バチカン奇跡調査官

バチカン奇跡調査官

藤木稟の小説『バチカン奇跡調査官』のコミカライズ作品。バチカン市国の神父にして奇跡調査官を務める平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスが、世界中から報告される奇跡の真偽を調査する中で、そこに隠された事件を解明していく姿を描いたミステリー。「月刊コミックジーン」2016年9月号から2019年1月号にかけて連載された作品。

正式名称
バチカン奇跡調査官
ふりがな
ばちかんきせきちょうさかん
原作者
藤木 稟
漫画
ジャンル
推理・ミステリー
 
宗教
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

バチカン市国の神父にして奇跡調査官である平賀・ヨゼフ・庚ロベルト・ニコラスは、世界中から報告される奇跡の真偽を調べる仕事に就いていた。ある日、二人はサウロ大司教から呼び出され、アメリカのセントロザリオ教会において、シスターのアンナ・ドロレスが処女懐胎し、さらにアンナの私室の壁に聖母子像が浮かび上がった奇跡が報告されたと伝えられる。本当に処女懐胎の奇跡が起きたのならカソリックの根幹を揺るがす事態だとして、二人は周囲には極秘で調査を進めるように依頼され、アメリカへと旅立つ。しかし、セントロザリオ教会に辿り着く直前、二人は墓地で殺害されているクラウス・ベッグの遺体を発見し、その本人確認に訪れていたヨハネス・サントスたちに出会う。

第2巻

アンナ・ドロレスの私室の壁に浮き上がった聖母子像の謎が解けた矢先、平賀・ヨゼフ・庚ロベルト・ニコラスセントロザリオ教会の神父であるフランチェスコを抱いた聖母の姿を見る。その直後、納屋ではフランチェスコが、私室ではドロティアが遺体となって発見される。さらにその夜、ジョゼフ・コノトリーまでもが殺害されたことで、平賀たちはヨハネス・サントスコンラッド・ノックス、そしてジェームズ・チェスタートーマス・シメオンを噓発見器にかけることにする。しかし、この四人は噓をついていないことが判明し、平賀たちは困惑する。さらに封印されたもう一つの校長室の中に、死んだミハイル・ブラウンのミイラと悪魔の聖書と呼ばれる書物が隠されていることを知った二人は、セントロザリオ教会への疑惑を深めていく。

第3巻

平賀・ヨゼフ・庚ロベルト・ニコラスは調査の末、故人であるミハイル・ブラウンが、かつて姿を消したナチスの秘密警察「ゲシュタポ」の長官を務めるハインリッヒ・ミュラーであることを突き止める。さらにセントロザリオ学院の生徒たちに洗脳教育が施されていることが判明し、この学院そのものがアドルフ・ヒトラーのために働く子供たちを養成する機関ではないかと考え始める。悪魔の聖書の中にヒトラーがゲルマン民族にとってのキリストであり、ヒトラーの誕生日に彼が復活すると書かれていることに注目した二人は、ヒトラー復活のための隠された施設があるのではないかと、さらに調査を開始する。礼拝堂の地下に広大な施設があることを発見した二人は、そこでとんでもないものを目撃する。

第4巻

セントロザリオ教会の調査から帰国した直後、平賀・ヨゼフ・庚ロベルト・ニコラスは新たな奇跡調査の依頼を受ける。セント・カルメル教会に安置されているヨハネ・ジョーダンの遺体は、劣悪な環境下に置かれているにもかかわらず、死後1年経っても腐敗していないという。その調査のためにソフマ共和国を訪れた二人は、セント・カルメル教会への道中で呪術的な儀式を施されたエイミー・ボネスの遺体を発見する。これは凶兆ではないかと警戒しながらセント・カルメル教会に到着した二人だが、責任者であるジュリア・ミカエル・ボルジェの地域住民への献身的な布教活動を目にし、平賀は深い感動を覚える。一方でロベルトは、ヨハネの遺体を目にしてから心身共に不調をきたすようになる。

