ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-

ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-

小沢かなの初連載作品。架空の大学「青凪大学」を舞台に、エンジンを使用せずに気流に乗って滑空する「グライダー」をテーマにしている。高校時代はバレーボール一筋だった都留たまきが、体育会航空部に入部して非凡な空間認識能力を発揮しながら、グライダーの名手として成長していく姿を描いた新感覚スポーツ青春ドラマ。なお、小沢かなは大学時代に航空部に所属しており、当時の経験を基に本作を描き上げたと語っている。新潮社「月刊コミック@バンチ」2015年6月号から2018年1月号にかけて掲載の作品。2022年3月4日に劇場アニメ『ブルーサーマル』が公開され、たまきを堀田真由、倉持潤を島﨑信長が演じている。

正式名称
ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-
ふりがな
ぶるーさーまる あおなぎだいがくたいいくかいこうくうぶ
作者
ジャンル
その他スポーツ
 
青春
レーベル
バンチコミックス(新潮社)
巻数
既刊5巻
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女子大生が空の世界に魅了される

青凪大学文学部に進学した都留たまきは、バレーボール一筋だった高校時代を省み、キラキラな恋がしたいとテニスサークルの活動に興じていた。そんなある日、たまきは練習中のアクシデントで、体育会航空部のグライダーを傷つけてしまう。そして航空部の主将・倉持潤からグライダーの弁償代として200万円を請求されるものの、支払うことのできないたまきは、体育会航空部に雑用係として強制的に入部させられる。雑用係として河川敷を走り回っていたたまきを目にした倉持は、気まぐれで自分のグライダーに同乗させる。この時、たまきが類いまれなる空間認識能力を持つことを確信した倉持は、彼女を正式な部員として誘う。一瞬で空の美しさに魅了されたたまきは、倉持の申し出を受け入れ、体育会航空部の部員として空の世界に夢中になる。

グライダーの魅力を丁寧に解説

本作は、作者の小沢かなが大学時代に経験した航空部の活動を基に描かれている。タイトルの「ブルーサーマル」とは「青空の下で発生する上昇気流」のことで、この気流にうまく乗ればグライダーをより高く飛ばすことができる。都留たまきや倉持潤のフライトをとおして、読者はグライダーに関する知識や空を翔ける楽しみ、不意の事故の恐ろしさも学ぶことできる。おまけページとして「そらち先生のつるたまでもわかるブルサマ的ざっくりグライダー講座」のタイトルで、グライダーの詳細や読者からの質問の回答が掲載されている。

都留たまきと矢野ちづるの確執

青凪大学体育会航空部に所属する都留たまきは、強化合宿で関西の強豪「阪南館大学体育会航空部」の主将を務める異母姉・矢野ちづると再会する。たまきはかつて家庭で、ちづるに心ない言葉をかけられたことが軽いトラウマになっていた。ちづるが能力の劣る自分を見下していたと思い込んでいたたまきだったが、実はちづるは、慕っていたたまきの母親が自分の母親ではないことにコンプレックスを抱いていたのだった。また、運動神経抜群のたまきを羨望の眼差しで見ていたことも判明する。ちづるに認められたいと意気込むたまきは、新人戦で彼女の後輩・羽鳥楓に勝利し、ちづるを驚かせる。さらに、たまきとちづるが同乗するフライトが実現すると、二人は互いの実力を認め合い、険悪だった関係は改善されるのだった。

登場人物・キャラクター

都留 たまき (つる たまき)

青凪大学体育会航空部に所属する1年生の女子。小柄ながら若干ふくよかな体型をしている。年齢は19歳。長崎出身で、時折九州弁でしゃべる。航空部の部員からは「つるたま」のあだ名で呼ばれている。一見要領が悪いため、周囲からは鈍くさいと思われがちだが、実は運動神経抜群で、高校時代は強豪バレーボール部のエースとして活躍していた。さらに、動体視力や空間認識能力が並外れており、航空部の主将を務める倉持潤からは得難い逸材と評されている。練習を重ねる中でその才能を開花させ、新人戦ではトップの成績を収めた。スタジオジブリのアニメを好み、グライダーを『風の谷のナウシカ』に登場する「メーヴェ」になぞらえたり、空を飛ぶメカニズムを『天空の城ラピュタ』の「飛行石」のようだと発言したりするなど、たびたびアニメオタクぶりを発揮している。うどんが大好物。

倉持 潤 (くらもち じゅん)

青凪大学体育会航空部の主将を務めている4年生の男子。眼鏡をかけている。年齢は22歳。母子家庭に育ち、病気がちな母親の治療費や在学中の生活費と学費を負担してもらうという条件で、青凪大学にスカウトされた。ひょうひょうとした性格で、自らを「天才」と称してはばからず、その自信に恥じない高度なテクニックを誇る。人を見る目も確かで、都留たまきと同乗して彼女の才能にいち早く気づき、彼女を正式に体育会航空部に勧誘する。グライダーに対する思いは誰よりも強く、体育会航空部の部員を前にして自分が主将を務める以上、団体戦の全国制覇を狙うと宣言した。部員たちから慕われており、特に2年生の空知大介からは絶大な信頼を寄せられている。ライバル校のエース・矢野ちづるを敵視しているが、一方で恋人のような親密な関係でもある。

書誌情報

ブルーサーマル 5巻 新潮社〈バンチコミックス〉

第1巻

(2015-09-09発行、 978-4107718402)

第2巻

(2016-04-09発行、 978-4107718860)

第3巻

(2016-09-09発行、 978-4107719157)

第4巻

(2017-05-09発行、 978-4107719782)

第5巻

(2018-02-09発行、 978-4107720498)

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