あらすじ
これまでの人生で一度も彼氏ができたことのない瀬尾セリは、同じく恋愛事にまったく縁のなかった親友の希子に突然恋人ができたことで、孤独感を味わっていた。希子との温泉旅行を直前でキャンセルされ、落ち込んでいたセリの前に、幼い頃に近所に住んでいた幼なじみの視次友千裕があいさつに現れる。千裕は病気の治療のために遠方に住んでいたが、治療が終わったため、地元に帰ってきたのだ。そして、病弱でこれまで修学旅行も行ったことがなかった千裕は、希子の代わりに自分と温泉旅行に行ってほしいとセリに申し出る。久しぶりに再会して二人だけで旅行に行くのはさすがに気まずいと、動揺するセリだったが、セリの母や弟の瀬尾蒼の後押しもあり、二人は旅行に出掛けることになる。セリはこれまでと変わらず千裕を弟扱いしていると、彼はセリのことが一人の女性として好きだと告白し、猛アプローチを開始する。(#1「一度は修旅に行ってみたい!」)
千裕からの猛アプローチを受け、セリは交際を決意する。しかし、千裕は弟の蒼と同じ年であること、そしてまだ彼が高校生であることから、本当に流されるまま交際していいものか悩んでいた。そんな中、千裕はセリをデートに誘う。生まれて初めての出来事にどう振る舞ったらいいのかわからないセリだったが、千裕のリードを受け、二人は楽しい時間を過ごす。そして帰り道、二人は降ってきた雪にはしゃいでいると、千裕の服が濡れてしまう。かつては病気がちだった千裕の体が心配になったセリは自宅に招き、シャワーを浴びて着替えをするようにうながす。家に家族がいるだろうと思っていたセリだったが、セリの母親も蒼も急遽外出することになり、奇しくも二人きりで過ごすことになってしまう。(#5「一度は夢中になってみたい!」)
セリは千裕から誕生日に前日からデートを開始して、そのままホテルで一泊しないかと誘われる。セリはその誘いを嬉しく感じる一方で、性体験がないために何を準備すればよいのかわからずにいた。そこでセリは自宅に希子、不破、優奈を招き、自らの悩みを聞いてもらう相談会を開く。それぞれの赤裸々な性体験や願望を語り合い大盛り上がりする中、千裕は蒼に誘われ、セリの自宅を訪れていた。千裕が同じ家にいることを知らないセリたちは、さらに過激な発言をして盛り上がっていく。(#9「一度は妄想したい!」)
千裕の高校が終わる時間までこっそり外で待っていたセリは、女性教師から、あいさつに来た新任の先生と間違われてしまう。女性教師はそのまま強引にセリを職員室まで連れていき、しばらく待つように伝える。するとそこには、セリがこれまで見たことのない学校生活を送る千裕の姿があった。そしてセリは、千裕が医科大学を志望していることを知る。(#13「一度は覗いてみたい!」)
登場人物・キャラクター
瀬尾 セリ (せのお せり)
とある大学に通う女子。年齢は19歳ながら、これまで一度も彼氏ができたことがない。幼い頃に近所に住んでいた視次友千裕を本当の弟のようにかわいがっており、彼が病気の治療のために引っ越すまでは良好な関係を続けていた。病気が完治した千裕が地元へと戻ってきたことで再会し、以降は彼から猛アプローチを受けるようになる。千裕に対して、最初は弟としてしか認識していなかったものの、次第に恋愛感情が芽生えていく。明るく素直な性格で、お調子者な一面もある。また、これまでリアルな恋愛経験がないため、年齢のわりに性的な話題に疎い。ふつうの体型にもかかわらず腕力があり、中学校時代は男女を含めたクラスの中で最も腕相撲が強く、「キング・コング」を略した「キンコン」というあだ名で呼ばれていた。
視次友 千裕 (みつとも ちひろ)
