アンメット ーある脳外科医の日記ー

アンメット ーある脳外科医の日記ー

『アイターン』(原作:福澤徹三)で知られる大槻閑人の連載作品。原作は、元・脳外科医の子鹿ゆずるで、本作がデビュー作となる。郊外の基幹病院、丘陵セントラル病院という架空の病院が舞台。アメリカからやってきたワーカホリックな脳外科医の三瓶友治が主人公。変わり者の三瓶が、様々な脳疾患の治療を行い、患者に寄り添う姿勢を描いた本格医療ドラマ。元・脳外科医の原作者による、丁寧でリアルな医療描写が特徴。講談社「モーニング」2021年2・3合併号より連載。杉咲花主演で実写ドラマ化され、2024年4月15日から6月24日まで、フジテレビ系列にて放送された。

正式名称
アンメット ーある脳外科医の日記ー
ふりがな
あんめっと あるのうげかいのにっき
原作者
子鹿 ゆずる
漫画
ジャンル
医療
 
ヒューマンドラマ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊16巻
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「脳」だけではなく「人生」を診る

本作の原作者の子鹿ゆずるは、元・脳外科医であり、救急現場や脳疾患の症状、手術のシーンがリアルかつ丁寧に描かれている。しかし、本作最大の特徴は、片麻痺、失語症、記憶障害といった様々な脳障害の後遺症が描かれている点である。脳外科手術においては、ほんの少しの遅れが後遺症につながる。だから主人公の三瓶友治は、周囲の反発を気にせず、瞬時に判断を下して緊急手術を強行する。そして、救命だけではなく、患者の社会復帰までをサポートする。また三瓶は、後遺症など障害を持つ人の社会復帰には、本人の努力はもちろん、サポートする側の理解と協力が重要だと説く。本作は、「脳」だけではなく患者の「人生」を診る脳外科医を描いた医療ドラマである。

失ったものより残っているものが大切

本作の第1話。脳内血腫で運び込まれた建設作業員の山本は、三瓶の緊急手術により一命を取り留める。しかし、左半身に重度の麻痺が残り、一生半身不随になってしまう。もうすぐ生まれる子どものためにもリハビリに励む山本だったが、麻痺のほか、空間認識能力も低下しており、作業員の仕事には戻れそうになかった。そこで三瓶は、計算能力や論理的理解力は正常という検査結果を踏まえ、山本にできる仕事を会社に提案。事務職として職場復帰できるように取り計らった。2021年3月23日掲載の「文春オンライン」で、原作者の子鹿は「失ったものより残っているもの、駄目だった昨日より明日の希望。人間の弱くて、強くて、美しい姿を伝えたいです」と語っており、これが本作の大きなテーマとなっている。

ミヤビの記憶障害に隠された謎

事故により記憶障害を抱える医師の川内ミヤビは、昨日のことを覚えていられず、日記に日々の出来事を書いて記憶をカバーしていた。手術室にも入れず、雑用しかできないことに自信を失いかけていたが、三瓶の適切なサポートにより、手術の手伝いができるようになる。そんなある日、救命救急部長の星前宏太が、ミヤビと三瓶が一緒に写っている古い写真を偶然見つける。じつは記憶を失う前、ミヤビと三瓶は婚約していたのだ。三瓶は、ミヤビの障害は治る可能性があると考えており、彼女の主治医、関東医科大学の大迫教授に疑念を抱いていた。本作は、三瓶とミヤビの過去と現在を描き、記憶障害に隠された謎を追うドラマでもある。

登場人物・キャラクター

三瓶 友治 (さんぺい ともはる)

アメリカから、日本の丘陵セントラル病院にやってきた脳外科医の男性。ボサボサ頭と目の下のクマが特徴で、ほぼ病院で暮らすワーカホリック。世界トップレベルのフィラデルフィア大学病院で、史上最年少で顕微鏡手術を担当したほか、論文が世界中で引用されており、研究者としての功績も大きい優秀な医師である。周囲の空気を一切読まずに行動するが、それは患者のことを第一に考えた結果である。事故前の川内ミヤビと婚約しており、彼女の記憶障害を治そうとする。

川内 ミヤビ (かわうち みやび)

丘陵セントラル病院の総合診療科と脳外科を兼務する女性医師。過去に交通事故を起こし、それ以来記憶障害を抱え、昨日のことも覚えていられない。医師としての自信をなくしかけていたが、三瓶友治や周囲の医師のサポートで、手術室に入ることも許される。事故前に、三瓶と婚約していたことを告げられ初めは戸惑うが、三瓶の普段の行動から、彼を信じるようになる。

星前 宏太 (ほしまえ こうた)

丘陵セントラル病院の救命救急部長の男性。脳外科を兼務している。金髪が特徴で、自らをエースと呼ぶ自信家。母親が、病院の各科をたらい回しされた結果、骨髄のがんが進行した過去を持つ。そのため、自分の専門しかわからない医師を嫌い、全科で専門医レベルを目指している。

クレジット

原作

子鹿 ゆずる

書誌情報

アンメット ーある脳外科医の日記ー 16巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2021-03-23発行、 978-4065227695)

第2巻

(2021-06-23発行、 978-4065234518)

第3巻

(2021-09-22発行、 978-4065245453)

第4巻

(2021-12-23発行、 978-4065261286)

第5巻

(2022-03-23発行、 978-4065269978)

第6巻

(2022-06-22発行、 978-4065280522)

第7巻

(2022-09-22発行、 978-4065292617)

第8巻

(2023-01-23発行、 978-4065300107)

第9巻

(2023-02-21発行、 978-4065308479)

第10巻

(2023-04-21発行、 978-4065311677)

第11巻

(2023-05-23発行、 978-4065315057)

第12巻

(2023-08-23発行、 978-4065326695)

第13巻

(2023-11-22発行、 978-4065333679)

第14巻

(2024-04-23発行、 978-4065352229)

第15巻

(2024-05-22発行、 978-4065352236)

第16巻

(2024-08-22発行、 978-4065363829)

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