あらすじ
第1巻
ある日、コンビニエンスストアでアルバイトをしている身長190センチの男子高校生、柴崎の前に現れたのは、身長145センチの小柄なOL。高い所にある商品に手が届かなくて苦戦していた彼女を見つけた柴崎は、助けてあげたいと思いながらも、かわいいからこのままずっと見ていたいと、複雑な感情に見舞われていた。その気持ちを拭い去り、OLに手を差し伸べた柴崎だったが、彼女から発された言葉は「たく…」という謎のものだった。柴崎は、その二文字ですべてを察し、彼女はきっと名前が「たく」で始まる男性とただならぬ関係なのだろうと考え、彼女に対する淡い思いは、打ち砕かれることになる。しかし真相はまったく違い、「たく」とはOLが自宅でいっしょに暮らしている飼い猫のたくあんのことで、柴崎の目つきの鋭さが、まさにたくあんにそっくりだったのだ。それ以来、柴崎のことが気になるようになったOLは、仕事帰りにコンビニに寄ることが楽しみになり、お互いにあいさつする関係へと発展する。しかし、飼い猫に似ている彼に癒しを求めているのだと自分の思いをズレて解釈しているOLと、純粋な思いの柴崎とは、結局毎回微妙なすれ違いを見せてしまう。
登場人物・キャラクター
柴崎 (しばさき)
コンビニエンスストアでアルバイトをしている男子高校生。礼儀正しくまじめな性格で、身長190センチとかなりの長身。コンビニの常連客であるOLに、ひそかな恋心を寄せている。彼女が手の届かない所の商品を取ろうとしていた際に助けてあげたことで面識を持つようになった。しかし、あいさつをするだけでも限界の状態で、彼女が「たく…」と言葉を発すると、「たく」と名の付くものはすべて気になりだす始末。日々、彼女の一挙手一投足に心をかき乱され、振り回されているものの、ポーカーフェイスなために、その動揺ぶりはOLにまったく伝わらずにいる。ポケットにはいつも冷却シート「ひえペタ」を入れており、動揺する事態が起こると事務所へと引っ込み、おでこにひえぺたを貼る。おばあちゃん子で、お年寄りには特に優しい。
OL (おーえる)
OLの若い女性。かわいらしい笑顔の持ち主で、髪を右側にまとめている。身長は145センチとかなり小柄で、少々天然気味なところがある。猫が大好きで、溺愛する愛猫のたくあんと共同生活を送っており、「たくあん様は正義」の言葉を胸に、たくあん優先の暮らしを楽しんでいる。毎日、仕事帰りにコンビニエンスストアに寄るのがささやかな楽しみ。ある日、高い所に置いてある商品を手にするのに苦戦していたところ、そのことに気づいたコンビニ店員の柴崎に助けてもらい、彼と知り合う。同時に柴崎が猫のたくあんに似ていることに気づき、彼が気になるようになる。しかし、OL自身は柴崎に対して自分がどんな感情を抱いているのかを自覚できず、飼い猫に似ている彼を見て癒されているだけだという結論に達し、いろいろな意味ですれ違いの日々を送ることになる。最近、最後の独身仲間だった友人の結婚が決まり、祝福よりも先を越された寂しさを感じたことに罪悪感を覚え、それ以降はアラサーである自分の行く末に不安を感じている。
店長 (てんちょう)
コンビニエンスストアの店長を務める中年男性。オヤジギャグが大好きで人当たりがよく、眼鏡を掛けている。アルバイトの柴崎に対しては、礼儀正しくまじめでよく働くと好印象を持っている。常連客のOLを知っており、あいさつを交わして立ち話をする程度の関係。何かと過剰に反応しがちな柴崎の様子を見るたびに、いちいち反応して心配している。高校時代はテニス部に所属しており、主将を務めていた。
妹 (いもうと)
柴崎の妹。ショートヘアのかわいらしい少女で、OLからは柴崎の彼女だとカンちがいされている。柴崎がアルバイト中にコンビニエンスストアにやって来て、つい兄にお菓子を買ってほしいと甘えてみたりと、ちょっかいを出している。
たくあん
OLの自宅でいっしょに暮らしている猫。オレンジ色のトラ猫で、たくあんに色が似ているところから、名前を決めた。鼻の色はピンクで、目つきはかなり悪い。そんな無表情なところが、OLからは柴崎に似ていると思われている。猫らしい気まぐれな性格で、ミントの匂いが大嫌い。