概要・あらすじ
長野県のリンゴ農家の娘として暮らす赤井凛子は、これまでの人生で一度も幸運を感じたことがないほどの不運体質であった。好意を寄せている辰之とは両想いではあるものの、照れやタイミングの悪さから、なかなか関係が進展しない。そんなある日、凛子は昔に買ったおまじないの本を見つけ、その本に掲載されていた「運気の良くなるおまじない」を実行してみる。するとその翌日、大澤颯太郎という同い年の少年が、凛子のリンゴ農家に住み込みで働きにやって来る。これからは不運から救ってくれるだけでなく、自分を笑顔にしてくれる颯太郎を、まるで神様のようだと、あがめる凛子だったが、一方で颯太郎が何を考えているのかわからず、苦手意識も抱くのであった。 そんな中、颯太郎が凛子と同じ家で生活していると知って嫉妬した辰之は、若菜と共に自分も凛子のリンゴ農家を手伝いに行く。その作業中、若菜は熱を出して倒れてしまうが、そこで親切にしてくれた辰之に、実はずっと好きだったと告白。その場面を凛子が目撃し、凛子と若菜の関係はギクシャクしたものとなってしまうが、機転を利かせた颯太郎のおかげで2人は仲直りをする。同時に辰之は、凛子の颯太郎に対する眼差しが、かつて自分に向けられていたものと同じであると気づき、静かに凛子から身を引く決意をするのだった。そんな中、名古屋に住んでいる颯太郎の父親が倒れた、と凛子の実家に連絡が入る。実は颯太郎は、父親のもとから逃げるため、長野県にやって来たのだった。凛子は颯太郎にすぐ実家に帰るように説得し、2人の短い同居生活は終わりを告げる。数か月後、凛子のもとに颯太郎から手紙が届くのであった。
登場人物・キャラクター
赤井 凛子 (あかい りんこ)
長野県の田舎に住む高校1年生の女子。父親と、凛子の母の3人家族。実家はリンゴ農家を営んでおり、天井の板が外れたり、階段の踏み板が割れることが日常茶飯事のボロ家に住んでいる。のんびりした心優しい性格で、やや頼りないところがある。昔から運が悪く、旅行の日にはかならず雨が降るなど、不運な出来事ばかりが起きる。しかし、実家に住み込みでやって来た大澤颯太郎のおかげで、少し運気が上がったように感じており、颯太郎を神様のようにあがめている。 同時に、何を考えているのかわからない颯太郎に対し、やや苦手意識を抱いている。若菜と辰之とは幼なじみの親友。昔から辰之に想いを寄せており、辰之とは両想いの関係にある。ただし凛子自身が奥手で、さらに何かとタイミングが悪い事も重なり、現状は何の進展もなく、明確に恋人同士というわけではない。 小さい頃、森で迷って小鹿に助けられたことがあり、今でも大切な思い出になっている。
大澤 颯太郎 (おおさわ そうたろう)
高校1年生の男子。かつて叔母が赤井凛子の実家のリンゴ農家で働いていたことがあり、彼女の紹介で、凛子の家に住み込みで働きに来た。いつもポーカーフェイスで、何を考えているのかわからないため、凛子には苦手意識を抱かれている。しかし、凛子が困っている時には手助けしたりと、優しい性格の持ち主。長野県に来る前は、父親と2人で愛知県名古屋市に住んでいた。 両親が離婚して父親に引き取られたが、父親は仕事を止め、生活も荒れ果てていた。大澤颯太郎自身もいつか捨てられるのではないか、という不安を感じており、叔母の紹介もあって、逃げるように凛子の実家にやって来た経緯がある。
辰之 (たつゆき)
高校1年生の男子。赤井凛子と若菜の幼なじみ。明るく優しい性格をしているが、時に感情に任せて暴走することがある。凛子が好きでアプローチを続けているが、凛子が照れ屋であったり、タイミングが悪かったりで、明確には交際に発展していない。辰之自身も両想いであると分っているものの、凛子の実家に住み込みで働いている大澤颯太郎に対して嫉妬心を抱き、若菜と共にリンゴ農家を手伝いにやって来る。
若菜 (わかな)
高校1年生の女子。赤井凛子と辰之の幼なじみ。やや派手な外見をしており、男子から非常にもてる。実は昔から密かに辰之に好意を寄せており、互いに想い合っている辰之と凛子の様子を間近で見て来ているため、ずっと苦しい思いをしている。辰之以外の誰かを好きになろうと、ほかの男子と仲良くしている。そのため、一部の女子からは男好きと見なされ、呼び出されたり、文句を言われるなどの攻撃を受けている。
凛子の母 (りんこのはは)
赤井凛子の母親。自営業の夫と共にリンゴ農家を営んでいる。サバサバとした性格で、頼りない凛子に対して発破をかけることが多い。凛子と幼なじみの若菜と辰之には好意的で、リンゴ農家を手伝いたいと、突然やって来た2人を快く受け入れた。わけありで名古屋からやって来た大澤颯太郎に対しても余計な口出しはせず、適度な距離感を保っている。