作品の概要
基本情報
作者、リカチが『昭和ファンファーレ』完結から4カ月後にスタートした作品で代表作の一つ。
要旨と舞台設定
架空の国家「フォルトナ」と「ガルガダ」を舞台に、孤児の少女、ニナが、死亡した王女の身代わりとして政略結婚に巻き込まれる物語。星信仰が根付いた中世風の世界において、瑠璃色の瞳を持つ者が特別視される設定のもと、身分制度が厳格な王宮社会を背景に物語が展開する。
ストーリー展開
物語は、大国のガルガダへ嫁ぐはずだったが事故死した王女のアリシャ・セス・フォルトナの身代わりとして、第二王子であるアズール・セス・フォルトナに見出された孤児のニナが、王宮に入るところから始まる。ニナはガルガダの第一王子、セトに嫁ぐが冷遇され、王位継承権を巡る争いが激化する中、政治的な駆け引きに巻き込まれていく。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、王室を舞台とした政治的陰謀と個人の成長を描いた恋愛ファンタジー。特に、身分差による葛藤や運命に立ち向かうテーマが中心となっており、中世風の世界設定における政略結婚を通じて重厚な人間ドラマが描かれる。
作品固有の表現技法と特徴
物語では、王宮内の権力闘争や身分制度による制約が詳細に描写される。侍女のヒカミの裏切りや毒殺未遂事件などのサスペンス要素に加え、人間関係の機微を丁寧に描き出す手法により、登場人物たちの複雑な心理が表現されている。
世界観の構築と設定
世界設定として、「星の神」を信仰する宗教体系や、王位継承順位が変動する独自の政治制度が構築されている。フォルトナとガルガダの政治的関係性や、「極東監獄グリフィゲルド」といった具体的な地理的設定も、物語に深みを与えている。また、「星の民」という特別な存在が物語の鍵を握る設定となっている。
連載状況
講談社「BE・LOVE」2019年11月号から連載。
受賞歴
2022年第46回「講談社漫画賞」少女部門。
メディアミックス情報
テレビアニメ
2024年10月から12月までTOKYO MXほかにて放送。アニメーション制作はシグナル・エムディ。主人公のニナを田中美海、アズールを梅原裕一郎が演じる。
あらすじ
王女の身代わりとなった少女と王子の王宮恋愛ファンタジー
生まれつき瑠璃色(るり)の瞳を持つ少女、ニナが、フォルトナ国第二王子のアズール・セス・フォルトナに見出され、亡くなった姫巫女(ひめみこ)の替え玉になることから物語が始まる。ニナはアズールのことを毛嫌いしていたが次第に彼に惹(ひ)かれていき、やがて両思いとなる。過酷な運命に翻弄されながらも二人で困難を乗り越えていく王宮ラブストーリーが、ファンタジー要素を交えながら展開される。
クールで不器用な王子×男勝りな元孤児の美少女
ニナは成り行きで王女の替え玉となったものの、本来は勝ち気な性格の元孤児で、王族とはかけ離れた暮らしを送ってきた。それでもニナは作法を懸命に学び、美しく着飾りながら、現国王や王妃をはじめ王国の重鎮たちを欺きながら成長していく。一方、そんなニナを監視するアズールは、まじめで優秀ながらぶっきらぼうなところがあり、当初はニナからも反抗的な態度を取られていた。だが、ニナを王国の手駒のように思っていたアズールも、彼女の強く真っ直ぐな優しさに惹かれていく。
国内外を問わず襲いかかる困難
国内では立場が弱い第二王子と偽りの王女という立場上、二人にはさまざまな危険やトラブルが降りかかる。当初は国内のいざこざだけだったが、それは次第に強国からの脅威に変わっていき、ニナは強大な権力を手に入れて、アズールを守るために強国に嫁ぐことを決意。しかし、その相手となるガルガダの王子、セトは、ニナにとって予想外に冷酷な野心家で、彼女の身にもさまざまな危機が訪れることになる。
登場人物・キャラクター
ニナ
流行(はや)り病で身寄りを失くした少女。瑠璃色の瞳を持つ。年齢は15歳。男勝りで負けず嫌いな性格で、同じ境遇のサジ、コリンと三人で身を寄せ合い、時おり金持ちから金品を拝借しながら、その日暮らしをしていた。そんなある日、フォルトナ国の第2王子であるアズール・セス・フォルトナに見初められ、フォルトナ国の姫巫女で、亡くなったアリシャ・セス・フォルトナの身代わりとして生きることを強要されることとなった。その目的は、敵対する大国ガルガダの第1王子のもとに嫁ぐため。周囲からは「アリシャ」と呼ばれ、アリシャとして生きるための教育を受けるにつれ、自分自身が失われることに辛さや恐ろしさを感じるようになる。しかし、次第にアリシャとして生きる元凶となったアズールとの関係性が変化していき、二人きりの時には「ニナ」と呼んでもらうよう約束してからは、アズールに恋心を抱くようになる。これまでは、たった一人で見知らぬ国に嫁ぐことを恐れていたが、アズールへの強い思いからガルガダへの輿入(こしい)れを決意。星の巫女として生きる覚悟を決めた。
アズール・セス・フォルトナ
フォルトナ国の第2王子。灰金色の瞳を持つ。現国王と元正室のあいだに生まれ、姫巫女のアリシャ・セス・フォルトナと第1王子のムフルムの異母兄にあたる。王位継承の観点から、現王妃からは何かと敵視されているが、幼い義弟のムフルムには、優秀さや人望が厚いところを尊敬され、慕われている。街中にいる子供の中から瞳の色がアリシャと同じニナを見つけ出し、アリシャの身代わりとして教育し、敵対する大国ガルガダに嫁がせることを決めた。しかし、実はアズール・セス・フォルトナ自身も同様の生い立ちで、幼くして亡くなった第2王子、アズールの身代わりとして引き取られ、離宮で大上皇に育てられた過去を持つ。ふだんは仏頂面でぶっきらぼうながら、人の心の痛みがわかる優しい一面を持っている。ニナが、アリシャとして生きることで自分を失うことに恐怖を感じていることを知り、二人きりの時は「ニナ」と呼ぶ約束を交わしている。
書誌情報
星降る王国のニナ 17巻 講談社〈BE LOVE KC〉
第1巻
(2020-03-13発行、978-4065187173)
第2巻
(2020-07-13発行、978-4065202173)
第3巻
(2020-10-13発行、978-4065209837)
第4巻
(2021-02-12発行、978-4065223659)
第5巻
(2021-06-11発行、978-4065236581)
第6巻
(2021-10-13発行、978-4065256817)
第7巻
(2022-02-10発行、978-4065267691)
第8巻
(2022-07-13発行、978-4065285725)
第9巻
(2022-11-11発行、978-4065298787)
第10巻
(2023-03-13発行、978-4065311448)
第11巻
(2023-08-10発行、978-4065327722)
第12巻
(2023-12-13発行、978-4065340523)
第13巻
(2024-04-12発行、978-4065353028)
第14巻
(2024-09-12発行、978-4065368244)
第15巻
(2024-11-13発行、978-4065375716)
第16巻
(2025-04-11発行、978-4065388006)
第17巻
(2025-09-12発行、978-4065407493)
星降る王国のニナ 特装版 11巻 講談社〈講談社キャラクターズA〉
第11巻
(2023-08-10発行、978-4065327890)







