概要・あらすじ
幼い頃からアフリカのスーダン南部で育ったフランス人の少女フランソワーズ・バルザック、通称ファデ(ファンション・ファデ)は16歳の少女。大地の中で伸び伸びと育ち、天真爛漫で健康的。ルウルウと女同士で結婚の約束を交わしていたが、健全な恋をしてほしいと願う父によってフランスに送り出された。
身を寄せたパリの伯父によって、バルザック財閥唯一の跡取りとして強引に社交界にデビューさせられることになり、有名デザイナーのマダム・フルールと、彼女の養子ユーフォ(ユーフォルヴ)に出会う。マダム・フルールはフランスのファッション業界の実力者であり、アベイユという謎のデザイナーを配下に置いていた。
マダム・フルールの服に魅了されたファデに、ユーフォは自分で服を作るよう勧める。その後、叔父の家を飛び出したファデは、空港で知り合った画家の卵の田中日翔と共に、寂れたブティック、ブランシェに身を寄せる。その店のデザイナーのアルチュールは荒んだ生活をしていたが、ファデのデザイン画を見て煌めく天性の才能を感じる。
アルチュールはある復讐のためにファデを利用しようと考える。そんな企みを知らず、ファデはファッションデザイナーとしての第一歩を踏み出した。
登場人物・キャラクター
ファンション・ファデ (ふぁんしょんふぁで)
巻き毛の長い金髪の少女。初登場時16歳。本名フランソワーズ・バルザック。父シャルル・バルザックによってスーダン南部で育てられた。大地の中で伸び伸びと育ち、天真爛漫で健康的。ルウルウと女同士で結婚の約束を交わしていたが、健全な恋をしてほしいと願う父によってフランスに送り出された。 身を寄せたパリの伯父によって、バルザック財閥唯一の跡取りとして強引に社交界にデビューさせられるが、有名デザイナーのマダム・フルールと、彼女の養子ユーフォ(ユーフォルヴ)に出会う。マダム・フルールの服に魅了され、ユーフォからは自分で服を作るよう勧められる。その後、叔父の家を飛び出したファデは、空港で知り合った画家の卵の田中日翔と共に、寂れたブティックのブランシェに身を寄せ、ファッションデザイナーとしての第一歩を踏み出す。 天衣無縫の創造性と独創性に溢れたデザインセンスを持っている。
シャルル・バルザック (しゃるるばるざっく)
フランスのバルザック財閥の家に生まれた。民族学の権威で、娘のフランソワーズ・バルザックをファンション・ファデ(ジョルジュ・サンド作『愛の妖精』の主人公の愛称)と呼ぶ。共にスーダン南部で研究生活を送っていた。医学博士号を持つ医師でもあり、村の人々にとってなくてはならない存在となっている。 ルウルウと結婚を誓うファデを、健全な恋愛をしてほしいとパリに送り出す。
ルウルウ
スーダンの部族ヌエル族の娘。ファデ(ファンション・ファデ)と結婚を誓い合っている。パリへ旅立ったファデが、ユーフォ(ユーフォルヴ)と恋をしているという話をシャルル・バルザックから聞き、パリを訪れファデのもとに現れる。聡明で背が高く、ユーフォによってモデルとしての才能を見出される。 シャルトル公爵家に身を寄せ、ノヴァから家庭教師を受けながら、勉学の傍ら有名モデルとなっていく。
田中 日翔 (たなか にっしょう)
長髪の日本人男性。画家になるためにパリにやってきた。空港でファデ(ファンション・ファデ)と出会う。家を出たファデと共に一時ブティックのブランシェに住み込みで働き、ファデの魅力に引き込まれていく。後援者ができたことをきっかけにブランシェを離れる。ファデが様々な出会いや別れを経て、デザイナーとして活躍を始めた頃に再会し、彼女を日本に連れて行く。
マダム・フルール (まだむふるーる)
パリのオートクチュール専門のファッションデザイナー。豊かな才能に加え、自らの地位を脅かすものは始末する策略によって、パリ有数の有名デザイナーとなった。配下にアベイユという謎のデザイナーを従えている。ファデ(ファンション・ファデ)の名を聞き、ある男性との過去を思い出す。 名香智子作『シャルトル公爵の愉しみ』にも登場する。
