概要・あらすじ
ナタリー・ロームはフランスの名門ローム家の一人娘。その家の前に捨てられ、そのまま引き取られた捨て子のフランシスと相思相愛になるが、周囲の反対や事故で結ばれなかった。ナタリー・ロームは亡くなった彼の息子を引き取るが、成長した息子のフランシスは、ナタリー・ロームに熱い想いを抱くようになる。
登場人物・キャラクター
ナタリー・ローム
ローム家という名門の一人娘として大切に育てられる。捨て子のフランシスとは兄弟同然に育てられ、結婚を誓うが、両親の死により周囲から反対され、駆け落ちする。追い詰められた2人は崖から海へ飛び降り、フランシス・ドベルジュは行方不明に。1人生還したナタリー・ロームは自宅を出て、童話作家として活動を始め、大成する。 後にフランシス・ドベルジュの息子を引き取り育てているうちに、フランシス・ドベルジュによく似た息子に惹かれるようになる。
フランシス・ドベルジュ【捨て子】
ナタリー・ロームの誕生日にローム家の門の前に捨てられていた。ナタリー・ロームとは兄妹同然に育てられ、強く惹かれ合う。2人の関係を反対され駆け落ちするも失敗、海に落ちて行方不明になる。その後、離島で記憶を失ったまま、怪我の介抱をしてくれたジョルゼと結婚し、息子フランシスをもうける。 ナタリー・ロームと再会し記憶が戻った途端に事故に遭い死亡。
フランシス・ドベルジュ
捨て子のフランシスがジョルゼとの間に設けた息子。マルコという名前だったが、ナタリー・ロームの希望により、改名した。自分を引き取り、育ててくれたナタリー・ロームに憧れと激しい愛情を抱くようになる。
ミルフィーヌ・ココ
エビアン・ココの妹で、ヴァン・ロゼ校のアイドル的存在。フランシス(息子)に恋心を抱き、将来結婚するものと固く信じていた。ナタリー・ロームには憧れを抱きつつもライバル心を燃やしている。フランシス・ドベルジュと一緒に暮らすことになったナタリー・ロームに嫉妬心から襲いかかり、その弾みで自ら足をナイフで刺してしまう。 その怪我が元で足が不自由になり、フランシス・ドベルジュにまとわりつく。
フェラン・クレール
札付きの不良だが、フェンシングの学生チャンピオンかつ学業優秀で、絵画が得意。ヴァン・ロゼ校の寮で、フランシス・ドベルジュ(息子)と同室になり、弟ジュリアス・クレールに面影の似た彼の素直さに救われ、更生する。フランシス・ドベルジュへの思いが、友人としてから愛情へ変わり、その思いを胸に秘めている。
エレーヌ・オーモン
ナタリー・ロームの子どもの頃からの同級生。編集者となり、仕事でもナタリー・ロームと親しく関わる親友。いつでもナタリー・ロームの味方をし、叱咤激励している。ヴォージュ・ド・ランベールに惹かれるも失恋し、傷心の際にミッシェルに慰められたことをきっかけに結婚。エディットを産む。
ロベール・ブリュエ
ナタリー・ロームの童話を出版している出版社の編集長。彼女の才能を見いだしデビューさせた。エレーヌ・オーモンの上司で、ナタリー・ロームに好意を寄せており、なにかと力になっている。
ミッシェル
ロベール・ブリュエの友人で、ヴォージュ・ド・ランベールの甥。精神科医で、マダム・クレールの主治医だった。プレイボーイだったが廃業し、エレーヌ・オーモンと結婚する。
ヴォージュ・ド・ランベール
画家で、ヴァン・ロゼ校で美術の教師をしている。学生時代にドイツ人のフローリア・ドベルジュと恋仲になったが、父親に反対され、フローリアが密かに身を引いたため失恋。実情を知らず、裏切られたと思っていたが、彼女を忘れられず、フローリアをモチーフにした絵を描き続け、独身を貫いている。 天真爛漫で絵画の才能があるフランシス・ドベルジュ(息子)を可愛がっていた。後に、彼が実の孫であると知る。