第5巻

セント・カルメル教会の礼拝時間に現れなかったサムソンを心配し、平賀・ヨゼフ・庚はほかの神父たちと共にサムソンの自宅へとやって来る。そこで目にしたのは血まみれになった十字架が立つ祭壇と、逆さ吊りにされた何体もの猿の死体だった。だがその後、サムソンはクンカバの像がある祭壇で、首を切られた遺体となって発見される。そんな中、ヨハネ・ジョーダンの預言を調査していたロベルト・ニコラスが、預言を肯定する言動を見せるようになっていた。ヨハネが聖人であると主張する預言研究家のキッド・ゴールドマンは喜び勇んで、預言がバチカンも認めた本物であることを発表しようと公聴会を開くことにする。しかしその公聴会で、ロベルトはヨハネが聖人でないという、驚くべき事実を口にする。

関連作品

小説

本作『バチカン奇跡調査官』は、藤木稟の小説『バチカン奇跡調査官』を原作としている。原作小説版は角川ホラー文庫から刊行され、イラストはTHORES柴本が担当している。本作は、原作小説版の第1巻「黒の学院」と第2巻「サタンの裁き」を題材としているが、小説版ではサタンの知恵の会得を目的とした秘密結社「ガルドウネ」との対立が見所となっている。

TVアニメ

2013年7月から、本作『バチカン奇跡調査官』のTVアニメ版『バチカン奇跡調査官』がTOKYO MXほかで放送された。TVアニメ版では、原作小説『バチカン奇跡調査官』の第1巻「黒の学院」から第3巻「闇の黄金」までの内容が描かれている。平賀・ヨゼフ・庚を岡本信彦、ロベルト・ニコラスを諏訪部順一、サウロ大司教を江原正士が演じている。

登場人物・キャラクター

平賀・ヨゼフ・庚 (ひらがよぜふこう)

バチカン市国のフランシスコ会に属する奇跡調査官を務める男性。黒髪のおかっぱで、華奢な体型をしている。かつてドイツで暮らしていたこともある日本人で、科学者のため物事を細かく記録する癖があり、奇跡を信じているからこそ、その調査には厳しい目をもって臨んでいる。いつか科学では絶対に説明のつかない、正真正銘の奇跡を目の当たりにしたいと願っている。奇跡調査の際には大きなボストンバッグの中に、カメラや隠しマイク、実験および成分分析用の機材などを持参している。12歳の弟、良太が骨肉腫を患っており、余命2年弱という宣告を受けているため、少しでも延命できないかと、治療費の援助をバチカンに願い出ている。ローレン・ディルーカと仲がよく、奇跡調査中に平賀・ヨゼフ・庚自身が調べられないものは、すべてネットを通じてローレンに依頼している。

ロベルト・ニコラス

バチカン市国のフランシスコ会に属する奇跡調査官を務める男性。ウェーブがかった茶髪で、長身痩軀の青年。古文書の解読家で、さまざまな古文書に精通しており、インクの乾き具合や成分などで、その古文書が本当に古い物か、偽造された物かを看破することができる。いつかバチカンに保管されているすべての古文書を読み解きたいと願っている。閲覧許可の出ていない古書を盗み読むため、ピッキングの技術を磨いている。

ローレン・ディルーカ

バチカン市国で宗教的な矯正を受けている少年。ウェーブがかった赤毛の長髪をサイドでまとめ、丸眼鏡をかけている。15歳にして大学院の研究室に籍を置き、すべての分野で博士号を持つ万能型の天才で、数々の特許を持つ富豪でもある。生物兵器密売の罪で投獄されたが、その知能は高く評価されており、倫理観の欠如を矯正するためにバチカン市国内の牢獄に囚われている。平賀・ヨゼフ・庚とは友人として対等な関係を築いている。

サウロ大司教 (さうろだいしきょう)

バチカン市国のフランシスコ会に属する大司教で、老齢の男性。ポーランドの出身で、ポーランドがナチス統制下に置かれた際にカソリックの地下組織に入った経緯から、ナチスを憎んでいる。平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスに、さまざまな奇跡調査を命じている。

ヨハネス・サントス

セントロザリオ教会の司祭。併設されているセントロザリオ学院の理事長と校長を兼任している初老の男性。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となったクラウス・ベッグらを引き取り、アメリカに渡ってセントロザリオ教会の再建に尽力した。

