ヒモクズ花くんは死にたがり

ヒモクズ花くんは死にたがり

作者、あめこの代表作。現代の日本を舞台に、人生に疲れ果てた社畜OLの吉野楓と、謎めいた青年、花くんが奇妙な同居生活を始める。花くんから注がれる重く偏った愛情に、楓の心が徐々に蝕まれていく姿を描いた劇薬ラブコメディ。講談社「Palcy」2024年5月5日から連載。

正式名称
ヒモクズ花くんは死にたがり
ふりがな
ひもくずはなくんはしにたがり
作者
ジャンル
同棲
レーベル
KC デザート(講談社)
巻数
既刊3巻
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人生最悪の日から始まる期間限定の同居生活

社会人の楓は、心の支えであった愛猫の花子を亡くし、深い悲しみに沈んでいた。さらに職場では相変わらず軽んじられ、男性にぶつかられて膝から流血するなど、意気消沈してしまう。そんなある晩、公園で泣きながら酒を飲み、酔いが回ってまともに歩けなくなった楓は、見知らぬ青年に自宅まで送ってもらう。翌日、目を覚ました楓は、酔った勢いでその青年を自宅に住まわせる約束をしていたことを知る。名前すら明かさない謎めいた青年を放っておけず、楓は亡き愛猫の花子の名前から一文字を取って「花くん」と名付け、期間限定の同居生活を始める。「死ぬ時はいっしょに死ぬ」と口にする花くんの偏った愛情に戸惑いながらも、楓は誰かと共に暮らす温かさに少しずつ心を癒されていく。

楓と花くんの歪んだ関係

楓は、周囲から心ない言動や理不尽な扱いを受けても、笑顔で耐えていたが、内心では深く傷つき、心の支えを求めていた。そんな彼女が出会ったのは、美しい外見とは裏腹に、どこか危険な雰囲気を漂わせる花くん。彼はふだん、家事をすべて引き受けるなど楓に尽くしているが、彼女がほかの人に目を向けたり、自己犠牲的な行動をとったりすると、理由を問わず激しい嫉妬をあらわにする。その愛情表現は、心中をほのめかす発言や、楓に自分の耳にピアスを開けさせようとするなど、非常に重いものだった。さらに、楓のスマートフォンを勝手に覗き見たり、位置情報共有アプリを勝手にインストールするなど、一般的な常識やモラルを逸脱した行動も目立つようになる。

一途な愛が導く自己成長と狂気の影

最初は花くんの存在に戸惑っていた楓だったが、彼から一途な愛情を受けるうちに、会社の同僚から理不尽な態度を取られても、少しずつ言い返せるようになるなど、次第に自分を守る術を身につけていく。こうして楓にとって花くんはかけがえのない存在となったが、同時に彼のことを何も知らないという現実にも気づく。まるで気まぐれに我が家に住み着いた猫のように、ある日突然いなくなってしまうのではないかという不安も抱くようになる。そして、花くんのことを知ろうと楓が行動を起こすたびに、まるで自らの死に場所を探しているかのような、彼の狂気じみた一面が次第に明らかになっていく。

登場人物・キャラクター

吉野 楓 (よしの かえで)

社会人2年目の独身女性。仕事や人間関係に疲れ切っていた。複雑な家庭環境で育ったため、本心を笑顔で隠す癖が身についている。そのせいで、職場では面倒な仕事を押し付けられ、都合よく扱われることが多い。そんな楓の唯一の心の支えは、愛猫の花子だけだった。ある朝、泥酔してベッドで目を覚ますと、となりに見知らぬ青年が眠っていた。どこか花子に似た雰囲気を感じた楓は、その青年を「花くん」と名付け、期間限定でいっしょに暮らすことになる。

花くん (はなくん)

謎めいた雰囲気を漂わせる青年。大学生だと嘯(うそぶ)きながらも、名前すら明かさず、その経歴もいっさい不明である。ある日、公園で泥酔していた楓を介抱したことをきっかけに、いつの間にか彼女の家に居ついてしまう。亡き愛猫の花子を今も大切に思っている楓に、「俺を猫だと思っていい」と、まるでペットのように振る舞い始める。これまでさまざまな家を転々としてきたと語る花くんは、最初は楓のことを好みのタイプではないとからかっていたが、同居を重ねるうちに次第に彼女に歪んだ執着心を抱くようになっていく。その愛情は日増しに重くなり、時おり死を連想させる言葉を口にするなど、どこか危険な狂気を垣間見せるようになる。

書誌情報

ヒモクズ花くんは死にたがり 3巻 講談社〈KC デザート〉

第1巻

(2024-10-11発行、978-4065371770)

第2巻

(2025-05-13発行、978-4065388105)

第3巻

(2025-10-10発行、978-4065412787)

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