あらすじ
英会話スクール「ELA」の非常勤講師として働いている桜庭潤子は、海外での生活を夢見るキャリアウーマン。彼女は最近、どういうわけか空前のモテ期を迎えており、さまざまな男性に言い寄られていた。そして27歳の誕生日、過去にお見合いをしたことのある僧侶の星川高嶺とその場の勢いで肉体関係を持ってしまう。一度きりの関係と割り切っていた潤子だったが高嶺はそうは思っておらず、以降猛アプローチを開始する。しかし、海外で生活することを夢見ている潤子にとって、僧侶の嫁になるということは自分の理想とは真逆のことで、絶対にありえないことだった。だが、頭の中では拒絶しつつも言い寄られると心が拒絶しきれず、潤子はそんな自分と葛藤する日々を送ることとなる。
関連作品
オフィシャルファンブック
2015年10月9日に小学館より「5時から9時まで オフィシャルファンブック」が発売された。キャラクタープロフィールや相関関係はもちろん、カラーイラストも多数収録されている。また、著者である相原美貴のインタビューも掲載されている。
メディアミックス
TVドラマ
2015年10月から12月まで平野眞、谷村政樹、相澤秀幸の3監督によるTVドラマが、フジテレビの月9ドラマとして放送された。脚本は小山正太と根本ノンジが担当している。タイトルは「5→9 ~私に恋したお坊さん~」で、原作とは少々異なる。桜庭潤子役を石原さとみ、星川高嶺役を山下智久が演じている。その年「第87回ザテレビジョンアカデミー賞」を受賞した。
小説
2015年12月8日に豊田美加の小説版「5時から9時まで ~私に恋したお坊さん~」が発売された。脚本はTVドラマ版と同じく小山正太、根本ノンジが担当しており、物語はTVドラマ版同様の内容となっている。
登場人物・キャラクター
桜庭 潤子 (さくらば じゅんこ)
英会話スクール「ELA」の非常勤講師を務める27歳の女性。上智大学を卒業後、外資系の会社に3年間勤めた後に英会話講師へ転職した。その英語力と学力は日本人講師の中でもトップクラス。30歳までに海外で生活するために準備をしている。計画では海外で仕事を続けて国際結婚する予定でいるが、現在は祖母の言葉に従い星川高嶺のお寺に下宿している。 性格はかなりキツめで、偏差値の低い大学や能力の低い人間を見下している。生徒たちにも恐がられているが、その指導力には一部の生徒からは定評がある。また感情的でプライドも人一倍高いため、自分が貶されると目上の人であろうとイライラした態度をとってしまう。
星川 高嶺 (ほしかわ たかね)
桜庭潤子とお見合いをした僧侶。東京大学文学部でインド哲学を専攻しており、英語も達者。外見も良く高校1年生の時にはジュノンボーイコンテストで、上位まで行ったこともある。人とは心と向き合うことが大切だと考えており、洞察力に長けている。里中由希の女装を初めて見破った男性ながら、自らは女心に関してはまったく疎い。一度身体の関係を持った潤子と結婚をする気満々で、仕事を辞めて家庭に入って欲しいと思っている。 潤子のことを愛しているが、潤子の行動により心を乱されることも多く、時には監禁まがいの行為をするなど少々束縛癖が強い。
毛利 まさこ (もうり まさこ)
英会話スクール「ELA」の事務を務める22歳の女性。密かに「ゼクシィまさこ」の名で呼ばれており、結婚情報誌で紹介されているような理想的な結婚をしたいと思っている。男性受けは良いが、自分の好みの三嶋聡を手に入れるために聡と仲の良い桜庭潤子の評判を貶めるような発言をするなど腹黒い一面もある。「ちょっと自分ができると思っている女」をウザいと思っている。
山淵 百絵 (やまぶち ももえ)
英会話スクール「ELA」の講師を務める28歳の女性。見た目はかなりのクールビューティながら、ただの口下手で人付き合いのスキルに欠ける男性経験ゼロの処女。そのため、生徒からの人気も低い。オタク趣味があり特にボーイズラブが好きで、脳内で妄想していることが多い。「ELA」を職場として選んだ理由も、秋葉原から近い神田にあるから。
三嶋 聡 (みしま さとし)
桜庭潤子の大学時代のサークルの同期で、27歳のエリート商社マン。ビジュアルも良く毛利まさこからも「カッコイイ」と評されている。青山学院大学の元ミスキャン2位の女性と付き合っていたが、仕事が好き過ぎるため1か月間連絡しなかったことから、現在は音信不通で毎回このパターンの別れ方が多い。自分を理解してくれる潤子はいい飲み友達だと思っているが、実は心の中では常に意識している。