高校2年生の男子で、年齢は17歳。幼い頃は瀬尾セリたちの家の近所に住んでいた幼なじみで、まるで瀬尾家の末弟のようにかわいがられていた。生まれながらにして病弱で、病気の治療に専念するために一度は引っ越しをしている。その後、高校生になって完治したため、再びセリたちが暮らす街に戻り、ずっと思いを寄せていたセリに対して猛アプローチを開始する。以前は体が弱かったこともあり、線が細くスリムな体型をしている。顔立ちは非常に整っており、同じ学校の女子たちから人気を集めている。基本的にまじめな性格ながら、セリのことになると計算高い一面をのぞかせることも多い。抑木尊と相性が悪く、顔を合わせると憎まれ口を叩き合っている。セリをはじめ、瀬尾家の人々からは「ちーちゃん」と呼ばれている。
抑木 尊 (おうぎ たける)
瀬尾セリと同じ中学校に通っていた同級生の男性。年齢は20歳。中学3年生の時にアメリカから帰国し、なかなかクラスメイトになじめなかった際に、セリの言葉に救われた過去を持つ。容姿端麗な美男子で、現在は人気モデルとして活動している。非常にサディスティックな性格で、プライドが高い。自分との思い出をまったく覚えていないセリに苛立ちつつも、気になる存在としてちょっかいを出している。視次友千裕と相性が悪く、顔を合わせると憎まれ口を叩き合っている。
瀬尾 蒼 (せのお そう)
瀬尾セリの弟で、高校2年生。年齢は17歳。かつて近所に住んでいた視次友千裕とは幼なじみで親しい。明るく呑気な性格をしている。セリのことをからかうことも多いが、良好な関係を築いている。千裕とは同じ年だが、まるで弟のようにかわいがっている。その一方で、千裕がセリに思いを寄せていることには気づいていない。ボブヘアのかわいらしい彼女がいる。
希子 (きこ)
瀬尾セリと同じ大学に通う女子で、年齢は19歳。セリとは高校時代からの付き合いで、親友同士の間柄。大学ではセリ、不破、優奈と共に行動している。セリと同じくずっと恋愛事に縁がなかったが、石見(いしみ)という名前の彼氏ができたことで、以前より付き合いが悪くなっている。ただし、セリから相談を受けると親身になって応じるなど、良好な関係を築いている。つねにテンションが高いが、一言多い悪癖を持つ。視次友千裕のことを気に入っており、セリとの恋を応援している。
不破 (ふわ)
瀬尾セリと同じ大学に通う女子で、年齢は19歳。大学ではセリ、希子、優奈と共に行動している。セリとはゼミが同じことで親しくなった。落ち着いた大人っぽい雰囲気の美女だが、恋愛に関しては肉食系。恋愛経験も豊富で、過去の交際や恋愛に関することをセリたちに話すと、「変態」と評されることが多い。現在は「佐々本(ささもと)」という年上の彼氏と交際している。セリの初々しい相談事に癒されながら、彼女と視次友千裕のことを温かく見守っている。
優奈 (ゆうな)
瀬尾セリと同じ大学に通う女子で、年齢は19歳。大学ではセリ、希子、不破と共に行動している。明るくかわいらしい雰囲気を漂わせ、甘え上手でもあることから、異性から非常にモテる。恋愛経験も豊富で恋多き女でもある。現在は志賀(しが)という年上の彼氏と交際している。セリと視次友千裕のことを温かく見守っている。
セリの母 (せりのはは)
瀬尾セリと瀬尾蒼の母親。明るく呑気な性格で、あまり物事を深く考えず、その場のノリでこれまで生きてきた破天荒な人物。若者の文化にも詳しく、ミーハーな一面を持つ。かつて近所に住んでいた視次友千裕のことを溺愛しており、瀬尾家の末弟扱いをして大いに甘やかしていた。千裕がセリに思いを寄せていることは知らず、むしろセリがかわいい千裕に何かちょっかいを出すのではないかと警戒している。