ユーフォルヴ
ドレスの製作を依頼されたマダム・フルールと共にバルザック家を訪れ、ファデ(ファンション・ファデ)と出会った。端正な容姿とスタイルで、普段はモデルをしている。マダム・フルールの養子。マダム・フルールに忠実で、常に他人の顔色を窺っていたが、ファデと出会ってその生き方が揺らぎ始める。 ファデに恋をしていることに気付くが、一方で彼女とは相容れない何かがあると感じている。その後、マダム・フルールや婚約者のシーニュ夫人から離れ、デザイナーとして生きることを決意。ブランシェでファデやアルチュール達と仕事をした後、再びマダム・フルールのもとに戻る。当初は穏やかな表情だったが、次第に厳しい顔つきを見せるようになる。 ファデの母親の女優シモーヌ・ララとそっくりで、女性用の服を着てもひときわ目立つ。
ブランシェ夫人 (ぶらんしぇふじん)
上品な老婦人。ブティックのブランシェの持ち主。叔父の家を出たファデ(ファンション・ファデ)と田中日翔を住み込みで雇い入れる。才能ある若者を世に出すことを楽しみにしており、デザイナーのアルチュールが荒んだ生活を送っていても何も言わず店に置いている。心臓に持病を抱えている。
アルチュール
長髪の男性。ブティックのブランシェに身を寄せているファッションデザイナー。腕は超一流だが、酒ばかり飲んで荒んだ生活を送っている。叔父の家を出て住み込みで働き始めたファデ(ファンション・ファデ)を利用して、マダム・フルールに復讐をしようと企む。ファデが一時店を離れた隙にすり寄ってきたヴェーラを受け入れ、共にブランシェを有名店にのし上げる。
アンリ・ド・シャルトル (あんりどしゃるとる)
一見女性のような外見の容姿端麗な男性。ブティックのブランシェを訪れるアルチュールの顧客。ファデ(ファンション・ファデ)が作る服のセンスを認める。名香智子作『シャルトル公爵の愉しみ』の主人公でもある。また同作者の『花の美女姫』にも登場する。本名はアンリ・シャルル・フランソワ・アルベール・オーギュスト・ド・グランサニュー・ド・シャルトル。
ジュジュ
小柄な女性。付き合っていた男に騙されて金をとられてしまい、ブティックのブランシェを訪れ、布地を万引きしようとしてアルチュールに捕まる。しかし優れた縫製の腕を持っており、ファデ(ファンション・ファデ)とペアを組み、彼女のデザインした服を仕立てていく。はじめはアルチュールを怖がっていたが、次第に彼に好意を持つようになる。
ヴェーラ
セミロングの黒髪のロシア人少女。ファッションデザイナーを目指している。勝気で野心に溢れた性格。シャルトル公爵夫人の支援を受ける資格を争うなど、同い年のファデ(ファンション・ファデ)に激しいライバル意識を燃やしている。またユーフォ(ユーフォルヴ)を気に入り、ファデを恋敵とも見ている。 ファデが不在のうちにアルチュールに取り入り、ブランシェを人気店にのし上げていく。
アラン・ド・シャルトル (あらんどしゃるとる)
冒険・探検・考古学が趣味のアウトロー。アンリ・ド・シャルトルの叔父。アフリカでファデ(ファンション・ファデ)の父シャルル・バルザックと行動を共にしていた。シャルル・バルザックの言葉をファデに伝え、自らの道を進むよう促す。ファデの母親に関するある秘密をシャルル・バルザックから聞き、ファデに母親の事を触れないようにさせた。
ノヴァ
女性のようなスタイル・話し方の男性。 アラン・ド・シャルトルの手配によってルウルウの家庭教師となる。元々はアンリ・ド・シャルトルの知り合いだった。パリ大学第6学部(医学部)の優秀な学生。
ルマ・ホワイト (るまほわいと)
映画監督。ファデ(ファンション・ファデ)のデザインした服を見て、自分の撮る映画『中世騎士物語』のコスチュームデザインを依頼する。なぜか映画を嫌うファデだったが、彼の熱意やユーフォ(ユーフォルヴ)、ノヴァらの説得でこの仕事を引き受け、共にハリウッドに向かう。