アーサー・ラング (あーさーらんぐ)
英会話スクール「ELA」の講師を務める24歳の外国人男性。常にOLたちに囲まれ、ファンクラブまであると噂される人気者。しかし、本性は悪魔的で数々の日本人の女性を性的な欲求を満たすための道具としてしか考えていない。同僚の山淵百絵に一度本気で迫ってみたが、うまくかわされてしまう。自分の思い通りにならない珍しい女性として百絵に興味を抱き、のちにそれが恋心へ発展していく。
里中 由希 (さとなか ゆき)
英会話スクール「ELA」の生徒で男子高校生。蜂屋蓮司の友人。いつも女子制服を着ており、校外では女子生徒として見られることもあるほど女性的な美貌を持っている。自分から明かさない限り女装がバレることはないが、唯一星川高嶺にだけは女装を見破られた。「可愛いから」という理由で女装をしていると周りには吹聴しているが、実際は「息子」を拒絶している母親に好かれるために「娘」を演じていたというのがその真相。 本人は至ってノーマルで、女性が好き。
蜂屋 蓮司 (はちや れんじ)
英会話スクール「ELA」の生徒で男子高校生。里中由希の友人。実家がお金持ちで「渋谷王子」の異名を持つ。他校の女子から密かに盗撮されるほどモテるが、「ハチヤハーレム」なるパーティを日々開催しては女の子をとっかえひっかえして遊んでいる。女性経験は豊富ながら、今まで一度も本気の恋愛をしたことがない。
鈴木 (すずき)
英会話スクール「ELA」の生徒で、OL3人組の1人。アーサー・ラングのことが好きで、いつも追いかけまわしている。個人レッスンを禁じられているアーサーに対し、個人レッスンをしつこく迫っている。アーサーのこととなるとかなり気が強くなり、敵と見なした者はすべて排除する恐ろしい性格。
岩本 (いわもと)
英会話スクール「ELA」に通う生徒。官僚を務める男性で、アメリカに視察に行くなど海外での勤務も数多くこなしている。事務の毛利まさこのことがお気に入りで、デートにも誘っているが「顔が無理」と一蹴されて相手にされていない。
野神 貴一郎 (のがみ きいちろう)
英会話スクール「ELA」に通う生徒。海上自衛隊の士官クラスだった男性で、護衛艦に乗っていたこともある。そのため、ミリタリーのBLゲームにハマっていて、海上自衛隊の制服萌えだった山淵百絵に興味を抱かれる。最近の悩みは中学生の娘がオタク趣味に走っていること。
石井 (いしい)
英会話スクール「ELA」の事務員を務める22歳の女性。毛利まさこと同期で、医者との結婚が決まり同期では一番乗りで結婚を決めた。結婚を報告する際には、独身のまさこに対して嫌味を全開にしたおのろけトークを展開していた。
飯田橋 (いいだばし)
英会話スクール「ELA」でマネージャーを務める男性。「ELA」のマネジメント全般を取り仕切っており、まとめ役を担っている。優秀な桜庭潤子を非常勤講師ではなく正社員として登用したいと思っている。
桜庭 イズ美 (さくらば いずみ)
桜庭潤子の祖母。潤子の留学費用を立て替えてくれた女性だが、潤子からは未だにそのお金を返してもらっていない。今回、潤子の借金を帳消しにすることを条件に星川高嶺のお寺に下宿することを提案した。桜庭家で最も権力のある人物で、誰も逆らうことはできない。
桜庭 寧々 (さくらば ねね)
桜庭潤子の高校生の妹。英語が得意だが潤子ほどではなく、本人は「数学よりちょいマシな点取れるくらい」と思っている。先に謝ってしまう癖やネガティブ思考を前面に押し出すなど、自分に自信がある潤子とは対照的な性格をしている。
星川 高聖 (ほしかわ たかあきら)
星川高嶺の祖父。若い頃は顔が端正で誰もがうらやむ美少年として有名だった。桜庭イズ美とは幼なじみでお互いフランクな関係だったが、イズ美には許婚がいたため結ばれることはなかった。
星川 ひばり (ほしかわ ひばり)
星川高嶺の祖母。高嶺には早く相応しい女性が結婚相手として現れて欲しいと考えている。桜庭潤子のことはその相手として相応しくなく、生意気だと思っている。
星川 音生子 (ほしかわ ときこ)
星川高嶺の母親。お寺に下宿している桜庭潤子のことを「行儀見習い」としてではなく「花嫁候補」として見ており、高嶺の嫁として寺のしきたりを色々と覚えてくれるよう願っている一方で、潤子のことはあまり寺の嫁としてふさわしくないと思っている。
星川 天音 (ほしかわ あまね)