ミハイル・ブラウン

ヨハネス・サントスと同じくセントロザリオ教会の司祭。併設されているセントロザリオ学院の校長を兼任していた男性。故人。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となったクラウス・ベッグらを引き取り、アメリカに渡ってセントロザリオ教会の再建に尽力した。ミハイル・ブラウンが使用していた校長室は死後もつねに鍵がかかっており、生前と同じ状態で保存されている。

コンラッド・ノックス

セントロザリオ教会の理事を務めている初老の男性。ふくよかな体型で、丸眼鏡をかけている。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となり、引き取ってくれたヨハネス・サントスを親同然に慕っている。

ステファノ・ラッセル

セントロザリオ教会の神父を務める若い男性。レオン・ラッセルの息子でもある。赤毛をツーブロックヘアにしている。併設されているセントロザリオ学院では数学と幾何学の教師を務め、生徒指導も担当している。

トーマス・シメオン

セントロザリオ教会の神父を務める若い男性。黒髪を七三分けにしている。生まれたばかりで、セントロザリオ教会に捨てられていたところを神父たちに拾われ、育てられた。セントロザリオ学院では菜園の管理を任されており、美術教師も兼任している。

アンナ・ドロレス

セントロザリオ教会のシスターを務める若い女性。長い金髪を三つ編みにしており、現在は付属病院に入院している。赴任して半月経った頃、大天使ミカエルが処女懐胎を告げたと話し、奇跡調査の対象者となっている。確かに処女のまま妊娠しており、さらに両手に聖痕(スティグマ)も現れ、流れているのはまぎれもなくアンナ・ドロレス自身の血液であることが確認されている。

ヤコブ

セントロザリオ教会の神父を務める男性。付属病院でアンナ・ドロレスの検診を担当している。ミハイル・ブラウンの養女で初老の女性、メアリ・ブラウンの世話係も任されており、メアリが他人にミハイルのことを話すのを警戒している様子を見せる。

マリオ・ロッテ

セントロザリオ教会に併設されているセントロザリオ学院で、寮長を務めている男子学生。スウェーデンの貴族の家系で、神父を目指して勉強しており、全校生徒のあこがれの的となっている。長い金髪に碧眼で、男性でも見惚れるほどに美しい容姿をしていることから「ホワイトプリンス」と呼ばれている。去年のクリスマスに教会内部で体が浮遊し、体中に聖痕(スティグマ)が現れているのを発見された。それ以降、週に一度の割合で時おり体のあちこちに聖痕が現れ、聖痕が現れる時はマリオ・ロッテがトランス状態になっている。

セバスチャン・フランクリン

セントロザリオ教会に併設されているセントロザリオ学院に転校してきた男子学生。赤毛にウェーブをかけた髪型をしている。母親に恋人ができてから顧みられておらず、自宅に居場所がない。マリオ・ロッテに強いあこがれを持っている。

カルロス・ディエゴ

セントロザリオ教会に併設されているセントロザリオ学院で、副寮長を務めている男子学生。スペイン系の血筋と黒髪なため、マリオ・ロッテのあだ名と対をなして「ブラックプリンス」と呼ばれている。ふだんは温厚な性格ながら、セバスチャン・フランクリンは転校した当日、別人のような態度を見せるカルロス・ディエゴを目撃している。

クラウス・ベッグ

セントロザリオ教会の神父を務める壮年の男性。黒髪をオールバックにしている。併設されているセントロザリオ学院の人事長と神学の教師を兼任している。戒律に厳しい厳格な性格で、生徒には学業だけでなくスポーツも奨励している。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となり、引き取ってくれたヨハネス・サントスを親同然に慕っている。平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスがセントロザリオ教会に向かっている最中、墓地の中で殺害されているのが発見された。

フランチェスコ

セントロザリオ教会の神父を務める男性。ウェーブがかった赤毛をショートカットにしている。併設されているセントロザリオ学院で数学の教師を務めている。納屋の中で首を絞められ、歯を抜かれた状態で殺害されているのが発見される。カソリックの教義に反して、ドロティアと男女の関係にあった。

ドロティア

セントロザリオ教会のシスターを務める若い女性。ウェーブがかった金髪をロングヘアにしている。自室内で舌と目玉を抜かれた状態で殺害されているのが発見される。カソリックの教義に反して、フランチェスコと男女の関係にあった。

