概要・あらすじ
今年のクリスマスの夜も、1人むなしくコンビニのアルバイトをしていた日野三春は、その帰り道で、黒いサンタの格好をした男がホルモン屋台を開いているのを目にする。三春はホルモン焼きの屋台という珍しさに興味を惹かれ、腰を下ろしてホルモンと日本酒を注文。腹を満たし、酒で頬を紅潮させ、すっかりできあがった三春は、黒いサンタの男に就活が上手くいかないと愚痴をもらした末に、何でサンタの格好をしているのに色は赤ではなく黒なのかと尋ねる。
すると黒いサンタの男は、良い子のところには赤いサンタ、そして悪い子のところには黒いサンタがやって来るのだという話を始める。その話に聞き入っていた三春は、突然屋台の上から落ちてきた、大きな白い袋から現れた口に丸飲みされてしまう。
その後、目を覚ました三春は、自分が何故かベッド上にいることに気付く。ベッドの傍らには例の黒いサンタの男がいて、今日から「サンタクロースハウス」で働くよう三春に告げる。その会社は北極にある、世にも奇妙なサンタのための会社で、そこは悪い子を強制就労させるブラック企業であった。こうして三春は北極の地で、サンタのために強制労働を課せられることになるのだった。
登場人物・キャラクター
日野 三春 (ひの みはる)
コンビニでアルバイトしている男性。黒髪で前髪を右に流している。父親は幼い頃、クリスマスの日に事故で他界し、それからは母親と二人暮らしをしていた。その後、大学受験に失敗し、大学受験を諦めて就職活動を始めたものの、3年間まったく就職が決まらず、現在は家を出て一人暮らしをしながらアルバイトをして生計を立てている。酒に弱く、酔うと愚痴が多くなる。 気まぐれで移り気な性格をしていて、周囲の人間や環境に気分や感情を左右されやすい。クリスマスの夜にホルモン屋台を開いていたクネヒトに「悪い子」認定されて北極に連れ去られ、サンタクロースハウスで強制就労させられることになる。配属先は石炭課で、肩書きは子供役代表。
クネヒト
サンタクロースハウスに勤めている男性。背が高く、黒いサンタクロースの格好をしていて、顔は帽子と首に巻いた白いスカーフで隠されている。昔に赤いサンタクロースが亡くなってからは、クネヒトが家長という肩書きでサンタクロースハウスの代表を務めている。ムチを巧みに操り、会社のマスコットキャラクターの袋を手なずけている。 特技はモツを美味しく焼くことで、クリスマスの夜に日本でホルモン屋台を出すこともある。クリスマスの夜に出会った日野三春を「悪い子」認定して会社に連れ去り、強制的にサンタクロースハウスに就職させ、石炭課の子供役代表に配属させる。
志乃 (しの)
サンタクロースハウスに勤めている女性。小柄で黒いサンタクロースの格好をしている。髪型は毛先をカールさせたツインテールだが、これはカツラで実際は坊主頭。日野三春の同僚で、何もかもが初めてのことばかりで戸惑っている新入社員の三春に、社内や寮での生活を親切に教えている。もともとは寺の住職の娘だったが、高校生の頃、クリスマスの日に不注意で火事を起こしてしまい、燃える寺の中に1人で取り残されていたところをクネヒトにサンタクロースハウスに連れて来られ、現在に至っている。 一見明るく人懐こいが、実はストレスを溜め込みやすい性格で、心に闇を持っている。大食漢で、普段は痩せているがたくさん食べるとすぐに肥満体型になる。一方で、お腹が空いた時や、大きなストレスを抑え込んだ時にはすさまじいカロリーを消費し、すぐにもとの体型に戻る。
鉄平 (てっぺい)
サンタクロースハウスに勤めている男性。黒髪で容姿端麗、黒いサンタクロースの格好をしている。日野三春の同僚で、何もかもが初めてのことばかりで戸惑っている新入社員の三春に、社内や寮での生活を親切に教えている。寡黙で無表情ではあるが、何かと三春のことを気にかけてくれる優しい先輩。料理が得意で、会社では料理長を任されるほどの腕前。 体力にも自信があり、自警団に入っている。
帽子さん (ぼうしさん)
サンタクロースハウスに勤めている男性。大きなサンタクロースの帽子の形状をしたきぐるみを身にまとい、黒いブーツを履いている。石炭課で妖精たちを指揮してプレゼントの製造を行っている。口が悪く、人使いが荒い。石炭課の仕事以外にも、新入社員のための研修DVDに出演し、サンタクロースハウスでの主な仕事内容の説明をしている。
妖精 (ようせい)
サンタクロースハウスの石炭課で、帽子さんのもとで働いている、サンタクロースの帽子の形状をした、手のひらサイズの生き物たち。帽子さんを親だと思っており、帽子さんの言うことには忠実に従う。石炭課では全員が一致団結して流れ作業でクリスマスプレゼントの製造を行っている。言葉を話すことはできないが、「のい」という鳴き声を発する。
袋 (ふくろ)
サンタクロースハウスのマスコットキャラクター。成人男性と同じ位の大きさの白い袋の形状をしていて、袋の端の口にあたる部分に鋭い牙が生えている。人間を丸呑みにできるくらいの大きな口をしていて、クネヒトが日野三春を誘拐する際に、三春を丸呑みにさせた。クネヒトに懐いており、人間の言葉を話すことができる。
皇帝 (かいざー)
大学生4年生の男性。茶髪で痩せ型の体型をしていて、前歯が1本欠けている。本名は「皇帝」と書いて「かいざー」と読む。日野三春と同じコンビニで働いていてアルバイト歴の長さから三春の後輩にあたる。明るく調子の良い性格で三春とウマが合い、三春のことを慕っていたが、就職の内定が決まり、今年いっぱいでアルバイトを辞めることになった。 可愛くて性格の良い彼女がいる。
場所
サンタクロースハウス
日野三春が就職することになったサンタクロースの会社。北極に本部を構え、昔に赤いサンタクロースが亡くなってからは、クネヒトが家長という肩書きで代表を務めている。円滑に子供に贈り物を届けるためにさまざまな部署が存在し、三春はその中の石炭課に所属している。会社のロゴはサンタの帽子を簡略化したデザインで、会社のマスコットキャラクターは袋。 初任給は手取り30万円で、昇給、残業代、ボーナス有。社員は会社の寮に入ることになる。社員は全員黒いサンタクロースの格好をすることが義務付けられている。
書誌情報
ブラックナイトパレード 9巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第8巻
(2022-12-19発行、 978-4088925035)
第9巻
(2023-12-19発行、 978-4088931098)