星川高嶺の2つ違いの弟。寺の息子ということから、幼い頃から京都で過ごしており、京都弁を話す。プライベートと仕事は分けるタイプで、私生活ではかなりチャラい生活を送っているが、仕事はしっかりとこなしている。兄と声質が似ており、声真似をすれば桜庭潤子も騙されてしまうほど。
毛利まさこの母 (もうりまさこのはは)
毛利まさこの母親。夫とは略奪愛の末に結婚したが、のちに離婚。その後は女手一つでまさこを育て上げた。自身の結婚の失敗から、まさこには自分をしっかり愛してくれる人を選ぶべきだと教えている。
山淵百絵の母 (やまぶちももえのはは)
山淵百絵の母親。未だに結婚もしない娘のことを心配しており、最近では結婚相手の紹介までしようとしている。かつて海外に住んだことがあり、日常会話程度の英語なら会話することができる。
三嶋聡の母 (みしまさとしのはは)
三嶋聡の母親。聡の結婚相手には家庭に入ってくれる女性を望んでおり、さらにはお嬢様大学出身の人がいいと考えている。聡が毛利まさこを家に連れてきた時には、まるで芸能人のようだとその外見を絶賛していた。
野神 弥生 (のがみ やよい)
野神貴一郎の娘。中学生の女子生徒で、最近はオタク趣味にハマっており、オフ会などで同志と盛り上がっている。ネット上での愛称は「のがみん」でオフ会のメンバーにもその名前で呼ばれる。山淵百絵とは非常に趣味が合う。
マユ
里中由希の友人の女子高生。英語はあまり得意ではなく、中学レベルの問題でもお手上げ状態。面倒なことには基本的に首を突っ込まないタイプだが、自分が貶されると激しく相手に食ってかかる、気性の荒い性格。
辺野 宏 (への ひろし)
三嶋聡の会社の先輩。毛利まさこのことが気に入っており、聡の紹介で会ったこともあるが、まさこの印象にはまったく残っていない可哀想な男性。そのような事情からか、まさこの目には本来の顔ではなく「へのへのもへじ」顔に見えている。
成田 (なりた)
星川高嶺のお寺にいる19歳の男性後輩坊主。かなり端正な顔立ちで、お寺の見学に来ていた山淵百絵に高嶺とのボーイズラブを妄想され、「なんというメシウマ!」と興奮されていた。
田中っち (たなかっち)
桜庭寧々の友人の女子高生で、蜂屋蓮司のことがお気に入り。かなりの遊び人で、「ハチヤハーレム」にも行ったことがある。寧々に蓮司の知り合いを紹介して欲しいと頼むなど、男女交際には積極的な肉食系女子。
国立 (くにたち)
桜庭寧々に想いを寄せている男子高校生。寧々のことは駅でよく見かけており、いつも声をかける機会を窺っていた。現在は寧々に自らの自己紹介とアカウントの書いてある手紙を渡し、猛アプローチを開始している。背が非常に高い。
沢田 (さわだ)
桜庭潤子の知り合いの男性弁護士。過去に潤子を熱心に口説いていた人物で、その際には潤子から「おねだり」をされていた。当時はまだ駆け出しの弁護士でお金がなかったことから、その「おねだり」は空振りに終わっている。歳は潤子より1歳年下。
四条 仁奈 (しじょう にな)
アーサー・ラングのかつての恋人で、23歳の女性。アーサーのことは周囲に自慢できる彼氏という理由だけで付き合っており、実際には別に婚約者もいる。現在はその婚約者と結婚して子供ももうけているが、「結婚と彼氏は別」と言う考えの持ち主で、再びアーサーのことを狙っている。
後藤 (ごとう)
桜庭潤子の大学時代のサークルの先輩。毛利まさこからも「イケメン系」と評されるほど容姿の良い男性。自身が働く会社のメディア配給部門で、ニューヨーク支社に映画やテレビの番組を買い付けするアシスタントとして潤子をヘッドハンティングするため現われる。
鬼塚 (おにづか)
蜂屋蓮司専属の弁護士兼世話係を務める男性。オネエ言葉でしゃべり、半裸の毛利まさこを見てもまったく反応を見せない無感情な人物。いつも寝坊して遅刻ギリギリで登校する蓮司のために、毎朝車で送っている。
ランス
アーサー・ラングのシェアハウスメイトで、バーのオーナーを務めている男性。かなりの美形で、山淵百絵からも「綺麗」と言われている。同性愛者のエリックというパートナーがいる。
エリック
アーサー・ラングのシェアハウスメイト。同性愛者で、ランスのパートナー。アーサーのことは熟知しており、彼が山淵百絵に意地悪をするのは「好きな子にはとことん意地悪をするタイプ」だからであることを見抜いている。
トピー
アーサー・ラングのシェアハウスメイト。日本の銀行で働いている男性で、いつも高そうなスーツを着こなしている。日本での生活は3年目で、日本語も堪能。毛利まさこを一目見て気に入り、アーサーに紹介するように頼み込む。
清宮 真言 (せいみや まこと)
