概要・あらすじ
独裁国家ハロイのカリスマ的指導者ムタリロは、重病で死に瀕していた。政権を維持するため、ハロイ政府は、天才外科医ブラック・ジャックに治療を依頼する。治療によってムタリロは一命を取り留めるが、手術の直後、ハロイの首都では抵抗軍によるクーデターが起こるのだった。
登場人物・キャラクター
ブラック・ジャック (ぶらっくじゃっく)
顔に大きな傷があり、白黒に分かれた髪の男性。常に黒のマントを着ている。無免許ながら天才的な外科医であり、法外な治療費を請求することで世界中の医療関係者に名前を知られている。作中では60歳に差しかかる年齢になっており、顔には皺が目立つ。手術の腕は衰えていないが、原因不明の奇病を患っており、発作が起こると30時間前後の昏睡に陥ってしまう。 ムタリロの治療費として、ハロイ政府に2億ドルを請求する。
クロエ
女性医師。ハロイの隣国の国境付近にある難民キャンプで医療に携わっている。年齢は20代前半ほどに見えるが、優れた手腕を持ち、難民キャンプ医療班ではリーダー的な存在。キャンプを訪れた難民兄妹の親を探すためハロイに密入国した際に抵抗軍のメンバーと知り合う。彼らがブラック・ジャックを暗殺しようとしていることを知って強引に同行し、ハロイの首都に向かう。 武装した兵士の集団を素手で叩きのめすほどの異様な身体能力を持つが、徹底した反戦主義者で人を傷つけることを嫌う。
ムタリロ
独裁国家ハロイの指導者の男性。絶対専制を維持するため、徹底した情報統制・思想統制を行い、ハロイを荒廃に導いた。しかし、圧倒的なカリスマ性を持ち、宮殿に住む衛兵や軍部の人間などは、ムタリロに対して絶対的な忠誠心を抱いている。難病で昏睡状態に陥っており、延命治療を受けている。
ソルニ
独裁国家ハロイの参謀長。ハロイ政府の実権を握る男。しかし、ムタリロと比べると人望もカリスマ性も乏しい。ムタリロを延命して現政権を維持するためにブラック・ジャックを呼び寄せ、治療費を独断で国庫から引き出す。多額の支出を惜しみ、手術が終わった後にブラック・ジャックとグエンを宮殿内に監禁する。
グエン
ブラック・ジャックの助手を務める、メガネをかけた小柄な男。医療関係の助手ではなく、システム開発を担当している。ブラック・ジャックの発作を抑える特殊な強壮剤を調合するシステムを、治療費の入金にを基に開発し、強壮剤の原料と調合装置の入ったケースを持ち歩いている。
アヤラ
ハロイの政治家。ブラック・ジャックに難病の息子を治療してもらった経験がある老人。ブラック・ジャックからは「この国で唯一まともな政治家」と評されている。ソルニが治療費のために国庫金を使い込んでいることをブラック・ジャックから教えられ、軍部の高官や抵抗軍に働きかけてクーデターを計画する。
サマム
ハロイ国内で反乱活動を行っている抵抗軍の男。一個小隊を率いて、政府軍と敵対している。ムタリロ政権の崩壊を待ち望んでいる国民の一人で、ムタリロの延命に訪れたブラック・ジャックの命を狙っている。国境付近でクロエと出会い、同行することを認める。
場所
ハロイ
前時代的な絶対専制国家で、指導者ムタリロの独裁下にある。独裁体制を維持するために情報統制や異分子の弾圧が行われている上に、国庫が軍事に偏ったことで財政は破綻。首都以外では餓死する国民も出ている。隣国への国外亡命者が続出しており、国境付近では亡命を阻止しようとする政府軍と、避難民を助ける抵抗軍の間で紛争が頻発している。
クレジット
- 原作
- その他
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山石 日月