ヒトヒトリフタリ

ヒトヒトリフタリ

この世に生を受けた者のほとんどが気づかない存在である守護霊。そんな守護霊との出会いによって狂わされていく人々の人生を描く、魂と生命の物語。「週刊ヤングジャンプ」2011年49号から2013年35号にかけて連載された作品。

正式名称
ヒトヒトリフタリ
ふりがな
ひとひとりふたり
作者
ジャンル
お化け・妖怪
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概要・あらすじ

死後の人々が暮らす世界である霊界、その最下層である幽界にある学校に通っていたリヨンは、その不真面目さが原因で、現世で人間の守護霊をする任務を任されてしまう。守護霊など人間の日常を観察するだけの退屈な仕事だとバカにしていたリヨンだったが、その相手である春日荘一郎が総理大臣であること、そして彼の寿命があと1年半であることを知って、少しだけやる気を出すのだった。

しかしリヨンが守護霊を始めてすぐに、春日は脳梗塞が原因で倒れ、生死の境をさまよう。リヨンの尽力でなんとか一命は取り留めた。ところが、霊界に片足をつっこんだことによって、春日は本来なら見えるはずのないリヨンの姿が見えるようになり、意思の疎通まで行えるようになっていた。さらに、霊能力とでもいうべき不思議な力まで春日に備わっていた。

春日は人智の及ばぬ力を使い、日本を変える決意をするのだった。

登場人物・キャラクター

リヨン

18歳で亡くなり、霊界の最下層である幽界で過ごしている少女。授業に出て魂を磨かず、毎日遊びほうけていることを校長先生にとがめられ、修行のために現世に降りて守護霊となった。極度のファザコンで、リヨンの父に男手一つで大事に育ててもらったにも関わらず、早死にしてしまったことを悔いている。現世で総理大臣である春日壮一郎に憑き、ともに日本を変えようと奔走する。

春日 荘一郎 (かすが そういちろう)

リヨンが守護霊として憑いた男性。日本の総理大臣を務めている。現在は内閣支持率が10パーセントを切っており、周囲の政治家にも目の敵にされている。政治家としての才能はなく、運だけで総理大臣になったという自覚がある。だが今際の際を体験したことにより、本来は見えるはずのない守護霊が見えるようになってしまう。またそのお陰で、肌の触れ合った相手の思考が読めるようになり、その力を利用して総理大臣としての信頼を取り戻し、内閣支持率の回復を狙っている。

泉美 大希 (いずみ だいき)

民人党で衆議院議員を務めている男性。リヨンに憑かれたことによって人が変わったように豹変した春日荘一郎を怪訝(けげん)に思い、密かに探りを入れるなど頭の切れる人物。健康にも気を遣い、毎朝のジョギングを欠かさない。優秀な総理大臣であった父親の泉美純にコンプレックスを抱いており、そのコンプレックスが泉美大希の人格形成に大きな影響を与えている。

泉美 純 (いずみ じゅん)

第87、88、89代内閣総理大臣を務めた男性。泉美大希の父親。現在は神奈川県Y市に住んでいる。相手の考えを読み、それを言い当てるという占い師の真似ごとをしている春日荘一郎の話を聞き、面白いと笑ってみせる懐の深い人物。リヨンとは比べものにならない、武神のような守護霊が憑いている。

谷川 (たにかわ)

泉美大希の補佐を務めている男性の1人。久保光司から霊能力の話を聞いても、鼻で笑って信じようとしないなど、現実的な価値観を持っている。無能だという理由から、光司によって殺されてしまう。

宮里 (みやさと)

泉美大希の補佐を務めている男性の1人。疑り深い性格で、何のためらいもなく谷川を殺してみせた久保光司に不信感を抱いている。しかし、身の危険を感じながらも大希の側近を辞めようとはしないなど、その忠誠心は本物。

久保 光司 (くぼ こうじ)

ファミレスでアルバイトをしている男性。非公式に警視庁の調査に協力し、葛飾区一家惨殺事件の犯人を言い当てたという経歴があり、高い能力を持つ霊能者。目つきが悪く、常に人を睨んでいるように見える。人間でありながら守護霊を見ることができ、守護霊の力を利用することで人を殺すこともできる。春日壮一郎とリヨンが守護霊の力を不正に利用していることを知って逆恨みし、荘一郎を殺そうと画策する。 少年時代に家族を全員失っており、高木を心の支えにして生きていた。

カノン

リヨンの姉。家族想いの女性で、リヨンのことも大切にしていた。リヨンを亡くして途方に暮れていたリヨンの父を支えられる数少ない人物。父親が営んでいる居酒屋の手伝いをしており、必死に支えようとしている。

リヨンの父 (りよんのちち)

リヨンの父親。男手一つでリヨンを育ててきた。リヨンを失ってしまったショックで一時期はふさぎ込んでいたが、現在は比較的安定している。家族のことをバカにした久保光司に暴行を働くなど、少々気性の荒い一面がある。リヨンが死に際に残した一言を今でも気にしている。

春日 一 (かすが はじめ)

春日荘一郎の息子。総理大臣である父親の補佐を務めている。孤児院にいた子供を養子として引き取ろうとするなど、心優しい性格の持ち主で、孤児院の子供たちからもとても慕われている。

西田 充生 (にしだ みつお)

43歳の男性官僚。東大法学部から公務員試験をトップで合格して旧大蔵省に入省。つい最近まで次官レースのトップを走ってきた。その優秀さを買われて日本を改革するためのメンバーに選ばれ、春日荘一郎にスカウトされる。非常に優秀で能力も高いが、女癖がかなり悪い。

真峰 (まみね)

民友党の受付を務めている女性。「真峰がいれば政党の1つくらい簡単に潰せる」と言われているほどの傑物。その優秀さを買われて日本を改革するためのメンバーに選ばれ、春日荘一郎によってスカウトされる。その際、荘一郎に1億円の支払いを求めるなど、極度の自信家でもある。

鈴本 宗八 (すずもと そうはち)

前科者となって議員を失職した経歴を持つ男性。その優秀さを買われて日本を改革するためのメンバーに選ばれ、春日荘一郎によってスカウトされる。優秀な人間ではあるが、同時にずる賢く、何よりも自己保身を優先する性格をしている。

高木 (たかぎ)

葛飾区一家惨殺事件を担当していた警察の男性。身寄りのなかった子供時代の久保光司に対して親身に接していた。光司の能力を知りながら、怒りも軽蔑もせずに、暖かな心で接し続けた希有な人物。

久保 咲和子 (くぼ さわこ)

久保光司の妹。光司よりも強い霊能力を持っていたが、あまりにも強すぎる霊能力を扱いきれず、心を病んでしまう。もともとは優しい性格だったが、心を病んだ結果、他人の死を見ても心が揺るがないほどに疲弊し、最終的に自殺に至る。

ガン爺 (がんじい)

霊界の荒野でオセロをしている老人男性。よくリヨンと勝負していた。リヨンを相手にした勝負では、2553戦中2529勝を収めている。負けた24回は大抵の場合、二日酔いをしていた時のもの。地上に降りることになったリヨンに対して、祝いの言葉を投げかけるのではなく、勝ち数が増えなくなるのが惜しいと言い放つなど、なかなか大人げない性格をしている。

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