概要・あらすじ
探偵を廃業し、考古学者としても博士号目前のところまでこぎつけた平賀=キートン・太一。しかしそんな彼に、探偵事務所の元パートナーのダニエル・オコンネルが、探偵としての残務作業を押しつけてくる。依頼解決のため、世界各国を巡ることになる平賀=キートン・太一だったが、そんな彼のもとに娘・平賀百合子から連絡があり、夫と離婚したと告げられる。
自分同様考古学者となった娘に会うため、平賀=キートン・太一はマルタ島を訪れる。
登場人物・キャラクター
平賀=キートン・太一 (ひらが=きーとん・たいち)
オックスフォード大学修士課程卒業の考古学者。ドナウ川流域にヨーロッパ文明の起源があるとの学説「西欧文明ドナウ起源論」を提唱しているが、博士号も後ろ盾も持たないため、学会からは白眼視されている。一見さえない風体だが、元は英国特殊空挺部隊隊員という熟練した戦闘力の持ち主。 フォークランド紛争に従軍した経験も持つ。その後、ロイズ保険機構の調査員を経て探偵事務所の経営者兼探偵もしていた。探偵稼業は廃業したはずなのだが、元パートナーのダニエル・オコンネルから残務作業を押しつけられ、依頼解決のために世界各地を巡ることになる。
平賀 百合子 (ひらが ゆりこ)
平賀=キートン・太一の一人娘。『MASTERキートン』初登場時では中学生だったが、『MASTERキートン Reマスター』では父と同じように考古学者となっており、マルタ島で発掘調査を行っている。一度結婚をしたものの、ある理由で離婚。その理由を父である平賀=キートン・太一にも言えずにいる。 父の提唱する西欧文明ドナウ起源論については肯定的で、いつか学会に認められることを願っている。
平賀 太平 (ひらが たへい)
平賀=キートン・太一の実父。老いてなお盛んな様子で、息子と会う予定をすっかり忘れてクラブ遊びをしていたほど。やって来た平賀=キートン・太一に、昔馴染みのトレメイン・直美を守って欲しいと依頼する。これはトレメイン・直美のためでもあったが、同時に平賀=キートン・太一にある過去を思い出させるためでもあった。
ダニエル・オコンネル
平賀=キートン・太一が開いていた探偵事務所の元共同経営者。平賀=キートン・太一が考古学に専念するため、この探偵事務所は閉鎖することになったはずなのだが、廃業を決めたあともダニエル・オコンネルは依頼を受け続け、それを平賀=キートン・太一に押しつけている。
ソフィア
人買いから逃げてきた、モルドヴァ人女性。レッツェの海岸に流れ着いたところを、カリムという不法滞在者の男性に助けられた。その後、カリムが路上で襲われ昏睡状態になってしまったため、彼がいい人であったのかどうかを知りたいと、平賀=キートン・太一に調査を依頼する。
ロベルト・バルバリッチ
クロアチアンマフィアの幹部。ある手紙を届けるため、ザグレブまで連れていって欲しいと平賀=キートン・太一に依頼する。ボスの怒りを買い命を狙われているから、というのが依頼の理由だったが、実際にロベルト・バルバリッチを追っていたのは警察であった。クロアチアの独立戦争に対して、ある事情から責任を感じている。
ベコー
パリ第一大学の教授。平賀=キートン・太一とは二十五年来の知己で、彼のことを「世界一教養ある探偵兼保険調査員」と評する。トロイア戦争における四つの謎について、平賀=キートン・太一と意見を交わし、トロイアの木馬の正体について、ある仮説を得る。
ポール・ワット
ロンドン警視庁の元刑事。平賀=キートン・太一とは1990年からの知り合い。ベルファスト赴任中、IRA暫定派にスパイを送り込む仕事をしていたが、殺されたスパイの息子達から怨みを買い、命を狙われることになる。スパイの息子達に居所がばれてしまったことから、自らの死を覚悟。 娘を捜し出して自分は死んだと伝えるよう、平賀=キートン・太一に依頼したが、平賀=キートン・太一はそれを断り、別の手段を取ることにする。
トレメイン・直美 (とれめいん・なおみ)
平賀太平の古い友人。老人性の記憶がなくなる病であり、ホスピスに入ることが決まっている。向かいの家の男に命を狙われている、と主張しており、ホスピスに入るまでの間、平賀=キートン・太一が護衛をすることになる。平賀=キートン・太一本人は忘れていたが、トレメイン・直美と平賀=キートン・太一の間には、ある大切な過去があった。
ハンナ・ブラウン
ロイズ保険機構のブローカー。二十五年前に失踪した父親の捜索を平賀=キートン・太一に依頼する。「ずっと父を待っていた」というハンナ・ブラウンのまっすぐな態度が、娘平賀百合子との接し方に悩んでいた平賀=キートン・太一に、娘との再会を決意させることになる。
マイク・リッチー
平賀=キートン・太一の英国特集空挺部隊時代の元同僚。「栄光の八人」の一人であり命名者。インターナショナル・コープス・セキュリティという民間軍事会社のCEOを務める。同じく「栄光の八人」の一人のヴィッグが今も無事かどうか調べてくれるよう、平賀=キートン・太一に頼む。
西欧文明ドナウ起源論 (せいおうぶんめいどなうきげんろん)
平賀=キートン・太一が提唱する学説。角の神を信仰する父権社会文明と、豊穣の女神を信仰する母権社会文明が、ドナウ川流域で共存し、それが古代ヨーロッパ文明の起源となったとするもの。平賀=キートン・太一は、それを裏付ける証拠になり得る陶器をドナウ川下流の集落遺跡で発掘したのだが、彼自身が博士号を持たず、また学会内に有力な後ろ盾を持っていないこともあって、考古学会からは完全に無視されている。
栄光の八人 (えいこうのはちにん)
英国特集空挺部隊に所属していた平賀=キートン・太一やその戦友達の自称。フォークランド紛争時、羅針盤もなしにたった八名でフォークランド諸島への上陸を果たしたことに由来する。退役後およそ三十年を経て、平賀=キートン・太一は思わぬ形で「栄光の八人」との再会を果たすことになる。
クレジット
- 脚本
-
勝鹿北星 , 長崎尚志