ブクロキックス

ブクロキックス

松木いっかの初連載作品。現代の池袋を舞台に、ブラインドサッカーの経験はないものの、卓越したサッカーセンスを持つ小山田千洋が強豪チームに挑戦し、激闘を繰り広げるブラインドサッカー・アクション。ブラインドサッカーの奥深さや仲間との絆を描いた熱いストーリー展開が見どころとなっている。講談社「ヤングマガジン」2020年18号から2020年45号まで連載されたのち、同社「マガポケ」で2020年11月から2021年5月まで連載。

正式名称
ブクロキックス
ふりがな
ぶくろきっくす
作者
ジャンル
サッカー
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社) / ヤンマガKC(講談社)
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音でつなぐブラインドサッカーの魅力

本作のテーマである「ブラインドサッカー」は、1980年代にヨーロッパや南米で誕生した視覚障がい者のためのフットボール競技。選手は、アイマスクを着用したフィールドプレーヤー四人と、晴眼者または弱視者のゴールキーパー一人の計五人で構成される。この競技の特徴として、音が鳴るボールを使用すること、守備側のフィールドプレーヤーがボールを奪う際に「行く」を意味するスペイン語の「ボイ」と声を出す義務があること、そしてゴールの位置や距離、角度を伝える「ガイド」が相手ゴール裏に配置されることが挙げられる。このように、ブラインドサッカーは音を頼りにプレーするため、視覚障がい者だけでなく晴眼者も楽しめるスポーツとして広く認知されている。

視覚に障がいを持つ青年の新たな挑戦

はるかわ整体院で働く千洋は、生まれつき視覚障がいを抱えながらも、その誠実な人柄で多くの顧客に支持されていた。ある日、整体院に訪れた葉山智慧から、千洋は友人の春川ハルカと共にブラインドサッカーへの誘いを受ける。好奇心を刺激された千洋は、「ブクロホチキス」に参加し、東京最強と称される「新宿玉帝」に挑戦することになる。ほぼ素人のメンバーで構成された「ブクロホチキス」は、「新宿玉帝」の圧倒的な実力に翻弄され、大差をつけられてしまう。しかし、後半に入ると千洋がその才能を発揮し、一気に試合の流れを変える。結果として敗北を喫したものの、僅差まで追い上げることに成功した。この試合をきっかけに、千洋はさまざまな方面から注目を集め、ブラインドサッカーの世界に本格的に足を踏み入れることとなる。

「ブクロホチキス」の熱き戦いの軌跡

千洋が所属する「ブクロホチキス」は、智慧の父親・司によって設立されたアマチュアのブラインドサッカーチーム。メンバーは、千洋や智慧、司のほか、千洋の友人で、はるかわ整体院の同僚であるハルカ、その父親の浩二、そして司の友人でバーを経営するマスターで構成されている。設立当初は、「新宿玉帝」に勝利することで得られる賞金が目当てだったが、千洋以外のメンバーはほとんどサッカーの経験がなかったため、彼の個人技に頼るチームだった。しかし、「赤羽フェニックス」や「足立バンブーバウンド」といった強豪チームとの試合を重ねる中で、メンバーは技術的にも精神的にも成長を遂げる。さらに、新メンバーの井倉鈴が加わることで、チーム力は飛躍的に向上し、人気も集めるようになる。ちなみに、「ブクロホチキス」というチーム名は、智慧が働く池袋のキャバレー「ホチキス」に由来している。

登場人物・キャラクター

小山田 千洋 (おやまだ ちひろ)

生まれつき視覚に障がいを持つ青年。年齢は19歳。はるかわ整体院に勤務し、院長の息子であるハルカとは同僚であり、親友の間柄。生真面目で冷静沈着な性格だが、ハルカの勢い任せな言動には鋭いツッコミを入れるユーモアも持ち合わせている。また、仲間思いの一面もあり、「ブクロホチキス」の仲間が侮辱されると、ふだんの冷静さからは想像できないほど感情を露わにする。幼少期、あこがれの先輩である堂島あゆからサッカーを教わり、長年の猛練習を経て才能を開花させ、晴眼者たちと共にサッカーを楽しむようになる。その実力は今も衰えておらず、智慧に誘われて「ブクロホチキス」に加入すると、ブラインドサッカーの初試合で強豪チーム「玉帝新宿」と互角以上の戦いを繰り広げ、瞬く間にブラインドサッカー界のスターとなり、ファンや強豪チームの選手たちから注目を集める存在となった。好物は鯛焼き。

葉山 智慧 (はやま じへ)

キャバレー「ホチキス」で働く女性。源氏名は「ナナ」。年齢は19歳。日本人の父親、司と韓国人の母親のあいだに生まれたハーフで、幼少期は韓国で過ごしていた。しかし、司の仕事がうまくいかずに母親や弟に愛想を尽かされてしまい、司と共に来日した。現在はキャバレーで働きながら、父親が設立したブラインドサッカーチーム「ブクロキックス」の広報として、精力的に活動している。父親の司は要領は悪いものの、目標に向かって努力を惜しまない人物であり、智慧はそんな父親を深く慕っており、自らが稼いだお金を父親のために使うことも厭(いと)わない。容姿端麗で明るい性格から、キャバレーの客や同僚たちにも愛されている。来日して日が浅いため、日本語はまだたどたどしいが、それも彼女の魅力の一つとして受け入れられている。はるかわ整体院を訪れた際に、千洋とハルカを「ブクロホチキス」にスカウトし、のちに千洋の類いまれなるサッカーセンスに気づくことになる。

書誌情報

ブクロキックス 3巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第3巻

(2020-12-04発行、978-4065217146)

ブクロキックス 5巻 講談社〈ヤンマガKC〉

第1巻

(2020-06-01発行、978-4065202487)

第2巻

(2020-09-01発行、978-4065206881)

第4巻

(2021-05-01発行、978-4065233368)

第5巻

(2021-08-01発行、978-4065243350)

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