エドウィン・シュナイダー
ヴァン・ロゼ校で寮長を務めている優等生。母であるアンジェラ・シュナイダーがフェラン・クレールの愛人だったことが分かり、フェラン・クレールと異父兄弟だと思い悩んでいた。後にアンジェラ・シュナイダーと共にイギリスに移住する。
レミ・クロード
ヴァン・ロゼ校でのフランシス・ドベルジュの同級生。少年らしく明るい性格。
ジュリエス・クレール
フェラン・クレールの弟。風邪気味の時に父親ときつね狩りに行き、誤って池に落ちて死亡。クレール夫婦のかすがい的存在だったため、彼の死がきっかけで夫婦げんかが起こり、父親は死に、母親は精神病を患うことになった。
アンジェラ・シュナイダー
エドウィン・シュナイダーの母親。フェラン・クレールの父親と愛人関係にあった。
ロジェ・アントン
ヴァン・ロゼ校での校医。父フランシス・ドベルジュと学生時代に主席争いをしていた。ナタリー・ロームとの仲をやっかみフランシス・ドベルジュとケンカをしたこともある。
アンリ・マチュー
ヴァン・ロゼ校の生徒で、フェラン・クレールと同室だったとばっちりを受け、何度も反省室行きになったために、フェランを恨んでいる。感情的で私情で動く事が多くエビアン・ココの判断により、ヴァン・ロゼ校の班長を解任になった。
エビアン・ココ
ヴァン・ロゼ校の生徒で、副寮長。ミルフィーヌ・ココの兄。
マダム・クレール
フェラン・クレールの母親。夫が愛人との間にエドウィン・シュナイダーが産まれたことの腹いせに行きずりの男と関係し、フェラン・クレールを産む。自分のせいで夫が自殺をした事により、精神障害を起こして入院していた。
シフォンヌ・シャブローニュ
社交界の女王で、ヴォージュ・ド・ランベールの婚約者だった。こっぴどく振られたあとも、ヴォージュと大人のつきあいをしている。作家協会のスポンサーのひとり。ナタリー・ロームにアメリカ行きを勧めた。
ジェフ・ハワード
アメリカのテレビ局H.B.Cの社長で、ナタリー・ロームのスポンサー。ジェラルディ・ハワードと結婚しているが、彼女の家柄とつり合う人間になるために仕事に邁進しているうちにすれ違い、別居に至った。在米中のナタリー・ロームと懇意にしていて、同棲しようと激しくアプローチしていたが、ナタリーに妻の元へ戻るよう諭され、ジェラルディの元へ戻った。
ジル・カーター
ジェフ・ハワードの秘書で、アメリカでのナタリー・ロームの生活を支えるよい友人となった。
ジェラルディ・ハワード
別居しているジェフ・ハワードの妻。H.B.C の大株主の一人娘。
フローリア・ドベルジュ
ヴォージュ・ド・ランベールがドイツに留学していたときに世話になっていた家の小間使いで、深く愛し合ったが、身分違いのために身を引いた。ヴォージュの前から姿を消した時には、彼の子を宿しており、後にフランシス・ドベルジュ(父)を産んでいる。
マリア
ナタリー・ロームのおば。ナタリー・ロームの両親が亡くなった際に、ローム家を守るためにナタリー・ロームとフランシス・ドベルジュとの仲を反対し、2人を駆け落ちに追いやることになってしまう。
集団・組織
ヴァン・ロゼ校
『砂の城』に登場する寮制の学校。フランシス・ドベルジュが通うコレージュ(フランスの前期中等教育機関)。ヴォージュ・ド・ランベールが美術の教師を務めている。エドウィン・シュナイダーの父親も通っていた名門校。