころの魂を取りに来た女性の死神。関西弁を話し、気がとても強い。手帳を用いて、対象の人物の情報や経歴をチェックしたり、霊魂を吸い込むことができる。山田太一が執拗にこころの復活を望んだため、2人の魂を繋いで半年だけ生きられるように調節した。普段は一般的な女子高生として生活している。人間世界に執着のある霊や自殺者は、引き剥がすことが出来ず、魂を連れていけない。 ただ、イレギュラーで成仏した他の霊を呼び出したり、こころのような漂う霊を別の物体に封じることも可能。こころと太一が自分の命を顧みず、お互いの命を守ろうとしていることを興味深く見守っている。
高寺 (たかでら)
山田太一の住む下宿の大家。ひげを伸ばした、寝ぼけ眼の男性。太一の浪人生活を応援している。椎名こころが大家の娘であると偽って山田ちづるに話した時、こころはあわてて彼から逃げている。
赤羽 (あかばね)
髪の毛を逆立て、あごひげをはやした強面の男性。二浪の浪人生で、山田太一と同じ予備校に通っている。ブルセラ文化をこよなく愛し、女子中学生アイドルを好む。14歳のグラビアアイドル橘りえに愛情を抱いており、生前はイベントや握手会には毎回通い、彼女の死後もりえに似せた等身大ドールを所持している。ドールに入ってしまった椎名こころに気づいて、りえの魂が降りてきたと勘違いした。 後に白土美香に巻き込まれて、「神田ゼミヒーロー部」の一員になる。普段は遊園地できぐるみのバイトをしている。
マロン
山田太一がマンガ喫茶で出会った、少女型の魂。気が強く、太一の言うことを全く聞かず、自分の思いを遂げるためについてきてしまう。彩という少女を探すため、太一の体を乗っ取って駆けまわった。実際は20年前に死んでいるにもかかわらず、死んで2、3日しかたっていないと勘違いしている。
橘 りえ (たちばな りえ)
ショートカットのアイドル。14歳。軽い性格で、思考は子供っぽい。生前は歌や芝居やグラビアなどに尽力していたが、思った通りにいかず、リセットするために自殺した。ブルセラ好きの赤羽が彼女の大ファンで、等身大ドールを作っている。一方でりえは、イベントでのケンカなどの迷惑行為が多かった赤羽のことをとても嫌っていた。霊体化した後、幽霊の悩み相談をしている山田太一に接触し、成仏した後転生を試みている。 生前に出したCDのタイトルは「叶えちゃおう☆夢」だったが、ほとんどの人は夢が叶わないと感じて思い悩んでいた。成仏のために尽力している太一に好意を寄せ始める。
辰巳 五郎 (たつみ ごろう)
メガネをかけたアイドルオタク。山田太一や赤羽と同じ予備校に通っている。アイドルとは虚構の存在であり、虚構の中で楽しむべき、という信念を持っているため、アイドルとリアルで付き合いたい、と考えている赤羽をばかにしている。小日向海と付き合っており、彼女には「ドンクサイ」と日頃厳しい言葉をかけるが、実際はとても気にかけている。 白土美香に巻き込まれて、「神田ゼミヒーロー部」の一員になる。
白土 美香 (しらと みか)
山田太一と同じ予備校に通う女性。活発で思い込みが激しく、「正義の塊」を自称。太一を盗撮魔だと勘違いして殴りかかった。謝る際はすぐに土下座をする。太一、赤羽、辰巳五郎のアイドルオタク3人に対し、犯罪を起こす前に監視すると言い出し、「社会の役に立つ人間になる」ためと称して「神田ゼミヒーロー部」を設立した。 幽霊のアイドルプロデューサータケシの娘で、警官だった彼が刺殺されてから、悪を許さないヒーローになる、と決意し頑張り続けていた。町中で強盗犯を見つけ追いかけるも、逆に誘拐されてしまったところを太一と椎名こころ、父のタケシに助け出された。まっすぐな太一に好意を抱いており、色々な理由をつけて彼と一緒にいようとするが、不器用なため親しくなれていない。
森山 元 (もりやま げん)
山田太一の通う予備校にとどまり続けている、メガネの青年の魂。階段の下から女子生徒のパンチラを撮影し続けていたところを、太一と椎名こころに見つかる。生前にパンチラに対して独特な感情が芽生え、盗撮に未練を持ち続け、色情霊になった。成仏を理由に、様々な方法で盗撮するなどわがまま放題を働いたため、餓鬼道に落とされた。
小日向 海 (こひなた うみ)
山田太一の通う予備校にたまに来ている女の子。辰巳五郎の彼女。色情霊の森山元の盗撮ターゲットになっていた。椎名こころらのような幽霊たちが見える。のんびりした性格で優しく、五郎には「ドンクサイ」と言われているが、白土美香をはじめとした周囲の人からは擁護されている。幽霊プロデューサータケシの悩みを聞いた時は、太一とこころの成仏作業を手伝った。 こころが実体化してからは、彼女が直面している問題を把握し、太一に事実を伝えようとした。
タケシ
霊になった椎名こころを、霊のためのアイドルとしてプロデュースしようとした男性。デパートの屋上でライブを行ったり、CD販売と握手会を開いたりした。チャラチャラしており、こころに吹き飛ばされるほど弱い。女性と見れば構わず声をかけるエロオヤジ。ヒーロー願望の強い白土美香の父親で、生前は警察官だったが、通り魔に刺されて死亡した。
山田 ちづる (やまだ ちづる)
山田太一の妹。中学生。髪の毛をツインテールにしている。母親の指示を受けて、浪人生活を送っている太一をチェックに来た。太一のことを「兄ィ」と呼ぶ。実体化してしまった椎名こころに接触して、太一を焦らせた。こころのことを大家の娘だと思いこんでおり、太一が近づかないように彼女を守っているうちに親しくなった。白土美香を気に入っており、最初は彼女と兄が付き合って欲しいと考えていたが、次第に太一がこころに恋心を抱いており、こころも彼を好きだと気づいて、応援しはじめる。 アイドルを目指しており、夏休みを利用して太一の家からダンスのレッスンに通っている。
岩清水 (いわしみず)
芸能プロダクション「コトリプラネット」の女性マネージャー。幽霊から実体化した後にダンス教室に通っていた椎名こころを目にとめ、彼女をスカウトする。熱血漢で、アイドルを育成するためなら手段を選ばない。元タレントだったが、エスカレートし続けるセクシーグラビアに耐え切れずやめてしまった。こころが自己申告した「高寺さやか」の名前を聞き、彼女が「椎名こころ」とは別人だと信じている。