ジョゼフ・コノトリー

セントロザリオ教会の理事を務めている男性。非常に痩せた体型で、頭頂部が禿げ上がっている。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となり、引き取ってくれたヨハネス・サントスを親同然に慕っている。自室内で逆さ吊りにされ、鎌で腹部を深く突き刺されている姿を発見されるが、間もなく死亡した。死亡の直前、暗号のような言葉を残している。

レオン・ラッセル

セントロザリオ教会に併設されているセントロザリオ学院で、経理事務職員とラテン語教師を兼任している男性。ステファノ・ラッセルの父親でもある。痩せた体型で頰頬骨が張っており、赤毛を真ん中分けにして、眼鏡をかけている。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦争孤児となり、引き取ってくれたヨハネス・サントスを親同然に慕っている。教会の門にくくりつけられ、下半身だけを自動車で引っぱられたために身体が引きちぎられ死亡しているのが発見された。

ジェームズ・チェスター

セントロザリオ教会とセントロザリオ学院で守衛を務めている男性。去年のクリスマスの際、教会内部で体が浮遊し、聖痕(スティグマ)が浮かんでいるマリオ・ロッテを最初に発見した。クラウス・ベッグに弱みを握られていると話しており、「クラウスは生きている、奴こそ悪魔の化身だ」と恐れている。

ジュリア・ミカエル・ボルジェ

セント・カルメル教会で司祭を務めている男性。金髪のロングヘアで、女性と見間違うような美しい容姿をしている。子供の頃、原住民への医療に生涯を捧げた博士の伝記を読んで感銘を受けたことから、僻地に建ち、医療活動を行っているセント・カルメル教会への赴任を自ら希望した。ミサや礼拝の時間以外は医療活動に従事しているため、医務室に詰めていることが多い。近代医療を受けず呪術に頼って病気を治療しようとする人々のためにと、週に一度は村々への訪問診療を行っている。

ヨハネ・ジョーダン

セント・カルメル教会に勤めていた神父の男性で、故人。夢によって啓示を得ており、絵画と詩編によってさまざまな預言を行なっていた。不調を訴えた日の夕方に逝去し、地域の習慣に合わせて7日間の通夜を行ったが、その際にも腐敗や死後硬直は見られなかったとされる。高温多湿の劣悪な環境下に1年間安置されているが腐っておらず、屍蠟化もしていなかった。肌には弾力があり、現在も死後硬直はなくわずかなぬくもりもあるため、生きているのと変わらない状態にある。また、両手両足に聖痕(スティグマ)として、肉の盛り上がった十字傷がある。

キッド・ゴールドマン

セント・カルメル教会に逗留している、預言研究家の初老の男性。スキンヘッドで眼鏡をかけている。ヨハネ・ジョーダンの絵画と詩編から預言を読み取って「十字架のヨハネの終末預言」などの本にまとめて出版し、1200万部も売り上げている。かつてはユダヤ教徒だったが、ヨハネに出会って予言の的中率を知り、ヨハネが信仰しているカソリックへと改宗した。

ビル・サスキンス

FBI捜査官を務める男性。エイミー・ボネスの遺体の調査をした際に、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスに出会った。エイミーとサムソンの事件にはなんらかのかかわりがあると睨(にら)んでおり、捜査を進めている。敬虔なカソリック信者でもある。ロベルトが奇跡調査のために、サムソンの遺留品を持ち出すことに渋々了承した。

オリオラ

セント・カルメル教会の雑用人を務める黒人の男性。非常に人相が悪いが、七人の子供と年老いた両親を養っている。悪魔に仕える祈禱師だとも噂されており、食事に秘密の魔法薬を盛って人に食べさせ、食べた者を言いなりにしたり、妊婦に魔術をかけて子供の性別を換えたりするとされている。そのため、オリオラの作る料理を食べているあいだは、魔除けを逆さにしてベッドに吊るせと恐れられている。

エイミー・ボネス

映画監督を務めるアメリカ人の女性。ソフマ共和国に1年前から取材に訪れていたが、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスがセント・カルメル教会に向かう道中、白骨化した遺体として発見された。遺体は呪術的な儀式に用いられた痕跡があり、口の中に石を詰められた状態だった。また、平賀の見立てによれば妊娠していた可能性が高いが、胎児の組織や遺骨は発見されていない。ソフマ共和国の窮状を映画にして、世界中の人たちに広く訴えようとしていた。熱心なカソリック信者で、セント・カルメル教会の日曜礼拝にはたびたび参加していた。