英会話スクール「ELA」本部の教務トレーナー主任を務める男性。アーサー・ラングは大学の後輩にあたり、現在も交流がある。桜庭潤子の実力を非常に買っており、本部のトレーナーチームに勧誘する。
みそぴーくん
千葉県の非公認のゆるキャラ。千葉の家庭では一般的である味噌とピーナッツを合わせた食べ物から考案された。さまざまなグッズ展開がされており、山淵百絵と野神弥生もお気に入りのキャラクター。
集団・組織
OL3人組 (おーえるさんにんぐみ)
アーサー・ラングの熱狂的な追っかけ集団で、全員が英会話スクール「ELA」の生徒。メンバーは鈴木、山田、小林の3人で、レッスン終了後には毎回アーサーに対して質問をしている。また、3人のなかでは「抜け駆け禁止」というルールも存在する。
場所
ELA (いんぐりっしゅらんげーじあかでみー)
桜庭潤子が非常勤講師を務めている英会話学校。一般的に「ELA」と呼ばれるが、正式名称は「English Language Academy」。潤子が在籍しているのは神田校で、勤務している外国人はイギリス人とオーストラリア人が多いため、癖のある英語を教えられている。
一橋寺 (いっきょうじ)
星川高嶺が跡取りとなる予定の寺。近隣の寺の中では一番の敷地面積を誇っており檀家数も多く、イベント時には高嶺の嫁になることを希望する女性であふれかえる。本堂から少し離れると元茶室の離れなどがある。
里中由希の自宅 (さとなかゆきのじたく)
里中由希の自宅。銀座の真ん中にあるマンションで、80平米の1LDKに1人で住んでいる。夏には東京湾で行われる花火大会の花火が一望できる。母親と頻繁に変わる母親の交際相手は最上階に住んでいる。
イベント・出来事
拝領の儀 (はいりょうのぎ)
英会話スクール「ELA」内で行われる、バレンタインデーにアーサー・ラングにチョコレートをあげた生徒が、彼からのお返しをもらえるというイベント。毎年長蛇の列ができ、なかには「ELA」の生徒ではない女性も混じっている。ちなみに、お返しの品はアーサーが育てたバラ。
その他キーワード
密室の誘惑 (みっしつのゆうわく)
星川高嶺の寺を見学した際、アーサー・ラングと相部屋にされた山淵百絵の心境を表した言葉。その意味は、「強引に相部屋に持ち込まれて激しく動揺してしまい、生まれてから28年間一度も男と2人で泊まったことなどないことがばれてしまう」というもの。
ハチヤハーレム
誰かの誕生日パーティという名目で日夜繰り広げられている、タワーマンションで行われる蜂屋蓮司主催のパーティ。実体は誕生日などまったく関係ない、ただの合コンである。
天気晴朗ナレドモ波高シ (てんきせいろうなれどもなみたかし)
山淵百絵が一押しのBLゲームで、海上自衛隊をモデルとしたゲーム。野神貴一郎の娘もこのゲームに夢中したせいで、テストの結果が散々だった。Z指定のゲームで、エッチな写真がふんだんに使用されている。
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書誌情報
5時から9時まで 全16巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2010-06-25発行、 978-4091332141)
第2巻
(2010-12-24発行、 978-4091335586)
第3巻
(2011-05-26発行、 978-4091338594)
第4巻
(2012-02-24発行、 978-4091341969)
第5巻
(2012-08-24発行、 978-4091346537)
第6巻
(2013-01-25発行、 978-4091348999)
第7巻
(2013-07-26発行、 978-4091355089)
第8巻
(2014-01-24発行、 978-4091358141)
第9巻
(2014-08-26発行、 978-4091363350)
第10巻
(2015-02-26発行、 978-4091368300)
第11巻
(2015-09-25発行、 978-4091377173)
第12巻
(2016-02-26発行、 978-4091382986)
第13巻
(2017-02-24発行、 978-4091391377)
第14巻
(2018-02-26発行、 978-4091398789)
第15巻
(2019-03-26発行、 978-4098704033)
第16巻
(2020-04-24発行、 978-4098708956)