二つのポールダンスがテーマの青春譚
本作は、官能的なショーとしてのポールダンスと、スポーツとしてのポールダンスをテーマにしている。妖艶にステージを舞い、観客を魅了するポールダンサーの華と、スコアを競う競技としてのポールダンスに取り組む花凛を主人公に、それぞれのポールダンスに対する情熱を青春活劇として描いている。ポールダンスを愛しながらも正反対の道を歩んできた華と花凛が、互いの思いをぶつけ合い、銀のポールにプライドをかけて競い合う姿や、美しく迫力のあるポールダンスの描写が見どころとなっている。
ポールダンスに懸ける情熱
大学に通いながら、父親の和菓子屋を手伝っている華は、父親に内緒で商店街にある小さな劇場「おとめ座」でポールダンサーとしても活躍している。生前、同じ劇場でポールダンサーをしていた母親の舞への誇りとあこがれから、華はその意志を受け継ぐように踊り続ける。しかし、舞は身内からも下品でいやらしいと蔑まれる不遇のポールダンサーでもあった。それでもポールダンスにこだわり続ける華は、ある日、和菓子屋に訪れた花凛を通じて、ポールダンスが「ポールスポーツ」として親しまれていることを知る。しかし、花凛は華が愛する楽しむためだけのポールダンスに対して強い偏見を抱いていた。意見がぶつかり合う華と花凛は、華のホームステージであるおとめ座を舞台に、情熱の火花を散らすことになる。
新たなポールダンサーの誕生
劇場での対決に敗れた華は、花凛の強い意志と予想外のパフォーマンスに心を打たれ、花凛が青春を捧げてきたポールスポーツを認めるようになる。一方、華は自分がポールダンサーであることを父親に知られ、劇場「おとめ座」のオーナーからも店を閉じると告げられてしまう。この出来事をきっかけに、華はポールダンスへの思いを父親に打ち明け、夏祭りのステージでポールダンスに参加することを決意する。そこで、両親が抱いていた本当の気持ちを知ることになる。花凛を通じてポールスポーツの世界に飛び込んだ華は、同じくポールスポーツに挑む後輩の双葉や、大会で3位に入賞したトーマス・麗良など、新たなライバルたちと出会い、やがてポールスポーツ大会で競い合うようになる。
登場人物・キャラクター
上崎 華 (うえさき はな)
ポールダンサーとして活動する女子大学生。黒髪をロングヘアにしている。休日の昼間は父親の和菓子屋を手伝い、夜は小さな劇場でポールダンサーとしてステージに立っている。母親の舞もかつて同じ劇場でポールダンスを踊っていたが、病気で他界している。父親にポールダンサーであることを秘密にしているため、ステージではベールで顔を隠している。舞にあこがれを抱きながら、衰退する劇場でポールダンスを続けている中で、花凛と出会う。当初は花凜が取り組むポールスポーツを軽い遊び程度に考えていたが、次第に対立しながらも良きライバルとして互いを認め合うようになる。両親の願いを知り、ポールスポーツに挑戦することを決意する。
高峰 花凛 (たかみね かりん)
スポーツ競技としてのポールダンスに情熱を燃やす女性。金髪のセミロングヘアを二つのおさげにしている。ポジティブで明るい性格の持ち主。ある日、和菓子屋を訪れた際に、華と出会う。見世物としてのポールダンスに嫌悪感を抱き、劇場で踊る華に対して複雑な偏見と対抗心を抱いていた。しかし、劇場での対決をきっかけに少しずつ心を開き、夏祭りで華のパフォーマンスを見たあとは、彼女を認めるようになる。やがて、ポールスポーツに興味を持った華と共に、友情やライバル関係を築いていくことになる。
書誌情報
シルバーポールフラワーズ 3巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2020-12-09発行、 978-4065215784)
第2巻
(2021-03-10発行、 978-4065224243)
第3巻
(2021-07-14発行、 978-4065236451)