サムソン

セント・カルメル教会の神父を務める黒人の男性。家族が病気のため、自宅からセント・カルメル教会に通っている。非常にまじめな性格で一度も遅刻をしたことがなく、力持ちの大男として調法されていた。クンカバの像がある祭壇で、首を切られた死体が発見された。

場所

聖徒の座 (せいとのざ)

バチカン市国の中央行政機構に属する、奇跡調査官で構成された部署。「九つの聖省」の中で、列福、列聖、聖遺物崇敬などを扱う「列聖省」に所属している。世界中から寄せられる「奇跡の申告」に対して厳密な調査を行い、一八人の枢機卿で構成された奇跡調査委員会に調査報告レポートを提出する仕事を請け負っている。

セントロザリオ教会 (せんとろざりおきょうかい)

アメリカにある、ドミニコ会に属するカソリック教会。ヨハネス・サントスが理事長を務めている。敷地内には教会に隣接してセントロザリオ学院が併設されており、また近くには最新設備の揃った総合病院がある。シスターのアンナ・ドロレスが処女懐胎し、さらにアンナの私室の壁に聖母子像が浮かび上がったという奇跡を申請したため、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスが奇跡調査に訪れた。サウロ大司教はこの奇跡に悪魔崇拝者が絡んでいると睨んでいる。60年に一度、聖母マリアが姿を現すという奇跡が噂されるほか、壁に浮き出た聖母子像を調査した奇跡調査官が病死した記録があるなど、謎が多い。また、セントロザリオ学院はお坊ちゃま学校と知られている反面、生徒のほとんどが自宅に居場所がないという共通点を持っている。

セント・カルメル教会 (せんとかるめるきょうかい)

ソフマ共和国にあるカソリック教会。ジュリア・ミカエル・ボルジェが責任者を務めている。500年近くにわたって医療活動を中心にカソリックの布教に努めており、地域住民からの信頼も厚い。ブレーネ福祉財団がスポンサーになっていることから、敷地内に設備の整った医務室があり、地域住民のケガや病気を診察している。ヨハネ・ジョーダンの死体が高温多湿の劣悪な環境下にあるにもかかわらず、死後1年経過しても腐らないという奇跡が申請されたため、平賀・ヨゼフ・庚とロベルト・ニコラスが奇跡調査に向かった。礼拝堂は西洋のカソリック教会そのものだが、遺体の安置所などには地域の土着信仰も取り入れられている様子がある。

その他キーワード

クンカバ

セント・カルメル教会近隣の住人たちや魔術師が信仰している土着の神。金色の大蛇で、頭が七つあると伝えられている。クンカバに呪われた者は命を吸い取られてしまうとされる恐ろしい水の霊で、エデンの園から追放された虫たちの王ともいわれている。シンシンの祭りでは、地のあらゆる精霊がクンカバのもとに、今年最初の水を請いに集まるとされる。

シンシンの祭り (しんしんのまつり)

セント・カルメル教会近隣の住人たちや、魔術師が信仰している神々を祭る日。祭りの間はさまざまな精霊たちが大地を練り歩くといわれている。また、この精霊たちがキリスト教徒を目の敵にしているといわれていることから、祭りの日、神父たちは教会から出ないしきたりとなっている。もともとはクンカバに雨乞いする祭りだった。現在は政府によって禁止されているが、かつては生贄(いけにえ)が捧げられており、地方によっては人間が生贄に選ばれていた。

悪魔の聖書 (あくまのせいしょ)

セントロザリオ教会にある、ミハイル・ブラウン用の校長室の中にあった蔵書。悪魔側から書かれた聖書であり、黙示録とはまったく違うことが書かれている。バチカン市国においては、平賀・ヨゼフ・庚たちが手を出せない秘密金庫の中に入れられている。悪魔の召喚方法や、人間が神や悪魔と対等な超人となる預言が記されている。また、ゲルマン民族にとってのキリストはアドルフ・ヒトラーであり、ヒトラーは誕生日に復活すると記されている。

クレジット

原作

藤木 稟

キャラクター原案

THORES柴本

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