概要・あらすじ
黒人差別が根強く残る1885年のアメリカ。白人専用の酒場に逃げ込んだ女性を、追跡してきた1人の黒人が散弾銃で撃ち殺した。男の名はヴィクターフリーマン。彼は元ヘビー級ボクサーにして、何人もの白人を殺害している凶悪犯だった。逮捕されたヴィクターだったが、その夜、彼に殺されたはずの女が甦り、街の住民たちを惨殺する。
これまでにヴィクターが殺してきたのは、人間の姿に化けた人喰いの怪物「獣人魔族」だったのだ。ヴィクターは殺人鬼の汚名を着ながら、人の世に潜む人外の獣を狩るべく血塗られた道を突き進んでいく。
登場人物・キャラクター
ヴィクター フリーマン
父を殺した「獣人魔族」への復讐を果たすため、各地を旅している元ヘビー級の黒人ボクサー。パワー、スピード、スタミナのいずれも人間離れしており、獣人魔族と対する時は純銀の弾丸を発射する鋼鉄製の拳「ブラスターナックル」を左手に装着して戦う。困っている者がいれば手を差しのべるなど、決して非情な男ではないが、相手が「獣人魔族」であれば女子供の姿をしていても容赦はしない。 「獣人魔族」は死ぬと人間の姿に戻ってしまうため、「血の雨(ブラッド・レイン)ヴィクター」の異名を持つ凶悪な殺人犯として保安官や賞金稼ぎに追われている。
アレックス マクレガー
賞金首であるヴィクターフリーマンを追うため、保安官のロイド・ヒギンズが雇った隻腕の賞金稼ぎ。早撃ちで知られる名うてのガンマンで、最新型のオートマチックの他、リボルバー、散弾銃、小型ピストルなどの銃を駆使する。軽いノリの能天気な男だが、銃の腕は並外れていてヴィクターとも互角の戦いを演じた。実はヴィクターの昔の仲間で、獣人魔族のことも熟知している。
セシル
小さな村で両親や兄と暮らす黒人の少女。白人の男たちに襲われているところをヴィクターフリーマンに助けられた。兄のマシューからヴィクターが殺人犯だと聞かされて困惑するが、どうしても信じることができずヴィクターの後を追う。
市長 (しちょう)
配下の白人たちにセシルの村を襲わせ、その遺体を喰らっている残忍な獣人魔族。凄腕のガンマンを保安官に雇い、街を恐怖で支配している。人間の姿の時はでっぷりと太った醜い老人だが、完全獣化すると巨大な鬼のような姿になる。
ロイド・ヒギンズ (ろいどひぎんず)
ヴィクターフリーマンを逮捕するため、賞金稼ぎのチームを組織した連邦保安官。正義感が強く職務に忠実な男だが、ヴィクターにとっては相手にならず、あっさりとあしらわれた。それでもヴィクターの追跡を続け、彼を追ってホワイトロック・バレーにたどり着くことになる。
トスカ
ロイド・ヒギンズの指揮する賞金稼ぎのチームに参加したライフル使いの少年。村一番の鳥撃ちの名手で、貧しい家族を養うために賞金稼ぎになった。銃の腕は確かだが、まだ人を撃ったことがなく、ヴィクターフリーマンを前にひるんでしまう。
ジャック・サラザール (じゃっくさらざーる)
ゴーグル型のメガネを装着している痩身のナイフ使い。ロイド・ヒギンズに雇われ、ヴィクターフリーマンに戦いを挑んだ。性格は残忍で、黒人の犯罪者を切り刻むのを得意としていることから「切り裂きジャック」という仇名を持つ。
酒場の主人 (さかばのしゅじん)
ホワイトロック・バレーの代表者を務める男。外見は礼儀正しい紳士だが、その正体は50人以上の獣人たちを従えている上位の「獣人魔族」で、完全獣化すると悪魔のような風貌になる。仲間の血液を媒介にして他者に同化する特殊能力を持っており、ヴィクターフリーマンを倒して、その肉体を奪おうと目論む。
集団・組織
白銀十字団 (しるゔぇんくろいつ)
中世から存在する、獣人魔族暗殺を目的とした秘密結社。身寄りのない孤児たちを集めて暗殺者(ハンター)として育成しており、ヴィクターフリーマンやアレックスマクレガーもこの組織に拾われ育てられた。ターゲットの獣人を殺害すると同時に証拠をすべて消し去る「完全な抹殺」を鉄則としていて、従わない者は反逆者として粛清される。
場所
ホワイトロック・バレー (ほわいとろっくばれー)
白人たちが暮らす西部の街。町長や保安官はおらず、酒場の主人が実質的な代表者となっている。実は女子供も含めた住人すべてが「獣人魔族」という化物の巣窟で、隣町のブラウンシュガー・ヒルは彼らが住人たちを皆殺しにしたため廃墟と化した。
その他キーワード
ブラスターナックル
ヴィクターフリーマンが獣人魔族との戦いで使用する鋼鉄製のナックル。甲の部分に純銀の弾丸が仕込まれていて、パンチをヒットさせると弾丸が発射される仕組みになっている。手首のプロテクター部分を上下させると使用済みの薬莢を排出し、新しい弾丸が装填される。
獣人魔族 (びーすとでもんず)
人と獣の姿をあわせ持つ闇の血族。人に扮して人間社会に潜み、人肉を喰らうなどの殺戮行為を行っている。通常の人間の姿でも常人をしのぐ身体能力を持つが、完全獣化して鬼や悪魔のような異形の姿になると、さらに超人的な戦闘力を発揮する。また、上位の者は仲間の血液を媒介にして別の次元に移動する能力を持っている。
完全獣化 (かんぜんじゅうか)
獣人魔族が本性を現した姿。獣人魔族はこの姿になると、どんな傷でもすぐにふさがってしまう不死の存在となる。唯一の弱点が純銀の武器で、獣人魔族の肉体の再生を阻止する効果があるため、銀の弾丸で頭部を破壊されれば復活できなくなる。また、陽があるうちは完全獣化することができない。
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